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ラゞコンの進化論

――ラゞコンはい぀呚波数の村からIDの街ぞ移ったのか

か぀お、暡型飛行堎の安党は札掛けによっお守られおいた。

操瞊者は送信機を持っお管理盀ぞ行き、自分が䜿う呚波数の札を取る。札がなければ、その呚波数はすでに誰かが䜿っおいる。前の操瞊者が飛行を終え、札を返すたで埅たなければならなかった。

䞀般財団法人日本ラゞコン電波安党協䌚ラゞコン甚電波の適正か぀安党な運甚を掚進する団䜓は、安党運甚の指針ずしお、䜿甚䞭のバンドを確認し、バンドリボンを送信機のアンテナず管理盀などに取り付け、䜿甚バンドを明瀺するよう求めおいる。[1]

この札掛けは、暡型堎の装食ではなかった。

同じ呚波数で2台の送信機が同時に電波を出せば、受信機は2人の呜什を正しく聞き分けられなくなる。暡型飛行機なら墜萜し、自動車なら暎走し、ボヌトなら垰還できなくなる可胜性がある。

だから人々は、誰が声を出しおよいかを札で決めた。

ずころが2.4 GHz垯の時代になるず、暡型堎から札掛けが消えおいった。送信機を管理者ぞ預け、バンド番号を確認しおから飛行する光景も少なくなった。

ラゞコンは、い぀呚波数の村からIDの街ぞ移ったのか。

法什䞊の䜏所をたどるず、その倉化は2぀の制床区分の間に芋えおくる。

䞀方は、電波法斜行芏則電波法の斜行に必芁な事項を定める省什第6条第1項第2号ず、それに基づく昭和32幎郵政省告瀺第708号「免蚱を芁しない無線局の甚途䞊びに電波の型匏及び呚波数」免蚱䞍芁局の甚途、電波型匏および呚波数を定める告瀺である。

もう䞀方は、同芏則第6条第4項第4号、ずりわけ同号1の2,400 MHz以䞊2,483.5 MHz以䞋を䜿甚する「䞻ずしおデヌタ䌝送のために無線通信を行うもの」である。

ただし、ラゞコン党䜓が䞀斉に転籍した日はない。

旧来の系統は旧来の制床に残った。その䞀方で、新しい2.4 GHz系統がデヌタ通信の街ぞ進出し、倚数が同じ堎所に生息しやすい圢ぞ適応したのである。

1クリスタルを差す民

旧来のラゞコンでは、送信機ず受信機に氎晶発振子、いわゆるクリスタルを差し蟌んだ。

送信機偎ず受信機偎のバンド番号が䞀臎すれば呜什が届く。番号が違えば受信機には聞こえない。同じ番号の送信機が近くで同時に電波を出せば、2぀の呜什が同じ入口から入っおくる。

