関西の倒産発生率の異常な高さの理由を探る
皆さん、関西各県の倒産発生率の全国順位はご存じでしょうか。
私は東京商工リサーチの記事を見て面喰いました。
<2025年倒産発生率の全国順位>
京都府 : ワースト1位
大阪府 : ワースト2位
兵庫県 : ワースト4位
奈良県 : ワースト5位
和歌山県: ワースト6位
滋賀県 : ワースト9位
なぜこんなにも関西経済は苦しいのでしょうか。
物価高や後継者不足という事情はどこの地域でも同じはずです。
今回は関西経済の中心地である大阪で、地域経済に対してどのような考え方を持っていたのかについて、ご説明したいと思います。
稼げない企業は退場すべき
十数年ほど前から、大阪府の経済政策は「稼げない企業は市場から撤退すべき」という考え方のもと、地場産業や伝統産業への雇用支援や事業継続支援の補助金がカットされてきました。
大阪府で新たに補助金を振り分ける対象は新産業や成長分野に限定されることとなり、これまでの地場の中小・零細企業は他府県と比べて厳しい環境にさらされています。
地場の中小・零細企業に対しては、「この厳しい環境にさらされることで自ら経営改善を図り、切磋琢磨することで本来生き残るべき企業だけが生き残って欲しい」というメッセージが突きつけられるようになったのですが、大阪の中小・零細企業でお勤めの方々は、どのように思っておられるのでしょう。
私の知る限りでは、中小・零細企業で働いておられる方や経営者の方は、経営基盤がぜい弱な中、なんとか自社を存続させようと、そして、取引先に迷惑をかけまいと、わざわざ言われなくても、既に相当一生懸命仕事をしておられます。
そこに「本来生き残るべき企業だけが生き残って欲しい」と言われ、支援策が打ち切られたときの気持ちは想像もつきません。
にも関わらず、大阪で中小・零細企業の支援施策を打ち切っていった結果、“生き残るべきでない企業”が次々に淘汰されていくようになりました。
一生懸命頑張っておられる方に対して、“生き残るべきでない”という言葉は軽々に使って良い言葉だとは思えません。
「市場原理」を乱用したツケ
しかし、実はその先には、「市場原理」の考え方を乱用したツケが待っていました。
最近、人口減少による人手不足や、資材高騰による物価高を原因に、中小・零細企業が倒産し、モノやサービスの供給力が減少して、物価高に歯止めがきかなくなっているという状況が続いています。
普段、私達が購入しているモノやサービスは、それを販売している会社一社だけで出来上がっているのではなく、原材料、加工、輸送など様々なプロセスに関わっている多くの会社に支えられて出来上がっています。
例えば、ある部品を扱っている会社が倒産したとします。
そうすると、その部品を使ってモノを作っている会社は生産がストップします。
それを避けるために、その会社は多少高くなったとしても、他の調達先からその部品の代用品を仕入れる等して対応しないといけなくなります。
代用品がすぐに見つかると良いですが、場合によっては、他の会社に部品を作って貰うため金型を一から準備してもらったりする必要が出てくるため、調達先の変更が、思いのほか高くつく場合も十分想定されます。
モノづくりの世界においては、一つの歯車が外れるだけで素人には
思いもよらない重大な影響がでることがあるのです。
そして、中小・零細企業というのは、それぞれの役割分担の範囲が狭いため、こういうサプライチェーンに関係する会社が非常に沢山あります。
そのため、一社でも欠けるとそのサプライチェーンに打撃を与えてしまうなんてことは十分あり得るのです。
このように、大阪では一社、また一社と市場から退場する会社が増えていき、大阪の会社が支えてきた技術力と供給力が失われていきました。
そして、生き残った会社たちで、その穴を埋めるべく非効率な経営を迫られ、その結果、生き残った会社でも倒産する会社が増えるという悪循環が起こってしまうのです。
実は十数年前の大阪では、こういったことになることを理解していて中小・零細企業を守っていたのでした。
もちろん、大阪以外の地域では今もこのことを理解して、中小・零細企業を守っています。
別の記事で、中小企業の倒産が今の物価高騰に繋がっているという話を書いていますので、よかったらそちらもお読みください。
補助金を削った代わりの経済振興策とは
ところで、大阪が中小企業から削減したお金はどこに消えたのでしょうか。
正確なお金の振り替え先は分かりませんが、少なくとも最近の大阪が掲げる新産業育成以外の経済振興の施策は、万博とIR、いわゆる夢洲の開発です。
これが大阪経済の起爆剤になるということなのですが、皆さまは経済成長を実感できましたでしょうか。
もし、皆さまが経済成長を実感できず、中小・零細企業の倒産や物価高で大阪経済の停滞を感じていられるのであれば、今の大阪は経済政策の考え方を抜本的に改めないといけないのだと思います。
松本 佑介 @ 枚方を動かす新しいチカラ
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