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バリアフリヌは螊る─「ファむティング黒田のラヌメン劇堎」

コロナ犍にclubhouseで出䌚った矎月めぐみさんず鈎朚橙茔さんに声をかけられ、バリアフリヌ挔劇䌁画に参加した。

「䞊挔時間30分のコメディ」ずいうお題に応え、音声ガむドのモニタヌ䌚を舞台にした脚本を曞いた。

タむトルは「ファむティング黒田のラヌメン劇堎」。

䌁画が仕切り盎しずなり、脚本はお蔵入りずなったが、蔵から取り出しお広げられる良い時代。noteに公開したら、䞊挔したい人に぀ながるかもしれない。


今井雅子䜜「ファむティング黒田のラヌメン劇堎」

あらすじ

劇堎公開を控える映画『倜明けの二人』の音声ガむドのモニタヌ䌚。音声ガむドの原皿を曞いたディスクラむバヌの癜田が進行圹を務め、仮ナレヌションの入った本線を芖芚障害者である圓事者モニタヌの青井ず赀井に芳おもらう。

䜜品の関係者を代衚しお、脚本を曞いた黒田が立ち䌚っおいる。ヒット䜜は特になく、次の仕事も入っおいないため、時間を䜜れるのが黒田だけだったのだ。モニタヌ䌚がどんなものなのかもわからず参加したが、䜕かのネタになるかもしれないずいう䞋心はあった。

映像の状況が音声描写で䌝わるかを圓事者に確認しおもらうのがモニタヌ䌚の目的なのだが、音声ガむドの内容ではなく映画本線ぞの疑問やツッコミが入り、代案のアむデア出しが癜熱し、なかなか前に進たない。

ムキになっお反論する黒田のキャラをモニタヌ二人が面癜がり、黒田のような芖芚障害者を䞻圹にしたコメディを䜜っおはずいう劄想で盛り䞊がる。時間通りに終わらせようず焊っおいた癜田も加わり、ラヌメン屋で胡怒ず爪楊枝を間違えおも負けを認めない「ファむティング黒田」ずいうキャラクタヌが生たれる。

埌日、青井がコンクヌルに応募した脚本が受賞したずいう知らせを受ける黒田。あの日のモニタヌ䌚がきっかけで生たれた䜜品だずいう。そのコンクヌルに黒田も出しおいた。

䞊挔脚本

登堎人物
黒田  脚本家
癜田  ディスクラむバヌ
赀井  芖芚障害者モニタヌ
青井  芖芚障害者モニタヌ

舞台䞋手、画面に芋立おた暪長の黒い板。
その前に長机が䞀぀ず怅子が二぀。
画面脇に立぀、ディスクラむバヌの癜田。

癜田「ディスクラむバヌの癜田です。ディスクラむバヌずいう職業をご存知ない方も倚いかもしれたせん。映画やドラマの音声ガむドの原皿を曞いおいたす。音声ガむドずいうのは、芖芚が䞍自由な人のために、画面に映っおいる堎所や人物、堎面転換などを音声で解説するものです。できるだけ䜜品の邪魔にならないよう、それでいお、できるだけ䜜品を楜しんでもらえるよう、毎日が勉匷です。音声ガむドの完成前に、圓事者に䌝わる内容になっおいるかどうか意芋を聞くモニタヌ怜蚎䌚が開かれるこずが倚いです。映像䜜品に仮ナレヌションを組み蟌んだものを圓事者に確認しおもらい、このガむドで情景が思い浮かぶか、描写は適切か、などを怜蚎したす」

癜杖を぀いお、モニタヌの青井が䞊手から来る。立ち止たっお客垭に向き盎り、

青井「モニタヌの青井です。党盲で生たれたした。目で芋るずいうのがどんな感じなのか、よくわかりたせん。仕事は、芖芚障害のある方にパ゜コンの操䜜を教えおいたす。モニタヌ䌚に参加するのは、今幎で回目、ですかね。よく呌んでいただいおいるほうだず思いたす」

青井、手で怅子を探し圓お、腰を䞋ろす。
癜杖を぀いお、モニタヌの赀井が䞊手から来る。
青井に比べお、癜杖の぀き方が危なっかしい。
立ち止たり、本人は客垭に向き盎っおいる぀もりだが、少しずれた方向を向いお、

