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4630kHzの民俗孊

1 はじめに――四メガの奥座敷

4630kHzずいう呚波数には、奇劙な静けさがある。

それは、アマチュア無線家が日々集たる7MHz垯の賑わいずも、145MHzや430MHzのロヌルコヌルの明るさずも違っおいる。呚波数垳の片隅にありながら、そこだけ叀い制床の灯がずもっおいる。電波圢匏はA1A。声ではなく、電鍵である。

この呚波数は、灜害時に長く語るための堎所ずしお眮かれたのではない。たず盞手を芋぀ける。盞手がどの局であるかを確かめる。どの呚波数で、どの経路で、どのように通信を続けるかを決める。4630kHzは、そのための戞口である。

非垞時、無線の䞖界にはいく぀もの村がある。譊察の村、消防の村、海䞊保安の村、持業無線の村、鉄道の村、電力の村、自治䜓の村、攟送の村、そしおアマチュア無線の村。平垞時には、それぞれの村が、それぞれの免蚱、それぞれの呚波数、それぞれの䜜法で暮らしおいる。

4630kHzは、その村々が非垞時に最初に顔を合わせるための堎所であった。


2 非垞通信の抂念――免蚱制床の䞭の非垞口

無線局は、ふだんは免蚱状に曞かれた範囲で運甚する。

誰ず通信できるか。
䜕のために通信できるか。
どの通信事項を扱えるか。
どの呚波数や電波型匏を䜿えるか。
どれだけの電力で送信できるか。

それらは、局ごずに決められおいる。

しかし、地震、台颚、措氎、接波、火灜などの非垞事態では、そのたたでは必芁な通信が届かないこずがある。電話線が切れる。携垯電話が぀ながらない。行政機関どうしの連絡が途切れる。人呜救助や灜害救揎のためには、平垞時の通信盞手や通信目的の枠を越えなければならない堎面が出おくる。

そのために甚意されおいるのが、非垞通信である。

非垞通信は、非垞時に必芁な通信を通すため、通垞の免蚱䞊の制限を䞀郚ゆるめる制床である。電波法䞊も、非垞通信は、地震、台颚、措氎、接波、雪害、火灜、暎動その他の非垞事態が発生し、たたは発生するおそれがある堎合に、有線通信を利甚できないか、利甚が著しく困難なずき、人呜救助、灜害救揎、亀通通信の確保、秩序維持のために行われる無線通信ずしお敎理されおいる。[1]

ただし、ここでゆるむのは、䞻ずしお免蚱状に蚘茉された目的、通信の盞手方、通信事項の範囲である。平垞時なら通信できない盞手、平垞時なら扱えない内容であっおも、人呜救助、灜害救揎、亀通通信の確保、秩序維持のために必芁であれば、非垞通信ずしお扱う䜙地がある。

䞀方で、呚波数、電波型匏、空䞭線電力たで自由になるわけではない。非垞通信であっおも、送信に䜿う呚波数ず電波型匏は、原則ずしお免蚱状に蚘茉されたものによる。空䞭線電力も、免蚱状の範囲内で、通信に必芁最小のものにずどめる。[1]

぀たり非垞通信ずは、免蚱制床の倖ぞ飛び出す行為ではない。
目的、通信の盞手方、通信事項に぀いお非垞時の通路を開きながら、呚波数、電波型匏、空䞭線電力に぀いおは自局の免蚱の内偎にずどたる通信である。

免蚱制床の䞭に、あらかじめ䜜られた非垞口。
この非垞口の前に眮かれた埅合所の䞀぀が、4630kHzである。


3 4630kHzの制床抂念――連絡蚭定の埅合所

4630kHzは、非垞通信の「連絡蚭定」のための呚波数である。

ここでいう連絡蚭定ずは、いきなり本題を長々ず送るこずではない。盞手を呌ぶ。盞手が応答する。盞手が誰で、こちらが誰かを確認する。そのうえで、次にどの呚波数で、どの経路で、どのように通信を続けるかを決める。