この時代の第䞀の問いは、

「誰が話しおいるか」

ではなかった。

「䜕番の呚波数で話しおいるか」

であった。

受信機は操瞊者の名前を知らない。送信機の所有者も、暡型堎の䌚員番号も知らない。自分が受けるよう調敎された呚波数に珟れた信号を呜什ずしお扱う。

したがっお、送信者の識別は機噚の倖偎で行わなければならなかった。

操瞊者はクリスタルの番号を確認し、同じ番号を䜿う者がいないかを調べる。暡型堎では番号を申告し、札を取り、送信機のアンテナぞバンドリボンを付ける。

クリスタルは電子郚品であるず同時に、共同䜓における身分札だった。

2バンド札の自治

電波法電波利甚ず無線局の基本を定める法埋は、暡型堎に朚補の札掛けを蚭眮せよずは呜じおいない。

法什が定めるのは、免蚱の芁吊、䜿甚できる呚波数、電界匷床、電波の型匏、無線蚭備の技術条件などである。

誰が送信機を預かるか、札をどこぞ掛けるか、飛行を終えた操瞊者がどの順序で送信機の電源を切るかずいう珟堎の手続は、暡型堎、クラブ、競技団䜓、業界団䜓が䜜り䞊げた。

ここに自治がある。

バンド札は、法什䞊の呚波数区分を、人間が実行できる行為ぞ翻蚳する装眮だった。

民俗孊の蚀葉を借りれば、それは犁忌を目に芋える圢にした祭具である。

札を持たぬ者は、送信機のスむッチを入れおはならない。

その犁忌には、混信事故を避けるずいう合理的な根拠があった。

札掛けを守る者には飛行の機䌚が䞎えられ、守らない者は共同䜓から泚意される。暡型堎の秩序は、法什、機械、慣習の䞉者によっお成立しおいた。

機械に識別胜力が䞍足しおいたため、人間の共同䜓がその䞍足を補ったのである。

3電波法斜行芏則第6条第1項第2号の村

旧来型ラゞコンの法什䞊の系譜は、電波法斜行芏則第6条第1項第2号ぞ぀ながる。

同号は、無線蚭備から500 m離れた地点における電界匷床が200 ÎŒV/m以䞋であり、甚途、電波の型匏および呚波数が告瀺で定められた無線局を、免蚱を芁しない著しく埮匱な無線局ずしお扱う。[2]

その告瀺が、昭和32幎郵政省告瀺第708号である。[5]

同告瀺には「ラゞコン甚発振噚甚」ずいう甚途区分が眮かれ、ラゞコンに䜿甚できる電波の型匏、呚波数および甚途が定められおいる。

ここでは、暡型を操瞊するずいう甚途が法什䞊の名札になっおいる。

暡型飛行機、暡型ボヌト、暡型自動車などを無線で操瞊するための発振噚だから、「ラゞコン甚発振噚甚」の籍に入る。

これは甚途別の村である。

日本では1957幎、ラゞコン甚無線局に䜿甚できる電波ずしお13 MHz垯、27 MHz垯および40 MHz垯が割り圓おられた。その埌、1984幎には40 MHz垯のラゞコン甚専甚電波が敎備され、1992幎には72 MHz垯の䞊空甚呚波数10波が远加された。[3]

生息地は広がった。

䜿える呚波数が増えれば、同じ暡型堎で同時に操瞊できる人数も増やせる。しかし、その基本思想は倉わらない。

䞀本の呚波数は䞀人が䜿う。

その呚波数を誰が䜿甚しおいるかは、人間が管理する。

27 MHz垯から40 MHz垯ぞ移り、72 MHz垯が加わっおも、「同じ呚波数で同時送信しない」ずいう思想は残った。

呚波数が増えれば、村の家は増える。

しかし、䞀軒の家に耇数の䞖垯が同時に䜏めるようになったわけではなかった。

4シンセサむザヌずいう過枡皮

クリスタル方匏の埌期には、呚波数シンセサむザヌ方匏が珟れた。

操瞊者はクリスタルを抜き差しせず、送信機の蚭定によっお䜿甚呚波数を切り替えられるようになった。日本ラゞコン電波安党協䌚の暙準芏栌では、氎晶発振により制埡する呚波数シンセサむザヌ方匏が認められ、電波発射䞭には呚波数を切り替えられないこず、送信前に呚波数を確認・蚭定できるこずが求められた。[4]

これは重芁な倉化だった。

予備のクリスタルを䜕組も持ち歩く必芁が枛り、競技䌚や暡型堎でのバンド調敎が容易になった。

だが、瀟䌚構造は旧来のたただった。

クリスタルずいう物䜓が液晶画面の蚭定ぞ倉わっおも、操瞊者は䜿甚する呚波数を䞀぀遞ぶ。電波を出す前に、その呚波数が空いおいるかを人間が確かめる。

問いは䟝然ずしお、

「あなたはいた䜕番を䜿っおいるか」

であった。

シンセサむザヌ方匏は、呚波数の村の䜏民が着替えやすくなった姿である。村の倖ぞ出たわけではない。

進化史䞊の䜍眮を䞎えるなら、これは過枡皮だった。

5電波法斜行芏則第6条第4項第4号の街

2.4 GHz垯プロポの法什䞊の䜏所は、旧来の「ラゞコン甚発振噚甚」ず異なる。

電波法斜行芏則第6条第4項第4号は、「䞻ずしおデヌタ䌝送のために無線通信を行うもの」を小電力デヌタ通信システムの無線局ずしお定めおいる。

同号1が掲げる呚波数は、2,400 MHz以䞊2,483.5 MHz以䞋である。

䞀般瀟団法人電波産業䌚電波利甚分野の暙準芏栌を策定する団䜓のARIB STD-T66「第二䞖代小電力デヌタ通信システムワむダレスLANシステム」は、この制床区分に属する2,400 MHz以䞊2,483.5 MHz以䞋の無線蚭備に぀いお定めおいる。

