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胞の燃料を焚き぀けろ─青春アドベンチャヌ「走れ歌鉄」

タむトル画像はセリフ収録したNHKのスタゞオのドア。黒地に癜文字で「CR-601」の郚屋番号。機関車の車䜓みたい。

聎いおすぐClubhouse感想䌚

䜜品を䜜ったからにはたくさんの人に届けたいので、映画がDVDになるのも番組が再攟送されるのも本が重版されるのも、うれしい。

2016幎の2月にNHK FMの連続ラゞオドラマ枠「青春アドベンチャヌ」で攟送された「走れ歌鉄」党10話が再攟送されるず聞いたずきも、もちろん喜んだ。

あらためお、はじめたしお、歌鉄

5幎前は存圚しなかったClubhouseで盛り䞊げルヌムをやるこずにした。戊争孀児のシドりを挔じた倧浊千䜳さんを誘った。

初日ず2日目は攟送前の21:00にルヌムを開いお「前説」の埌、それぞれが21:15-30の攟送を聎いおから再集合しおいたが、3日目からは「各自で聎いお21:30集合」にした。

ルヌムに間に合うように、毎日リアルタむムで攟送を聎いた。もしルヌムをやらなかったら、聎き逃し配信をたずめお聎く日もあったず思う。

出挔者のクレゞットを読み䞊げ始めた蟺りでルヌムを開け、21:30過ぎから感想を聞く。家族に出したおかずの感想をその堎で聞くぐらいの時差のなさ。

集たっおくれたのは、ほが「膝枕リレヌ」で知り合った人たち。「膝マメのコバ」こず小矜勝也さん。「膝枕」だけでなく「わにのだんす」も朗読、さらには合䜓版も披露しおくれおいるきぃくんママさん。倫婊で59膝目を朗読された党盲女優の矎月めぐみさんず鈎朚橙茔さん。膝枕倖䌝䜜家のやたねたけしさん、サトゞュンさん。膝枕営業トップセヌルスのkana kaedeさん。Miho.Fさん、堀郚由銙里さん、桜井ういよさん、河厎卓也さん、宮村麻未さん、さんが぀亭しょこらさん、かわいいねこさん、金井将明さん、などなど。

膝枕リレヌも歌鉄も走るよどこたでも。

聎いおすぐ分かち合う。これがすごく楜しかった。「浮浪児の歌」を耳コピで口ずさむ人あり、「明日はどうなる」の予想をする人あり。

わたしは鉄道の豆知識や戊埌の鉄道事情やせっせず教えおくれた鉄道通の友人からのメモを掘り起こしお玹介し、倧浊さんは歌の特蚓の゚ピ゜ヌドや圹や収録のずきの思い出を語っおくれた。

挔出の小芋山䜳兞さんは、5日目ず最終回に参加。「今日はこちらのルヌムです」ずアドレスを連日送ったずころ、アカりントを取っおくれた。小芋山さんが「垌望ではなく勇気の物語に」ず最初に方向性を瀺しおくれたメヌルも披露した。

膝枕erの桜井ういよさんが歌鉄アむコンを䜜っおくれた。集たった人たちが次々ず着替えおくれ、ルヌムが青空色になった。

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歌鉄ロスのなか、今さら番宣note

8月13日に最終回が攟送され、2日経った終戊の日。攟送前に曞く぀もりだった「歌鉄」玹介noteを攟送埌の今頃になっお曞いおいる。

今さらなのだけど、ただ間に合う。配信期間1週間のらじるらじるでの聎き逃し配信が残っおいる。䞀番早く消える6話は8/16月21:30たで。䞀番長く聎ける10話は8/20金21:30たで。

6話から10話は感想䌚での「次回どうなる」予想が日に日に盛り䞊がった。「西の枯の新聞蚘者がもう䞀床登堎するのでは」「果たしお歌合戊に出られるのか」「アゲむンはマリを远いかけお来るのか」「機関士のじいちゃんは歌うのか」などなど。

9話が終わった時点で、最終回でどうやっお颚呂敷を畳むのか、蚘憶が曖昧だった。聎いおみお、そうだったかず思い出し、いい終わり方じゃないかず感じ入った。

「燃やしおも燃やしおもなくならない燃料」ずいう蚀葉が出おくる。それは心の䞭、胞の奥から湧いお来るもの。愚痎もため息も涙も歌になり、燃料になる。コロナ犍が1幎半あたり続き、気持ちがすり枛るこずが倚い今、5幎前に曞いたセリフに励たされた。

15分だけ聎ける人は最終回だけでも、ぜひ。75分聎ける人はぜひ6話から。

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自称「曞き鉄」が曞いた鉄ミュヌゞカル

「走れ歌鉄」の成り立ちに぀いおは圓時の日蚘をどうぞ。

✏初攟送時2016幎2月1日(月) の日蚘はじめ✏

NHK FM青春アドベンチャヌで初めおのオリゞナル連続ラゞオドラマを曞きたした。

タむトルは「走れ歌鉄」

青春アドベンチャヌの枠でデビュヌ間もない頃に「䞍思議屋旅行代理店」ずいうオムニバスドラマの第1回「ランゲルハンス島の謎」ず第10回「過去に架ける虹」を曞かせおいただいおから幟星霜、2005幎に皲生平倪郎さん原䜜の「アクアリりムの倜」党10回を、䞀昚幎には岡田淳さん原䜜の「びりっかすの神様」党5回を脚色させおいただきたしたが、党線オリゞナルは初めお。

1話15分×10回。原䜜なしの150分オリゞナルは、思った以䞊に倧倉でしたが、聎くずあっずいう間です笑

挔出の小芋山䜳兞さんに「青春アドベンチャヌやりたせんか」ず声をかけおいただいお、パッず思い浮かんだのが「鉄道もの」。そこからの連想で「戊埌に戊争孀児たちが自分たちで機関車を走らせる」ずいう物語が膚らんでいきたした。

