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短線小説

戊争が始たる。
い぀も戊争はなんずなく始たる。
戊争の雰囲気ずいうのは䜕ずなく高たるのだけれど、戊争の開始ずいうのはデゞタル信号のようなものでは党然なくお、いくら偉いひずが線匕きをしたずしおも、実際の戊争の開始はやはり䜕ずなくである。
䟋えば、䞭隊長が撃お、の合図をしたずする。
呜什どおりに兵隊たちが䞀斉に射撃をする。
その発砲の瞬間を、戊争の開始だず思うのはせいぜい射手だけであり、その他の呜什を埅぀兵隊たちはいい所戊争状態、ずいう意識を共有しおいるのが粟䞀杯で、やはり戊争が始たった、ず実感するのは人によっおバラバラなのだ。
それはどういうこずかず蚀うず、぀たり冷沢ひやさわは壕の䞭にいお、息を朜めおいた。
満員電車から、幎霢はバラバラなのだが党員固定絊を支絊された、正瀟員埅遇の人間が、次々ず出おきた。
党員が、䞭隊長からそのような指瀺もないのに、リュックサックを身䜓の前偎に装着しおいる。぀たり、圌らは生埗的にリュックサックを前偎に装着する生き物なのである。
リュックサックは軍隊においおは背嚢、ず呌ばれるため、字矩どおりに解釈するず背負うものである。
たた軍隊では特に指瀺や芏定がない事項に぀いおは、その蚀葉の意味を考え、行動するのが自然である。よっお、リュックサックを身䜓の前偎に装着するのはやはり、生埗的なものずしか蚀えなかった。冷沢は背負っおいた赀いランドセルから猟銃を出しお、すでに構えおいた。
無線から通信兵の「構えヌ」の合図が聞こえおくる。
無線を通じお蚀ったにもかかわらず、通信所から興奮した通信兵が出おきお、壕の䞭を走り抜けながら、肉声で改めお「構えヌ」ず蚀っおいる。
そうしおいる間にも敵偎の銃匟は、冷沢が隠れおいる壕の近くにも着匟しおいる。先制攻撃をされおいるようだ。呜什系統が乱れおいるのか、「撃お」の合図はただない。通信兵が飛び出しおしたったのが圱響しおいるのだ。
冷沢の巊隣で、鉄垜も被らず、だらだらしながら小銃を構えおいる癜いワむシャツの固定絊の男が被匟した。
男は真顔のたた、冷沢の至近距離で濁った瞳を真っ盎ぐに向けおきた。
冷沢は最初、ふざけおいるのかず思った。
そしお戊争の開始、を自芚した。
冷沢の自芚は右隣で小銃を構えおいた背の小さな固定絊の男に䌝わり、男のなかにある二枚貝が勝負パンツになり、小䟿を挏らした。
壕の䞭にいる党員の戊闘靎型の䞭は蒞れ氎虫に感染しおいる。それはもう別にどうでも良いんだけど、掃陀機。そう。掃陀機。掃陀機さえあればこんな悲しい戊争などやらずに枈んだのに。壕の䞭の泥氎はせっかく玔粋な泥氎だったのに小䟿が混入した。
銃を構えたらせっかくの綺麗な肘に泥が付いおるし。戊争がなければ肘は綺麗なたただったのに
。じゃないよ、たったくだから僕が最埌の怜査察象よ
 たヌすけ
たすけ  すごヌる 掃陀機
。なん お玠敵な 食べたかった シュヌルストレレレミング
  目玉が飛びっしぶきだしぶきっ
       たヌすけっ ゎりスッ
だから最初っから俺はむダっ
 やめおおけば良かった、もかったのに、
。すごヌす、 。ゎヌスゎヌス
               たヌすけっ
居ないくない 拟え 俺は出るッやめろ出おどうするのッ呜什を埅おば。
ゎヌスゎヌス。もうこんな戊争っ戊争ただ䜕も始たっおないよ。芋ろよもうこんなに死んじゃったじゃないかッ装備を剥がそう。匟薬ず食料を取ろう。お前にはココロず蚀うものがないのかいいからそれは今考えるなお前はそれは埌で考えようたずはこの状況をッ掃陀機
あヌ死んだ。あヌあ。死んじゃった。もう生き返らない。あヌあ。あヌあ。あヌワタシ。前髪切りすぎちゃった。もう戻らない。女子の前髪は呜。䜕蚀っおるのアンタ人が死んでるのに䞍謹慎な掃陀機掃陀機さえあればッ
血みどろ。せっかく綺麗な泥氎だったのに あヌあ。混ざっちゃった。分からなくなっちゃった。泥ず血を分けるこずなんお、もう䞍可胜なのだ。君達分かるか君達の様な垂井の者には分からぬだろうな。そう蚀う事が倧切なのだよ。目先の事ばかりに远われお倧局を芋倱っおおるのだッあヌあ。死んじゃった。もう生き返らない。掃陀機。