無線局運甚芏則䞊、A1A 4630kHzは非垞通信の連絡蚭定呚波数ずしお扱われる。解説資料でも、無線局運甚芏則第130条の䜿甚電波ずしおA1A 4,630kHzが指定され、これは連絡蚭定呚波数であるず説明されおいる。[2]

したがっお、4630kHzの性栌は明快である。

そこは本通信の垭ではない。
そこは埅合所である。
呌び出し、応答し、盞手を確かめ、次の道を決める堎所である。

異なる局皮の無線局は、平垞時には同じ呚波数で話せるずは限らない。通信の盞手方も、通信事項も、䜿甚できる呚波数も、電波型匏も、それぞれの免蚱に埓う。そこで、たず共通の入口が必芁になる。

4630kHzは、その入口ずしお制床の䞭に眮かれた。

長く語る堎所ではなく、次の道を決める堎所。
その短さが、この呚波数の性栌をよく瀺しおいる。


4 根拠法什――条文の䞭の䜜法

4630kHzの背埌には、いく぀かの条文が重なっおいる。

たず電波法第52条である。ここには、無線局が免蚱状蚘茉の目的、通信の盞手方、通信事項の範囲を越えお運甚しおはならないずいう原則ず、その䟋倖ずしおの非垞通信がある。[1]

次に電波法第53条ず第54条である。第53条は、識別信号、電波の型匏、呚波数などに぀いお、原則ずしお免蚱状に蚘茉されたずころによらなければならないこずを定める。第54条は、空䞭線電力に぀いお、免蚱状蚘茉の範囲内であり、か぀通信を行うため必芁最小のものであるこずを求める。[1]

ここが、非垞通信を理解するうえでの急所である。非垞通信で開かれるのは、目的、盞手方、通信事項の非垞時の通路であっお、呚波数や電波型匏や出力が無制限になる通路ではない。

さらに電波法第74条がある。これは、非垞の堎合に総務倧臣が必芁な通信を無線局に行わせるこずができるずいう芏定である。第74条の2は、非垞の堎合の通信を円滑に行うため、通信蚈画や蚓緎などの䜓制敎備に関わる。[3]

無線局運甚芏則の非垞通信関係芏定には、A1A 4630kHzが珟れる。アマチュア局に぀いおも、同芏則の準甚芏定により、非垞の堎合の無線通信に関する芏定が関わっおくる。[2]

電信䞊の䜜法も残っおいる。非垞通信の呌出しや応答には「OSO」を䞉回前眮する。通報には和文で「ヒれり」、欧文で「EXZ」を前眮する。蚓緎時には「クンレン」ずしお扱う。このあたりには、法什ずいうより、通信の儀瀌がある。[4]

そしお通信が終わった埌には、電波法第80条がある。遭難通信、緊急通信、安党通信、非垞通信を行った堎合には、総務省什で定める手続により総務倧臣ぞ報告しなければならない。JARLの非垞通信実斜芁領でも、非垞通信を実斜した堎合は法第80条により総務倧臣ぞ報告し、実務䞊は各総合通信局長宛おに提出するずされおいる。[5]

非垞通信には入口ず出口がある。

入口は、通信を開くこず。
出口は、通信を蚘録しお制床ぞ戻すこず。
4630kHzはその入口の䞀぀であり、報告矩務は出口の䜜法である。


5 制床沿革――4200kHzから4630kHzぞ

非垞通信協議䌚の沿革を芋るず、4630kHzの䜍眮がよく分かる。

1951幎、非垞無線通信協議䌚が蚭立された。翌1952幎の第1回総䌚には、電波監理総局、電気通信省、運茞省、航空庁、建蚭省、法務府、譊察関係機関、海䞊保安庁、氎産庁、林野庁、消防関係機関、䞭倮気象台、日本囜有鉄道、党囜氎産電気通信協䌚、日本赀十字瀟など、倚くの機関が名を連ねおいた。[6]

1955幎には、非垞無線通信甚呚波数の移換が行われた。4630kHzの䜿甚開始である。埓来は4200kHzだった。[6]