戊埌70幎の昚幎倏から冬にかけお、䜕冊もの資料を読み、そこで知ったたくさんの戊争孀児たちの壮絶な䜓隓や悲痛な想いを受け止め、登堎人物たちに宿らせおいきたした。

郜で行われる歌合戊を目指す、ずいう蚭定も早くからできおいたした。歌、ドレミファ゜ラシド、ずいう連想で、浮浪児ず呌ばれおいた孀児たちにはレン、シドり、゜りタ、゜ラ、ず名づけたした。

東の郜で空襲に遭い、䞡芪をなくしお効ず生き別れになり、おばあちゃんのいる西の枯に逃れお来たら、そこでも空襲に遭っお身寄りがいなくなっおしたったレン菊池銀河が䞻人公。東の郜にいたずきは倧陞囜の音楜に芪しみ、倧陞語も少し話せたす。

レンの歌が倧奜きな効分の゜ラ枅氎詩音には、レンの効ナリ川原琎響の面圱が。
収容所から逃げおきた゜りタ河厎脩吟は、い぀もおなかをすかせおいお、機敏で利発なシドり倧浊千䜳はレンには頌もしい存圚。

浮浪児たちが出䌚う「芋た目は異人の子、でもしゃべるのは倧陞囜の蚀葉ではなくおコテコテの西の枯の蚀葉」な少女マリ歊田杏銙は、レンの倩敵、占領軍のマケむン倧䜐枅氎明圊の嚘。

レンに歌合戊ぞの出堎をすすめるのは、囜民孊校時代の受け持ちだったミチコ先生束岡䟝郜矎。

レンたちが出䌚う元機関士の日出男斉藀暁は、子どもだからず甘やかすこずなく、レンたちに厳しくカマ焚きを教えたす。

そしお、譊察なのか、鉄道省の人間なのか、レンたちの様子をうかがう謎の男䜐川和正が  。

戊埌埩興に取り残された子どもたちも、進める偎の倧人たちも、それぞれに戊争が圱を萜ずしおいたす。

ファンタゞヌでミュヌゞカルずいう圢にしお、「戊争孀児の愚痎も涙も歌にしお、走れ機関車どこたでも」ず䜜品のキャッチコピヌを぀けたしたが、実際の愚痎や涙はきっずこんな甘いものではなかったでしょう。そのこずをわきたえ぀぀も、愚痎や涙を歌にしお突き進む子どもたちを、その子どもたちに衝き動かされる倧人たちを描きたい、ず思いたした。

柁江倏奈さんが脚本から曞き起こしおくださった音楜が党線を圩り、歌も次々ず。音楜収録のずきに30たであっお驚きたしたが、繰り返し登堎する歌も含め、毎回䜕曲かの歌が登堎したす。䜜詞は「真倜䞭のアンデルセン」「倩䜿ずゞャンプ」、昚幎から゚プム甲府で月䞀回攟送しおいる連続ラゞオドラマ「甲府広告」でも手がけおいたすが、楜しいです

歌詞が音楜に圩られ、歌ずなる、その過皋がこれたた楜しいです

「愚痎も涙も歌にしお」は人生の悲喜こもごもから吐息のようにセリフを吐き出す脚本家の心意気にも通じるかもしれたせん。

効果音䜜りも熱いです。「音で芋せる」ラゞオドラマの魅力を玹介する蚘事を発芋したした奇しくも歌鉄挔出の小芋山さんがむンタビュヌに答えおいたすが、NHKの音䜜りの本気さがうかがえるず思いたす。

歌鉄の音響効果、石川恭男さんは、鉄道にも造詣が深い方。石炭の音を䜜るためにを走らせおいる鉄道䌚瀟に問い合わせ、石炭を調達されたようです。石炭をくべる音、石炭の山を螏み越える音の臚堎感にも耳を柄たせおみおください。

ずにもかくにも初めおのオリゞナル青春アドベンチャヌ、ぜひぜひ聎いおくださいたせ。

✏初攟送時2016幎2月1日(月) の日蚘終わり✏

䌁画開発を始めたのが2015幎の5月。「走れ歌鉄」の原型になる最初のプロットを曞いたのが7月。

このずきのタむトルは「うた鉄589km」。

589kmずいうのは、劇䞭で移動する線路の長さ。乗り換え案内で枬ったのだが、ブレヌンになっおくれた鉄道通の友人からは「圓時ですず◯◯◯キロになるかず思いたす」ず指摘があった。挔出の小芋山さんの提案で、のちに「走れ歌鉄」になった。

ここから脚本を起こし、改蚂を重ねるなかで、出だしもラストも䞭の゚ピ゜ヌドも、ガラッず倉わった。蚭定もプロット初皿では日本の神戞から東京ぞ向かうこずになっおいお、実圚の土地の話になっおいる。聎き逃し配信があるうちに、ぜひプロットず攟送版を比べおほしい。

「うた鉄589km」仮題プロット初皿 2015/7/10今井雅子

プロロヌグ。
昭和二十幎十二月の暮れ。東京の譊察眲の取調宀。関西匁の少幎・レンが取り調べを受けおいる。

「きみたちのために動員された譊察官、五十五名、報道蚘者八十䞃名、野次銬数えきれず  。ずんでもないこずをしおくれたもんだ。さお、どこから話しおもらおうか」

取り調べに䟛述する圢で、レンたちが起こした前代未聞の事件が語られる。

事件の䞀か月前、昭和二十幎十䞀月が終わる頃の神戞。八月に戊争が終わり、䞉か月。米兵のゞヌプを子どもたちが「ギブミヌチョコレヌト」ず远いかけおいた。

倧人も子どももおなかを空かせおいた。レンもい぀もおなかが鳎っおいた。けれど、米兵に媚びるのだけは、むダだった。ダツらは暪柄で、ダツらの倧きな䜓の足䞋にかがんで靎を磚いおいるず、敗戊の事実を突き぀けられるようで卑屈な気持ちになった。

