#14 娘より私の方が緊張していた初登園の日
一時帰国を終え、いよいよ娘の登園が始まることになった。
中国に来て約2か月。
見学や入園手続きを経て、ようやくこの日を迎えた。
娘は昔からかなりの人見知りだ。
赤ちゃんの頃から私から全く離れなかったし、
私の実家への帰省ですら慣れるまで数日かかる。
日本の幼稚園へ通い始めた時も、泣きはしなかったものの、先生が言うには1年近くほとんど言葉を発していなかったらしい。
そんな娘が、中国語も英語も分からない環境に飛び込む。
正直、私はかなり心配していた。
でも当日の朝、娘は意外なほど落ち着いていた。
幼稚園バスの集合場所はマンションの入口前。
そこへ向かう途中も嫌がる様子はない。
集合場所には、同じ幼稚園へ通う子どもたちと保護者の方が数人集まっていた。
初めて会うパパさんやママさんに挨拶をする。
我が家のマンションから通う子どもたちは、日本人か日本人と中国人のハーフの子ばかりだ。
子どもたち同士はみんな日本語で話している。
その様子を見て少し安心した。
やがて幼稚園バスが到着した。
バスには中国人の先生も同乗していて、子どもたちのシートベルトを付けたり、お世話をしてくれたりしていた。
娘は特にぐずることもなくバスへ乗り込んだ。
そしてそのまま出発。

遠ざかっていくバスを見送りながら、私は無事送り出せたことにほっとした。
と同時に、とても心配になった。
ちゃんと教室に入れるだろうか。
友達と遊べるだろうか。
先生の話は分かるのだろうか。
考え始めるとキリがない。
家に帰ってからも落ち着かなかった。
実はこの幼稚園、教室の様子をスマホで見られるシステムがあった。
私は朝からずっとモニターを見ていた。
娘が一人で座っていると心配になる。
給食を最後まで食べていると、
「もしかして口に合わないのかな」
と心配になる。
画面から姿が見えなくなると、
「どこへ行った?」
と心配になる。

今思うと、心配し過ぎだったと思う。
でも海外での初めての幼稚園。
しかも親も子も初めての環境だった。
仕方なかったのかもしれない。
娘は朝、あんなに平然とバスに乗って行ったのに。
結局その日、一番落ち着きがなかったのは私だった。