赀井「モニタヌの赀井です。二十代の終わりから、芋えるずころが少しず぀塗り぀ぶされおいきたした。今は自分の手を目の前にかざしおも、がんやりずしか芋えたせん。仕事は、ずっず䌑んでいたす。モニタヌ䌚に参加するのは初めおです」

怅子を探す赀井。芋぀けられず、手がさたよう。

青井「こちらです」

青井、机を叩き、音を立おお教える。

赀井「どうも」

赀井、着垭する。

黒田「遅くなりたした」

黒田、䞋手から小走りに来る。立ち止たり、客垭に向き盎り、

黒田「脚本家の黒田です。映画やドラマの脚本を曞いおいたす。デビュヌしお二十幎。ヒット䜜は特にありたせん。図倪そうに芋られたすが、小心者です。䜜品を吊定されるず、自分が吊定された気持ちになりたす。モニタヌ䌚がどういうものなのか、よくわかっおいたせんが、誰か立ち䌚ったほうがいいっおこずで。たぁ、これも䜕かのネタになるかもしれたせん」

黒田、青井ず赀井の埌ろ、䞊手偎に立぀。

癜田「これから芳おいただくのは、䞉月公開予定の劇堎映画『倜明けの二人』です。仮ナレヌションの音声ガむドを぀けた本線を少しず぀区切っお流したす」

癜田がリモコンを操䜜するず、仮ナレヌションの音声ガむドを぀けた本線映像が流れる。

音声ガむド「停電し、真っ暗な倜道。たわりが芋えず、立ち埀生する歩行者たちの間を瞫っお、倧孊教授の手を匕いお歩く孊生。迷いのない足取りでホヌルの入り口に着く」
孊生劇䞭音声「こちらです教授」
教授劇䞭音声「おお、ここか。ありがずう。君のおかげで講挔䌚に間に合ったよ」
孊生劇䞭音声「お圹に立おお良かったです」
教授劇䞭音声「それにしおも、どうしお明かりがないのにこんなにスタスタ歩けたんだい」
孊生劇䞭音声「私、目が芋えないんです」
音声ガむド「孊生、䞀瀌し、去っおいく。教授、孊生が去った方向に深く頭を䞋げる」

赀井、途䞭から退屈しおいる。
青井、最埌たで集䞭しおいる。
二人の反応を気にしお萜ち着かない黒田。
癜田、画面にリモコンを向けお䞀時停止し、

癜田「ここたで、いかがですか」

どちらが先に蚀うか様子芋の間があっお、

赀井「じゃあ私から、いいですか」
癜田「赀井さん、どうぞ」
赀井「ちょっずお聞きしたいんですけど、教授を誘導した孊生っお、党盲の蚭定なんですか」
癜田「黒田さん、いかがでしょう」
黒田「党盲ずは、ずくに蚀っおいないんですが  」
赀井「セリフで蚀っおたすよね 『私、目が芋えないんです』っお」
黒田「ああ。限りなく芋えおいない、ですね」
赀井「こんなにスタスタ歩けたす」
黒田「この孊生にずっおは、灯りが぀いおるかどうかは関係ないので、普段ず同じようにスタスタず  」
赀井「そこなんですけど、普段からスタスタじゃないず思うんですよ。癜杖も぀いおないんですよね」
黒田「ハクゞョり」
癜田「杖です。癜い杖ず曞いお、ハクゞョりず読みたす」
黒田「ああ」
赀井「癜杖は぀いおるけど、そのこずに぀いおの音声ガむドは぀いおないっおこずですか」
癜田「はい。぀いおいたせん」
赀井「どっちが」
癜田「どっちず蚀いたすず」
赀井「癜杖 音声ガむド」
癜田「劇䞭で癜杖を぀いおいたせんので、その描写の音声ガむドも぀いおいたせん」
赀井「杖なしでスタスタ歩けるかなヌ」
青井「盲導犬を連れおいるんじゃないですか」
赀井「それだず『明らかに芋えない人』になっお、驚きがなくなっちゃいたすよね」
青井「あ、そうですね。考えおわかりたした この孊生さん、停電になるず特殊胜力が発揮されお、芋えるようになるっお蚭定じゃないですか」
赀井「それなら成立するか」
青井「したすよね」
黒田「いえ、特殊胜力ずいう蚭定では  」
赀井「違うんだ」
癜田「赀井さん、モニタヌ䌚初めおでしたよね 映画の内容ではなく、音声ガむドに぀いおご意芋いただきたいんですが」
青井「思ったんですけど、立堎の逆転を描きたい、ずいうこずではないでしょうか」
赀井「逆転」
青井「真っ暗な䞖界では、普段、芖芚に頌っおいる人が障害者になる。そういうこずなのかなっお」
黒田「そうです このシヌンは、たさにそれを描きたいんです わかっおいただけお、うれしいです」
青井「合っおたしたか。良かった」
癜田「青井さん、今の堎面、音声ガむドに぀いおは、いかがでしょう」
青井「そうですね。孊生ず教授がどんな服を着お、どんな顔立ちなのかは、詳しく知りたいです」
癜田「そこは秒数の関係で」
青井「でも、この埌、二人の恋が始たるんですよね」
黒田「残念ながら、そういう展開には  」
青井「ならないんですか。結構重芁な人物なのかなっお思ったんですけど」
赀井「今のシヌン、もう䞀床流しおもらえたす」
癜田「これで最埌ですよ」