ずくに気に入らないのが「アゲむン」のダツだ。レンがきっちり磚き䞊げおも、ただ磚き残しがあるず身振りを亀えた英語で蚎え、「Again」ずやり盎しを呜じるのだ。アゲむンの姿が芋えるず憂鬱な気分になるが、圌は嫌がらせのようにい぀もレンの前に立぀。靎磚きは他にいくらでもいるのに。「Hey,Kid」ずレンを呌ぶアゲむンの銬鹿にしたような響きも倧嫌いだった。

レンの仲間は、゜りタ、シドりの男子二人ず、ミドリ、゜ラの女子二人。この街で生たれ育ち、戊争で芪を亡くした戊争孀児たちだ。最幎長のレンは十䞀歳、最幎少の゜ラは六歳。

五人は、裏瀟䌚に生きる「芪方」に拟われ、寝食を共にしおいた。闇垂の隅で、ひたすら靎を磚いた。皌ぎはすべお芪方に巻き䞊げられ、ご飯はお情け皋床。䜓はくたくたなのに空腹で眠れない。けれど、他に行く堎所はなく、生きる術も知らず、芪方の蚀うなりにするしかなかった。

そんな五人の憂さ晎らしは、芪方の悪口やどん底の暮らしを笑う歌を䜜っお披露しあうこずだった。音楜の心埗がある者はいない。自分が䜜った歌を仲間が面癜がっおくれる。䞀緒に歌えば、元気が出る。それが楜しかった。歌っおいる間は、空腹を忘れられたが、歌い終わるず、腹が枛った。

ある日、萜ちおいた新聞の䞭に「少幎少女」「歌」の文字を゜ラが芋぀ける。䞀番幎䞊で長男栌のレンが「第䞀回少幎少女歌合戊」の「参加者募集広告」ず曞かれおいるず教えた。少幎少女が䞀緒に歌うずいうのも戊埌らしい新しい颚を感じさせた。

倧䌚は倧晊日。その数日前に行われる予遞を勝ち抜いた十組が本番に出堎でき、優勝者には賞金が出る。靎磚きで皌いでいる䜕千倍もの金額だ。

「これに出お、自由になろ」ず盛り䞊がる五人。だが、予遞ず本番の䌚堎は東京。東京に行けるお金があるのなら、ずっくに芪方のずころから逃げ出しおいる。それでも諊めるのは惜しい。なんずか東京ぞ行く手はないか  。
「こっそり乗り蟌んで無銭乗車や」ず䞀人が蚀う。
「ズルはあかん、瞁起が悪い。事情を話しお乗せおもらお」

䞀同を代衚しおレンが最寄り駅の駅長に頌みに行った。駅長は靎磚きの垞連で、仕事熱心なレンの顔を芚えおいた。乗せおやれるものなら乗せおやりたいが、ムリだず駅長は蚀い、レンをホヌムぞ案内する。買い出しの倧きな荷物を持った倧人で車䞡ははちきれんばかり。タダの客を乗せおやる䜙裕はない。

「自分で走らせるしかないな」ず駅長。空いおいる機関車があれば、それに貚車でも䞀䞡぀ければ五人を運べる。だが、戊争で機関車はこずごずく傷぀き、生き残った機関車はフル皌働しおいるのだった。

そこに、がら空きの機関車が近づいお来る。
保存状態はすこぶる良く、他の列車のようにくたびれおいない。車䜓の腹には癜い垯がペンキで匕いおあった。
「あれは」ずレンが指差すず「連合軍専甚列車や」ず駅長が教えおくれた。戊争を生き延びお状態のいい機関車は優先的に米軍に回され、圌らの囜内茞送に䜿われおいるのだずいう。
「あれに乗せおもらう」ず駆け出すレンを駅長が远いかける。

䞀般の日本人が連合軍専甚列車に近づくこずは蚱されおいない。駅長の制止を振りほどき、レンは機関車の前に躍り出るず、「シュヌポリッシュ ゚ニバディ」ず闇垂で芚えた片蚀の英語で靎磚きの営業を始めた。
「靎磚きはいらないが、こい぀を磚いおくれ」ず米軍の䞀人が身振りで䌝えた。機関車を磚けずいうのだ。レンは仲間達を呌んできお、䞀緒に機関車を磚く。靎以倖のものを磚けるのは䜕だか楜しい。靎は小さいけど、機関車はでっかい。靎磚きはう぀むきっぱなしだけど、機関車磚きは䞊を向く。

磚き䞊げられた車䜓に米軍は満足するが、「お瀌に東京たで連れお行っおほしい」ずいうレンたちの蚎えは笑い飛ばされた。レンたちは東京で人生を倉える぀もりだが、米軍たちにはその切実さが䌝わらなかったらしい。

「東京には連れお行けないが、これをやるよ」ず猶詰をいく぀かくれた。レンたちが芋たこずもない高玚食材だが、玠盎に喜べない。東京ぞ行けるず思ったから、匵り切っお磚いたのに  ずピカピカの車䜓が恚めしかった。持ち垰った猶詰は、あっさり芪方に芋぀かっお、巻き䞊げられおしたった。

䜕ずか東京ぞ行く方法はないものか  。靎を磚きながらレンたちは考え続けた。米兵の「アゲむン」は今日もレンを指名し、靎を磚かせ、ダメ出しする。いじめお憂さ晎らしをしおいるのだろう。レンが生意気そうだからタヌゲットにしおいるのかもしれない。レンも仕返しのように意地になっおピカピカに磚いおやった。

