幼馴染
私の人生できっと唯一無二。
生まれる前から親同士の縁で幼馴染。
1歳年上。
私の母が毒母になる前から知ってる。
障害を持つ弟が生まれてから、母が毒親に変わってしまった。
いや、その前からきっと片鱗はあったと思う。
いつも母の挙動に揺らぐ生活。
その生活には痛みもワンセット。
彼の家とは京都と福岡で離れてて、会うのは数年に1回。
ちっちゃな私が彼の姉の寝相に巻き込まれて泣いていた夜のこと。
真っ先に隣に眠ってた彼が起きて、大人を隣の弟に呼びに行ってもらった。
彼は私を安心させるために手を握って、ふわっとした表情で見守ってくれてた。
それから彼は私の左側が定位置になる。
彼の家を訪れる時は外面の良い母がバレないように私の足をチクっとつねる。
その度に苦悶の表情をする私に気づいて、彼が母をジロっと見て牽制してくれてた。
母はいつも彼が私のそばに座ること、どんなに彼を睨んだところで動じないこと。
不満を抱えた母がしたことは、
「彼と私は住んでる世界が違う」
と言い続けた。
その重い鎖は私を侵食し続け、思春期に彼が私への想いを形にしようとした時、私は彼の進学で家を離れることを理由に距離を置いた。
それから30年あまり。
今でも彼のことは忘れたことはない。
私の狭い世界に光を射してくれた彼。
あの母を牽制したのも彼1人。
あの時彼の想いに正直になっていたらどうなっていただろう。
「私も好きだよ」
たった一言、言うだけだった。
彼の手を離した私の想いは今も胸の中に痛みとして残ってる。
もしも毒母の家でなければ・・・
あの言葉さえ聞かなければ・・・
抱えきれないほどの後悔。
今も彼への想いは残ってる。
ずっとずっと大好きな人。
唯一無二で取り替えのきかない人。
彼がどこかで笑ってくれたらそれでいい。
できるなら、彼が幸せであってほしいと願う。