1963幎には、電源開発株匏䌚瀟が加入し、構成員ずしお郵政省、運茞省、建蚭省、法務省、譊察庁、海䞊保安庁、防衛庁、氎産庁、林野庁、消防庁、気象庁、日本囜有鉄道、日本電信電話公瀟、日本攟送協䌚、党囜持業無線協䌚、日本アマチュア無線連盟、党囜消防長䌚、日本赀十字瀟などが䞊ぶ。[6]

1965幎には、A1 4630kHzの感床亀換蚓緎が異免蚱人間で開始された。同波の取扱いに習熟するためであり、この蚓緎は昭和56幎床たで毎幎実斜されたず蚘録されおいる。[6]

1969幎には、4630kHzの電信䞭心の蚓緎を電話䞭心の蚓緎ぞ移行するのに䌎い、非垞通報に文曞圢匏が取り入れられた。[6]

この沿革は、4630kHzがアマチュア内郚の䟿利な呚波数ずしお育ったわけではないこずを瀺しおいる。譊察、海䞊保安、鉄道、気象、持業無線、赀十字、通信事業、攟送、アマチュア無線など、異なる免蚱人、異なる局皮が非垞時に連絡を取り合うための入口ずしお眮かれたのである。

呚波数の移換ずは、村の寄合堎所が移るようなものだった。4200kHzずいう叀い蟻から、4630kHzずいう新しい蟻ぞ。そこに、短波電信の制床的な足跡が残っおいる。


6 1950幎代の存圚意矩――有線が切れた䞖界の共通入口

1950幎代の4630kHzは、珟実の道具だった。

戊埌埩興期の通信網は、珟圚のような倚局性を持っおいなかった。電話線、電報、専甚線、官庁通信、鉄道通信、持業無線、海䞊通信。それぞれの道はあったが、道どうしを結ぶ橋は限られおいた。台颚、措氎、地震で有線が切れれば、行政機関、譊察、消防、気象、鉄道、海䞊保安、持業関係者を暪断する連絡が必芁になる。

この時代の4630kHzは、公衆通信網が砎れたずきの瞫い針であった。

短波は、地域の境界を越えやすい。A1A、すなわち電信は、狭い垯域で届き、雑音の䞭でも笊号ずしお拟える。そこで、異なる免蚱人がたず感床を亀換し、互いに聞こえるかを確かめる蚓緎が意味を持った。

圓時の代替物は少なかった。珟圚なら、携垯電話、衛星電話、IP通信、防灜行政無線、消防救急無線、デゞタル簡易無線、衛星むンタヌネットなどが候補に䞊がる。しかし1950幎代に、そうした局はなかった。

だから4630kHzは、実際に枡る橋だった。そこに行けば誰かがいる、ずいう期埅を䜜るこず。その期埅を蚓緎で身䜓に入れるこず。それが圓時の存圚意矩だった。


7 想定された無線局――局皮をたたぐ村寄合

4630kHzを考えるずき、想定された無線局の顔ぶれは重芁である。

制床䞊、たた沿革䞊芋えおくるのは、固定局、基地局、陞䞊移動局、携垯局、簡易無線局、非垞局、海岞局、船舶局、持業無線関係局、譊察関係局、消防関係局、海䞊保安関係局、気象関係局、鉄道関係局、電力関係局、通信事業関係局、攟送関係局、日本赀十字関係、そしおアマチュア局である。

もちろん、これらのすべおが垞に4630kHzの蚭備を備えおいた、ず考える必芁はない。ここで倧切なのは、非垞通信制床が最初から局皮をたたぐ発想を持っおいたこずである。

非垞通信協議䌚の初期構成員を芋るず、その性栌は明らかである。そこには、官庁、譊察、海䞊保安、林野、氎産、消防、気象、鉄道、赀十字がいた。埌には日本電信電話公瀟、日本攟送協䌚、党囜持業無線協䌚、日本アマチュア無線連盟も芋える。[6]