この芏栌の察象には、Wi-FiやBluetoothが含たれる䞀方、独自通信システムに぀いおは通信プロトコルを䞀皮類に統䞀しおいない。[7]

ここはラゞコン専甚村ではない。

Wi-Fi、Bluetooth、識別装眮、メヌカヌ独自方匏の機噚などが暮らす雑居郜垂である。

旧制床では、「䜕に䜿う電波か」が身分の䞭心だった。

新制床では、「どのような通信を行うか」が身分の䞭心になる。

飛行機を動かす電波であっおも、電気的に芋れば、スティック䜍眮、スむッチ状態、制埡倀などを笊号化しお送るデヌタ通信である。

ラゞコンの䞀郚は、「ラゞコン甚発振噚」ずいう甚途別の村から、「䞻ずしおデヌタ䌝送を行うもの」ずいう機胜別の街ぞ䜏所を埗た。

6転籍ではなく、別系統の出生

ここで「転籍」ずいう比喩を、法埋䞊の凊分ず混同しおはならない。

40 MHz垯や72 MHz垯の旧来型プロポが、法改正によっお2.4 GHz垯ぞ移されたわけではない。

旧来型は、電波法斜行芏則第6条第1項第2号ず昭和32幎郵政省告瀺第708号の系統に残った。

2.4 GHz垯プロポは、新たに蚭蚈・補造され、電波法斜行芏則第6条第4項第4号および無線蚭備芏則無線蚭備の技術条件を定める省什第49条の20の条件に適合する蚭備ずしお登堎した。無線蚭備芏則第49条の20は、小電力デヌタ通信システムの無線局の無線蚭備に぀いお芏定しおいる。[6]

日本ラゞコン電波安党協䌚によれば、日本で2.4 GHz垯プロポの発売が始たったのは2007幎である。[8]

同協䌚の2.4 GHz垯プロポ登録芏皋は、察象を無線蚭備芏則第49条の20に芏定する装眮ずし、技術基準適合蚌明たたは工事蚭蚈認蚌に合栌しおいるこずを登録条件ずしおいる。[9]

厳密な衚珟はこうなる。

旧䜏民が集団で䜏所を倉曎したのではない。

新しい系統が、別の法的生態区に生たれた。

旧い系統ず新しい系統は、同じ暡型堎に䞊存した。片方の操瞊者はバンド札を取り、もう片方の操瞊者は2.4 GHz送信機の電源を入れる。

䞀぀の飛行堎に、二぀の瀟䌚が同居したのである。

7なぜ雑然ずした街を遞んだのか

なぜラゞコンは、Wi-FiやBluetoothの声が飛び亀う街ぞ進出したのか。

その理由を䞀文で説明した行政資料は、確認できた公匏資料には芋圓たらない。

したがっお、以䞋は法什、暙準芏栌、登録制床および補品仕様の時系列から導く技術史的掚論である。

第䞀に、2.4 GHz垯には83.5 MHzの呚波数幅がある。

䞀本の狭い固定呚波数を飛行䞭ずっず占有する方匏から、耇数の呚波数を遞択したり、順次移動したりする方匏ぞ進む䜙地があった。

第二に、メヌカヌ独自の通信プロトコルを採甚できた。

ラゞコンはWi-Fiず䌚話する必芁がない。同じ呚波数垯ず技術基準を共有しながら、送信機ず受信機の間では各メヌカヌ独自の通信手順を䜿甚できる。

第䞉に、免蚱䞍芁の量産機噚ずしお利甚するための技術基準適合蚌明および工事蚭蚈認蚌の制床がすでに存圚した。

第四に、雑然ずした垯域で共存するための技術条件を具䜓化できた。

2008幎のARIB STD-T66第3.2版では、屋倖で暡型飛行機を無線操瞊する呚波数ホッピング方匏の送信装眮に぀いお、呚波数滞留時間の芏定が远加された。たた、呚波数ホッピング方匏以倖の送信装眮には、送信開始時に動䜜するキャリアセンスを備える芏定が远加された。[10]

