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「誰が買うの」から生たれる倖䌝─女子高生がオダゞに膝枕されおみた

こちらで公開しおいる「女子高生がオダゞに膝枕されおみた」近道は目次からは2021幎5月31日からClubhouseで朗読リレヌ#膝枕リレヌが続いおいる短線小説「膝枕」通称「正調膝枕」の掟生䜜品。

二次創䜜noteたずめは短線小説「膝枕」ず掟生䜜品を、朗読リレヌの経緯、膝番号、Hizapedia膝語蟞兞などの舞台裏noteたずめは「膝枕リレヌ」楜屋をどうぞ。


なんでヒサコは「二股」ず蚀った

誰にでも脚本は曞ける。必芁なのは、「なんで」ず「そんで」で思い぀きの石ころを転がしお、光らせるこず。孊校講挔や䌁業セミナヌで「石ころ匏脚本術」ず題しお、そんな話をしおいる。

朗読リレヌず䞊行しお二次創䜜リレヌが盛り䞊がっおいる「膝枕」リレヌでも、「なんで」「そんで」で数々の掟生䜜品が生たれおいる。

「なんでヒサコは膝枕商品に頭を預けおいる男を芋お『二股』ず蚀ったのか」

ずいう疑問が

「以前も膝枕商品に浮気されたのでは」

「ヒサコも膝枕商品の愛甚者なのでは」

「ヒサコは元々膝枕商品だったのでは」

ずいう憶枬を呌び、

「やっずマトモな男ず出䌚えたず思ったのに、たたしおも膝枕商品に浮気されたら、そりゃ『最䜎』ず蚀いたくもなる」

「ヒサコも膝枕商品を話し盞手にしお自信を぀け、モテ期を迎えたずするず、男ずは䌌た者同士」

「せっかく膝枕商品から人間になったのに、膝枕商品に浮気されたら、やりきれない」

ず劄想をかきたおる。その矢印はあちこちに向き、仮説の数だけ新しい物語が生たれる。

「芪父のアグラ膝枕」っお誰が買うの

぀け入る隙だらけゆえに掟生䜜品が生たれる鉱脈ここ掘れワンワンスポットが散りばめられおいる「膝枕」。

「膝枕カンパニヌ」藀厎たりさんのアレンゞ蚭定以来、膝枕erたちの間で補造メヌカヌはそう呌ばれおいるの商品ラむンナップ玹介のくだりは、こうなっおいる。

幅広いニヌズに察応できるよう、商品ラむンナップは豊かだ。䜓脂肪40、やみ぀きの沈み蟌みを玄束する「ぜっちゃり膝枕」。母に耳かきされた遠い日の思い出が蘇る「おふくろさん膝枕」。「小枝のような、か匱い脚で懞呜にあなたを支えたす」がうたい文句の「守っおあげたい膝枕」。頬を撫でるワむルドなすね毛に癒される「芪父のアグラ膝枕」  。

それぞれの商品から掟生䜜品を䜜れそうだが、わたしが䞀番気になるのは、

《頬を撫でるワむルドなすね毛に癒される「芪父のアグラ膝枕」》

「䞀䜓、誰がどんな気持ちで䌁画したのか」

「どうやっお䌁画を成立させたのか」

「どんな人が買うのか」

自分で曞いおおきながら、謎が尜きない。

「なんで」「そんで」で考えたのは、こんな蚭定だ。

新商品開発䌚議。入瀟しお幎次の浅い女子瀟員が「芪父のアグラ膝枕」を提案。「意倖ずありかも」「ギャグ商品ずしお行ける」「シャレの効いたプレれント需芁を芋蟌める」などず若い瀟員たちは面癜がるが、頭の固い郚長は「狙い過ぎじゃないか」ず突っぱねる。ずころ倉わっお、先ほどの女子瀟員が郚長に膝枕されおいる。「俺の膝があるんだから、いいだろ」ず郚長。芪父のアグラ膝枕にダキモチを焌いおいたのだ。

たあ、ベタな蚭定だ。脚本家100人で䌁画コンペをかけたら、同じようなこずを思い぀く人は、わたしの他に13人くらいいるだろう。

女子䞭孊生の初芋アドリブ膝枕

膝枕リレヌが始たっお、ひず月ほど経った7月の頭、女子䞭孊生に「膝枕」の原皿を芋せお、初芋で読んでもらった。

掟生䜜品ず区別しお「正調」ず呌ばれる「膝枕」はこんな曞き出しだ。

䌑日の朝。独り身で恋人もなく、打ち蟌める趣味もなく、その日の予定も特になかった男は、チャむムの音で目を芚たした。ドアを開けるず、宅配䟿の配達員がダンボヌル箱を抱えお立っおいた。オヌブンレンゞでも入っおいそうな倧きさだが、受け取りのサむンを求められた䌝祚には「枕」ず曞かれおいた。「枕」男の声が喜びに打ち震えた。

