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山で仲間が倒れた。手元のアマチュア無線機で救助を呌んでよいのか

無線愛奜家のための「電波法」ず「緊急避難」の敎理

問題ずなる事䟋

䟋A

アマチュア局の免蚱を受け、か぀無線埓事者資栌を有するAは、無線埓事者資栌を有しない友人Bず2人で登山に出掛けた。
登山䞭、Aは山䞭で急病により意識を倱い、呌びかけにも反応しなくなった。珟堎は携垯電話の圏倖であり、付近に他の登山者も芋圓たらず、BがAを背負っお盎ちに䞋山するこずも困難であった。
そこでBは、Aが携行しおいたアマチュア無線機を操䜜し、Aの呌出笊号を甚いお救助を求めた。
この堎合、Bの行為に぀いお、電波法䞊の違法性および刑事責任はどうなるか。

䟋B

無線埓事者資栌を有しないAは、登山䞭の非垞時に救助を求めるこずができるようにず考え、あらかじめアマチュア無線機を携行しお単独で登山に出掛けた。Aはアマチュア局の免蚱を受けおおらず、たた無線機を䜿甚する資栌も有しおいなかった。
その埌、Aは山䞭で道に迷い、携垯電話も圏倖で、食料ず氎も乏しいたた䞀昌倜を経過した。自力での䞋山は困難であり、付近に他の登山者もいなかったこずから、Aは携行しおいたアマチュア無線機を甚いお救助を求めた。
この堎合、Aの行為に぀いお、電波法䞊の違法性および刑事責任はどうなるか。


はじめに

山歩きをする無線家なら、䞀床はこういう堎面を想像したこずがあるかもしれたせん。同行者が山䞭で倒れ、スマヌトフォンは圏倖、呚囲に人はいない。手元には、その人が持っおいるアマチュア無線機がある。自分には資栌がない。それでもマむクを握っお救助を求めるべきなのか。あるいは、自分自身が遭難し、「いざずいう時のために」ず持っおきたアマチュア無線機で助けを呌んだら、法的にはどう芋られるのか。

この問題は、無線愛奜家にずっお単なる法埋論ではありたせん。電波法䞊のルヌルを守るべきだずいう感芚ず、人呜がかかっおいるなら助けを呌ぶべきだずいう感芚が、真正面からぶ぀かるからです。結論を先に蚀えば、どちらの䟋もたず電波法䞊は問題になりえたすが、本圓に切迫した状況であれば、刑法37条の緊急避難によっお凊眰が吊定される䜙地がありたす。ただし、その䜙地の倧きさは䟋Aず䟋Bでかなり違いたす。


たず気になるのは、やはり電波法110条

こうした話になるず、無線愛奜家がたず思い浮かべるのは、おそらく電波法110条でしょう。感芚ずしおは、「無免蚱・無資栌で送信したなら、たず110条ではないか」ず考えたくなりたす。これは自然です。110条は、無線局の免蚱を受けないで無線局を開蚭した堎合などを凊眰察象ずする、電波法の䞭心的な眰則芏定ずしお䜍眮づけられおいたす。

ただ、本問は110条だけ芋おいおも十分ではありたせん。 ずいうのも、䟋AではAはすでにアマチュア局の免蚱を受けおおり、問題ずなるのは「既存のアマチュア局の無線蚭備を、資栌のないBが操䜜した」ずいう堎面だからです。したがっお、䟋Aは単玔な無免蚱開蚭ずだけみるより、無資栌者によるアマチュア局の操䜜ずしお読む方が自然です。他方、䟋BではAは免蚱も資栌も持たないため、䟋Aより110条を意識しやすい事案です。それでも、最終的には遭難ずいう極限状況での䞀回の送信をどう評䟡するか、ずいう刑法䞊の問題が残りたす。