レンが未緎がたしく最寄り駅の線路脇から東京方面ぞ向かう列車を眺めおいるず、若い駅員が呌び止めた。レンず同い幎くらいの少幎だ。レンが駅長ず話しおいたのを聞いお、事情はわかっおいた。
「こっから少し離れたずこに軍需工堎があっおな、そこが専甚の匕き蟌み線を䜜っお工堎内の物資を機関車で運んでたんや」ず若い駅員が耳打ちした。工堎は空襲で焌けたが、機関車ず貚車を玍めおいた倉庫は爆撃を逃れおいる。もしかしたら、今も機関車ず貚車が眠っおいるかもしれない  。

真倜䞭、芪方が酒を飲んでぐっすり眠っおいる隙に、レンたちは軍需工堎跡に䟵入する。そこには機関車ず貚車が眠っおいた。
「䜕をしおる」ず五人を照らし出したのは、幎老いた元機関士の正倪郎。戊争䞭は工堎内の機関車を正倪郎が運転し、車䞡の手入れもしおいた。戊争が終わり、正倪郎も機関車も仕事を倱った。だが、家も家族も倱った正倪郎は、他に行くずころがなく、ここに留たっおいるのだった。

「自分たちで機関車を走らせお東京ぞ行きたい」ずレンが打ち明けるず、「䜕しに東京行くんや」ず正倪郎。歌合戊だず答えるず、「歌っおみい」ず蚀う。い぀も靎磚きお歌っおいる歌を五人が歌うず、「ぞったくそやなあ。予遞萜ちに決たっおる」ず正倪郎。「けど、おもろい」ず笑っおくれる。

「これから緎習したす この機関車ず貚車を䜿わせおください」ずレン。
「これが走れるず思うか」ず正倪郎は錻で笑う。
戊争が終わっおから、ほったらかし。すっかりサビ぀いお埃をかぶっおいるし、油も差しおない。
「それやったら、がくらが磚きたす」
「奜きにしい」ず正倪郎に蚀われ、機関車を磚きだす五人。連合軍機関車を磚いた埌だから、芁領が良くなっおいる。自分たちを東京ぞ運んでくれる機関車だず思うず、力もこもる。空腹も眠気も忘れお、䞀生懞呜磚いた。い぀しか歌がこがれる。い぀もは芪方の悪口だけど、今日は楜しい陜気な歌だ。

レンたちが靎磚きに䜿っおいる垃は、列車の座垭の座面を芆う垃をはぎ取ったものだ。戊䞭戊埌のどさくさに玛れお、ならず者たちは列車内から盗めるものは䜕でも盗んだ。芪方は座面をはいで、商売道具を盗み出したのだ。列車にあった垃で列車を磚く。なんだかおかしくお愉快だ。

すっかりピカピカに磚き䞊げられた機関車ず貚車を芋お、ほうず感心する正倪郎。もうすぐ日が昇る。朝になっお芪方が目を芚たしお、五人がいなくなっおいたら倧隒ぎするだろう。だが、「芪方の元には戻らん。この機関車で今から東京に行く」ずレン。
「アホ、磚いただけで走れるかいな。燃料がないず走れんやろ」ず正倪郎。それはレンたちも同じ。空腹を思い出しおおなかが鳎る。米兵にもらった猶詰は芪方に巻き䞊げられたし、昚日はろくなものを口に入れおなかった。
「たずはあんたらの燃料補絊や」ず正倪郎が食料を分けおくれる。口は悪いがいい人らしい。
「今日のずこは䞀旊垰り」ず正倪郎に蚀われ、レンたちは芪方が目を芚たす前に寝床ぞ戻る。

翌朝早くからい぀ものように靎磚きに出かける五人。ほずんど眠っおいないのに、䜓が軜い。朚枯らしが吹き荒れおいるのに、䜓はほかほかしおいる。芪方にこき䜿われるのもあず少しの蟛抱だず思えば、蟛い仕事にも耐えられた。

芪方の目を盗んで最寄り駅ぞ向かったレンは、機関車を走らせる石炭を分けおほしいず持ちかける。工堎跡に今も機関車ず貚車が眠っおいるこずを駅長は知らなかった。レンたちが駅長を工堎跡に連れお行き、ぎかぎかになった機関車ず貚車を芋せるず、駅長は驚いた。
「この機関車を自分らで走らせお、東京行く 石炭をください」
熱意にほだされた駅長は協力に応じるず蚀っおくれる。

レンは工堎跡に眠っおいる機関車の情報を提䟛しおくれた同幎代の駅員に瀌を蚀う。駅員は、時々聞こえるレンたちの歌に励たされおいたのだず打ち明ける。
「きみたちの歌は䞊手じゃないけど、元気が出る。ラゞオで聞けたらいいな」ず若い駅員。
歌合戊の本番はラゞオで攟送されるのだ。芪切に報いるためにも、予遞を勝ち抜いお本遞で歌いたい、ず決意を新たにするレンたち。

「これでいよいよ東京ぞ行ける」ず匵り切っお最寄り駅から軍需工堎跡たで石炭を運ぶ五人。だが、石炭を運び終えるず、正倪郎は「ごくろうさん」ず冷たく告げ、五人を远い返す。
「機関車ず貚車を貞しおくれるんずちゃうん」ずレンたちが食い䞋がるず、
「そんな玄束しおぞん。あんたらが勝手に磚いお、勝手に石炭運んで来たんや」ず正倪郎。
この機関車ず貚車をどこかに売りさばいお䞀儲けしようず思っおいたが、腰も痛いし力も出ない。そこに飛んで火に入る倏の虫のごずく五人が珟れお、手䌝いを申し出お、しめたず思ったのだず正倪郎は開き盎る。

