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【考察研究】フランチャイズバブルの表と裏

第1章


なぜ店舗型フランチャイズは爆発的に増えたのか

はじめに

まず最初に、お伝えしたいことがあります。

この記事は、私自身がフランチャイズ業界で経験してきた出来事と、当時の社会情勢や制度を改めて調べ直した内容をもとにまとめています。

その中には、私自身が現場で感じたことや考察も含まれています。

そのため、これは「一つの現場を見てきた人間の視点」として読んでいただければ幸いです。

また、私はフランチャイズという仕組みそのものを否定したいわけではありません。

実際、私は最後に加盟したフランチャイズによって人生を立て直すことができました。

現在も成功されている加盟店は数多く存在します。

ですが、その一方で。

夢を抱いて加盟し、
借金だけを残して去っていく人たちも数え切れないほど見てきました。


その違いは何だったのでしょうか。

私は

その答えは
「個人の能力」
だけでは説明できないと思っています。


そこには、その時代だからこそ起きた社会の流れがありました。



店舗型フランチャイズが急に増えた理由は、一つではありません

私がレクチャーしている弟子の中に

「あの頃、なぜ急にコンビニやドラッグストアが増えたのか」

そう聞かれることがあります。

「コンビニが人気だったから」
「景気が良かったから」

そう答える方もいるでしょう。

ですが、実際にはもっと複雑でした。


私が現場で見てきた感覚では、
一つの理由ではなく、

いくつもの社会問題と制度が同じ時期に重なった結果だったと思っています。

例えば

・土地活用ブーム
・相続税制度の見直し増額
・農業の後継者不足
・金融機関による積極的な融資
・早期退職制度の拡大
・フランチャイズ本部の急成長

これらが同じ時期に重なり、

「土地を店舗に変える」

という流れが全国で一気に加速しました。



⭐︎土地を「持つ」から「活かす」時代へ


当時、多くの地主さんや土地所有者が考え始めたことがあります。

それは

「この土地をどう活用するか」

ということでした。

特に、上がった相続税の対策が話題になる中です


土地をそのまま持ち続けて子に相続させるより

収益を生む土地へ変えるという考え方が急速に広がっていきます

税理士
金融機関
不動産会社
住宅メーカー

さまざまな立場から、

「土地活用」


という言葉が提案されるようになりました。

空いている土地は

アパートにする
駐車場にする
店舗を建てる

こうした活用方法が次々と紹介され
土地は「所有するもの」から「収益を生むもの」へと考え方が変わっていったのです。



そして農業にも大きな転換期が訪れていました

この頃
農業にも大きな変化が起きていました。

もちろん今でも農業を続け、日本の食を支えてくださっている方はたくさんいらっしゃいます。

ですが全国的にはこの頃から

高齢化
後継者不足
円高による収益性の低下


こうした課題が年々深刻になっていきました。

子どもは都市部へ就職し、
農業を継ぐ人が減っていく。

農地はある。

しかし収益は以前ほど見込めない。

そうなると、

「この土地をどうするか。」

という話になります。

そこで選ばれた選択肢の一つが、店舗型フランチャイズでした。


コンビニ
ドラッグストア
コインランドリー
ファストフード店

フランチャイズ以外では
アパート
月極駐車場

土地を収益化する手段として、
これらは非常に魅力的に映ったのです。



銀行も、本部も、地主も

実は、この仕組みは多くの立場の人に利益がありました。


地主は土地を活かせます。

銀行は融資できます。

建設会社は店舗を建てられます。

フランチャイズ本部は加盟店を増やせます。

加盟者は夢を持って独立できます。


一見すると
誰も損をしない理想的な仕組みに見えました。

だからこそ、
その中でも特に素人からでも行えて、尚且つすでにネームバリューがある

店舗型フランチャイズは爆発的に広がっていったのです。




ですが、一つだけ増やせないものがありました

土地は増やせます。
店舗も増やせます。
加盟店も増やせます。


ですが‥‥
お客様だけは増やせません。

人口は急には増えないのです。


コンビニが一軒できる。
便利になります。

人気になり近辺に二軒できる

まだ成立するかもしれません。

三軒
四軒
五軒

やがて同じ地域で、人数に限りがあるお客様を奪い合うようになります。

これはコンビニだけではありません。

ドラッグストア
コインランドリー
介護施設
就労支援施設

さまざまな業種でも同じことが起きました。

店舗だけが増え、
需要以上に供給が増えていく。


すると
一店舗あたりの利益は少しずつ薄まっていきます。

夢を持って参入する人が増えるほど、利益もまた

細く
広く
分け合うことになるのです。


土地は夢を渡り歩く


私はこの景色を仕事で何度も見ました

コンビニが閉店する。

その場所はコインランドリーになる。

次は駐車場。

さらに数年後には介護施設。

その後は就労支援施設。

また別の店舗。

そして空き店舗。


現在は葬儀場も増えてきました。


土地だけは残り
夢を見る人だけが入れ替わっていく


もちろん、

その土地に合った商売を選び、
長く愛され続けるお店もあります。

ですが一方で、
需要より先に供給だけが増えた地域では

土地は何度も新しい夢の舞台になり

そして静かに幕を閉じていく。


経過を見ていた私にとっては、明日は我が身でした。


フランチャイズは悪ではありません
ですが、善でもありません


ここで一つ、

誤解してほしくないことがあります。

私はフランチャイズを悪い仕組みだとは思っていません。

実際に私は
最後のフランチャイズで人生を立て直しました。



だからこそ言えるのです。

問題なのは

「夢だけで始めること」

です。

ブランド名だけを見る。
説明会だけで判断する。


「みんな成功している」という言葉だけを信じる。

それでは危険です。


本当に見るべきなのは、

人口
商圏
競合
その土地に必要とされるサービスなのか

そして
自分自身がその仕事に向いているのか。

そこまで考えて初めて、
フランチャイズは「夢」ではなく「事業」になります。

使う人により
運営する人により
フランチャイズは善にも悪にもなるのです。

私は、その違いを3,000万円という借金で学びました。



次章では

では、なぜこれほど多くの人が夢を抱きフランチャイズへ向かったのでしょうか。


早期退職制度の広がりや退職金、独立ブームなど、当時の時代背景と人々の心理について、私自身の経験も交えながらお話ししたいと思います。

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