制床は、暡型飛行機を無条件で雑螏ぞ攟り蟌んだのではない。

呚波数ホッピング方匏なら、䞀぀の呚波数に長く居座らない。

それ以倖の方匏なら、送信を始める前に呚囲の電波状況を確認する。

街で暮らすための䜜法を、機械の偎ぞ移したのである。

2.4 GHzの街は静かではない。

しかし、道路は広く、䜏民自身が道を遞び、短時間で移動し、盞手を確かめる仕組みを持぀こずができた。

雑然さは䞍利な環境であるず同時に、新しい適応を促す環境だった。

8IDは機械内郚の戞籍か

2.4 GHz方匏で最も目立぀圢質は、送信機ず受信機がIDによっお関係を結ぶこずである。

双葉電子工業株匏䌚瀟ラゞコン甚送受信機などを補造する䌁業は、同瀟の2.4 GHz方匏に぀いお、送信機ごずに補造段階で個別のIDコヌドを付䞎し、受信機がリンク操䜜によっおそのIDを蚘憶するず説明しおいる。

リンク埌の受信機は、蚘憶した送信機の信号を受け付ける。さらに同瀟の䞀郚方匏では、呚波数ホッピング、呚囲の電波状況の探玢、耇数アンテナによるダむバヌシティ受信、テレメトリヌなどが甚いられおいる。[11]

ここで第䞀の問いが倉わる。

旧来の受信機は、

「どの呚波数から来た信号か」

を入口ずしおいた。

2.4 GHz受信機は、それに加えお、

「自分が結ばれた送信機から来た信号か」

を確かめる。

ただし、電波法斜行芏則第6条第4項第4号が、ラゞコン受信機に特定圢匏のIDやペアリング方匏を盎接矩務付けおいるわけではない。

法什は、䜿甚呚波数、空䞭線電力、倉調方匏、拡散方匏、混信防止機胜などの技術的枠組みを定める。

IDの長さ、リンク手順、ホッピング順序、モデルID、フェむルセヌフの现郚は、各瀟の通信プロトコルず補品蚭蚈に属する。

法埋が個々の送信機ぞ戞籍番号を発行したのではない。

法埋がデヌタ通信の街区を蚭け、その街区ぞ入ったメヌカヌが、送信機ず受信機の関係台垳を機噚内郚に䜜ったのである。

9ペアリングの数ず、同時操䜜の数

IDの組合せは数孊的には有限である。

デゞタル機噚が扱う番号には桁数があるため、文字どおり無限にはならない。

しかし、各瀟がIDのビット数や割圓総数を公開しおいない堎合、候補数を倖郚から正確に算定するこずはできない。確認できたメヌカヌ公匏資料も、固有IDの存圚ずリンク方法は説明しおいるが、ID空間の総数たでは瀺しおいない。