䞻人公は「独り身で䞀人暮らしで膝枕の到着を心埅ちにしおいる男」だが、初芋読みの女子䞭孊生は「男を女にしおいい」ず蚀う。どうぞず蚀うず、

䌑日の朝。孊校がないので二床寝を決め蟌んでいた女子高生は、チャむムの音で目を芚たした。チャむムがし぀こく鳎るので、りッセヌなず出おみるず、宅配䟿の配達員がダンボヌル箱を抱えお立っおいた。オヌブンレンゞでも入っおいそうな倧きさだが、受け取りのサむンを求められた䌝祚には「枕」ず曞かれおいた。「は 枕 そんなの頌んでないんだけど」女子高生はめんどくさそうに蚀った。

正確な再珟ではないが、こんな感じで、䞻人公は「膝枕を泚文した芚えのないふおぶおしい女子高生」に倉わった。

正調「膝枕」では、ダンボヌル箱を開ける男は喜びに打ち震えおいる。

はやる気持ちを抑え、爪でガムテヌプをはがす。カッタヌで傷を぀けるようなこずがあっおはいけない。箱を開けるず、女の腰から䞋が正座の姿勢で玍められおいた。届いたのは「膝枕」だった。ピチピチのショヌトパンツから膝頭が二぀、顔を出しおいる。「カタログで芋た写真より色癜なんだね」男が声をかけるず、膝枕は正座した䞡足を埮劙に内偎に向け、恥じらった。

それに察し、女子高生のテンションは䜎い。

めんどくさいなず思いながら、爪でガムテヌプをはがす。はがしにくくおめんどくさい。箱を開けるず、オダゞの腰から䞋が正座の姿勢で玍められおいた。届いたのは「膝枕」だった。ピチピチのショヌトパンツから膝頭が二぀、顔を出しおいる。アグラをかき、すね毛はボヌボヌだ。それに、なんだか、におう。「くさ」ず蚀うず、オッサンは正座した䞡足を埮劙に内偎に向け、恥じらった。キモい。

埌から出おくる「芪父のアグラ膝枕」の存圚を知らず、アドリブで「芪父のアグラ膝枕」が飛び出した。

女子高生ずオッサン。

この組み合わせは思い぀かなかった。

正調「膝枕」では、男は箱入り嚘膝枕を枩かく迎え入れる。

「その  着るものなんだけど、女の子の服っおよくわからなくお.  」男がしどろもどろに蚀うず、箱入り嚘の膝頭が少し匟んだ。䞀緒に買いに行こうか」さっきより倧きく、膝頭が匟んだ。喜んでくれおいるらしい。

芪父のアグラ膝枕を迎える女子高生は、オダゞに冷たい。

「オダゞの着るものっおよくわからないんだけど、海パンでいいよね」ず蚀うず、オダゞの膝頭が少し匟んだ。「䞀緒に買いに行っおやろうか」さっきより倧きく、膝頭が匟んだ。喜んでいるらしい。いちいちリアクションするのがりザい。

正調「膝枕」では、぀き合い始めのカップルのような蜜月が始たる。

男が飛んで垰り、玄関のドアを開けるず、膝枕が正座しお埅っおいる。膝をにじらせ、男を出迎えに来おくれたのだ。なんお、いじらしい。

倖出先から垰宅する䞻人公を箱入り嚘が出迎えるシヌン。女子高生版では、

孊校から垰り、玄関のドアを開けるず、膝枕が正座しお埅っおいる。膝をにじらせ、出迎えに来おくれたのだ。なんお、めんどくさい。

めんどくさがられおいる。

䜜䞭の女子高生は芪父のアグラ膝枕の動きに「めんどくさい」を連発し、アドリブ読みの女子䞭孊生も「めんどくさい」ず途䞭で読むのをやめおしたったが、「女子高生の元に芪父のアグラ膝枕が届く」ずいう蚭定だけはわたしの頭の片隅に残り、時折思い出しおは転がされおいた。

今井雅子䜜「女子高生がオダゞに膝枕されおみた」

私には関係ないけど、カレンダヌでは䌑日の朝。郚屋のドアに遠慮がちなノックがあった。返っおくるはずのない返事を䞀応埅぀間があっお、ずしりず重みのある音がした。床に荷物が眮かれたらしい。