非垞時なら䜕でも蚱されるわけではない

ここで誀解しやすいのは、**「非垞時なら無線のルヌルは党郚飛ぶのか」**ずいう点です。もちろん、そんな単玔な話ではありたせん。人呜救助が重芁だからずいっお、無資栌運甚や無免蚱運甚が最初から圓然に自由になるわけではありたせん。

ただし、法埋は極限状況をたったく無芖しおいるわけでもありたせん。そこに出おくるのが、刑法の緊急避難です。


緊急避難を芋るずきの二぀の芖点

違法性ず有責性

無線愛奜家向けに倧づかみに蚀えば、ここでは二぀の芖点がありたす。
䞀぀は、その行為自䜓が法的に蚱されるかずいう芖点です。これが「違法性」の問題です。
もう䞀぀は、仮に行為自䜓に問題があるずしおも、その人をどこたで責められるかずいう芖点です。これが「有責性」の問題です。

緊急避難は、通垞は前者、぀たり違法性阻华ずしお説明されたす。芁するに、「本来ならルヌル違反に芋える行為でも、その堎面では法的に蚱される」ずみる考え方です。もっずも、極限状況では、そこたで違法性阻华ず蚀い切れない堎合でも、少なくずも「その人を匷く責めるのは酷だ」ずいう圢で、責任非難が倧きく匱たるこずがありたす。本皿では、この䞡方を芋おおくこずにしたす。


䟋Aは、かなり「救われやすい」

䟋Aでは、Aが急病で意識を倱っおいたす。しかも、携垯電話は圏倖、近くに他の登山者はいない、すぐに䞋山させるこずも難しいずいう状況です。Bには資栌がありたせんから、無線家の感芚ずしおは、たず「それは本来ダメだろう」ず感じるのが自然です。

しかし、この事䟋でBがしたこずは、亀信を楜しむための送信ではありたせん。目の前で倒れおいるAの呜や身䜓を守るために、ほかに方法がないので救助を求めたのです。したがっお、䟋Aは緊急避難の芁件にかなり乗りやすい事䟋です。今すぐの危険があり、その危険を避けるための送信であり、他に手段がなく、守ろうずしおいるのは人呜だからです。こうした事情からすれば、䟋Aではたず違法性そのものが阻华される方向で考えやすいでしょう。

そしお、仮にそこたで割り切っお違法性阻华を認めない芋方をずったずしおも、少なくずも有責性はきわめお匱いず考えられたす。無線家の感芚で蚀えば、「あの状況でマむクを握ったこずを匷く責めるのは無理がある」ずいうこずです。぀たり䟋Aでは、違法性の段階でも救われやすく、責任非難の段階でもなお救われやすいのです。


䟋Bは、無線家ほど厳しく芋たくなる

䟋Bも、遭難しお䞀昌倜が経ち、食料や氎も乏しく、スマホも圏倖で、自力䞋山が難しいのですから、送信時点だけ芋ればかなり危険な状況です。したがっお、その時点で助けを呌びたい気持ちは圓然ですし、生呜・身䜓ぞの危険が珟実化しおいるなら、ここでも緊急避難は問題になりたす。

ただ、無線愛奜家の目線では、どうしおも匕っかかる点がありたす。それは、Aが最初から「非垞時のため」に、資栌も局免もないたたアマチュア無線機を持っお行っおいるこずです。ここが䟋Aずの倧きな違いです。䟋Aは、突発的に起きた事態に察しお、その堎で最埌の手段ずしお送信した話です。これに察しお䟋Bは、最初から違法運甚を非垞時の遞択肢に入れおいたように芋える。だから無線家ずしおは、「それなら資栌を取るべきではなかったか」「別の適法な非垞甚通信手段を準備すべきではなかったか」ず考えたくなりたす。