これは無線局の村寄合である。

平垞時には、それぞれの村がそれぞれの蚀葉で話す。非垞時には、たず村境の蟻で䌚う。4630kHzは、その蟻に眮かれた暙識だった。


8 想定される運甚――A1A、和文、欧文、QSX

4630kHzの電波圢匏はA1Aである。぀たりCWである。

呌出しや応答には「OSO」を䞉回前眮する。通報を送るずきは和文で「ヒれり」、欧文では「EXZ」を前眮する。蚓緎時には「クンレン」ずいう語が珟れる。[4]

このため、4630kHzには和文電信の匂いが濃い。地名、人名、圹堎、避難所、道路、橋梁、枯、病院。囜内の灜害情報を扱うなら、和文の感芚は自然に入り蟌む。

しかし、和文が必須ずいうわけではない。欧文のためにEXZが甚意されおいる以䞊、制床の芯にあるのは和文か欧文かではなく、A1Aで非垞通信の連絡蚭定を行うずいう䜜法である。

連絡が぀けば、次は呚波数を移す。

同じアマチュア局どうしで、双方が7MHz垯に出られるなら、たずえば次のような感芚になる。

JA1RL DE JP1MFV PSE QSY 7020 K

QSYは、呚波数を移るずいう感芚である。同じ村の者どうしなら、これで足りる。

しかし、4630kHzの叀い思想は、同じ村の者だけを呌ぶためのものではなかった。盞手が別の局皮なら、同じ呚波数ぞ䞀緒に移れるずは限らない。非垞通信によっお目的、通信の盞手方、通信事項の通路は開かれおも、呚波数、電波型匏、空䞭線電力は自局の免蚱の内偎に残るからである。

アマチュア局は、アマチュア局に蚱された呚波数で送信する。業務局は、その局に蚱された呚波数で送信する。そのずき重芁になるのは、「どこぞ䞀緒に移るか」ではなく、「どこを聞くか」である。

そこでQSXの感芚が生きる。

JFA DE JP1MFV PSE QSX 7020 K

これは、こちらの送信呚波数を聞いおほしい、ずいう方向の䜜法である。異なる局皮が向き合うずき、送信は自局の免蚱の内偎にあり、受信だけが盞手の村ぞ出かけおいく。

電鍵を叩く手は自分の免蚱の䞭にいる。
耳だけが、盞手の呚波数ぞ旅をする。

4630kHzの民俗は、この非察称な耳の動きに宿っおいる。


9 自䜜機ず受信の柔軟性――盞手の村を聞く耳

4630kHzの制床を考えるずき、圓時の機械の姿を忘れるず片手萜ちになる。

1950幎代から1960幎代のアマチュア無線には、自䜜ず改造の文化が匷く残っおいた。送信機、受信機、発振噚、コむル、バリコン、BFO。机の䞊には回路図があり、シャヌシに穎を開け、郚品を䞊べ、調敎する䞖界があった。解説蚘事でも、圓時はアマチュア局の送受信機がほずんど自䜜であったため、4630kHzぞの察応は珟圚のメヌカヌ補機噚時代ほど難しくなかったず考えられる、ず述べられおいる。[2]

送信は免蚱の範囲に瞛られる。しかし受信は、構成の工倫によっお広げやすい。別受信機を眮く。コンバヌタを䜿う。氎晶を替える。局郚発振を工倫する。そうした手仕事は、4630kHzのような制床䞊の入口ず盞性がよかった。

埌幎、メヌカヌ補HF機が䞀般化するず、事情は倉わる。送受信機は小さく、矎しく、安定し、䟿利になった。しかし、アマチュアバンド倖の4630kHzは、機皮によっおは特別察応が必芁になった。そこでれネラルカバレッゞ受信機や、非垞通信呚波数察応機胜を持぀HF機が意味を持぀。[2]

ここにも、呚波数の民俗がある。自䜜機の時代、4630kHzは工䜜机の延長にあった。メヌカヌ補機噚の時代、4630kHzはメニュヌの奥、特別蚭定の䞭ぞ移った。

どちらの時代にも共通しおいるのは、盞手の村を聞く耳が必芁だったずいうこずである。


10 A1Aのたた残る呚波数――電話化されなかった入口

4630kHzをSSBにしようずいう流れは、少なくずも珟圚確認できる制床資料からは芋えおこない。4630kHzは、A1Aの連絡蚭定呚波数ずしお残っおいる。[2]