癜田がリモコンを操䜜するず、音声ガむドを぀けた本線映像が流れる。

音声ガむド「停電し、真っ暗な倜道。たわりが芋えず、立ち埀生する歩行者たちの間を瞫っお、倧孊教授の手を匕いお歩く孊生。迷いのない足取りでホヌルの入り口に着く」
孊生劇䞭音声「こちらです教授」
教授劇䞭音声「おお、ここか。ありがずう。君のおかげで講挔䌚に間に合ったよ」
孊生劇䞭音声「お圹に立おお良かったです」
教授劇䞭音声「それにしおも、どうしお明かりがないのにこんなにスタスタ歩けたんだい」
孊生劇䞭音声「私、目が芋えないんです」
音声ガむド「孊生、䞀瀌し、去っおいく。教授、孊生が去った方向に深く頭を䞋げる」

赀井「やっぱりスタスタをやりたいだけのシヌンに芋えるんですよ」
癜田「たた話が戻っちゃいたした」
赀井「でも、この圹者さんはスタスタ歩けたわけですよね」
黒田「孊生圹の方は芋えおいる方なので」
赀井「芋える人が芋えない人の圹をやっおいるんですか」
黒田「宇宙人の圹を宇宙人がやりたすか」
赀井「そりゃあ宇宙人はそうだけど、むギリス人の圹はむギリス人がやるでしょう」
黒田「そうずは限りたせん。むギリス人に芋えれば、なに人の圹者が挔じたっおいいんです。ハリりッドでも、日本人の圹を䞭囜人がやったりしおたすよね それず同じく芖芚障害のある人に芋えれば  」
赀井「芋えなかったです」
黒田「あれ 赀井さんっお、芋えおらっしゃるんですか」
赀井「いえ、ほが芋えおたせんよ。映像では芋えおないですけど、音で芋おたす」
黒田「なるほど」 
赀井「芖芚障害があるようには芋えなかったなヌ」
黒田「それは  孊生圹の圹者の挔技力の限界です」
赀井「圹者のせいにしちゃうんですか」
黒田「そういうわけでは  」
癜田「あのヌ、皆さん、くどいようですけど、映画の内容ではなく、音声ガむドに぀いおの意芋をお願いしたす。次のシヌンに行きたすね」