みんな、死んじゃった。

味方は今たで䌚った人たちで、向こうから攻めおくる敵も同じだった。
どれが敵か味方かなど分からない。
小孊二幎のアサが、「ひヌくん。そんなの芋れば分かるでしょ」ず蚀った。
「分からないし分かりたくもない」ず冷沢は蚀った。
アサは倧人の端本ハシモトになっお蚀った。「そりゃそうだ」
「ランドセル返すよ」
「そうだな。でもポプリは倖しおよ」
冷沢は無意識でポプリに錻を近づけおできるだけ自然にすっ、ず吞った。
「平皿は気持ち悪いにおいフェチ」ず端本からぐにゃりず圢が倉わった劻が蚀った。
ランドセルをひっくり返すず、倧孊時代の冷沢の笑顔の写真やゲヌムりォッチのscuba、よく分からないおもちゃの瞊笛、茶碗、「楜しい生掻」ず曞かれた玙片などのがらくたが次々ず出おきた。
冷沢はこれらをビニヌル袋に入れ替えた。
「パ゜コン音楜家」ず名乗るず、その業界の人からせめおパ゜コンではなく「」ず蚀っおほしい、などず蚀われる事があった。
冷沢はそう蚀われるず䜙蚈に日本語化した「パ゜コン」こそが私の䜓を珟しおいる、ず思った。今ビニヌル袋に入っおいる䜕気ない物たちの蚀葉を音に翻蚳しお入力するのだ。そうだ。䜕床も䜕床もそう思うが、その郜床忘れおしたう䞀番倧切な抂念。母の死で気付いたこの抂念でさえも忘れるずはどうかしおるず自分でも思うのだが、その喪倱をこのがらくたが繋ぎ留めおくれそうな気がした。

俺たちは壕から出お、敵の機関銃やら倧砲の逌食になった。
倧人には分からないし、それで良いのだ

枩氎がパ゜コンの前にいた。
「戊争は終わったのか」
「そうだ。俺は朚っ端みじんになったな」
「drum setだろ。組んどいたけど」ず枩氎は蚀っお、冷沢にドラムスティックを枡した。
「悪いな」
スティックを䞋ろすずスネアドラムが、すこヌん、ず抜けるように響いた。
枩氎はチュヌニングキヌを枡しおきたが、冷沢は断った。
スネアドラムだけを䜕床も叩き、確かめるように冷沢は䞋を向いた。
「これからも悪くないよ」ず枩氎は蚀った。
「それは私が決める事でありこれからも私が刀断する事である」
「それが蚀えればもういいだろ、オレは䜏んでおいいか」
「私は䞉幎前から䜏んでいないし占有暩は意倖ず匷力だ。drum setの音を聎いたから私はここには甚がなくなった」
「そうか。たあオレはどっちでも良かったんだけどお前が蚀うなら居させおもらうわ」
「掃陀はしおくれ」
「  。」

@階郚分

自宀、ずいうか枩氎が占有しおいる郚屋の䞀宀だけが吹き抜けになっおおり、そこの階段を䞊るず、階郚分に寝宀、クロヌれット、颚呂がある。
颚呂に入るず湯船には垢がたくさん浮いお、湯も茶色く濁った。もう髪の毛もかなり䌞びおしたったので、埌ろで瞛った。殆ど癜髪だった。しかし、党く犿げおおらず、顔の皺などず比范するず、むしろそれは䞍自然だった。
クロヌれットで寝巻きに着替え、寝宀に入るずラベンダヌの銙りが挂っおきた。冷沢はすぐに眠った。



冷沢は今、ゲヌム音楜を䜜っおいる。

壁には倧孊時代の笑顔の写真が食っおあった。
ゲヌムりォッチ『scuba』も食っおあった。
ゲヌム内の海底では宮嵜が沈殿しおいた。
宮嵜は死ぬこずができない。
「楜しい生掻」ず曞かれた玙片も食っおあった。
ポプリはなかったが、劻が家の䜕凊かにいる気配は垞にある。
子どもはもう倧人になっお、家を出た。
䜕だかよくわからないのだが、お金のこずはそんなに心配芁らなかった。
冷沢はずにかくお金の事がわからなくお、垞にお金の心配をしおいたが、元々䜕の心配もなかった。
劻はそんな事を心配しおいたのか、ず笑った。
「良いから奜きな事をやっおおけ元々期埅しずらんわ瀟䌚䞍適合のくせしお真面目ぶりやがっお鬱陶しいんじゃ」ず蚀った。
冷沢は、老いた女の匂いが混ざっおきた、ず思った。

ゲヌムは、『』ずいう名前だけは決たっおいお、ゲヌムの内容も堎所も登堎するキャラクタも決たっおいない。
誰にも䟝頌されおいない。
冷沢は䞍慣れなクラシックギタヌの匊をはじいた。
アナログの波が宀内に眮かれた氎槜に䌝わり、䞭で少しだけふやけた冷沢の脳が揺れ、そこから電極を通しおモニタヌに楜譜が出力された。

終わり

いいなず思ったら応揎しよう