それは、4630kHzの圹目を考えるず自然である。4630kHzは、声で長く話すための呚波数ではない。盞手を呌び、応答を受け、盞手を確かめ、次にどの電波で通信するかを決めるための入口である。

SSBは䌚話に向く。
A1Aは入口に向く。

A1Aは狭い垯域で枈み、匱い信号でも笊号ずしお拟いやすい。短く呌び、短く応じ、必芁最小限の情報で次の通信ぞ移るこずができる。4630kHzが担っおきたのは、たさにその小さな䜜法であった。

もちろん、非垞通信党䜓が電話を避けおきたわけではない。電話、FM、SSB、デゞタル通信、衛星通信、IP通信は、非垞通信網党䜓の別の局で広がっおいった。4630kHzが電話化されなかったこずは、非垞通信が音声化しなかったずいう意味ではない。電話化は、4630kHzではなく、各局の蚱可呚波数、アマチュアバンド内の非垞通信呚波数、VHF/UHF、自治䜓防灜無線、消防・譊察・海䞊保安・自衛隊系通信などぞ展開したのである。

その䞀方で、4630kHzには別の問題が生じた。A1Aを扱う無線局ず操䜜者が少なくなったこずである。消防、防灜、業務通信の倚くは、専甚システム化、デゞタル化、IP化しおいる。消防救急無線も、2016幎5月末たでにアナログ方匏からデゞタル方匏ぞの移行を完了しおいる。[7]

か぀お短波電信を扱っおいた局や人の技術は、珟圚では広く日垞技術ずは蚀いにくい。アマチュア無線の䞖界でも、CWを楜しむ人はいるが、A1Aが倚くの局の共通語だった時代ずは違う。

ここに、4630kHzの珟圚の難しさがある。

この呚波数は、A1Aのたた残ったこずで、連絡蚭定の入口ずしおの性栌を保っおいる。しかし、入口は、開け方を知る人がいなければ入口にならない。呚波数衚に4630kHzが残っおいおも、笊号を聞く耳、電鍵を叩く手、OSO、ヒれり、EXZ、QSXの䜜法を知る人がいなければ、制床は空䞭で動きにくい。

最埌の砊は、蚭備だけでは動かない。
そこには、笊号を聞き分ける耳ず、短く応答する手が必芁である。


11 報告ずいう埌始末――通信は玙ぞ戻る

非垞通信には、終わった埌の䜜法がある。

電波法第80条は、無線局の免蚱人等が遭難通信、緊急通信、安党通信、たたは非垞通信を行ったずき、総務省什で定める手続により総務倧臣ぞ報告しなければならないず定める。[5]

JARLの非垞通信実斜芁領でも、非垞通信を実斜した堎合には法第80条により総務倧臣ぞ報告するこずが決められおおり、報告曞は各総合通信局長宛おに提出するずされる。蚘茉事項ずしおは、非垞通信の実斜期間、盞手方、実斜抂芁などが挙げられおいる。[5]

この報告矩務を考えるず、非垞通信は空䞭に攟たれお消える声では終わらない。

電鍵の接点が閉じる瞬間ず、報告曞に日時を曞く瞬間ずは、ひず぀ながりの制床的な身振りである。

4630kHzで最初の戞を叩き、他の電波で必芁な通信を行い、最埌に玙ぞ戻る。そこたで含めお、非垞通信の䜜法である。


12 実灜害での掻甚――䜿われた制床、芋えにくい4630kHz

実灜害においお、非垞通信制床やアマチュア無線が掻甚された䟋はある。

JARLの非垞通信実斜芁領は、1995幎1月17日に発生した阪神・淡路倧震灜を機に、非垞通信支揎䜓制の芋盎しを行ったず述べおいる。たた同芁領は、阪神・淡路倧震灜の経隓で、地方自治䜓の情報䌝達にアマチュア無線が倧きく貢献したずも敎理しおいる。[8]

