見出し画像

走る者と止まる者と 〜歴史と囚われのこころに〜

九條です。

風が吹けば、雲は流れて行きます。
川があれば、水は流れて行きます。

歴史は、人がつくり、人の心が紡ぎ出すものです。ですから、人の心が分からない人には歴史は理解できないのです。

(私の大学生時代の恩師の言葉)


その歴史(過去の出来事)から学び、その教訓を現在、そして未来へと活かして行くことは、日々歴史を刻んでいる私たち人間として、とても大切なことだと思います。

けれども、過去の一点、過去のある出来事に囚われ続けて、そこから心を動かさないことは、とても愚かなことだと思います。

川の流れのように、風が吹き抜けるように、心が囚われている過去をサラッと流すことは、とても大切なことだと思います。

その昔、アングリマーラという殺人鬼がいました。

彼は、お釈迦さまの命を奪おうとして、歩いていたお釈迦さまを走って追いかけました。

けれども彼は、走っても走っても、追いかけても追いかけても、いつまで経っても歩いているお釈迦さまに追いつけません。

彼は立ち止まってお釈迦さまに向かって叫びました。

「沙門よ、立ち止まれ!」

お釈迦さまは言われました。

「私は止まっています。あなたこそ立ち止まったらどうか」

アングリマーラは言い返しました。

「お前は歩いているのに止まっていると言い、そして立ち止まっている俺に対してお前は止まれという。それは一体どういう意味だ!」

お釈迦さまは言われました。

「アングリマーラよ。 私は、生きとし生ける者に悪意を抱くことなく、心は常に静かに止まっています」

「けれども、あなたのその心は、命ある者に対して悪意を抱き続け、その悪意に囚われ続け、そうして立ち止まることなく悪意の中で苦しみ続けているではないか」

「だから、私は止まっているが、あなたは止まっていないと言っているのです」

アングリマーラは、このお釈迦さまの言葉にハッと我に返って改心し、その場でお釈迦さまに弟子入りしました。

【出典】
中部経典『アングリマーラ経』(漢訳大蔵経『央掘摩羅経』)


©2026 九條正博(Masahiro Kujoh)


#歴史
#仏教
#こころ
#囚われ
#歴史学
#仏教史
#仏教思想
#仏教説話
#日本史がすき
#世界史がすき
#アングリマーラ