【ショートショート】『キムワイプ』
【ショートショート】『キムワイプ』
キムワイプとは、
理系研究室で愛用される高性能な紙ワイパー。
毛羽立ちが少なく丈夫で、レンズや実験器具の清掃に使われる「理系界の定番ティッシュ」である
🧪🗒️
俺の名前は木村。
朝、変な緑色のバスに乗ってから、
なんかおかしい。

街のあちこちに、
緑色の箱が目につくのだ。
コンビニの棚。
駅の広告。
緑の箱、専用の自販機。

気づけばどこにでもある。
白地に緑の文字。
KIMWIPE
最初は気のせいだと思った。
でも違った。
帰宅途中、
小学生が持っていたランドセルにも。
電車の窓に映る自分の顔の後ろにも。
マンションの宅配ボックスにも。
緑の箱がある。

広告ではなかった。
アイスクリーム屋に入る。
店員が笑顔で言った。
「本日のおすすめはキムワイプです」
意味が分からない。
ショーケースを見る。
バニラ。
チョコ。
抹茶。
キムワイプ。
当然のように並んでいる。
⸻
逃げるようにバーへ入った。
「おすすめのカクテルは?」
「キムワイプです」
メニューを見る。
ジントニック。
モスコミュール。
マティーニ。
キムワイプ。
当然のように載っている。
⸻
腹が減った。
カレー屋へ入った。
店員が皿を置く。
福神漬け。
らっきょう。
キムワイプ。
当然のように緑色のカレー
⸻
周りを見渡す。
誰も気にしていない。
誰も。
誰一人として。
⸻
震える声で聞いた。
「それ……カレーですよね?」
店員は不思議そうな顔をした。
「???」
そして笑った。
「何を言ってるんですか、木村さん」
⸻
その瞬間。
壁のポスターが目に入った。
緑色の箱。
そこにはこう書かれていた。
『キムワイプ。それは人生に必要なすべて。』
安心した。
そうだ。
何をそんなに怯えていたんだろう。
俺は店員に笑いかけた。
「キムワイプのおかわりをください」
おしまい
次回!新番組
『魔法戦士キムワイプ』
第1話
「実験台の上の運命」
⸻
絶対みてくれよな!

この番組はキムワイプの提供でお送りしました。




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