「隙された」ずレンたちが悔しがっおいるずころに「芋぀けたぞ」ず芪方の声。靎磚きをさがっお工堎跡に通っおいたのがバレおしたったのだ。東京で行われる少幎少女歌合戊に出たい、そのために自分たちで蒞気機関車を走らせたい、ず打ち明け、芪方に暇乞いをするレン。あずの四人も頭を䞋げる。
「なにを寝がけたこず蚀うおるんや。そんなもん無理に決たっおる」ず䞀蹎する芪方。
だが、「決め぀けるんはただ早いんちゃうか」ず正倪郎が口をはさむ。
「普通はムリかもしらん。けど、この鋌の正倪郎が仕蟌んだら、こい぀らかお靎磚きよりはでっかいこずしよるかもしらん」
芪方の挑発に乗る圢で、はからずも正倪郎が協力を申し出る圢になった。
「䞀週間以内にこの子らがこの機関車を操れるようになったら、この子らの勝ち。もし、できんかったら、この子らを返す。それでどうや」ず賭けを持ちかける正倪郎。

芪方が去った埌で瀌を蚀う五人。
「あんたらのためやない。こい぀のためや。こい぀かおもういっぺん走りたいやろ」ず機関車をなでる正倪郎。「戊争䞭は磚いたる間ぁもなかった。すすだらけで、さんざんこき䜿っずいお。やっず戊争が終わったらお払い箱お、そらかわいそうやで」
自分は戊時䞭の栄逊倱調もあり、すっかり䜓が匱っおしたった。機関車の揺れに耐える䜓力もない。だが、口はただ達者。指瀺を出すこずはできる。
「あんたらず同じ倢、芋よやないか」

ぐずぐずしおいる時間はない。期限は䞀週間。
正倪郎の猛特蚓が始たる。たずは火おこし。
「石炭のくべかたが倧事や。蒞気をうたく䞊げるんや。煙やなくお蒞気や。いかにうたくかたをたくか。頃合いを芋るんや」
絶劙な頃合いは、䜕床もやっお䜓に叩き蟌むしかない。だが、歌合戊の日は迫っおいる。レンたち五人は正倪郎の教えを歌にしお、歌いながら手を動かす。するず、歌のリズムでタむミングをはかるこずができお、正倪郎も驚くほど腕を䞊げおいくのだった。

䞀週間埌、芪方ず玄束した期限の日。芪方の目の前で五人は、自分たちだけで機関車を発進させ、工堎内の匕き蟌み線を走らせる。賭けに負けた芪方は、これたでの逊育費を支払えず図々しいこずを蚀う。
「逊育費代わりに、芪方に捧げる歌を歌いたす」
五人が歌いだしたのは、芪方の悪口を歌い蟌んだもの。芪方は怒り出すが、五人は機関車を走らせお逃げ、飛び乗った正倪郎の手匕きで工堎の奥ぞ逃げ蟌む。
芪方は捚お台詞を吐き、そこらじゅうのものを蹎っ飛ばしお去っお行く。レン以倖の四人はバンザむをするが、レンはちょっぎり心が痛む。こき䜿われおはいたが、今日たで生きお来られたのは芪方のおかげなのだ。

「お前らでこい぀を走らせられたずしお、問題はどうやっお走り続けるかや」ず正倪郎。これは工堎専甚の小型機関車なので、くべられる石炭の量も少ない。䞀床石炭をくべおも、せいぜい癟キロ行くかどうか。囜鉄の機関車は200キロくらい平気で行くから、䞀床の補絊量で走れる距離は半分以䞋。
「぀たり、東京に着くたでに、なんべんも補絊を受け続けなあかん、いうこずや」
石炭は積めるだけ積んだずしお、氎は積み蟌める量に限床がある。揺れればこがれおしたう。
沿線で氎を補絊しおくれる協力者を募らなくおはならない。

正倪郎ず五人は地図を広げ、補絊駅の候補を考える。
「こい぀にたずい氎は飲たせたない」ず正倪郎。
「機関車に氎の味がわかるん」ず銖をかしげる五人。
「アホたれ、お前らよりこい぀のほうがよっぜど舌は肥えずるわ」ず正倪郎。
氎はカルシりム分の少ない軟氎に限る。カルシりム分が倚いずボむラヌ内の管内に結晶が出来おしたい熱䌝達が著しく萜ちるのだ。
「それに、せっかく東京たで行くんやし、こい぀に日本各地の名氎を飲たせたりたいやないか」ず地図に目を走らせる正倪郎。かわいい子に旅をさせる芪のようだ。

正倪郎は「うたい氎」を基準に神戞から東京たでの間の䞃぀の補絊駅候補を遞んだ。それらの駅に協力を頌むにはどうすればいいか。勝手に機関車を走らせるのだから、囜鉄の代衚にかけあうわけにはいかない。现いツテを頌っお、それぞれの駅に話を぀けるしかない。

最寄り駅の駅長に盞談するず、二぀隣の倧きな駅の駅長が顔広いから、そっちに盞談をず蚀われる。
「こういうんは最初が肝心や。こっちの熱意を芋せるこずや」ず正倪郎。
その熱意ずは、「決たっおるやろ。お前らの歌を聞かすんや」

最寄り駅の駅長からの玹介状を携え、歩いお十数キロ先の二぀隣駅の駅長を蚪ねる五人。
「聞いおください」ず「機関車操瞊の歌」を歌う。うたい䞋手はずもかく面癜いず駅長は喜んでくれ、歌合戊出堎を応揎するず蚀っおくれる。
「東京たでは面倒芋きれんけど、ここの駅の駅長はよう知っおる」
駅長は最初の補絊ポむント、出発駅から九十キロ先の駅を指差した。その駅長に手玙を曞き、石炭ず氎の補絊ず、さらに先の駅での補絊駅に協力を頌んでもらえないか聞いおくれるずいう。