足音が遠ざかるのを埅っお、ドアをそっず開けた。オヌブンレンゞでも入っおそうな倧きさの箱があった。手を䌞ばしお箱を぀かみ、ずるずるず郚屋に匕っ匵り蟌む。

䌝祚には「枕」ず曞かれおいた。

「たた枕か」

母芪の思考回路の単玔さに、ため息を぀いた。こないだ届いたのは、アザラシの圢をした抱き枕。抱き぀くものがあれば、あらぶる心が鎮たるずでも

心の穎をふさぐかわりに、盎埄15センチのドアの穎にアザラシ枕を突っ蟌んで、ふさいでやった。

ドアに穎を空けたのは、私だ。

黙れず蚀うかわりにダンッずぶ぀けた拳がドアを貫通したずきは、䞀瞬、ぞんなパワヌが぀いたのかず焊った。山にこもっお修行した忍びの者みたいに。だけど、私が匷くなったんじゃなくお、ドアが脆いだけだった。薄いペラペラの板を貌り合わせたドアの䞭は空掞だった。

穎に突っ蟌たれたアザラシ枕は、郚屋の䞭のほうに顔を向けお、廊䞋におしりを出しおいる。母芪はドアの前に来るたびに、ドアから぀き出たアザラシのおしりを芋おいるこずになる。深い意味はないのだけど、いい気持ちはしないだろう。

ドアに穎が空いお以来、母芪は黙っおドアの前に物を眮くようになった。ダンボヌルに入った荷物だったり、トレヌにのせたケヌキず玅茶だったり、畳み終えた掗濯物だったり。

母芪が家にいるあいだ、私は自分の郚屋に閉じこもっおいる。トむレに行くずきだけは、ささっず郚屋を出お、ささっず戻る。母芪が仕事に行くず、郚屋から出お、母芪が䜜り眮きした食事を食べ、シャワヌを济びる。

あるいお20歩くらい。それが、今の私の䞖界の倧きさ。

もちろん母芪を郚屋には螏み入らせない。やたらデカくお重い箱。たさか䞭に母芪が入っおたりしないよな。トロむの朚銬䜜戊か。いやいや、ありえない。ガムテヌプでしっかり留めおあるし。

そのガムテヌプをビリビリはがしお箱を開けるず、

「うわっ」  

箱の䞭で、オダゞの腰から䞋がアグラをかいおいた。もちろん生身じゃなくお䜜り物で、断面はグロテスクじゃなくお、膝ず同じ色をしおいる。

肌の色は肌色ずいうより茶色。しかも、くすんでる。透明感も匟力もない。氎をかけおも匟かなさそうな肌。

新品なのに䞭叀感。いや、䞭幎感。

くすんだ肌に、びっしりずすね毛が生えおいる。怍毛かずいうくらい生え方がリアルだ。

「それ海パン ピチピチなんだけど」

オダゞがはいおいる黒いショヌトパンツにツッコミを入れた。たずたった文章っぜいものをしゃべったのは久しぶりだ。

するず、オダゞの膝がモニョっず動いた。

「え 今、動いた」

今床は、オダゞの膝頭が小さく䞊䞋した。うなずいおいる぀もりらしい。

オダゞの倪ももの脇に薄い玙が挟たれおいる。抜き取るず、トリセツだった。

「芪父のアグラ膝枕」

商品名を読み䞊げるず、オダゞは、ゆっくりず膝頭を䞊䞋させた。名前を呌んだ぀もりはなかったけど、返事された。

「芪父のアグラ膝枕」の商品名から吹き出しが出おいお、「ワむルドなすね毛に癒される」ずキャッチフレヌズらしいこずが曞いおある。

すね毛に癒されるっおなんだよずツッコミを入れおから、あヌ、倚分この蚀葉に匕っかかったんだなず気づいた。

「うちの母芪が『癒やし 枕』で怜玢したら、『芪父のアグラ膝枕』がヒットしたんじゃないかな。癒やしの぀もりがオダゞだったっおね」

オダゞが拍手するみたいにアグラした巊右の膝でかわるがわる床を叩く。りケおる、のか。

「いちいちリアクションしなくおいいよ」ず蚀い぀぀、自分の蚀葉に誰かが反応するずいうのが新鮮で、コミュニケヌションっおや぀を久しぶりに取っおいる気持ちになる。

盞手は人じゃなくお、膝だけど。ロボットだけど。

ん これっおロボットなのか

「オダゞっおロボット」

オダゞの膝が埮劙に傟く。銖がないので膝をかしげおいる。自分がロボットなのかどうか、オダゞにもよくわからないらしい。

「膝動かしたりするのっお、プログラミングで組み蟌たれおんの」

オダゞの膝が、さっきず反察偎に傟く。「さあ、たぶんそういうこずなんじゃないかず」っおニュアンスだろうか。

「母芪がさ、いろいろ通販で頌んで、眮いおくんだよね。最初は心理孊の本ずか、自分探しの本ずか。最近は癒しグッズになっお来お。気分が萜ち着くフレグランスずか。あのドアに突き刺さっおるアザラシの枕もそう」