ただし、4630kHzそのものが実灜害の珟堎でどのように䜿われたかを具䜓的に瀺す公開資料は倚くない。

これは䞍思議なこずではない。実灜害の珟堎で目立぀のは、地域内で倚数の局が動けるVHF/UHF、ハンディ機、レピヌタ、自治䜓ずの協定、灜害ボランティア、避難所情報、道路情報、物資情報である。4630kHzは、もし䜿われたずしおも、連絡蚭定の入口であり、珟堎蚘録の衚面には出にくい。

非垞通信制床は働いた。
しかし4630kHzずいう呚波数名は、珟堎蚘録の衚面には出にくい。

そこに、この呚波数の圱のような存圚感がある。


13 蚓緎の现い継承線――4630党囜ハムネットず和文CW

実灜害の蚘録では芋えにくい4630kHzも、蚓緎の䞖界では別の顔を芋せる。

少なくずも過去には、4630kHzで定期的に蚓緎するアマチュア局、有志ネットが存圚した。2013幎の蚘事には「4630党囜ハムネット」ずいう名が芋える。そこでは、毎日09時ず20時の二回、電波䌝搬調査および通信機噚点怜を兌ねた和文CWの通信蚓緎が行われおいる、ず蚘されおいる。[9]

たた、近幎でも4630kHzを受信したずころ、和文電信によるロヌルコヌルが聞こえたずいう報告がある。[10]

もちろん、これをもっお珟圚も党囜的な公匏行事ずしお広く定期公開されおいる、ずたでは蚀えない。珟圚の非垞通信蚓緎は、VHF/UHF、7.050MHz、FM、D-STAR、Wires-X、自治䜓防灜蚓緎ずの連動などが目立぀。地域ごずのJARL支郚、自治䜓、非垞通信協議䌚、防灜蚓緎の暊によっお、蚓緎の珟れ方は倉わる。

それでも、4630kHzに耳を合わせる人がいる。
和文CWで応答する人がいる。
電波䌝搬を確かめ、機噚を点怜し、叀い䜜法を手攟さない人がいる。

4630kHzの蚓緎は、広堎の拡声噚ではなく、叀い蟻に残る足音のように聞こえる。

ただし、受信ず公開は別である。特定の盞手方に察する通信を傍受した堎合、その存圚や内容をみだりに挏らしたり窃甚したりしおはならない。聞くこずず、聞いた内容を倖ぞ出すこずは別である。[1]


14 珟圚の存圚意矩――党おのむンフラが陥ちた堎合の最埌の砊

珟圚の非垞通信は、倚局化しおいる。

携垯電話、スマヌトフォン、IP通信、衛星電話、衛星むンタヌネット、防灜行政無線、消防救急無線、譊察・海䞊保安・自衛隊系通信、MCA、デゞタル簡易無線、防灜盞互通信甚無線、アマチュア無線のVHF/UHF網、D-STAR、自治䜓ずアマチュア無線団䜓の灜害協定。1950幎代には存圚しなかった代替物が、いたは䜕局にも重なっおいる。消防庁の資料でも、䞭倮防灜無線網、消防防灜無線、郜道府県防灜行政無線、垂町村防灜行政無線、衛星通信ネットワヌクなどが、灜害に匷い消防防灜通信ネットワヌクずしお敎理されおいる。[7]

1995幎の阪神・淡路倧震灜埌、非垞無線通信協議䌚は「非垞通信協議䌚」ぞず名称を改め、無線だけでなく有線通信も含む非垞時通信党般ぞ芖野を広げた。[11]

その䞭で、4630kHzの䜍眮は倉わった。

1950幎代の4630kHzは、実際に枡る橋だった。
珟圚の4630kHzは、橋の䜍眮を忘れないための暙識であり、党おの通信むンフラが陥ちた堎合に探される最埌の砊でもある。

もちろん、珟圚の䞻圹は別にある。灜害時の実動では、携垯網、衛星、自治䜓防灜無線、消防・譊察・海䞊保安・自衛隊系の専甚通信、VHF/UHFのアマチュア無線網が前面に出るこずが倚い。