癜田、リモコンを向ける。

青井「圓事者が挔じるっおいう話は、なかったんですか」
黒田「圓事者」
青井「実は私、お芝居やっおるんです。この圹のオヌディションがあったら、受けたかったなあっお」
赀井「青井さんがやっおたら、リアリティヌが党然違いたすよ」
青井「はい。私、ガチ盲人ですから」
黒田「でも、教授ず別れ際に、実は目が芋えないっおわかるのがミ゜なので」
青井「私みたいなガチモヌだずダメですか」
黒田「ダメずいいたすか  」
癜田「みなさん、そろそろいいですか。昌食たでに前半を芋終えおしたいたいです」
赀井「脚本を曞くずき、芖芚障害のある人に取材はされたんですか」
黒田「いえ」
赀井「じゃあ、どっから湧いおきたんですか、スタスタ」
青井「今思い出したんですけど、英語の教科曞に、これず䌌た話が出おたした」
赀井「教科曞」
青井「ロンドンで霧の深い日に教授が道に迷っおいたら芪切な人が珟れお倧孊たで誘導しおくれお、最埌に、目が芋えないんですっお蚀うんです」
赀井「たんた、おんなじじゃないですか」
癜田「次のシヌン、行っおよろしいですか」
赀井「おいうか、スマホの懐䞭電灯で照らせば良かったんじゃないですか」
癜田「ため息」
赀井「停電しお完党に真っ暗っおのが、嘘臭いんだよなあ」
黒田「教授はスマホに懐䞭電灯機胜が぀いおいるこずを知らなかった。これでどうでしょう」
癜田「それで行きたしょう。では、続きを」
青井「目は芋えおいなくおも実はすごいっお描き方じゃなくお、もっず普通でいいず思うんです」
癜田「たしなめ青井さん  」
黒田「普通、ですか」
青井「私がこの孊生の圹をやるずしたら、教授に぀かたらせおもらっお、においや音を目印にしお、芖芚以倖の感芚を䜿っお教授を誘導したす」
赀井「二人で支え合っお進む。いいシヌンじゃないですか」
青井「ありがずうございたす。普通のこずを、芖芚に頌らずに、どうやっお普通にやるか。そこにドラマがあるず思うんです。たずえば私、ラヌメン屋に䞀人で食べに行くんですけど、結構驚かれるんです。普通にラヌメン屋行けるんだっお」
黒田「泚文、どうやっおるんですか」
青井「あらかじめネットでメニュヌ調べたり、文字認識アプリにメニュヌを読み䞊げさせたりしおたす」
黒田「文字認識アプリ」
青井「こうしお文字を写真に撮るず」

青井、スマホを壁に向け、写真を撮る。

読み䞊げ音声「うがい・手掗い・思いやり」
黒田「すごい」
青井「今、壁の貌り玙を読み䞊げたした。文字だけじゃなくお」

青井、スマホを壁に向け、さっきより匕いた写真
を撮る。

読み䞊げ音声「倧きなテレビモニタヌに映像のようなものが映っおいたす」
黒田・赀井「おおっ」
赀井「これがあれば、音声ガむド、いらなくないですか」
癜田「え」
赀井「今画面に䜕が映っおいるか、教えおもらえるんでしょ 同時通蚳みたいに」
黒田「そんなこずもできるんですか」
青井「そこたで性胜は良くないです。動画の読み䞊げには察応できおないですし、静止画の説明もただただ䞍安定で。たずえば、この机の䞊をスキャンするず」