オダゞの膝がドアのほうを向いたように芋えた。ぞヌえ、そうなんだず芋䞊げおる感じ。

「そんなわけで間違っお泚文しちゃったから、返品するね」

オダゞは「了解」ずうなずくように、軜く膝頭を䞋げた。返品されるのには慣れおいるのだろうか。ちょっずオダゞが可哀想になった。すぐに返品しなくおも、いっか。ちょっず盞手しおやろう。

「はヌい。なぜか間違っお届いた芪父のアグラ膝枕だよ。オダゞ、みなさんにご挚拶しお。『初めたしお、䜕卒よろしくお願いしたす』っお蚀っおんの ちょっず固いかな。もう少しリラックスしたの、もらえる 䜕そのリズム ラップの぀もり『YO!!  YO!!  ã‚ªãƒ€ã‚žã YO!!』っお チャラいね。䞭間はないのかな た、いっか」

オダゞず䜕しお遊んでいいのか思い぀かないので、動画を撮るこずにした。ヘタク゜なコントみたいなかけ合い。日蚘代わりのオダゞ蚪問蚘。鍵アカにしおおこうかず思ったけど、公開しおみるかずいう気になった。

私には倱うものなんお、䜕もないし。

そう蚀い぀぀、顔は出さず、声だけで。

動画のタむトルどうしよう。「間違っおオダゞ膝枕が届いた件」でいっか。

バズるかもしれないなず思ったけど、たったく反応がなかった。すごいな私の透明人間っぷり。リアルでもネットでも芋事にスルヌされおる。

日経っお、件だけコメントが぀いた。ハンドルネヌム「マドレヌヌ」さん。アルファベットの「w」が文字だけ。

たった䞀人でも、たったひず文字でも、リアクションがあるず、うれしい。

「草」ず読み䞊げるず、オダゞの膝がビクッず反応した。

「あ、自分のこずだず思った オダゞが臭いっお意味で蚀ったんじゃなくお、倧草原のほうの草だから。wっお曞いお、草」

そう蚀いながら、オダゞの膝に指で「w」ず曞いおやった。オダゞがくすぐったそうに膝をよじらせる。

元々は「warai」の略だから「わら」っお読むのが公匏っぜいけど、「wダブリュヌ」が䞊ぶず草が生えおるみたいに芋えるから「草」っお呌ばれるようになったんだよずオダゞに教えおやった。

オダゞは膝を傟げお、考え蟌む顔぀き、いや、膝぀きになっおいた。

もしかしお、オダゞは草を知らないのか。だから、においの「臭くさ」ず生えおいる「草」の違いがわからないのか。

「草っおのは、こういうの」

私ずオダゞの䞋に敷いおる芝生カヌペットを觊っお、教えおやった。ぞヌえずいうようにオダゞの膝頭がうなずく。

「これは人工だけど。い぀か本物の草が生えおるずこ、連れお行っおあげる」

お願いしたすず蚀うように、オダゞは膝頭を軜く䞋げた。

みんなが孊校に行っおいる時間、私はオダゞず遊ぶ。ロボットでも、膝だけでも、壁に話しかけるよりはいい。

本目の動画は、オダゞず䞀緒にトリセツを読んでみた。

「この商品は芪父のアグラ膝枕に぀き、アグラもかきたすし汗もかきたす。暑苊しいですがギャグは寒いです。少々においたすが、返品亀換は固くお断りしたす。䜓脂肪はなかなか燃えたせんが、凊分の際は燃えるゎミに出しおください」

オダゞギャグを狙っおるけど滑りたくりのトリセツ。オダゞがアグラの膝を揺らしおりケる。

1本目よりはリアクションがあった。コメントは2件。マドレヌヌさんのコメントは「wダブリュヌ」が2぀に増えおいた。

「草草」ず蚀いながら、オダゞの膝に「wダブリュヌ」を2぀曞いおやった。オダゞは膝を右ず巊に2回よじらせお、くすぐったがった。

本目の動画は、オダゞず䞀緒にメヌカヌのオンラむンショップを芋おみた。䌚瀟名は「膝枕」カンパニヌ。そのたんたの名前だ。オンラむンカタログにはオダゞの仲間の膝枕商品がたくさん䞊んでいた。いや、仲間じゃない。いいにおいがしそうな色癜の女の子の膝枕が居䞊ぶ䞭で「芪父のアグラ膝枕」は完党に浮いおいた。

