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京都で半日リトリート。午後3時からの清水寺参り

京都での用事を済ませた、午後3時の京都駅。
帰りの新幹線まで、あと4時間ほどありました。

どこかでお茶をして過ごすには少し長く、遠くへ行くには少し短い。そんなぽっかり空いた時間に、ふと思い浮かんだのが清水寺でした。

実は、清水寺にお返ししたいものがありました。近くのお寺に納めることもできたけれど、どうしても直接お返しに行きたい。そう思って、バス乗り場へ向かいました。

夏の京都駅は、人も熱気もたっぷり。けれど、バス乗り場で待っていると、ミストがふわっと流れてきて、ひんやり気持ちいい。暑さで少し重たくなっていた体が、すっと軽くなるようでした。

乗り込んだバスは満員。
でも、その混み具合さえ「京都に来たなあ」と感じさせてくれます。窓の外に流れる街並みを眺めながら、心地よい揺れに身をまかせること約15分。五条坂のバス停に到着しました。

清水寺へ向かう参道は、夕方でもまだ賑やかでした。
時間帯のせいか、降りてくる人のほうが多く、参道のお店には飲み物やスイーツ、冷やしきゅうり、お土産を楽しむ人たちの姿があります。

人は多いのに、不思議とうるさく感じない。
旅の余韻を持った人たちが、ゆったり歩いているからでしょうか。夏の夕方の賑わいが、むしろ心地よく感じられました。

坂道を15分ほど歩くと、仁王門に到着。
目に飛び込んできた朱色が、ぱっと鮮やかで、まるで「よく来たね」と迎えられているような気持ちになります。

さらに進んで、本堂へ。
まずは清水の舞台でお参りをして、目的の納経所に向かいました。お返しするものを納め、今日の御朱印をいただく。その一連の流れだけで、心の中にあった小さな引っかかりが、静かにほどけていくようでした。

そして、もう一度本堂へ戻ると、気になっていた行列がありました。
聞けば、ちょうど千日詣りの時期。毎年8月9日から16日まで行われる、観音さまの特別な縁日で、1日のお参りで千日分の功徳が得られるとされています。

その行列は、本堂内々陣の特別参拝の列でした。

近くで済ませず、わざわざ清水寺までお返しに来たことへのご褒美のように感じて、私も並ぶことにしました。

内々陣の中は、外の賑わいとはまったく別の世界でした。
薄暗い空間に、和蝋燭の明かりだけがゆらめいています。空気は厳かで、凛としていて、足を踏み入れた瞬間に背筋がすっと伸びました。

脱衣婆、不動明王と順番にお参りしていくうちに、心の中のいらないものが少しずつ落ちていくような感覚がありました。
不安や疲れ、気づかないうちに握りしめていたもの。そういうものを、ここに置いていっていいのだと思えたのです。

すると不思議と、お腹の奥、丹田のあたりに力が戻ってきました。
ふわふわしていた気持ちが、静かに自分の中心へ戻っていくようでした。

最後に千手観音にお参りをして、内々陣を出るころには、心がとてもすっきりしていました。


そのあとは、奥の院、音羽の滝を抜けて、帰りはレンタサイクルで京都駅へ。
バスとは違うスピードで感じる京都の街並みは、また格別でした。風を受けながら走ると、さっきまで体に残っていた暑さも、参道の人混みも、すべて旅の一部として心地よく残っていきます。

午後3時から始まった、思いがけない半日リトリート。
何か特別な準備をしたわけではないけれど、京都の街と清水寺の空気に、心と体を整えてもらった時間でした。

帰りの新幹線に乗るころには、足取りも気持ちも軽くなっていました。
短い時間でも、ちゃんと自分に戻れる旅はできる。
京都の午後が、そっとそう教えてくれました。


【音羽山清水寺 千日詣り】
毎年8月9日~16日(本堂内々陣特別拝観)(9:00~17:00 受付終了)
※ 14日〜16日は夜間拝観が可能(21:00 受付終了)
※ 予約不要


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