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【バチカン使徒文書館】存在してはいけない絵

【バチカン使徒文書館】

かつては「バチカン秘密文書館」と呼ばれていた場所。

教皇庁の政治・外交・行政の記録庫として、
手紙、勅書、裁判記録、会計記録、
各国君主とのやり取りなど——

何世紀分もの文書が保管されている。

公式には、
「教会統治に関する文書を守る場所」とされている。

だが──

その“全体像”を見た者は、誰もいない。




【ホラーミステリー】存在してはいけない絵


バチカン使徒文書館の地下二階。

分類不能。

そう記された棚の奥に、
その絵はある。

——少なくとも、そう記録されている。


そしてその記録には、
教皇の承認印が押されている。

だが、その名は——
存在しない。




1580年3月
越中国。放生津にて、ソレの捕獲が確認された。

気づいたときには、舟に積まれていた。
誰がそうしたのか、わからなかった。

浜では誰も口をきかず、
笠で自らの顔を隠した。

冷たい海風の音だけが、肌を震わせた。

ソレは、ずっと目を閉じたままだった。

村人が、口にしたとき、
まだソレの呼吸は続いていた。

ルイス・フロイス



1503年、リヴォルノ。

ダビンチが海でなにやら、奇妙なものを見つけたと噂があった。

岩礁に絡まったナニカを発見し、
彼はそれを秘密裏にリヴォルノの地下執務室へ運んだとされている。

まだ脈打つ皮膚に触れながら、
一気にスケッチを書き上げたとされる。

村人は以後、半年間
魚の腐った匂いに迷惑したと記載があり、


イルカの骨格とされる標本が今も残っている。


だが、
その傍らにあったはずの絵だけは、
時の教皇の命により、
馬車でローマへと運び去られた。



リヴォルノ公文書資料













そして、現在。
私は密命を受け、
富山に向かう新幹線の中にいる。

『富山湾で、446年ぶりにソレが揚がった』

——そう記されている。




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