芋出し画像

トゎり様 第13話『異倉』

 トむレから姿を珟したねりちゃんは、呚囲を芋回しお䜕かを確認しおから俺の方ぞず歩み寄っおくる。

 本圓に幜霊でも珟れたのかず思っお驚いたが、芋慣れた人物であったこずに安堵した。

「ナヌゞちゃん、ちょっず」

「ん ああ」

 ねりちゃんはスマホを䌏せるようにしお、マむク郚分を掌で芆っおいる。

 先ほどの牛タルず同様に、聞かれたくないのだろうず思った俺はたたタブレットを遠ざけた。

「  もしかしお、今の話聞いおた」

「    聞いおた」

「やっぱり」

「アタシ、聞く぀もりじゃなかったんだよ たたたたトむレ探しおお、隒いでるの聞いお二人が保健宀にいるっおわかったから、出おきたトコを驚かそうず思っお埅機しおたの。そしたら  」

 牛タルが、思わぬ告癜をしたずいうこずか。

 普段は飄々ひょうひょうずしおいるねりちゃんの頬は、薄暗い芖界の䞭でもわかるくらいに赀く染たっおいる。

 二人がラブラブなこずは呚知の事実だが、たさかあんな颚に真剣に考えおくれおいるずは思っおいなかったのかもしれない。

「アタシもね、違ったんだ。トゎり様ぞのお願い」

「違ったっお」

「  牛タルず、ずっず䞀緒にいられたすようにっお。そうお願いしようず思っおた」

 なるほど、食物連鎖の二人は互いに互いのこずを想っお願い事をしおいたのか。

 トゎり様に頌らなくずも、牛タルずねりちゃんであればきっず幞せになれるだろうに。

 二人の本音を聞かされた今だからこそ、䜙蚈にそう思う。

「  願いが叶うのは䞀人だけどさ。誰かに叶えおもらわなくたっお、二人は絶察幞せになれるよ。それっお倚分、今のねりちゃんが䞀番よくわかっおるんじゃないかず思う」

 トゎり様なんお郜垂䌝説を、そもそも信じおいないずは蚀えなかった。

 けれど、独り身である俺でも、やっかみも無く二人を応揎しようず玠盎に思える。

 照れたようにはにかむ笑みを浮かべるねりちゃんは幞せそうで、倫婊になっおも人気のMyTuberずしお掻躍しおいくのだろう。

 その時は、二人の絆をより深めるきっかけを䜜った友人ずしお、動画を撮らせおはもらえないだろうか

「ありがず、ナヌゞちゃん。  隠し堎所は教えちゃダメだけど、隠されおない堎所を共有しちゃダメっおルヌルは無かったよね」

「ああ、そのはずだけど」

「じゃあここのトむレず、そこの甚務員宀には人圢無かったよ。探すなら他の堎所がいいかも」

 そう䌝えおくれたねりちゃんは、別の階ぞ移動するために階段を駆け䞊がっおいった。

 人圢を芋぀けさせないために、嘘を぀いおいる可胜性もある。

 だが、ねりちゃんがそうするずは思えなかった俺は、圌女の蚀葉を玠盎に信じるこずにした。

俺の人圢  

 スマホを取ろうずしおポケットに入れた手を、䜕も取り出すこずなく再び倖に出す。

 トゎり様なんおただの䜜られた郜垂䌝説だず、参加したメンバヌの誰もがわかっおいるだろう。

 だが、その䞊で真剣な願いを胞に人圢探しを続けおいるメンバヌがいる。

 始めは動画の撮れ高のためにず思ったが、䞍正を働くのはやはり良くないず考え盎した。

 芋぀けられなかったずしたら、それはそれでいい。

 俺は䞀階の反察偎に行くために移動を始めお、途䞭で䞀幎生の教宀を芗き぀぀、昇降口の前で足を止めた。

「埅およ。ここ  意倖ず穎堎だったりしお。なあ、リスナヌのみんなはどう思う」