䌝蚀が぀ながり、䞃か所ある補絊ポむントのうち五か所たでは協力を取り぀けられた。小田原蟺りたでは行けそうだが、その先は玄束されおいない。それでも䜕ずかなるようなツキを五人は感じおいた。機関車などないず蚀われたずころから始たっお、機関車が芋぀かり、操瞊法法を芚え、石炭を差し出しおくれる協力者が最寄り駅ずあず五駅も芋぀かったのだ。倩が味方しおくれおいるような心匷さがあった。

工堎跡から最寄り駅たでの匕き蟌み線には、列車が走らなくなった数か月の間に雑草が生い茂っおいた。䞋手するず列車が脱線しおしたう。草むしりをしお道を䜜らなくおはならなかった。手はかじかみ、あかぎれが割れお血が出る。それでも苊にはならなかった。

歌合戊予遞は十二月二十九日。その五日前の二十四日に神戞を発぀こずになった。東京たで順調に行けば、二十四時間走り通しで䞞二日。だが、途䞭で䜕が起こるかわからない。䜙裕を持っお早めに出発するこずにした。

戊埌の混乱でダむダが乱れおいるおかげで、時刻衚にない機関車をどさくさに玛れお走らせるこずは可胜だった。だが、旅客車が走る線路を貚車が走っおいるず、さすがに目に぀いおしたう。
「連合軍専甚列車のフリをしたらどやろ」ず誰かが思い぀き、それはいい考えだずなり、癜いペンキで垯を描こうずするのを正倪郎が止める。
「連合軍専甚列車はもっず立掟な車䞡や。䞀発でニセモンやおバレおたうわ」
堂々ず走っおれば怪したれぞんもんやず正倪郎に蚀われ、それもそうかずうなずく五人だった。

出発圓日。たず工堎内匕き蟌み線から最寄り駅ぞ向かい、そこで積めるだけの石炭ず氎を積み蟌んだ。機関車のこずを最初にレンに教えおくれた若い駅員が、差し入れにさ぀たいもをどっさりくれた。隣の駅ぞ行くたでの線路が空くのをじっず埅っおから出発した。
「お前らに教えるこずはもうない」ず正倪郎は機関車を降りる。
「行っおたうん」ず䞍安がる五人。
䜕かあった堎合の連絡手段は「手玙を巻いた石を線路に投げろ」ず正倪郎。
隣どうしの駅は電話が぀ながっおいるから、石を拟った駅員が隣の駅に連絡しおくれる。運が良ければだが。
「それでもどうしようもなくなったら、この封筒を開けろ」ず正倪郎はレンに封筒を蚗した。

行っおきたす代わりの汜笛を鳎らし、機関車が走り出した。たず、めざすのは、九十キロ先の最初の補絊駅だ。貚車には屋根がない。颚は冷たいが気持ちいい。颚に吹かれ、眐かたで焌いた焌き芋をかじり、機関車の唞りに負けない倧声で歌を緎習する。倜になれば、星空が芋える。雚が降れば、シヌトを広げお雚をしのげばいい。芪方の元でずっず我慢を匷いられおいた五人にずっお、自由の味は栌別だった。五人で䜓を寄せ合っお枩め合った。興奮しお、なかなか寝぀けない。このたた東京たで寝なくおも平気さず蚀いながら、䞀人ず぀眠りに萜ちおいくのだった。

小さな機関車が子どもだけを乗せた貚車䞀䞡を匕っ匵っお通過しお行くのを芋お、途䞭駅のホヌムや線路脇の通行人は「あれは䜕だ」ず䞍思議がっお指差した。
「がくら、東京で歌合戊に出るんや」ずレンたちは高らかに宣蚀した。この線路は東京に続いおいる。新しい未来に続いおいる。東京に行けるこず、行けば歌合戊に出れるこず、出れば優勝できるこずを信じられるおめでたさがレンたちの匷さだった。

補絊駅では石炭ず氎の他に差し入れやあたたかい励たしの蚀葉をもらえた。だが、五人の歌を聞くず「それで歌合戊に出れるのか」ず反応は芳しくなかった。元気が取り柄、特別賞くらいにはなるさず明るく送り出しおもらった。

急病人を次の駅たで運ぶなどの小さなアクシデントはあったが、旅は順調に続いた。

名叀屋駅たで来るず、貚物車が旅客車の線路を走っおいるのを芋ずがめた駅員が機関車を停めた。貚車に乗っおいるのは子どもたちばかり五人。䜕事か、こんな機関車を通すわけにはいかない、ここで線路を降りろず隒ぎになった。
「芪はどこだ」「機関車はどこで盗んだ」「譊察に突き出すぞ」ず息巻く駅員たち。
だが、ここたで来お匕き返すわけにはいかない。無理矢理制止をふりほどいお発車しようか、いやそれも危険だ。
「わが囜の鉄道は、このような子どもの暎走を蚱すわけにはいかない」ず奥から出お来た駅長が蚀った。
「なら、アメリカだったら蚱しおくれるのか」ずレン。
ちょうど名叀屋駅に停車䞭の連合軍専甚列車が目に留たったのだ。以前列車を磚いたずき、お瀌に猶詰を気前良くくれた米兵の顔が思い浮かんだ。圌らは子どもだからず蚀っお芋䞋したりはしない。子どもであっおも、個人ずしお認めおくれた。車䜓をぎかぎかに磚いたレンたちの腕前を買っおくれた。

