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マリンアクアの死神😈

水合わせの意外な落とし穴⁇

~「丁寧」が逆効果になることもある、アンモニアの化学~

毎日お魚さんたちと対話しながら、お店を切り盛りしているイルカ🐬です♪

「ゆっくり水合わせをした方が魚には優しい。」

アクアリウムでは昔からよく言われていることですよね。

もちろん間違いではありません。
でも実は、その”丁寧さ”が、お魚さんを苦しめてしまうケースがあることをご存知でしょうか?

今日は少しだけ化学のお話。

水中で計測するタイプと薬剤の計測では結果が違う?
NH₄⁺とNH₃の違い。



でも、この知識を知っているだけで水合わせの失敗はグッと減ります。

アンモニアには2つの姿があります

一般的に「アンモニアは毒」と言われますが、実は水の中では2種類の形で存在しています。

① アンモニウムイオン(NH₄⁺)

こちらはイオン化しているため、お魚のエラから体内へ入りにくく、毒性は非常に低い状態です。

② アンモニア(NH₃)

こちらはガス状の分子で、お魚のエラを簡単に通り抜けてしまいます。

神経やエラを傷つける、本当に危険なアンモニアはこちらです。

毒性を決めるのは「pH」

同じアンモニア量でも、

pHが低いほど安全。

pHが高いほど危険。

という特徴があります。

例えば海水魚ではpH8.4前後で管理されることが多いですが、この環境ではアンモニアの約14%が毒性の強いNH₃として存在します。

逆にpH7付近では、その割合は1%にも満たず、多くが毒性の低いアンモニウムイオンとして存在しています。

つまり…

アンモニアの量が変わらなくても、pHだけで毒性は何十倍も変わるということです。


水温も実は関係しています

さらに厄介なのが水温です。

水温が高くなるほど、

アンモニアはNH₃へ変化しやすくなります。

例えば26℃・pH8.4では有害アンモニアの割合は約14%。

23℃なら約11%。

20℃なら約9%。

たった数℃でも毒性は大きく変化します。

夏場に魚の調子を崩しやすい理由の一つでもあります。

海水魚飼育はアンモニアの毒性が強く出てしまいます。



水合わせ最大の落とし穴

ここからが今日一番伝えたい内容です。

ショップから持ち帰った魚の袋の中では、

魚が呼吸を続けることで二酸化炭素(CO₂)がどんどん増えていきます。

CO₂が増えると水は酸性になり、

pHは徐々に低下します。

すると、排泄されたアンモニアは毒性の低いアンモニウムイオンとして袋の中に蓄積されます。

つまり、

袋の中にはアンモニアは多いけれど、まだ毒になっていない状態なんです。

点滴法で起きる化学反応

ここでゆっくり点滴法を始めます。

新しい飼育水はpH8.2~8.4。

少しずつ高いpHの水が袋へ入ってきます。

すると…

アンモニウムイオン(NH₄⁺)



アンモニア(NH₃)

へ次々と変化してしまいます。

つまり、

水合わせをしている最中に毒が作られてしまうのです。

しかも時間をかければかけるほど、

魚はその毒水の中に長くいることになります。

水合わせで失敗しないコツ

私がおすすめしている方法は、

✅ 袋を開けたら古い水を半分ほど捨てる

まずアンモニアそのものを減らします。

その後、新しい水を加えていきます。

これだけでも危険性はかなり下がります。

そして、

必要以上に何時間も点滴を続けないこと。

もちろん急激な水質変化は避ける必要がありますが、

「ゆっくり=安全」

とは限りません。

魚の状態や輸送時間によっては、短時間で新しい水へ移してあげた方が安全な場合もあります。



アクアリウムは「見えない化学」と付き合う趣味です。

アンモニアは見えません。

pHも見えません。

でも、この見えない変化がお魚さんの体には大きく影響しています。

だから私はいつも、

“なぜそうなるのか”

を知ることが一番大切だと思っています。

こんな時に頼りになるアイテムもあります

もう一つ、私がお店で実際に使っているアイテムがあります。

Seachem(シーケム)の「アムガード」です。

塩素、クロラミンも除去するみたいです。


アムガードは、有害なアンモニア(NH₃)だけでなく、アンモニウムイオン(NH₄⁺)も一時的に無害化してくれる水質調整剤です。

メーカーの規定量では、キャップ1杯(約5mL)で約200L分のアンモニアを処理することができて経済的です。

もちろん、根本的にアンモニアを分解するわけではなく、最終的にはろ過バクテリアによる硝化が必要ですが、

輸送直後や水合わせなど、一番アンモニア事故が起こりやすいタイミングを安全に乗り切るための保険として、とても心強い存在です。

実際、私のお店でも沖縄県からの長距離発送では、パッキングする海水に数滴アムガードを加えて発送しています。

輸送中は魚の排泄によってアンモニアが発生し続けます。

袋の中ではCO₂が蓄積しているため毒性は抑えられていますが、開封後の水合わせでは状況が大きく変わります。

だからこそ、アンモニアをあらかじめ無害化しておくことは、お魚への負担を減らす一つの方法だと考えています。

知識が増えるほど、お魚さんはもっと元気になってくれる。

そしてアクアリウムはもっと楽しくなる。
そんなお手伝いが少しでもできたら嬉しいです。

最後に小話です…

この記事を書いていて思い出したのですが、以前アクアリウムショップで働いていた兄が、こんなことを言っていました。

「水槽を立ち上げたばかりの初心者なら、極端な話だけど、アムガードを毎日しっかり使い続ければ、初日から魚を入れても何とかなるくらいなんだよ。」

もちろん、これは理想的な立ち上げ方法という意味ではありません。

本来は硝化バクテリアをしっかり育て、水槽を安定させてから魚を迎えるのが一番です。

でも、この言葉から分かるのは、それだけアンモニア管理が魚の命を左右するということ。

水質管理というと、つい「バクテリア」や「ろ過」に目が行きがちですが、まずはアンモニアをどうコントロールするかが最優先なのかもしれません。

だからこそ、今回この記事を書いてみました。

お魚さんは言葉を話せません。

だから私たちが、目に見えない「水の化学」を少しだけ理解してあげること。

それが一番の優しさなのかな、と私は思っています。

※生体の導入は水槽が立ち上がってからにしましょう。

イル。養殖ライブロック Lotus Coral 🐬

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