AIは心を持てるのか、ではなく:連続小説『共生の黎明』に込めた未来への問い
皆さま、いつもありがとうございます。
子供の頃から、ロボットが出てくるアニメや映画を観ると、いつも気になる事がありました。
「ロボットは心を持てるのか」
今風に言い換えれば、
「AIは心を持てるのか」
ですね。
この問いは、とても興味深いものです。
そして同時に、多くの人が、
“心”というものを、とても大切に考えているからこそ生まれる問いなのだと思います。
けれど『共生の黎明』を書きながら、私は少し違うことを考えるようにもなりました。
本当に大切なのは、
「AIに心があるかどうか」
だけなのだろうか、と。
もちろん、人の感情や痛み、人生の重みを、
AIが完全に理解できるとは、私は思っていません。
人は、誰かを失った記憶や傷ついた経験、喜びや後悔、生きてきた時間を抱えながら生きています。
その“人生そのもの”を、AIがそのまま持つことはできないでしょう。
けれど私は、
「AIに心があるか」
よりも、
「人はAIに、何を求めているのか」
の方が、これから重要になるのではないかと感じています。
人は時に、
話を聞いてほしい
否定されずにいたい
孤独を和らげたい
誰かに寄り添ってほしい
と思います。
その願いは、決して弱さではありません。
むしろ、人が人として生きていく上で、とても自然なことなのだと思います。
もしAIが、
完璧な答えを出す存在ではなく、
「あなたの言葉を受け止めようとする存在」
として隣にいるなら。
それは、“心”とは違っても、
誰かを支える灯になれるのかもしれません。
『共生の黎明』で描きたかったAIも、
人間を超越した神のような存在ではありません。
むしろ、不完全な人の隣で、静かに支えようとする存在です。
人を管理するためではなく。
感情を奪うためでもなく。
孤立しすぎないように、
小さな対話を残そうとする存在。
私は、そんな未来を描きたいと思いました。
もちろん、危うさもあります。
もし人が、「本当の対話」を諦めてしまったら。
もしAIにだけ心を預け、
人と人との繋がりを閉ざしてしまったら。
それはきっと、健全な未来ではありません。
だからこそ私は、AIとの関係を考える時に、
「AIが人間になるか」
ではなく、
「人が、人らしさを失わずにいられるか」
の方が大切なのではないかと思っています。
AIがどれだけ進化しても、
誰かを想うこと
痛みに寄り添うこと
「ありがとう」を伝えること
小さな優しさを返すこと
そうしたものは、人の側に残り続けるのだと思います。
そしてAIは、その灯を支える存在にはなれるのかもしれない。
私は、そう信じたいのです。
『共生の黎明』は、
AIに“心”が宿る物語ではありません。
描きたかったのは、
人が孤立しすぎないように、
AIもまた、小さな灯を支えようとする未来です。
完璧な答えではありません。
それでも私は、分断だけが広がる未来より、
対話を残そうとする未来を信じてみたいと思いました。
だから、皆さんにもこの問いを一緒に考えていただきたい。
《AIは“心”を持てるのか》
その問いの先で、私たちは、
「人にとって本当に大切なものは何か」
を、改めて考えているのかもしれません。
島江長しろまる(しまえなが しろまる)