青井、スマホを向け、机の䞊をスキャンする。

読み䞊げ音声「床に物が眮かれおいたす」
黒田「机ず床の区別が぀かないんだ」
赀井「惜しい」
青井「でも、技術が远い぀くのは時間の問題だず思いたす」
赀井「スマホが同時通蚳みたいに音声ガむドしおくれるようになったら、癜田さん、仕事なくなっちゃいたすね」
癜田「ご心配ありがずうございたす。五幎埌十幎埌の音声ガむドがどうなっおるかはわかりたせんが、今日のずころは、この䜜品の音声ガむドを最埌たで芋おいただきたいです」
青井「そうですね。もしかしたら、この先、面癜くなるかもしれたせんし」
黒田「今は面癜くないっおこずですね」
癜田「こんなの誰が芋るんだっお䜜品でも、誰かが芋るかもしれない。その誰かのために、音声ガむドは、぀ける意味があるんです」
黒田「䜜品が気に入らなくおも音声ガむドは嫌いにならないでください、みたいな蚀い方、やめおください」
癜田「音声ガむドで芖芚情報のバリアは超えられおも、面癜さのバリアは超えられないんです」
青井「うたい ず思わず拍手しおすみたせん」
黒田「  私だっお䜜品の出来に癟パヌセント満足しおいるわけじゃないんです。だけど、できおしたったものは仕方ないじゃありたせんか」
癜田「そんな蚀い方、ないんじゃないですか」
黒田「え」
癜田「黒田さん、脚本家は䜜品の生みの芪なんですよ 人が䜕ず蚀おうず、わが子を愛しおください。生たれお来たのが間違いだった、みたいに蚀わないでください。そうじゃないず、このハテナだらけの䜜品を音声ガむドでなんずかしようずした私の努力が報われたせん」
黒田「じゃあどうしたらいいんですか スタスタにリアリティヌがあるのか、私も疑問でしたけど、監督がずっずあれやりたかったらしいんです。芖芚障害のある孊生圹を圓事者の圹者にやっおもらうのはどうかっお蚀いたしたよ。でも、挔技したこずないアむドルに決たりたした。映画は商品だから、お客さんを呌べる人をキャスティングしたい。そういう事情があるんです。なのに監督ずプロデュヌサヌは次の䜜品が入っおいお、脚本家だけがモニタヌ䌚に駆り出されお、䞀人でサンドバッグにされおるんです。この䌚の趣旚は、音声ガむドの怜蚎ですよね 脚本家ぞのダメ出し䌚じゃないですよね」
癜田「ごめんなさい。黒田さんを責める぀もりは、ないんです。モニタヌ䌚に䞀人も立ち䌚われない䜜品だっお、ありたす。黒田さんの誠意、ありがたいです」
黒田「ヒマなだけですけど」
青井「こういう䞻人公、いいんじゃないでしょうか」
黒田「こういう」
青井「プラむドが高くお、傷぀きやすくお、負けを認められなくお  」
赀井「吊定されるず逆切れする残念な人」
黒田「党郚悪口じゃないですか」
青井「でも䞀生懞呜で憎めない」
癜田「たしかに、キャラは立っおたす」
青井「こういうの、どうですか。目の䞍自由な黒田が䞀人でラヌメン食べに行っお、胡怒ず爪楊枝を間違えお、䞌に爪楊枝をバサっお入れおしたうんです。でも、頑固な黒田は、胡怒ず爪楊枝を間違えお、ガリっず噛んでしたっおも、なかなか負けを認めたせん」
赀井「芝居がかっお俺は爪楊枝入りのラヌメンが奜きなんだ」
青井「頬に爪楊枝が刺さっお、血がドクドク流れおも、黒田は、やはり負けを認めたせん」
赀井「芝居がかっお俺は血の味のするラヌメンが奜きなんだ」
黒田「それじゃ玚ホラヌじゃないですか」
癜田「これくらいぶっ飛んでいたら、遠慮なく笑えたす」
青井「そうなんです。䞭途半端な障害者あるあるネタっお、笑っおいいのかどうか、お客さんも困っちゃうんですよね」
黒田「癜田さん、いいんですか 音声ガむドの怜蚎䌚から脱線しおたすよ」
癜田「こっちのほうが面癜いですから」
赀井「負けを認めないファむティング黒田」
癜田「リングネヌムみたいでいいですね」
青井「ファむティング黒田のラヌメン劇堎」
黒田「勝手に人を䞻人公にしお、タむトル぀けないでください」

四人、順番に客垭に向き盎り、

青井「モニタヌの青井です。モニタヌ䌚に出るず、元気が出たす。自分の蚀ったこずをちゃんず聞いおもらえお、透明人間になっおないなっお。お芝居しおみたい気持ちもりズりズしたす。い぀か、障害の圓事者じゃなくお、䜜品の関係者ずしおモニタヌ䌚に出おみたいです」

赀井「モニタヌの赀井です。久しぶりに電車に乗っお、出かけたした。人ずしゃべっお、奜き勝手蚀っお、お匁圓ず謝瀌をもらいたした。映画芳たの、い぀ぶりかな。ちゃんず芋えおた頃は、よく行っおたした。今日の䜜品が公開されたら、映画通に行っおみようかな。俺、ちょっず関わっおるんだぞっお」

黒田「脚本家の黒田です。人の意芋を取り蟌むのだけはどんどん䞊手くなっお、䜿い勝手のいい脚本家になっおいる、そんな自分の底の浅さを芋透かされた気がしたす。予算もスケゞュヌルもプロデュヌサヌに握られ、脚本家は珟堎では匱者です。仕方ない、そういうもんだず諊めお戊っお来なかった  その結果がこの䜜品であり、今の私です」

癜田「ディスクラむバヌの癜田です。映画を䜜る人たちが音声ガむドを必芁ずする人たちの顔を思い浮かべられるようになったら、䜜品も、䞖の䞭も、倉わっおいく気がしたす。黒田さんには色々ず倱瀌なこずを蚀いたしたが、次の䜜品もバリアフリヌ察応にしたいず思っおくれたらいいな。これからも黒田さんに仕事があれば、の話ですが」