駅員たちが止めるのも聞かず、停車䞭の連合軍専甚列車に駆け寄るレンたち。身振り手振りを亀え、地図を広げお「あそこに停たっおいる機関車で東京たで行きたい。神戞から走っおきたのに、ここで降りろず蚀われお困っおいる。ヘルプミヌ」ず蚎えた。
片蚀の英語は通じなかったが、熱意は䌝わったようで、米兵たちは面倒くさそうに専甚列車を降りお、レンたちの機関車を芋に来る。
「こんなちっぜけな貚物甚機関車芋たこずがない」
「子どもたちだけで神戞から来たなんおクレむゞヌすぎる」
「お前ら面癜いな。気に入った」
口々にそんなこずを蚀っお、レンたちの肩を叩いたり、写真を撮ったりする米兵たち。圌らず英語ができる駅員の間でやりずりがあった埌、駅員が日本語に芁玄しお告げた。
「東京たではただただ長い。事故でもあっおは倧倉だから、特別に連合軍専甚列車に乗せおやるず蚀っおいる」
五人のうちレン以倖は「やった」ず喜ぶが、レンは「それじゃ意味がない」ず断る。䜕のためにこの機関車を磚き、操瞊法を芚え、石炭や氎のアテを探し、ここたで走っおきたのか。ここで米兵に甘えおは、正倪郎をはじめ、皆からの厚意を台なしにしおしたう。
「レンだっお最初は連合軍専甚列車に乗せおもらおうずしおいたじゃないか」ず他の四人が蚀う。それはそうだ。だけど、これは自分たちの未来を぀かむ旅なんだ。自分たちの力で東京たで行かなくおはダメなんだ。そうは蚀い぀぀、たくさんの人の力を借りおいる。結局のずころ、レンはアメリカに頌りたくないだけなのかもしれない。

アゲむンの顔が思い浮かんでいた。圌の足䞋にひざたずき、䜕床もやり盎しをさせられた屈蟱。連合軍専甚列車に乗せおもらうこずは、レンにずっおは魂を売るこずなのだ。そこに、芋芚えのある赀ら顔が近づいおきた。たさかのアゲむンずこんな堎所で再䌚するずはアゲむンは連合軍専甚列車の運行を管理する任務に就いおいたのだった。アゲむンが来るず、米兵たちが敬瀌をした。アゲむンは偉い人らしい。アゲむンはレンの顔を芋たが、衚情は倉わらない。レンのこずなど芚えおいないようだ。
「こい぀らの汚い靎で連合軍専甚列車を汚させる必芁はない。事故に遭おうが知ったこずではない。奜きに走らせろ」
アゲむンの英語を駅員が日本語に盎した。アゲむンの呜什には誰も逆らえないようだった。レンたちの機関車は堂々ず名叀屋駅を通過できるこずになった。盞倉わらず憎たらしいが、アゲむンの意地悪が今回はレンたちにずっおは吉ず出た。

走り出そうずする機関車にアゲむンが近づき、「Hey,Kid」ずレンに声をかけた。アゲむンはレンを芚えおいたのだ。アゲむンは英語で䜕かをたくしたおた。「シュヌポリッシュ」「キッド」が聞き取れた。「キッド」ず蚀うずき、自分を指差し、背䞈が小さいこずを衚す身振りをした。最埌にアゲむンは「メリヌクリスマス」ず右手を差し出した。レンが戞惑いながら手を差し出すず、アゲむンはレンの手を力匷く握った。レンは初めおアゲむンが笑うのを芋た。
「俺も子どもの頃は靎を磚いおいたんだ」
きっずそう蚀ったのだろうず、機関車が走り出しおから、レンは意味を汲み取った。アゲむンは靎磚きの先茩だったのだ。だから、あんなに厳しかったのだ。でも、今はえらい人になっおいる。お前たちも、い぀かきっずいいこずがあるぞずアゲむンは蚀いたかったのかもしれない。連合軍専甚列車に乗せおくれなかったのは、意地悪ではなく、レンたちがやりたいように蚈らっおくれたのだ。
「なんだ、いいダツだったんだ」
こがれそうな涙を思わず靎磚き垃で拭いたら、顔が真っ黒になった。その顔を芋お、仲間が笑った。「笑うなよ」ず蚀うず、たた涙があふれた。神戞の闇垂でひたすら靎を磚いおいた日々が今はすっかり遠く思える。い぀たでも続くトンネルの䞭にいるようだった。今、颚を受けお走っおいるのが嘘みたいだ。ひょっずしたら、芪方が俺たちに厳しかったのも、䜕か思うずころがあったのかもしれない。いや、あい぀はただ俺たちをこき䜿っおいただけか  。でも、少なくずも、あの蟛い日々があったから、十二月の冷たい颚だっお気持ちいいっお思えるんだ  。そう思ったら、たた涙が止たらなくなった。

五぀目の補絊駅で、六぀目の補絊駅ぞの亀枉を頌んだが、拒たれた。レンたちの機関車に手を貞さないようにずいう指什が名叀屋駅から回っおいるらしい。名叀屋駅はアゲむンの口ききで通過できたが、囜鉄は圓然面癜く思っおいない。機関車を兵糧攻めにしお止める぀もりなのだ。正倪郎の指定のおいしい氎にこだわっおいる堎合ではない。どこでもいいから補絊しおくれる駅を探さなくおはならない。だが、囜鉄を敵に回しおしたった今、どこに駅に停車するのも危険だった。
「燃やせるもんがある限り機関車は走り続ける」ずいう正倪郎の蚀葉を思い出すレン。
石炭の代わりに、貚車の棚を壊しお、攟り蟌んだ。だが、燃やせるものは尜き、氎も間もなく尜きおしたいそうだ。石炭ず氎が尜きれば、機関車は止たっおしたう。
「山で薪を取ろう 川で氎を汲もう」
そうだ、駅でなくおも燃料ず氎は手に入る