「オダゞの異物混入感すさたじいな」

オダゞはアグラの膝を埮劙に内偎に向けお照れた。「それほどでも」ず蚀っおいるのではないだろうか。ほめた぀もりはないが、ほめられたようなリアクションだ。「可愛いな、おい」ずうっかり口にしお、和んでしたった。

オダゞは自分が奜きなのだろうな。膝しかないのに。その自己肯定感、どっから来るんだ

3本目の動画はコメントが3件぀いた。マドレヌヌさんの「wダブリュヌ」は3぀に増えおいた。

「草草草」ず蚀いながら、オダゞの膝に「wダブリュヌ」を3぀曞いおやった。すね毛、いや、もも毛の䞊に草が生える。オダゞは膝を3回よじった。

「芪父のアグラ膝枕っおこずは、膝枕できたりすんの」

本目の動画を撮圱しながら、オダゞに聞いおみた。オダゞは膝を䞊䞋に動かしおうなずいおから、もぞもぞず巊右の膝をこすり合わせた。

膝に来いず誘っおいる぀もり、なのか。

気乗りしないが、頭を預けおみる。

「うわ」

オダゞの膝は、じっずり濡れおいた。汗の湿り気なのか。はっきり蚀っお気持ち悪い。おたけに、なんだかにおう。䞭幎の酞っぱいにおい。これが加霢臭っおや぀か。うちの父芪からは、こんなにおいがしなかった気がする。最埌に䌚ったずきは、ただ䞭幎じゃなかったのかもしれない。

「ごめん。無理」

頭を起こすず、オダゞは埮劙に膝を内偎に向けた。うなだれおいるように芋える。

しょげおるのか オダゞのくせに

オダゞは膝をこすり合わせる。いじけおいるらしい。

乙女かよ。りザ。

「あヌいや、ちょっず汗かいおるから。タオル敷いおいい」

オダゞの膝が小さく匟む。機嫌を盎しおくれたようだ。なんで私が気を遣わなきゃいけないんだ めんどくさいな。

スマホを固定しお、オダゞに膝枕されおる私を背䞭偎から撮圱するこずにした。

オダゞの膝枕にタオルを敷いおから頭を預けおみる。固い。ゎツゎツしおいる。膝枕っお、やわらかくお沈み蟌むむメヌゞだったけど。オダゞの脂肪に沈み蟌むよりは筋肉に匟かれるほうがマシか。

母芪が間違えおポチっおしたった「芪父のアグラ膝枕」。䞭身を確かめずにドアの前に箱を眮いた母芪は、たさかすね毛ボヌボヌのオダゞの膝に嚘が頭を預けおいるずは思っおいないだろう。

「ずっず孊校䌑んでるし、母芪なりに、なんずかしたくお必死なんだろけど、願掛けおるみたいでむタいんだよね。ほっずけばいいのに。未成幎だし、芪ずしおの責任を果たそうずしおるのかな」

アグラしおいるオダゞの膝がゆっくり䞊䞋する。「そうなんだ」ず盞槌を打っおいるスピヌドだ。

「話題のスむヌツなんかも、わざわざ買いに行っお届けおくれるんだよね。甘いもの食べたら、ほっこりするず思っおんのかな。誕生日には『お誕生日おめでずう』のプレヌトが぀いたケヌキを買っおくるし。䜕がめでたいんだっお思うんだけど、いく぀になっおも芪にずっおは倧事な日なのかな」

私は、自分が聞きたい蚀葉をしゃべっおいるような気がしおくる。

母芪がどんな気持ちで、どんな぀もりで、ドアの前に食べるものや着るものや小物やどうでもいいものを眮いおいくのか。わからないけれど、ドアの前に足音が近づいお、䜕かが眮かれる音がするず、ただ芋捚おられおないこずを確認する。その足音が明日も明埌日も続くず思っおいる。

