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毎週ショートショートnote|迎え火オペラ

笹木が夜勤明けで家に帰ると、母親が台所で茄子と胡瓜に爪楊枝を何十本も刺していた。
彼は廊下からそれを一瞥し、洗面所で服を脱ぎ、入浴した。

風呂上がりのパンツとシャツだけの彼は、冷蔵庫から缶ビールを取り出し、居間のソファで座りながらそれを飲んだ。
十五分くらいかけてビールを飲み終えた笹木は、胡瓜の馬に乗っていた。
雲から雲へと馬はジャンプし、気付いたら笹木の知らない所まで来ていた。
ある雲まで来たとき、彼の祖母が茄子の馬に乗っていた。
祖母の馬が走り出したため、彼はそれに続いた。

身体が熱い。息が苦しい。
笹木が目を覚ますとあたりは煙に包まれていた。
近くにあった椅子で掃き出し窓を割ると、煙が流れて視界が開けた。そのまま窓ガラスを全て割り、外に出た。
外は消防車と野次馬で大騒ぎだった。
母親はいつものように奇声を張り上げていたが、彼にはオペラでも歌っているように聴こえた。
夕陽をバックに燃え盛る家を見て、笹木は独り暮らしをすることに決めた。

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