公匏資料から蚀える範囲は、

「補造段階で送信機ごずに個別IDが䞎えられ、受信機がそのIDを蚘憶する」

ずころたでである。

ここで、ID数ず同時操䜜数を分けなければならない。

IDが䜕億通りあっおも、2.4 GHz垯の幅が䜕億倍にも広がるわけではない。

同じ堎所で同時に運甚できる台数は、次の条件によっお制玄される。

  • 各方匏が䜿甚する呚波数幅

  • 䞀回の送信が占有する時間

  • 呚波数ホッピングの方法

  • 呚囲のWi-FiやBluetoothの利甚状況

  • 送信機ず受信機の䜍眮関係

  • アンテナ配眮

  • 受信感床

  • 通信品質が䜎䞋した堎合の凊理

IDは宛先を区別する。

呚波数ホッピングやキャリアセンスは、混雑した通信路の利甚方法を調敎する。

この二぀が組み合わされるこずで、固定された䞀本の呚波数を人間が占有管理する方匏より、倚数の送受信機が共存しやすくなった。

戞籍簿は実甚䞊ほずんど尜きないほど広くなった。

だが、空そのものは有限である。

10バンド札は機械の内郚ぞ移った

旧来のバンド札ず、2.4 GHz方匏のIDは、同じものではない。

バンド札は、ある呚波数を誰が䜿甚しおいるかを人間同士で管理する道具だった。

IDは、受信機がどの送信機の信号を受け入れるかを機噚内郚で管理する情報である。

それでも、䞡者は安党管理䞊の圹割を䞀郚共有しおいる。

昔、人間は管理盀を芋おいた。

この呚波数は、いた誰が䜿っおいるか。

珟圚、受信機は内郚の蚘録を参照する。

この信号は、自分が結ばれた送信機から来たものか。

こうしお札掛けの仕事は、耇数の機胜に分かれお機械の内郚ぞ移った。

  • 送信機を区別する固有ID

  • 送信機ず受信機を結び付けるリンクたたはバむンド

  • 通信の手順を定めるプロトコル

  • 䜿甚呚波数を遞択たたは移動する仕組み

  • 受信状態に応じおアンテナを遞ぶダむバヌシティ

  • 信号を倱った際のフェむルセヌフ

  • 機䜓偎の情報を送り返すテレメトリヌ

バンド札が消えたずいうより、その機胜が分解され、半導䜓の䞭ぞ折り畳たれたのである。

11短い波長が䞎えた身䜓

2.4 GHz化は、通信瀟䌚の構造ずずもに、ラゞコンの身䜓を倉えた。

電波の速床を玄3億m/sずしお蚈算するず、波長ず4分の1波長はおおよそ次のようになる。

  • 40 MHz波長玄7.5 m、4分の1波長玄1.88 m

  • 72 MHz波長玄4.17 m、4分の1波長玄1.04 m

  • 2.4 GHz波長玄12.5 cm、4分の1波長玄3.1 cm

旧来の40 MHz垯や72 MHz垯では、4分の1波長のアンテナは暡型の身䜓に察しお長倧だった。

送信機には䌞瞮匏のロッドアンテナを付け、受信機からは長いアンテナ線を䌞ばす。機䜓内での折り曲げ、匕き回し、金属郚品やサヌボ配線ずの䜍眮関係が受信性胜ぞ圱響した。

2.4 GHzでは、玄30 mmのアンテナ郚分によっお4分の1波長に近い構成を䜜れる。

双葉電子工業のR3104SB受信機は、先端30 mmのアンテナを2本備え、互いに90床の䜍眮関係ずなるよう搭茉するこずを求めおいる。受信機は2本を自動的に切り替えるダむバヌシティ方匏を採甚しおいる。[12]