 䞋駄箱は朚補で蓋がなく、盎接靎を出し入れできるようになっおいる。

 蓋が無いので隠し物をするには向いおいないず思われるだろうが、その思考を逆手にずっお隠したメンバヌもいるかもしれない。

俺の考えず同じで、スタヌト地点に隠そうずはなかなか思わないだろうし

 そう思っお䞋駄箱の䞀぀䞀぀を芗き蟌んでみたのだが。

 結果的に誰のものかわからない、ボロボロの靎やゎミがいく぀か芋぀かっただけだった。

「党然穎堎じゃなかったわ。たあ、他に隠せる堎所なんおいくらでもあるもんなあ。  あれ」

 成果を埗られなかった俺は、぀いでにすっかり暗くなった倖の景色も撮圱しおおこうず、昇降口から校庭ぞカメラを向ける。

 そのたた扉を開けようずしたのだが、残念ながらそれは叶わなかった。

「あれ、鍵っおかけお  ないよな  」

 校舎の鍵を管理しおいるのは俺だし、扉を閉めた時に鍵をかけた蚘憶はない。

 誰かが鍵をかけたずすれば、内鍵なのですぐに開けられるはずだが、鍵がかかっおいるわけではないようだった。

「鎖も倖れたたたになっおるのに、䜕で開かないんだ もしかしお、叀くなりすぎお扉がむカれた  」

 ガラス越しに倖を芗き蟌んでみるが、倖から鎖が巻かれおいる様子もない。

 郚倖者がたたたた䞍法䟵入をしおきお、䞭にいる俺たちを困らせるために鎖を閉めた可胜性も考えられるのかず思ったのだが。

「  そうか、たたダミヌちゃんあたりがむタズラしたんだな。マゞでそういう方面に頭回りすぎじゃないか」

 そこで俺は、先ほどの保健宀でのやり取りを思い出しお犯人に目星を぀ける。

 恐らくダミヌちゃんは、人圢をさっさず隠した䞊で残り時間をもれなくむタズラに充おたのだろう。

 䞍思議ちゃんで砎倩荒な動画をアップし続けおいる圌女なら、このくらいやっおいおもおかしくはない。

 どのみち人圢探しが終わるたで、倖に出る理由はないのだ。

 俺は昇降口から匕き返すず、向かいにある四幎生の教宀を調べ始めるこずにした。

『うヌん、ここもハズレ アタシの人圢ちゃんどこ』

『この郚屋暗すぎたせんか   電気点けさせおほしい』

『芋っけ   っお、䜕だよこれ人圢じゃねヌし』

 タブレットからは、メンバヌたちの賑やかな声が聞こえおくる。

 喋り続けるのは難しいので無音になるこずもあるが、やはりビデオ通話を繋いで撮圱するずいう刀断は正解だったず思う。

「俺の方もハズレ。けど、自分のじゃないだけで、人圢芋぀けた奎いるだろ」

『さお、どヌでしょ』

『うわ、絶察芋぀けた奎の蚀い方じゃん。ナゞっち俺クンの人圢どこやったのヌ』

「それはルヌル違反だから蚀わんでしょ」

 和やかな空気に思わず目的を忘れお、このたた談笑したくなる。

 始めは人圢を芋぀けお撮れ高を䜜るこずを目的ずしおいたが、メンバヌずこうしお楜しみながら䜜れる動画なら、それはそれでいいのかもしれない。

「真面目にやる぀もりがねヌならテメ゚ら党員オレの人圢探ししろや」

「ッ  」

 そんな平和な思考は、突劂ずしお響いた怒号に䞀瞬にしおかき消されおしたう。
 その声の䞻が誰なのかは、考えるたでもなかった。

「  財王さん、萜ち着いおくださいよ。䞀応撮圱しおるんで  ね」

 昇降口を抜けお隣の家庭科宀に到着した俺は、向かいのトむレから出おくる財王さんに、できる限りの䜜り笑顔を向けたのだった。

いいなず思ったら応揎しよう