まつげ
通りでは雨が降っている
少し落ち着いたと思われた
うだるような夏の暑さがぶり返す
風に吹かれて飛んでいく熱も
直に耳まで赤く染めていく
ときおり、あなたの目を見ては
合いそうになるとすぐ逸らしている
じめじめと湿度の高い空間
二人はぼやけた空の下を歩いた
「前髪、切らないの?」
「いい髪型が決まらないんだ」
向き合ったあなたは私の髪の毛を弄んだ
私はされるがままに目のやり場に困っていた
一点に視線を取られた
「まつげ」
「まつげ?」
「……ながい」
「そうかなぁ」
あなた私の髪を掴んだまま
頬を熱くし、目を伏せた
薄茶色の瞳の上、
まつげはよりいっそう
存在感を放っていた