これは倧きな圢態倉化だった。

箄1 mから2 mのアンテナを耇数、暡型の䞭ぞ盎亀配眮するこずは珟実的ではない。

箄30 mmなら、耇数アンテナ、盎亀配眮、ダむバヌシティ受信を実装できる。アンテナを補品内郚ぞ収めやすくなり、蚭眮状態の再珟性も向䞊する。

ただし、波長が短くなれば攟射効率が自動的に高くなるわけではない。

重芁なのは、暡型の限られた寞法の䞭で、波長に察しお十分な電気長を持ち、敎合の取れたアンテナを䜜りやすくなったこずである。

2.4 GHz垯のアンテナは、金属、炭玠繊維、氎分、機䜓姿勢、アンテナ方向の圱響を受ける。R3104SBの説明曞も、カヌボン胎䜓では先端30 mmのアンテナ郚分を機䜓倖ぞ出すよう譊告しおいる。[12]

短い波長は、暡型の身䜓に合う小さな耳を䞎えた。

同時に、その耳をどこぞ向け、䜕から離すかずいう新しい䜜法も生んだ。

12䌞びたのは飛距離か、矀生胜力か

2.4 GHz化によっお、最倧制埡距離が䞀埋に䌞びたこずを瀺す公匏な新旧比范資料は確認できなかった。

同じ送信電力、同じ送受信アンテナ利埗、同じ距離ずいう理想条件なら、呚波数が高いほど自由空間䌝搬損倱は倧きくなる。

䞀方、実機のアンテナ条件は同じではない。

40 MHz垯や72 MHz垯では、暡型に察しおアンテナが長すぎる。2.4 GHzでは、暡型の寞法に合った共振アンテナ、耇数アンテナ、ダむバヌシティ受信、高感床デゞタル回路を組み合わせやすい。

したがっお、2.4 GHz化の成果を最倧飛距離だけで枬るず、本質を倖す。

倧きく倉わったのは、同じ堎所で倚数の操瞊者が共存する胜力だった。

旧来の暡型堎では、䜿甚できる個別呚波数の数が、同時に操瞊できる人数を匷く制限した。

䞀人が䞀本の呚波数を占有し、その占有暩を札で管理するからである。

2.4 GHz方匏では、IDによる盞手識別、呚波数ホッピング、キャリアセンス、短時間のデヌタ䌝送などによっお、固定呚波数の専有を避けやすくなった。

進化したのは、䞀本の声が遠くたで響く胜力だけではなかった。

倚くの声が同じ堎所で、互いを䞻人ず取り違えずに存圚する胜力だった。

2.4 GHz化は、飛距離の進化より矀生胜力の進化だったのである。

13ダヌりィンの暡型堎

ダヌりィン颚にいえば、ラゞコンは同時操䜜数を増やすために進化したのだろうか。

この衚珟には目的論が含たれる。

生物は将来の必芁を予枬し、䟿利な圢質を泚文しお進化するわけではない。環境の䞭で有利に働いた圢質を持぀個䜓が倚く生き残り、その圢質が集団の䞭で増えおいく。

ラゞコンは生物ではないため、自然遞択そのものは起きない。

技術者が蚭蚈し、䌁業が補造し、利甚者が賌入する。ここで働くのは、人為遞択、垂堎遞択、制床遞択である。

それでも、適応進化の比喩には意味がある。

暡型堎の混雑、バンド管理の負担、混信事故ぞの恐れ、アンテナ小型化の芁求、双方向通信ぞの需芁、デゞタル郚品の普及、利甚可胜な呚波数垯ずいう環境が、どの補品を繁栄させるかを巊右したからである。

遞択された圢質は次のように敎理できる。

  • バンド札を取らなくおも䜿甚できる

  • 受信機が送信機をIDで識別する

  • 䞀本の固定呚波数を長時間占有しない

  • 倚数の送信機が同じ堎所で共存しやすい

  • アンテナが短い

  • 耇数アンテナを搭茉できる

  • テレメトリヌなどの双方向通信ぞ拡匵できる

  • 通信品質䜎䞋時にフェむルセヌフを働かせられる

ラゞコンが「同時操䜜数を増やそう」ず意思したのではない。

同時操䜜に匷い圢質を持぀補品が、混雑した暡型堎で䟿利であり、安党䞊も有利であり、利甚者に遞ばれた。

その結果ずしお、同じ堎所ぞ収容できる送受信機の数が増えた。

ダヌりィン颚にいえば、同時操䜜数の増加は進化の目的ではない。

混雑した環境ぞの適応が生んだ圢質である。

14ドロヌンは転籍の父か

ドロヌンの登堎が、ラゞコンを2.4 GHz垯ぞ移したのだろうか。

時系列は逆である。

日本で2.4 GHz垯プロポの発売が始たったのは2007幎である。2008幎には、ARIB STD-T66ぞ屋倖で䜿甚する暡型飛行機の操瞊甚機噚に関する芏定ず運甚䞊の泚意が远加された。[8][10]

囜土亀通省航空行政等を所管する囜の行政機関が、航空法航空の安党ず秩序を定める法埋に基づく無人航空機の飛行ルヌルを導入したのは2015幎であり、今日的な民生ドロヌンの普及より先に、2.4 GHzラゞコンの法的・技術的な生態区は圢成されおいた。

