外食産業のFC経営って実際どうなの? 20店舗を運営する側から見える景色
「フランチャイズ経営」と聞くと、どんなイメージを持つだろうか。
本部のブランドや仕組みを使えるから、自分でゼロから商売を始めるより簡単そう。
逆に、
「本部の言う通りにやるだけで、経営者としてはあまり面白くなさそう」
と思う人もいるかもしれない。
実際に経営する側に立ってみると、FC経営は思っている以上に「経営」だと感じる。
特に外食産業の場合、商品を売るだけではない。
人を採用し、育て、毎日店舗を営業し、お客様に満足してもらい、その上で利益を残していかなければならない。
店舗数が増えるにつれて強く感じるのは、外食FC経営で一番難しいのは「店を営業すること」ではなく、人と組織をつくることだということだ。
FCだから勝手にうまくいくわけではない
フランチャイズには大きなメリットがある。
すでにブランドがあり、商品があり、オペレーションがあり、教育システムもある。
ゼロから飲食ブランドを立ち上げることを考えれば、とても大きな強みだと思う。
ただ、
ブランドが強いことと、加盟店の経営がうまくいくことは別の話だ。
同じブランド。
同じ商品。
同じような設備。
それでも店舗によって売上も利益も、お客様からの評価も、従業員の雰囲気も変わる。
外食産業は特に、現場で働く「人」の影響が大きい。
結局、最後に差が出るのは人とマネジメントだと思っている。
自分が頑張れば何とかなる経営には限界がある
1店舗であれば、経営者自身が現場に入り続けることで解決できることも多い。
忙しければ自分が入る。
数字が悪ければ自分で確認する。
スタッフに問題があれば直接話す。
自分の目で店舗全体を見ることができる。
でも、20店舗になるとそうはいかない。
当然、自分が20店舗すべてに毎日いることはできない。
そこで経営の考え方が、
「自分ができるか」から「自分がいなくてもできるか」
に変わっていく。
外食産業は毎日現場が動いている。
自分がその場にいなくても、それぞれの店舗で正しい判断がされ、一定以上の店舗運営ができる状態をつくらなければならない。
店舗数を増やしていくほど、優秀な一人に頼る経営ではなく、誰かが抜けても回る仕組みが必要になる。
この部分が、多店舗経営の難しさでもあり、面白さでもある。
店長を育てるだけでは足りない
多店舗経営では、当然店長の育成が重要になる。
ただ最近は、
「優秀な店長を何人つくれるか」
だけではなく、
「優秀な人が育ち続ける組織をつくれるか」
の方が大切だと感じている。
一人の優秀な店長の力だけで結果が出ている店舗は、その人が異動した瞬間に弱くなる可能性がある。
本当に強い店舗は、店長が次の責任者を育て、その人がまた次の人材を育てられる店舗だと思う。
経営者がすべてを教えるのではなく、組織の中で人が育つ。
20店舗を運営する上では、この状態をつくれるかどうかが非常に大きい。
売上だけを見ても経営は分からない
外食産業では、どうしても売上が注目されやすい。
「前年比何%」
「過去最高売上」
もちろん売上は重要だ。
でも、経営側にいると売上が上がればすべて解決するわけではないことが分かる。
人件費、原材料費、採用費、修繕費、水道光熱費、家賃。
店舗を営業し続けるためには、さまざまなコストがかかる。
だから見るべきなのは、
「いくら売ったか」
だけではなく、
「その売上をつくるために何を使い、最終的にいくら残ったのか」
だと思っている。
そして、この感覚は経営陣だけではなく、店舗を任される人たちにも持ってもらいたい。
店舗での小さな判断の積み重ねが、最終的には会社全体の利益につながっていくからだ。
経営者の仕事は、店を回すことではない
店舗数が少ない頃と比べて、経営者として考えることも変わってきた。
今は、
経営者の仕事は、組織が正しい方向に進み続ける状態をつくること
だと思っている。
何を大切にするのか。
どの数字を見るのか。
誰を評価するのか。
誰に次の仕事を任せるのか。
会社として、どこを目指すのか。
こうした判断の積み重ねが、数年後の会社をつくる。
20店舗になれば、自分自身が現場で何をするかよりも、自分の考えや仕組みをどう組織に残すかの方が重要になってくる。
もちろん、私自身もまだ完成された経営ができているわけではない。
店舗数が増えれば、新しい課題もどんどん出てくる。
人材育成、利益管理、採用、組織づくり、事業承継。
外食産業という、日々多くの人が関わる仕事だからこそ、経営の難しさも面白さもある。
このnoteでは、外食産業のFC企業を経営していく中で実際に感じたこと、失敗したこと、うまくいったことを、自分なりの言葉で書いていこうと思う。
きれいな経営論ではなく、
「実際の現場ではどうなのか」
という部分をできるだけ残していきたい。
