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拡大する組織で、人が目の前のコトしか見ない企業に成長はあるのか。

私は工場の新規製品や設備導入に関わる仕事をしている。
現場で苦労した経験から、新規の設備導入までの泥臭い調整を日々行っている。
最近、思うことがある。
組織の成長と人の成長が反比例していると感じることが最近増えてきた。
以前に話をしたが、現在他工場からの設備移設の真っ只中。

そんな中で、簡単な機器の移設が、打ち合わせを何度か行わなければならない状況となっていた。
ある特殊なポンプ移設。
構造は簡単で、エアーシリンダーでピストンポンプのように吸引と吐出を繰り返して圧送する仕組み。
スイッチ押すとシリンダーが伸び縮みを繰り返す。
止める時はボタンを押すだけ。
非常にシンプルなのだが、現在使用している工場では、自分たちで圧送先のタンクが一杯になったら停止する機構をつけ足しているとのこと。
移設先となる、我々の工場の担当課の長が、移設元とやり取りして、関連の担当者と進めていた。

先日、急にその長から、ポンプを移設してきた時の追加機構含めた位置を図面上にプロットして欲しいとのこと。
設置に必要となる、電気配線とエアーを考慮して位置を決める必要がある。
ポンプの動作原理と現製造所での接続方法の情報が欲しいことを伝えると、打ち合わせして現製造所から送付された資料が届いた。
内容を確認すると、追加機能に関する情報だけで、実際の運用に関わるポンプの動作原理と追加機能との関係性が全く分からない。
製造課の長に聞いても分からない。
分かっていたら自分で位置ぐらい決めるだろう。
関連している担当者に聞いても誰も理解していない。

私の性格の問題なのか、腑に落ちない事は腑に落ちるまで確認する。
直ぐに、ポンプのメーカーに連絡をとり、仕様の情報の入手をした。
原理がわかり追加機能との関係性が予測できた。
私の頭のイメージを図示した。
それを工場内の関係者に配信。
実際に現場で設置対応してくれる施設関係者ともやり取りして認識を合わせた。

恐らく間違いないとは思っていたが、製造課の長が現製造所に連絡して打ち合わせを実施してくれた。
私から「◯◯の考えで接続してますよね?」
と尋ねたところ、認識通りとの回答を得た。
打ち合わせは5分で終了した。

目の前の事だけしか見ていないのか。
移設するモノの仕組みなど、そのモノの本質を理解しようとしていない。
単なるポンプ一つでも、多くの人の時間を使い無駄な遠回りをしていると感じた。
最初に行ったであろう、打ち合わせでポンプの作動原理と追加機能の作動原理が理解できていれば、その場で解決した案件だ。

なぜ、この話をしたか。
入社して30年余りの間に、人は20倍になっている。
特にこの10年ぐらいで人の質(知識や経験)が低下している。
今回の事象もその一つだと思っている。
トラブルや品質問題だけではない。
人の質によって余計な時間や確認が増えている。

持論だが、モノづくりの現場を預かる長は、その現場の事や機器、装置の仕組みや構造を把握できるだけの能力は最低限必要だと考えている。

しかし、会社が大きくなり、人も増えたが、知識と経験のない者が長となる。
単に上司とのコミュニケーションが上手いだけの者が、長に任命され従事する。
自分がわからないことは、調べる前に分かる人に振る。
上司の求める答えを出すために、伝言ゲームを繰り返す。
モノづくりの現場がそれでいいのか。

長たる者は、何かあれば直ぐに現場に駆けつけて、一緒になって解決する。
そんな現場力がモノづくりを強くする。

うちの会社だけではないのではないかと感じている。
今、日本のモノづくりは、知識経験のあるベテランが減少し、ベテランの知識がなくなり、現役世代が今までの延長線でモノづくりをしている。
そこに挑戦はない。
今まで通り職人が溶接を毎日コツコツ繰り返す。
気がつくと中国はロボットで溶接し、安定的に大量のモノづくりを行う。
スピードと規模も完全に日本は負けている。
先日のイタリア人との面談でも感じたこと。

会社を変えることはできないが、自分は変えられる。
分からない人への関わり方、サポートの仕方と個々によって違う。
その人の気づきや成長に繋がるように、そっと手を差し伸べられるような自分でありたい。

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