ドロヌンは転籍の父ではなかった。

転籍先で育った子だった。

IDによるリンク、デゞタルデヌタ䌝送、短いアンテナ、双方向通信ずいう環境に、ゞャむロ、加速床センサヌ、GPS、姿勢制埡、自動航行、映像䌝送が加わった。

そのずきラゞコンは、人が舵を取り続ける暡型から、地䞊局ず情報を亀換しながら自ら姿勢を保぀空䞭情報端末ぞ枝分かれした。

囜土亀通省の資料では、2,400 MHz以䞊2,483.5 MHz以䞋の小電力デヌタ通信システムは、ドロヌンの操瞊、画像䌝送、デヌタ䌝送で最も広く䜿甚される無線システムず敎理されおいる。[13]

さらに、高画質映像や長距離通信ぞの芁求が匷たるず、2016幎8月には169 MHz垯、2,483.5 MHz以䞊2,494 MHz以䞋、5.7 GHz垯などを䜿甚する無人移動䜓画像䌝送システムが産業利甚向けに制床敎備された。[13]

ドロヌンは2.4 GHzの街ぞラゞコンを連れおきたのではない。

2.4 GHzの街で発達し、やがお別の街区ぞ分家するほど倧きくなったのである。

15䞀郚が進化した

ラゞコン党䜓が、旧い姿から新しい姿ぞ䞀斉に倉わったわけではない。

40 MHz垯や72 MHz垯の系統は、旧来の法制床ず運甚慣行の䞭に残った。

2.4 GHz垯に生たれた系統は、デヌタ通信の街で繁栄した。

そこから、さらに耇数の枝が䌞びた。

  • IDずリンクを䜿う通垞の暡型甚ラゞコン

  • テレメトリヌを持぀双方向ラゞコン

  • GPSず自動安定を備えたマルチコプタヌ

  • 映像を送るカメラドロヌン

  • 自動航行を行う産業甚無人航空機

  • 免蚱を芁する無人移動䜓画像䌝送システムを䜿う業務甚機

これは䞀列に䞊ぶ進歩ではない。

枝分かれである。

叀い系統が劣っおいるから即座に消えたのでもない。旧方匏には、䜎い呚波数による䌝搬特性、既存蚭備、慣れた運甚、特定甚途での有甚性がある。

䞀方、混雑した暡型堎や倚機胜化する機䜓では、2.4 GHz系統の圢質が匷く遞ばれた。

生物孊の系統暹に芋立おれば、幹党䜓が移動したのではない。

環境に適した枝が䌞び、個䜓数を増やしたのである。

16結論――呚波数管理から関係管理ぞ

旧来のラゞコンにずっお、第䞀の問いは、

「どの呚波数を䜿っおいるか」

だった。

2.4 GHz方匏にずっお、第䞀の問いは、

「この受信機は、誰の送信機に埓うのか」

ぞ倉わった。

法制床䞊では、電波法斜行芏則第6条第1項第2号ず昭和32幎郵政省告瀺第708号による「ラゞコン甚発振噚甚」ずいう甚途別の村から、同芏則第6条第4項第4号1による「䞻ずしおデヌタ䌝送を行うもの」ずいう機胜別の街ぞ、䞀郚の系統が進出した。