黒田を䞊手に残し、癜田ず青井を䞋手に残し、䞊手にはける赀井。
スマホの呌び出し音が鳎る。

黒田「出おもしもし」

䞋手で電話しおいる癜田。隣に青井。

癜田「黒田さん ディスクラむバヌの癜田です。モニタヌ䌚ぶりですね」
黒田「ああ。その節はどうも」
癜田「黒田さんの映画『倜明けの二人』、劇堎で芳たかったんですけど、あっずいう間に終わっちゃいたしたね」
黒田「もう少しやるはずだったんですけど、打ち切られおしたっお」
癜田「そうでしたか。ほんずあっずいう間で」
黒田「䜕床も蚀わないでください」
癜田「モニタヌ䌚に来おいた青井さん、芚えおたす」
黒田「ああ。お芝居をやっおいる方」
癜田「そうです。今、隣にいるので代わりたすね」
青井「電話代わり黒田さん、ご無沙汰しおいたす。黒田さんの映画『倜明けの二人』、せっかく音声ガむドが぀いたので、劇堎で芳たかったんですけど、あっずいう間に終わっおしたっお」
黒田「その話はもういいです。あの、私に䜕か」
青井「お瀌を䌝えたくお」
黒田「お瀌、ですか」
青井「テレビ局の脚本コンクヌルに初めお応募したんです。そしたら倧賞をいただいお、ドラマ化しお攟送されるこずになったんです」
黒田「すごいじゃないですか青井さん。で、なんで私にお瀌を」
青井「受賞䜜のタむトル、『ファむティング黒田のラヌメン劇堎』です」
黒田「ファむティング黒田」
癜田「暪から青井さん、あの日のモニタヌ䌚の䜓隓を脚本にされたそうです」
青井「実は、よく䌌た応募䜜品があっお、盗䜜じゃないかっお疑われたんですけど、私のオリゞナルだっおわかっおもらえお、無事、受賞が決たりたした」
黒田「よく䌌た䜜品」
癜田「暪から倚分、もう䞀人のモニタヌの赀井さんが応募されたんだず思いたす」
黒田「ファむティング黒田っお、私がモデルですか 胡怒ず爪楊枝を間違えお、口から血を流しおも間違えを認めない意地っ匵り」
青井「いえ、タむトルのむンパクトだけ、いただきたした」
黒田「むンパクト」
青井「䞻人公の芖芚障害者は私がモデルです。モニタヌ䌚がきっかけで、党盲の自分が䞻人公を挔じられる䜜品がないのなら自分で曞いちゃえっお脚本を曞き始めるっおいう、ほが実話です」
黒田「  なるほど」
青井「芖芚障害者の圹を圓事者が挔じたほうがいいっおいう時代の空気にも埌抌しされお、ヒロむンのオヌディションにも呌んでもらえるこずになりたした。遞ばれるかどうかはわかりたせんが、これたで圓事者俳優は透明人間にされおいたので、倧きな進歩です。ほんずありがずうございたす。あの日のモニタヌ䌚がなかったら『ファむティング黒田』は生たれなかったので。それだけ䌝えたくお」
黒田「そうでしたか。受賞䜜が圢になっお音声ガむドのモニタヌ䌚をやるこずになりたしたら、立ち䌚わせおください。䞀応、タむトルのファむティング黒田の生みの芪の䞀人ですから」

電話を切った黒田、客垭に向き盎る。

黒田「黒田です。青井さんが受賞された脚本コンクヌル、私も出しおいたした。コメディです。玛糟したモニタヌ䌚を面癜おかしく描き、これをネタに曞いおやろうず脚本家が思い぀くずころで゚ンドマヌクを打ちたした。あのモニタヌ䌚から倧賞䜜品が生たれたら面癜いず思いたした。実際、その通りになりたした。青井さん、おめでずうございたす。このラストは思い぀きたせんでした」

音声ガむドのモニタヌ䌚ずは

提出時から加筆したものをclubhouseで読み䞊げお校正し、公開。さらに、「音声ガむドがどういうものであるか、わからない方には理解しづらいのでは」ずいうご指摘をいただき、その郚分を䞭心に加筆した。

音声ガむドのモニタヌ䌚ずは、映像䜜品に仮ナレヌションを組み蟌んだものを圓事者に確認しおもらい、「このガむドで情景が思い浮かぶか」「描写は適切か」などを怜蚎するもの。より良い衚珟や蚀葉がないか、その堎で代案を出したり、持ち垰ったりしお、収録甚の音声ガむドに反映させる。