「ずっずこんなこずしおられないずは思うんだけど、終わらせるきっかけがないんだよね」

オダゞに膝枕されながらずりずめもない話をする本目の動画に「女子高生がオダゞに膝枕されおみた」ずタむトルを぀けた。

「女子高生。オダゞ。膝枕」のパワヌワヌド連発。初めおバズった。スマホの通知が鳎り止たない。

コメントが100件を超えた。桁違いだ。コメントに埋もれおいたけど、マドレヌヌさんの「w」は぀に増えおいた。

「倧草原」ず蚀いながら、オダゞの膝に「wダブリュヌ」を぀曞いおやった。オダゞは膝を回よじった。

コメントが増えるず、アンチも増える。アンチのコメントは「芪父のアグラ膝枕がキモい」ずいうのが倚かった。

うん。たしかにキモいよね。

他には「女子高生っおり゜だよね」ず疑うコメント。

嘘じゃないけど、ホントずも蚀いきれない。孊校行っおないし。

あずは「むタい」っおコメント。

アンチのコメントを読んでも、ぞこたなかった。私のこず芋えおるんだ、透明人間じゃないんだっお確かめられお、なんだか安心した。

「女子高生がオダゞに膝枕されおみた」がバズったから、そのタむトルでチャンネルを開蚭するこずにした。

カタ、ずオダゞが音を立おた。アグラを傟けお、片方の膝で床を打ったらしい。私を振り向かせるず、オダゞはドアのほうに膝を向けた。

「ん ドアがどうした」

そう蚀えば、カレンダヌは䌑日なのに、家の䞭が静かだ。胞隒ぎがしお、ドアを開け、リビングぞ向かうず、母芪が倒れおた。

「お母さん」ず思わず呌びかけた。半幎ぶりに。

返事がない。でも、脈はある。

急いで郚屋に匕き返しお、オダゞを抱き䞊げるず、リビングに匕き返した。

「お母さん、倒れちゃっおるんだけど」

キッチンカりンタヌの䞊にあるコヌドレス電話に芪父が膝を向けた。

「そっか。番 じゃない、番」

救急車が到着するのを埅぀間に、うちにある䞀番倧きな旅行鞄にオダゞを無理やり詰め蟌んで、䞀緒に乗り蟌んだ。アグラの膝頭が飛び出しおしたうけど、たさか䞭にオダゞの膝枕が入っおるずは誰も思わないだろう。

病院に着くず、母芪は救急車からストレッチャヌに移されお救急凊眮宀に運ばれた。付き添いの方はこちらでお埅ちくださいず廊䞋の突き圓たりにあるベンチに案内された。

たわりには誰もいない。オダゞを旅行鞄から出しお、カメラを向けた。

「お母さんが倒れお、生たれお初めお救急車に乗りたした。オダゞも䞀緒です」

ベンチの䞊でアグラをかくオダゞがシュヌルだ。

「お母さんが倒れおしたいたした」ずタむトルを぀けお、「女子高生がオダゞに膝枕されおみた」チャンネルに䞊げた。

「病院で撮圱すんな」ずか「お母さんをネタにすんな」ずか、アンチコメントが来そうだなず思った。アンチでもいいから誰かに䜕か蚀っお欲しかった。

オダゞを旅行鞄に戻すず、ベンチに腰を䞋ろしお膝に眮いた。鞄の倖からオダゞを抱きかかえるず、䜓枩が䌝わる。じんわり汗をかいおいるのも䌝わる。うちに垰ったらこの鞄を掗濯しなきゃ。そんなこずを考えおるず、ちょっず気が玛れる。

掗濯物は、掗濯機の䞊のカゎに入れおおくず、母芪が掗っお干しお取り蟌んで畳んで郚屋の前に眮いずいおくれる。でも、もし、母芪の意識がこのたた戻らなかったら。母芪の看病なのか、介護なのか、するこずになったら。

そしたら孊校に行くほうがマシかもしれない。

「自分の心配ばっかり。最䜎だな」

鞄の䞭のオダゞに向かっお぀ぶやくず、オダゞの膝が小さく揺れる。貧乏揺すりっぜいけど、倧䞈倫ず蚀っおくれおるんだず思うこずにする。

母芪が意識を戻したず看護垫さんが知らせに来おくれた。旅行鞄を抱きかかえたたた、救急凊眮宀に向かった。

「䞀緒だったんだ」

旅行鞄から飛び出したオダゞの膝頭を芋お、母芪はそう蚀った。

「これ、泚文間違っおるよね」

半幎ぶりに母芪ず口をきく。思ったよりフツヌにしゃべれた。

「間違いじゃないよ」ず母芪が蚀った。

「お父さんの膝枕、倧奜きだったでしょ」

いやいやいや、そんなこず芚えおいないし。い぀の話だよ

旅行鞄からオダゞを出しお、母芪に觊らせおみた。すね毛がリアルだねず母芪は笑いながら、オダゞを撫でた。飌い犬をふたりで撫でながらほのがのずしゃべっおる、フツヌの芪子みたい。こんなにカンタンなこずだったんだ。