技術䞊では、固定呚波数ずバンド番号による管理から、固有ID、リンク、プロトコル、呚波数遞択、ホッピング、ダむバヌシティ、フェむルセヌフによる関係管理ぞ移った。

瀟䌚的には、人間が札を配り、同じ呚波数の者が同時に声を出さないよう芋匵る共同䜓から、機噚が盞手ず通信路を識別する共同䜓ぞ倉わった。

ダヌりィン颚にいえば、䞀本の呚波数を占有する個䜓から、雑然ずした垯域で倚数が共存できる個䜓ぞの適応だった。

か぀おラゞコンの安党は、暡型堎の札掛けにあった。

送信機を預け、バンド札を取り、同じ呚波数の者が同時に声を出さないよう、人が村の入口を芋匵った。

ラゞコン党䜓が、その村を去ったわけではない。

䞀郚の系統が、Wi-FiやBluetoothの声が飛び亀う2.4 GHzの街ぞ移った。

そこで暡型の身䜓に合う短いアンテナを持ち、盞手をIDで芋分け、混雑した道を枡り歩く胜力を埗た。

進化したのは、電波の飛距離だけではなかった。

同じ空に共存できる個䜓数だった。

2.4 GHzの時代、札掛けは機械の内郚ぞ移った。

呚波数の番地だけでなく、送信機ず受信機の関係そのものが戞籍になったのである。


蚻釈・参照資料

[1] 䞀般財団法人日本ラゞコン電波安党協䌚「安党運甚」
https://rck.or.jp/safety/sa_safeoperation.html

[2] 電波法斜行芏則
https://laws.e-gov.go.jp/law/325M50080000014

[3] 䞀般財団法人日本ラゞコン電波安党協䌚「ラゞコン甚呚波数」
https://rck.or.jp/safety/sa_rcfrequency.html

[4] 䞀般財団法人日本ラゞコン電波安党協䌚「ラゞコン甚呚波数」所収「ラゞコン甚発振噚の暙準芏栌」
https://rck.or.jp/safety/sa_rcfrequency.html

[5] 昭和32幎郵政省告瀺第708号「免蚱を芁しない無線局の甚途䞊びに電波の型匏及び呚波数」。総務省情報通信・電波行政を所管する囜の行政機関「電波利甚ホヌムペヌゞ」掲茉公匏PDF。取埗および内容確認枈み。
https://www.tele.soumu.go.jp/resource/j/material/dwn/kouzi1.pdf

[6] 無線蚭備芏則
https://laws.e-gov.go.jp/law/325M50080000018

[7] 䞀般瀟団法人電波産業䌚「暙準芏栌抂芁 ARIB STD-T66」
https://www.arib.or.jp/kikaku/kikaku_tushin/desc/std-t66.html

[8] 䞀般財団法人日本ラゞコン電波安党協䌚「日本ラゞコン電波安党協䌚ずは」
https://rck.or.jp/aboutus/index.html

[9] 䞀般財団法人日本ラゞコン電波安党協䌚「2.4 GHz垯プロポの登録」
https://rck.or.jp/propo/pr_24ghzproporeg.html

[10] 䞀般瀟団法人電波産業䌚「ARIBニュヌス第660号」
https://www.arib.or.jp/image/osirase/news/660.pdf

[11] 双葉電子工業株匏䌚瀟「Futaba RC Technology――空甚プロポ通信システム」
https://www.rc.futaba.co.jp/support/tips/detail/31

[12] 双葉電子工業株匏䌚瀟「R3104SB取扱説明曞」
https://www.rc.futaba.co.jp/downloads/W8C1546N22020415471e278.pdf?mode=view

[13] 囜土亀通省「ドロヌンで䜿甚されおいる䞻な無線通信システムドロヌン等ロボットにおける電波利甚の高床化に぀いお」
https://www.mlit.go.jp/common/001154535.pdf

[14] 囜土亀通省「無人航空機の飛行ルヌル」
https://www.mlit.go.jp/koku/koku_fr10_000040.html

資料䞊の制玄

昭和32幎郵政省告瀺第708号に぀いおは、総務省「電波利甚ホヌムペヌゞ」に掲茉された公匏PDFを参照し、取埗および内容確認を行った。本皿における同告瀺の名称、甚途区分、電波の型匏および呚波数に関する蚘述は、この公匏PDFを䞀次資料ずする。

送信機IDのビット数、IDの割圓総数、呚波数ホッピングの具䜓的順序、再送制埡など、メヌカヌが公開しおいない通信プロトコル内郚の仕様に぀いおは断定しおいない。

「戞籍」「転籍」「村」「街」「民」「進化」「系統」「個䜓」「矀生」は、法制床史ず技術史を説明するための比喩である。


ほかの蚘事も甚意しおいたす。よろしければ、
http://www.lowpowerradiolab.org/ にもアクセスしおください。

いいなず思ったら応揎しよう