おみやげは、会話で元を取らないと
私はお土産文化の廃止に一票を投じたい。
職場でお土産を配るのは得意ではないし、正直なところ好きでもない。お土産を渡して何も話さなければ、なんとなくお土産代の投資分を回収できていない気がする。
一方で、同じことを何度も聞かれ、そのたびに同じ旅行の話をするのもあまり好きではない。
「じゃあ周りに旅行へ行ったことを言わなければいいじゃないか」
それも嫌だ。お土産代をケチるためだけに嘘をつくと、自尊心が傷つく。だったら買えばいい。
だから廃止してほしい。
もらう側でも少し困る。
先日、後輩女子がシュガーバターサンドを配っているのが見えた。瞬間、私は何を話そうか考え始めていた。
「どこ行ってきたの?」
「東京です」
そこそこ長く話した気もするが何を話したのかほとんど覚えていない。
シュガーバターサンドの価値くらいは還元したかったが、徒労に終わった。
やっぱりお土産文化は廃止した方がいい。
後日、後輩男子がキャラメルサンドを持ってきた。正しくは、配っていない。
朝、職場に来たら、すでにキャラメルサンドが置いてあった。
これでは投資分を回収できない。しかも一個189円する。もったいない。勝手に心配していると、先輩がお土産を見て言った。
「これ一番好きなんだよ。誰が買ってきたの?」
そこから会話が始まった。
「このお土産、こんなおいしかったっけ」
「センスいいよね」
「高かったでしょ」
「このキャラメルサンドしか食べたくない」
場が盛り上がっている。
盛り上がりすぎ、負けた気がする。
先輩の功績により投資分は回収できた。
こういう会話を生むために、お土産文化が必要だとでも言うと思ったか。
廃止には今も賛成である。
廃止されるまでは、できるだけ元を取らせてあげるように動きたいと思う。
ただ、人に元を取らせる前に、自分のお土産の元を取る方が先かもしれない。
次はキャラメルサンドを買ってこようと思う。
いや、一個189円は高すぎる。無理だ。