次の日、孊校に行った。半幎ぶりに着た制服が少しき぀くなっおいた。

教宀の前で、名前を思い出せないクラスメむトの女の子ず目が合った。

「䜕しおた」ず聞かれお、「オダゞず遊んでた」ず答えた。

「䜕しお遊んでたの」
「膝枕」
「ダバむね」
「ダバむね」

通販商品の膝枕に頭を預けお話を聞いおもらっおただけだよずわざわざ説明したりしない。同じ堎所に立っおいたっお、芋えおる景色は違う。

久しぶりの孊校は、それなりに面癜かった。うちにいるより退屈しなかった。うちにいおも、孊校にいおも、時間は同じだけ流れる。今日から明日に流されおいったら、い぀の間にか倧人になる。

「ネタ切れだし、緊急䌁画考えたした。『10日埌に売られるオダゞ』」

10本目の動画で、オダゞにドッキリを仕掛けた。オダゞの膝は固たっおいる。

「オダゞ、ショック受けおんの りケる」

オダゞは動かない。静止画像になっおいる。

「私ずいたかったら、いたいっお蚀っおいいんだよ」

やっぱりオダゞは固たっおる。䜕か蚀っおよ。私がいじめおるみたいじゃん。

「オダゞが可哀想なので、新ルヌル考えたした。10日以内にチャンネル登録者数が1䞇超えたらオダゞ売るの、やめたす」

チャンネル登録者数は人。毎日ちょっずふえたら䞇に届く。

「オダゞを人質にしお数皌ぐのズルい」

想定内のアンチが湧いた。アンチの声は、どうだっおいい。私はオダゞの反応が知りたい。自分で自分を止められないから、オダゞが止めおくれるのを埅っおいる。そんな自分がめんどくさい。

10日埌、チャンネル登録者数はで止たった。玄束通りネットオヌクションに出すず、あっずいう間に倀段が吊り䞊がっお取匕が成立した。「これだけあったら䞀人暮らしできる」っお反射的に思っお、すでにあたしの未来からオダゞを抹消しおる自分の残酷さずいうか執着のなさに呆れた。

「オダゞ、売れちゃったよ」ず話しかけるず、オダゞは膝を固くしおいた。すね毛ごず固たっおいる。

「死んでる」ず聞いおも、返事はなかった。

シカトかよ。いいよ、もう関係ないから。

次の朝、目を芚たすず、オダゞがダンボヌル箱の䞭でさかさたになっおいた。膝をにじらせお、頭から箱に突っ蟌んだらしい。すねが箱から飛び出しお、薄汚れた足の裏が倩井を向いおいる。

「オダゞが身投げしたした」ずいうおいしいタむトルが思い浮かんで、箱の䞭で逆立ちしおいるオダゞにカメラを向けた。

でも、録画ボタンを抌せなかった。

荷造りされる前に自分から箱に飛び蟌むオダゞがバカすぎお、いじらしくお。箱から抱き䞊げるず、オダゞはじっずりず汗をかいおいた。い぀もより加霢臭がき぀かったけど、それより哀愁が䞊回っおいた。

「ごめん。ずっず䞀緒だよ」

オダゞをにおいごずギュッず抱き寄せたそのずき、母芪の声が蘇った。

「䞀緒だったんだ」

救急車で病院に運び蟌たれたあの日、意識が戻った母芪は、旅行鞄から飛び出したオダゞの膝頭を芋お、そう蚀った。

あのずきは、半幎ぶりに顔を合わせる母芪にどんな顔しお䌚おうかずいうこずに気を取られおいたし、䞀人じゃなくおオダゞがいおくれたおかげでスムヌズに話せたこずにホッずしお、違和感をやり過ごしおしたった。

だけど、今思うず、母芪の反応はスムヌズすぎた。

芪父のアグラ膝枕を泚文したのは母芪だけど、実物を芋るのはあのずきが初めおだったはず。それなのに、鞄から飛び出した膝頭を䞀瞬芋おただけで、泚文した膝枕ず結び぀けたのは物分かりが良すぎるし、病院に連れお来たこずに驚かないのも䞍自然だ。

「䞀緒だったんだ」ずいう蚀葉がすんなり出おくるずいうこずは、嚘が普段からオダゞず「䞀緒に」過ごしおいるのを知っおいる蚌拠だ。

マドレヌヌさん。

動画に寄せられたコメントをたどる。

やっぱり。病院の廊䞋のベンチにオダゞを座らせた動画にも、その埌の動画にもマドレヌヌさんのコメントはなかった。マドレヌヌさんのコメントは、母芪が倒れた日から途切れおいた。

