#26 中国の公園には遊具がない!?
中国で子育てをしていて、ちょっと困ったこと。
それは、
「子どもをどこで遊ばせるか?」
だった。
当時住んでいた青島のマンションには、敷地内に公園のようなスペースが何箇所もあった。
鉄棒や雲梯のようなものもある。
「ここで子どもたちも遊べるやん」
と思ったのだけど、よく見ると……
なんとなく雰囲気が違う。
滑り台もない。
ブランコもない。
子ども向けの遊具がない。
そこにあるのは、鉄棒や雲梯、足を動かす器具などの、いわゆる健康器具。
そして、使っているのは主に年配の方たち。
高齢者たちは、そこで運動したり、みんなで踊ったりしていた。
でも、子どもたちにとっては、せっかくの遊べそうなもの。
我が家では健康器具を遊具として、
登ったり。
ぶら下がったり。
時には滑ったり。
本来の使い方とは違う方法で遊んでいた。

日本から来てくれたばあちゃんと
そもそも中国の公園は、日本の公園とはちょっと雰囲気が違う。
もちろん遊具のある公園も少しはあるのだけど、私が見かけた公園は、広場や散歩道、ベンチや健康器具などが中心のところが多かった。
「子どもが遊ぶ場所」というより、
散歩する場所、休憩する場所、みんなが集まる場所。
そんな感じだった。
そんなある日、
「少し歩いたところに、遊具がたくさんある公園があるよ」
と教えてもらった。
ワクワクしながら子どもたちと遊びにいくことにした。
ただ、結構遠い。
ベビーカーを押しながら、でこぼこしたゆるい坂道を歩いていく。
「あと何分?」
と聞いてくる娘をなだめながらひたすら歩く。
そして、ようやく到着。
そこには……
あった!
滑り台!
ブランコ!
子ども向けの遊具がいっぱい!
子どもたちはもちろん、
遊具に向かって一直線。
そりゃそうだ。
こんなに遊具が揃っている場所、なかなかない。

遊具の周りは子どもたちと、その付き添いのおじいちゃん、おばあちゃんでいっぱいだった。(ちなみにママさんパパさんは全然いない)
さらにここにも健康器具がたくさん。
高齢者の方たちは身体を動かしたり、ダンスをしたり、囲碁をしたり。
みんなそれぞれ楽しんでいる。
なんだかいい場所だった。
我が家も、ここには何度も通った。
そんなある日。
公園で遊んでいると、ちょっと違和感のある子を見つけた。
最初は何が気になったのか分からなかった。
でも、よく見ると……
ズボンの股の部分が開いている。
「……ん?」
いわゆる股割れズボンだった。
股の部分が開いていて、トイレトレーニング中の小さな子どもが履くもの。
しゃがめば、どこでもすぐに用を足せる。
ある意味、究極の時短アイテム。
「なるほど……これが噂の股割れズボンか」
と思って見ていたら、滑り台でその子の後ろに息子が並んだ。
そして……
滑り台を滑り始めた。
私は滑り台の下で息子を待っている。
見える。
何がとは言わないが、
前も後ろも、丸見え。
息子はもちろん、そんなことは全く気にしていない。
楽しそうに滑り台を滑り降りてきた。
私は、
「……うん」
なんとも言えない気持ちになった。
驚きと、戸惑い、そして「これが異文化か」という妙な納得感が混ざり合った複雑な感情だった。
ちなみに、私が実際に股割れズボンを見たのは青島にいる間だけだった。北京などの大都市では見かけなかったので、都市化とともに少しずつ減っていたのかもしれない。
こうした外遊びでのカルチャーショックに翻弄される一方で、非常に重宝したのが「室内の遊び場」だ。天候やPM2.5を気にせず遊べる室内遊び場は、当時の私にとって救世主のような存在だった。
中国の室内遊び場はかなり充実していた。
ボールプール。
カラフルな滑り台。
子ども用の車。
知育玩具。
お店屋さんごっこの衣装や道具。
広いスペースにとにかく盛りだくさん。

しかも、こちらも中国らしく回数券がある。
みんなでまとめて買って、分け合ったりもしていた。
平日の昼間に行くことが多かったからなのか、当時は時間制限もなく、半日くらい遊ばせていた。
子どもたちは飽きることなく遊び続ける。
そして親は、
「もう帰ろうよ……」
となる。
中国での子育ては、日本とは違うことも多かった。
「公園に行けば遊べる」
と思っていた私にとっては、遊具のない公園はちょっとしたカルチャーショックだった。
でも、ないならないで、なんとかなる。
振り返ってみると、
「子どもを遊ばせる場所がない!」
と困りながらも、その土地なりの遊び方を少しずつ見つけていたんだなと思う。