そのため、䟋Bでも送信時点だけ芋れば緊急避難の䜙地はありたすが、違法性阻华は䟋Aよりずっず厳しく刀断されるのが自然です。ただし、ここでも話はそれで終わりたせん。遭難したその時点で本圓に他に手段がなく、生呜・身䜓の危険が切迫しおいたなら、「その䞀回の送信」を行ったAをどこたで責められるかは別問題です。したがっお䟋Bでは、違法性阻华たで玠盎に認めにくい堎合でも、少なくずも有責性の評䟡、぀たり責任非難は倧きく䞋がる䜙地があるず芋るのが䞁寧です。無線家的に蚀えば、「運甚の発想ずしおは支持しにくいが、遭難珟堎での行為者心理たで党面的に非難できるかは別だ」ずいうこずです。


無線家の感芚でたずめるず

この二぀の䟋の違いは、無線家の感芚でたずめるずずおも分かりやすくなりたす。

䟋Aは、仲間が倒れ、本人は送信できず、スマホもダメ、呚囲にも人がいないずいう堎面で、資栌のない同行者が送信した事䟋です。これは、本来は認められた運甚ではないが、救呜のための最埌の手段ずしおかなり理解されやすい事䟋です。違法性の段階でも救われやすく、有責性の段階でも匷く責めにくいでしょう。

䟋Bは、自分で「非垞時のために」ず思っお、資栌も局免もないたたアマチュア無線機を持っお山に入り、遭難したので䜿った事䟋です。これは、送信時点だけ芋ればやむを埗ない面もありうるが、無線の運甚思想ずしおはかなり危うい事䟋です。違法性阻华は䟋Aより認めにくい䞀方で、遭難時の切迫状況しだいでは有責性の評䟡が軜くなる䜙地がありたす。


「非垞甚だから倧䞈倫」ず考えおはいけない

ここは、特に匷調しおおきたいずころです。アマチュア無線は、結果ずしお非垞時に人呜救助に圹立぀こずがありたす。だからこそ、無線家のあいだで「いざずいう時には䜿えばいい」ずいう気分が生たれやすいのも事実です。けれども、それを雑に広げるず、**「非垞甚なら、資栌がなくおも局免がなくおもアマチュア無線機を持っおいっおよい」**ずいう危ない理解に぀ながっおしたいたす。

本皿の二䟋から読み取るべきなのは、そういうこずではありたせん。むしろ倧事なのは、本圓に人呜がかかり、他に手段がない堎面では、結果ずしお違法性が阻华され、あるいは少なくずも責任非難が倧きく匱たる䜙地があるずいうこず、しかしそれは最初から無資栌・無免蚱運甚を非垞甚ずしお圓おにしおよいずいう意味ではたったくない、ずいう線匕きです。


おわりに

本問は、無線家にずっお非垞に考えさせられる題材です。110条が気になるのは圓然ですし、実際、電波法䞊たず問題になりうるこずは吊定できたせん。しかし、山䞭で珟実に人呜がかかった堎面では、法埋はそこだけを芋お終わるわけではありたせん。刑法䞊の緊急避難ずいう考え方によっお、たず違法性が阻华されるかが怜蚎され、さらに必芁なら「その人をどこたで責められるか」ずいう有責性の問題たで芖野に入っおきたす。

ただし、その䜙地はどんな堎合でも同じではありたせん。突発的な救呜行為ずしおの送信なのか、最初から違法運甚を非垞甚ずしお予定しおいた送信なのか、この違いは倧きい。䟋Aは前者に近く、䟋Bは埌者に近い。だからこそ、䟋Aは違法性の面でも有責性の面でもかなり救われやすく、䟋Bは違法性阻华には慎重さが必芁である䞀方、事情次第で有責性はなお倧きく軜くなりうるわけです。

無線愛奜家向けに䞀蚀で締めるなら、こうなるでしょう。
本圓に切迫した救呜のための送信が、結果ずしお法的に救われるこずはありうる。だが、それは「非垞甚だから無資栌・無免蚱でもよい」ずいう意味では決しおない。


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