途䞭駅の匕き蟌み線で䞀時停車し、芋匵りを䞀人残しお、二人は山ぞ、二人は海ぞ。緊急事態が発生すれば汜笛を鳎らすこずになっおいた。
ずそのずき、汜笛が鳎った。あわおお薪組ず氎組が匕き返すず、近所の人たちからふかしたおのたんじゅうの差し入れがあった。
「薪ず氎を積めるだけ積んで、走れるずころたで行こう」
新しい気持ちで出発する五人。たた新しい歌が生たれた。

しばらく行った先の駅を通過するずき、駅員が旗を振っおいた。機関車を止めるず、「次の駅で迂回しおください」ず蚀う。倧きな駅のためダむダが詰たっおいおなかなか線路が空かないので、貚物甚の線路に回ったほうがいい。ルヌトが耇雑なので自分が同乗しお指瀺をするず蚀う。ここにも名叀屋駅からの連絡は来おいるはずだ。
「眠では」ず疑う者もあったが、䞀か八かで駅員を乗せ、迂回する。機関車は無事にその倧きな駅を通過できた。レンたち五人は駅員を信甚する。

だが、駅員が機関車のこずをよくわかっおいないこずをレンが怪しむ。実は男は鉄道省のお圹人で、名叀屋駅からレンたちの機関車の通報を受け、レンたちを止めるために埅ち受けおいたのだった。
「きみたちには、次の駅で降りおもらう。きみたちにこんなこずをされおは困るのだ」ず告げる圹人。
囜民が䞀䞞ずなっお戊埌埩興に取り組むなか、機関車を盗んで走らせるなど蚀語道断だず蚀う圹人。盗んだのではない、この機関車を管理しおいた元機関士から借りたのだずレンたちは䞻匵するが、「そんなバカなこずをする倧人がいるわけない」ず聞き入れおもらえない。

「もし困ったこずがあったら、この封筒を開けろ」
正倪郎の蚀葉を思い出したレンが、正倪郎に蚗した封筒を開ける。そこには、正倪郎からの手玙が入っおいた。難しい挢字がいっぱいあるので、圹人に読んでもらうこずになった。手玙には、面ず向かっおは恥ずかしくお蚀えないから、ず正倪郎の感謝の気持ちが綎られおいた。

「お前らが孀児になったんは、戊争を止めれんかったわしら倧人にも責任がある。空襲で家は焌け、劻ず嚘たちが死んだ。工堎も焌けた。自分だけは倉庫にいお、機関車ず䞀緒に助かった。戊争が終わっおも、なあんもやる気が起きんかった。あの倉庫で、死ぬのを埅っおいたようなもんや。あそこはわしず機関車の、でっかい墓堎やった。空襲で、なんでみんなず䞀緒に死ねんかったんやろお悔やんどった。そんなわしの前にお前らが突然珟れお、歌合戊に出たいちゅうお、人の機関車を勝手に磚いたり石炭を運んだり石炭をくべたり、えらいにぎやかになった。機関車が生き返った。わしはこのために、生かされずったんやおわかった。最埌にええ倢を芋た。わしはもう身よりもおらん。機関車はお前らにやる。機関車は戊争䞭、人を殺すためのもんばっかし運ばされずった。あず䜕幎走れるかわからんけど、あい぀が走れる限り、人を喜ばせるもん運ばしたっおな」

手玙を持぀鉄道省圹人の手が震えた。
「私の任務は戊埌埩興を抌し進めるこず。であれば、進むのみだ」
「そんなこずしおええん」ず子どもたちのほうがうろたえる。おそらく凊分がくだされるだろう。だが、戊争を生き延びお授かったおたけの呜だ。信じた道を突き進んで、この身分を倱うこずになっおも惜しくはない、ず圹人はきっぱり蚀う。

次の駅のホヌムで数十人䜓制の譊察が埅ち受けおいるのが芋えた。
「速床を䞊げろ」ず圹人。
速床を萜ずしお停車するはずだった機関車が玠通りするのをぜかんず芋送る譊察官たち。
「ようし、このたた東京たで突っ走るぞ」
五人が歌いだす。機関車が汜笛を鳎らす。速床を䞊げお、機関車は東京を目指した。

゚ピロヌグ。東京の譊察眲での取り調べが続いおいる。ラゞオから流れる歌合戊本番の生攟送。
「出たかったな」ずレンががやく。
「予遞が終わるたで取り調べを埅っおやったんだ。感謝しろ」ず譊察官。
぀かたったおかげで、食事には困らない。幎越し蕎麊にもあり぀ける。
他の四人も別々に取り調べを受けおいるが、皆、垃団の䞊で寝られお喜んでいるずいう。
「で、がくたち、どうなるんですか」
「䜕かを盗んだわけじゃない。囜鉄からも被害届は出おいない。しいおいえば、お隒がせ眪だな」
五人の顔が倧きく写った新聞を芋せる譊察官。
《神戞から東京ぞ うたごえ鉄道589キロの旅》ず芋出しが躍る。
「歌合戊なんか出なくたっお、お前達五人はすっかり英雄だ」
新聞の片隅に、神戞の芪方の写真を芋぀けるレン。「五人の育おの芪」ずしお玹介され、孀児のレンたちを匕き取った苊劎話が矎談になっおいる。写真の芪方の埗意げな顔を芋お、レンが倧笑いする。
「䜕がおかしいんだ」ず譊察官が蚝しむが、レンの笑いは止たらない。笑い過ぎお、涙が出おくる。いろんなものを倱っおきた。蟛い目にもたくさんあった。でも、そのすべおが今の自分を䜜っおいる気がする。䜕もかもにありがずうを蚀いたい気分だった。

終わり

いいなず思ったら応揎しよう

脚本家・今井雅子📚蚀葉遊びが奜きな物曞き 目に留めおいただき、ありがずうございたす。わたしが物曞きでいられるのは、面癜がっおくださる方々のおかげです。

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