医学は難しい!④
医学部生活を送る上で最近気付いたことがある。それは「医学は難しい」ということだ。特に二年生の基礎医学は数々の医学生を泣かせてきた鬼門である。
筆者の周囲を考えても、数々の秀才が基礎医学の前に挫折していった。医学部二年生は危険な時期であり、授業・試験・実習・課題などが殺人的な頻度で詰め込まれる。不真面目だと落第するが、真面目だと病んでしまう。実際にそういう例を多数聞いていた。いわゆる「頭の良さ」というより、事前の情報収集や人間関係の構築、あるいはメンタルや体調管理といった別のところで決まるのが医学部の試験である。
さて、そんな中で筆者は自分なりにPDCAを回し、なんとか乗り切ってきた。ますます凶暴性を増すカリキュラムの前に一時は圧倒されそうになったものの、色んな人の意見を聞きながら自分なりの方法論を確立し、複数回の試験を突破してきている。
だから、最大の峠を超えつつあると高をくくっていた。しかし、それは間違いだったのである。最後の最後で試験に失敗してしまった。再試が確定したわけではないが、今までのPDCAに自信をなくすような失敗だった。
その授業はいわゆる「重い科目」「要注意科目」ではなかったので、筆者はあまりエネルギーを割いていなかったのた。しかし、今年は問題傾向が大幅に変わっており、過去問どおりの対策では通用しない試験だった。気の抜けた学生を殺しにかかっているような試験であった。医学部の教員には「舐められたくない」という心理が働くのかもしれない。
もちろん、筆者の方法論ではそのような事態は十分に想定内だった。こういう時は逆に過去問通りの問題を絶対に落とさないことが大事になる。難問で知られる京都府立医科大学の入試でかえって共テが大事と言われるのと同じだ。出題傾向の変更だけなら耐えられたはずだった。仮に失点してもバッファーの範囲内に収まったはずだった。
しかし、今回ばかりは想定外が重なった。どうにも共有フォルダにアップされていた過去問に間違いがあり、しかもそのことに気付けなかったのである。お陰で過去問研究も要点を外しており、完全にやらかしてしまった。こればかりは痛恨のミスしか言いようがない。先輩から直接過去問をもらっていた者やスライドで真面目に勉強していた者、あるいは抜けに気づいた者は傾向が変更になっても合格点が取れているのだろう。
嘆いていても仕方がない。PDCAをより完璧なものにするには、反省点を抜き出すことが必要となる。今回の失敗の原因は林修が言っていた「負けるヤツの共通点3つ」と良く似ている。

まず1つ目の敗因は「情報不足」である。同級生を見ていると、部活の先輩から過去問や試験情報を聞いていた者はみな要点を押さえて対策ができていた。筆者も一応聞いてはいたのだが、「楽勝」という情報を鵜呑みにしていた。「情報収集をきちんとできていたか」で大きな差がついたと言える。
2つ目の敗因は「慢心」である。筆者は7月までの試験は全て計画通りに突破できていたので、自分は大丈夫な側だという慢心があった。先述の情報収集にしても、もう少し危機感があったらどうにかなっていたはずだ。情報を複線化するとか、他の同級生の進捗を共有するとか、一応シラバスを確認してみるといった、普段やっているはずの工夫を怠っていたことは間違いない。
3つ目の敗因は「思い込み」である。筆者はこれまでの経験から自分の確立したノウハウは完璧であるという思い込みがあった。共有フォルダの情報があるから大丈夫という思い込みがあった。情報源は正確であるという思い込みがあった。しかし、「想定外」は常に起こるものである。おかしな点はあったのに、それを疑ってみることすらしなかった。不測の事態は1つまでなら耐えられる設計だったが、2つとなると想定の範囲外だった。
そういうわけで、医学部という環境は油断大敵である。安泰だと思い込むとあっという間に失敗する。医学生の敵は前にも後にも右にも左にも上にも下にも斜めにもいる。思わぬ「まさか」が落第の元となる。
「情報不足」「慢心」「思い込み」、この3つに警戒しつつ、周囲を協力しながら医学という難関を乗り越えていきたい。