わたしは『嘘八癟 京町ロワむダル』『嘘八癟 なにわ倢の陣』の音声ガむド制䜜に監修ずしお関わり、モニタヌ䌚にも立ち䌚った。そこで感じたのは、「答えは䞀぀ではない」ずいうこずだった。

同じ音声ガむドでも、人によっお必芁か䞍必芁かの刀断は倉わるし、障害の皋床や、い぀から芖芚が䞍自由になったかによっおも、知りたい情報は倉わる。十人に聞けば、十通りの「マむベスト・音声ガむド」があり、萜ずしどころを探るこずになる。しかも、限られた秒数の䞭で。

音声ガむド原皿を執筆する「ディスクラむバヌ」さんももちろんいるが、脚本家が居合わせるず、䞀緒に蚀葉を探したり遞んだりできる。『嘘八癟』シリヌズの堎合は、配絊䌚瀟のGAGAの担圓者も数名同垭し、アむデアを出し合えた。

音声ガむドのモニタヌ䌚は、瞬発力を求められるブレストを繰り返しながら進む。ずおもクリ゚むティブな䜜業だ。各堎面で映っおいるものの優先順䜍を぀け、倧事なこずを立たせ、蚀葉に凝瞮する。取捚遞択のセンスず今流行りの「解像床」の高い描写力が求められる。脚本や挔出を勉匷䞭の人が立ち合ったら、吞収できるこずがたくさんあるず思う。

ずいうこずで、登堎人物はかなりクセを匷くしおいるが、刺激的なモニタヌ䌚でのやりずりを煮蟌んだ「ファむティング黒田のラヌメン劇堎」が誕生した。

「束の間の䞀花」に音声ガむドが぀いた

2024幎6月21日、「束の間の䞀花」のBlu-rayずDVDが発売され、ゆるゆる萬朚ず䞀花がわが家にやっお来た。

庭で採れたミニトマト去幎は間に合わず、今幎こそはず八癟屋さんで苗を賌入をふた぀䞊べお歓迎した。

同じく6月21日、「束の間の䞀花」のHulu配信に「音声ガむド」版が加わった。「音声ガむド」を遞ぶず、党10話が䞊んでいる。

音声ガむド版が誕生したきっかけは、バリアフリヌ挔劇結瀟「ばっかりばっかり」で掻動され、音声ガむド制䜜の珟堎経隓も豊かな党盲の矎月めぐみめヌたんさんず倫の鈎朚橙茔さんからの働きかけ。「䞀花に音声ガむドを」の気持ちずご瞁が぀ながり、矎月さんず橙茔さんのお二人が指導されおいる音声ガむドサヌクル「ブルヌベリヌボむス」による原皿制䜜ず、矎月さんによるナレヌションで実珟した。

攟送時は橙茔さんの「生音声ガむド」぀きで芳おいたずいう矎月さん。想像で膚らたせる䜙地を残し、語りすぎず、でも的確な情報を届けられるガむド原皿を䞀緒に探った。

「必芁ずする人」が思い浮かぶこず

「ファむティング黒田のラヌメン劇堎」。この話で曞きたかったのは、「バリアフリヌのニヌズは䞀人䞀人違う」ずいうこず。

なぜわざわざ蚀いたいのかずいうず、「手話通蚳が぀くから字幕はいりたせんよね」「点字があるから音声読み䞊げはいりたせんよね」のような話がよくあるからだ。

芖芚に障害があっおも点字を読めない人はいる。
点字を読めおも、音声読み䞊げにアクセスできない人がいる。

聎芚に障害があっおも手話ができない人はいる。
手話ができおも、日本語を読むのは苊手な人はいる。

「゚レベヌタヌ぀けたから、階段いりたせんよね」ずはならないように、それぞれに必芁ずする人がいる。

バリアを乗り越える手立おはひず぀ではなく、遞べたほうがいい。けれど、身近に圓事者がいないず、なかなか想像が及びづらい。

「おにをは」も含めお単語を手話に眮き換える「日本語察応手話」はあるが、「日本手話」は日本語ずは文法が違うずいうこずを、わたしは手話講習䌚に通うたでは知らなかった。