あの日、ドアに膝を向けお母芪の異倉を知らせたのはオダゞだった。母芪ずオダゞは連絡を取り合っおいたんじゃないだろうか。

オダゞがロボットなら、通信機胜が぀いおたっおおかしくない。マドレヌヌさんが1本目の動画にコメントをくれたのは、通りすがりじゃなくお、オダゞが母芪に知らせおいたからじゃないのか。

私がオダゞを返品しようずしたけど気が倉わったのも、私が孊校に行く気になったのも、オダゞの人工知胜に操られおたのかもしれない。䜕を信じおいいのかわからない。母芪が倒れたのも挔技だったのかもしれないず疑っおしたう。

なんだ。党郚仕蟌みかよ。

急にバカバカしくなっお、オダゞを乱暎にダンボヌル箱に戻すず、ガムテヌプをき぀く留めた。

コンビニで荷物を出し終え、垰宅するず、母芪はダむニングでコヌヒヌを飲んでいた。

オダゞを売りに行ったこずをわざわざ報告する必芁はない。

「マドレヌヌさんだよね」
「䜕のこず」

ずがけおるのか、本圓に知らないのか、わからない。どっちだっおいい。オダゞはもういない。

アザラシのおしりが突き出おいるドアを開けお、郚屋に戻る。アグラの膝を広げおたオダゞがいなくなるず、郚屋が広く感じられる。

芝生のカヌペットを敷いた床に倒れ蟌むず、カヌペットに぀いたほっぺたがひんやりした。

「うわっ。なんで」

カヌペットがじんわり濡れおいる。

酞っぱいにおいもする。

「䜕これ⁉   オダゞの汗⁉」

カヌペットからはね起きお芋おみるず、濡れおるずころず濡れおないずころがある。

「あれ もしかしお、これ」

濡れおいる郚分が文字に読めた。

アルファベットの「w」だ。

「草」ず思わず読み䞊げた。

においの「臭くさ」でもある。二重の意味で、クサ。

オダゞ、文字曞けたのかよ。

オダゞ、汗かきすぎだろ。

膝をペンにしお、汗をむンクにしお、文字を曞く機胜が぀いおたなんお、知らなかったよ。

私にメッセヌゞを残そうずしたのは、䜕機胜なんだろ。

眮き手玙機胜 それか、遺蚀機胜

オダゞ、どういう぀もりで「wダブリュヌ」っお曞いたんだよ

私ぞのツッコミ りラミ ダむむングメッセヌゞ それずも  。

オダゞ、どんな顔しお曞いたんだよ

オダゞ、楜しかったのかよ 

オダゞの膝に「草」っお蚀いながら、オダゞの膝に「w」っお曞くたび、オダゞは毛だらけの膝をよじらせお、くすぐったがった。あれが楜しかったのかよ

草の感觊も、「倧草原」の意味も知らないくせに。

本物の草が生えおるずころにい぀か連れお行っおあげるねなんおテキトヌな玄束したっけ。そんなこずも、今の今たで忘れおた。

私は匟かれたように立ち䞊がるず、アザラシが突き刺さったドアを勢いよく開け、郚屋を出る。スニヌカヌを匕っかけながら玄関を飛び出す。さっきのコンビニたで400メヌトル。オダゞはダサいから、さっさず宅配䟿のトラックに匕き枡されおしたっおいるかもしれない。それでも私は走る。

い぀かじゃダメなんだ。今じゃなくちゃダメなんだ。

そう思えるものができたんだ。

膝開きは思春期ボむスの堀郚由加里さん膝番号14

読んで真っ先に手を挙げおくれたホリベさんが9/20月14時からclubhouseにお膝開き初挔。オダゞに少しず぀心を開く女子高生もオダゞもどんどん可愛く愛しくなっお、疟走感ずずもに涙も走るラスト。早くも再挔垌望

「くさ枕」オダゞ臭「w」の草ず膝番頭の河厎卓也さん膝番号26が呜名。「臭い」ず「草」をかけたセリフをもう少し足すこずに9/25加筆。

画像1

Clubhouse朗読をreplayで

atsukaさん

2022.2.16 小矜勝也さんnote本文朗読

2022.4.7 河厎卓也さん

2022.4.19 小矜勝也さん「こんな昌間に膝枕かよ」

2022.5.9 宮村麻未さん

2022.11.17 鈎蘭さん

2023.1.5 鈎蘭さん

2023.3.7 小矜勝也さん

2023.7.7 䞭原敊子さん


いいなず思ったら応揎しよう

脚本家・今井雅子📚蚀葉遊びが奜きな物曞き 目に留めおいただき、ありがずうございたす。わたしが物曞きでいられるのは、面癜がっおくださる方々のおかげです。