Enhanced Games(エンハンストゲームズ)が問いかけるもの
Enhanced Games(エンハンストゲームズ)とは
Enhanced Games(エンハンストゲームズ)の第1回大会が2026年5月中旬にアメリカ・ラスベガスで開催された。
競技種目は、陸上競技、競泳、ウエイトリフティングの3競技であった。
世界新記録も報じられた。
この大会では成績次第で多額の賞金を手にすることが可能だった。
この大会が従来のスポーツ大会と決定的に異なるのは、
パフォーマンス向上を目的とした薬物使用を認めている点である。
健康被害のリスク
薬を本来の用量や用法を逸脱して使用することには、大きな健康上のリスクが伴う。
その害は、必ずしもすぐに現れるとは限らない。
数年後、あるいは、もっと先になって初めて表面化する可能性もある。
素晴らしい結果や記録は一瞬だけ輝くだろう。
しかし、その後も人生は続いていく。
その代償として健康を失ったとしたら、その記録は本当に価値あるものだったと言えるだろうか。

スポーツの未来のために
さらに考えたいことは、競技成績を向上させるために薬を使うことを当然とする価値観を、次世代に残してよいのかという点である。
仮にエンハンスドゲームが今後も継続されれば、この大会に憧れてスポーツを始める子どもたちが現れる可能性もある。
そして、その周囲に適切な知識や判断力を持った大人がいなければ、安易に薬物へ手を伸ばしてしまうだろう。
「憧れたその選手」が、実は薬を大量に使っていた――。
その事実を知ったとき、子どもたちは何を感じるだろうか。
ただ、忘れてはならないのは、成果をもたらしてきた手段を人は容易には捨てられないという事実である。
うまくいっているときに続けてきた方法を変えることに抵抗を感じた経験はないだろうか。
心理学では、この傾向を「現状維持バイアス」と呼ぶ。
私たちはスポーツの本質を改めて考える必要がある。
多くの人がスポーツに魅了されるのは、正々堂々と努力を重ね、その成果を競い合う姿に心を動かされるからではないだろうか。
以前のnoteにも書いたが、ここでもう一度紹介したい言葉がある。
「クスリ」は「リスク」
言葉遊びのようにも見えるが、薬には必ずリスクが伴うという本質を端的に表している。
そして、子どもたちが胸を張って憧れられるスポーツを作り上げることこそ、我々に課せられた責任である。