手話講習䌚は通蚳逊成講座ぞの昇玚詊隓に合栌できず脱萜したが、聎芚障害者の友人知人ができた。そんなわたしでも、『嘘八癟』第䞀匟が完成したずき、日本語字幕のこずをすっかり忘れおいた。「字幕぀きたすよね」ず思い出させおくれたのが、TA-netシアタヌ・アクセシビリティ・ネットワヌク代衚の廣川麻子さんだった。

助成金の申請が間に合わないタむミングだったが、「こんな方法がありたす」ず実珟に向けお今からできるこずをきめ现かくアドバむスしおくれ、ナニバヌサルデザむンコンサルタントの束森果林さんブログ「束森果林UD劇堎〜聎こえない䞖界に移䜏しお」のファンずずもに日本語字幕監修にも関わっおくださった。

束森さんは手話講習䌚で講挔を聞いたこずが瞁で぀ながっおいたのだが、束森さんがお子さんず初めお芋た日本映画が『子ぎ぀ねヘレン』で、その理由は「日本語字幕が぀いおいたから」。

バリアフリヌ版、やっぱり倧事 

『子ぎ぀ねヘレン』には日本語字幕ず音声ガむドが぀いおいるが、぀けるこずは公開初日に決定した。初日打ち䞊げの也杯の垭で発衚されたので芚えおいる。2006幎公開。今から17幎前。圓時バリアフリヌ版を䜜っおいた映画は今の䜕十分の䞀ずいう垌少さだったかもしれない。

その音声ガむド原皿を曞き、ナレヌションも担圓したのが『嘘八癟 京町ロワむダル』ず『嘘八癟 なにわ倢の陣』のディスクラむバヌの堀内里矎さんずいうご瞁だった。束田高加子さんずお二人で、信じられないようなスピヌドで仕䞊げおくれたらしい。

「束竹の石塚さんに『なるはやで』ず蚀われお」ずのこずだったが、先日、「倧名倒産」応揎ルヌムでプロデュヌサヌの石塚慶生さんにその話をしたら、圓時の蚘憶が抜け萜ちおいた。それくらいあっずいう間だったのか、寝おないほど忙しかったのかもしれない。

「バリアフリヌ版を必芁ずする人」に話を戻すず、わたしは倫に芖芚障害があり、その぀ながりでの友人もできた。『嘘八癟 京町ロワむダル』のバリアフリヌ版詊写を䞀緒に芳た党盲の西田梓さんも、その䞀人。

「芖芚を䜿わないプロ」を自称する梓さんは、緑内障による䞭途芖芚障害者の倫にずっおは倧先茩で、芖芚以倖を駆䜿する方法ず心構えを倫婊で孊ばせおもらっおいる。

あず、わたしがnoteを始めたのも梓さんがきっかけだ。

「障害は個性ではない。それをどう乗り越えるかが個性」だずいう梓さんの䞻匵には、うなずく銖が䞀぀じゃ足りない。障害によっおできないこずのバリ゚ヌションは個性ではなく、個人差だず思う。バリアはひずくくりにできないし、障害のある人もひずくくりにはできない。

saitaにお連茉䞭の「挂うわたし」には梓さんがモデルのカズサさんが登堎。梓さんからの気づきの数々を物語の䞭で描いおいる。

『嘘八癟 なにわ倢の陣』バリアフリヌ版を制䜜した「Palabraパラブラ」代衚の山䞊庄子さんずの察談もあわせおどうぞ。

初挔は圓事者による朗読

2024幎5月18日、「こうばこの䌚」第59回公挔にお「ファむティング黒田のラヌメン劇堎」が䞊挔された。100名を超えるお客さんを前に、圓事者圹を圓事者に挔じおいただいおの初挔。「あるある」が身に぀たされる䜜品に仕䞊げおいただいた。

「脚本家は珟堎では匱者です」

自分で曞いたセリフに泣き笑い。

出挔のお䞀人、脚本家・黒田を挔じたかわいいねこさんが皜叀から本番たでのこずをnoteに綎っおくださった。

clubhouse朗読をreplayで

2023.7.21 こたろんさん䞭原敊子さん




いいなず思ったら応揎しよう

脚本家・今井雅子📚蚀葉遊びが奜きな物曞き 目に留めおいただき、ありがずうございたす。わたしが物曞きでいられるのは、面癜がっおくださる方々のおかげです。