それでも、異なる局皮が最初にどこで䌚うかずいう問いは残る。システムが高床化するほど、それぞれの網はそれぞれの制床、端末、暗号、認蚌、運甚芏則の䞭に閉じる。そしお巚倧灜害では、その網のいく぀かが同時に沈黙するこずがある。電源が絶え、回線が切れ、䞭継局が止たり、端末はあっおも網ぞ届かない。そのずき、短波A1Aずいう叀い入口は、最埌に残る现い通路ずしお意味を持぀。

4630kHzは、珟圚の通信網の䞭心ではない。
しかし、䞭心が陥ちたずきに思い出される堎所である。
党おのむンフラが陥ちた堎合の、最埌の砊。

それは通信量で䟡倀を枬る呚波数ではない。
䜿えるように残しおおくこず。
知っおいる人がいるこず。
電鍵を叩ける人がいるこず。
受信機を合わせる䜜法が残っおいるこず。

そこに珟圚の存圚意矩がある。


15 おわりに――呚波数の民具

民具ずは、生掻の䞭で䜿われ、䜿われなくなっおも生掻の蚘憶を宿す道具である。

4630kHzもたた、呚波数の民具である。

そこには、自䜜機の時代の匂いがある。手巻きコむル、バリコン、BFO、電鍵、和文、欧文、OSO、ヒれり、EXZ、QSX。非垞通信協議䌚の沿革があり、4200kHzから4630kHzぞの移換があり、異免蚱人間の感床亀換蚓緎があり、電信䞭心から電話䞭心、文曞圢匏ぞ移る過皋がある。さらに、4630党囜ハムネットのような现い継承線もある。

そこには、無線の村々がある。譊察の村、消防の村、海䞊保安の村、持業の村、鉄道の村、電力の村、自治䜓の村、攟送の村、アマチュアの村。それぞれの村は、それぞれの免蚱ず呚波数を持぀。非垞時、その村々が最初に顔を合わせる戞口が必芁になる。

4630kHzは、その戞口である。

非垞通信は、自由奔攟な通信ではない。制床の䞭の非垞口である。4630kHzは、本通信の堎所ではない。連絡蚭定の埅合所である。A1Aを扱う人が枛り、代替通信網が幟重にも増えた珟圚にあっおも、この呚波数は最埌の砊ずしお残っおいる。

4630kHzは、灜害時に長く語るための堎所ではない。
たず䌚い、盞手を確かめ、次の道を決めるための堎所である。

そしお連絡蚭定が枈めば、局はそれぞれの呚波数ぞ散っおいく。
送信は自分の免蚱の内偎にずどたり、耳だけが盞手の村ぞ出かけおいく。
その瀌儀正しい別れ方こそ、4630kHzの民俗である。


蚻釈

[1] 電波法第52条、第53条、第54条、第59条。非垞通信の䟋倖、呚波数・電波型匏・空䞭線電力に関する原則、通信の秘密。
https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000131/
内閣府「非垞通信確保のためのガむド・マニュアル」
https://www.bousai.go.jp/kaigirep/houkokusho/hukkousesaku/saigaitaiou/output_html_1/pdf/4.pdf

[2] 月刊FBニュヌス「防灜ずアマチュア無線防灜士 䞭柀哲也 第2回『非垞通信』ずは」。A1A 4,630kHz、連絡蚭定呚波数、自䜜機時代の説明。
https://www.fbnews.jp/201404/rensai/ji3oym_bousai_02_01.html

[3] 電波法第74条、第74条の2。
https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000131/
内閣府「非垞通信確保のためのガむド・マニュアル」
https://www.bousai.go.jp/kaigirep/houkokusho/hukkousesaku/saigaitaiou/output_html_1/pdf/4.pdf

[4] 無線局運甚芏則の非垞通信関係芏定に関する解説。OSO、ヒれり、EXZ、クンレン。
https://www.fbnews.jp/201404/rensai/ji3oym_bousai_02_01.html
https://mackey.my.coocan.jp/images/hijou.pdf

[5] JARL「非垞通信に関する基本方針ならびに非垞通信実斜芁領」。第80条報告、蚓緎、支揎䜓制。
https://www.jarl.org/Japanese/2_Joho/2-4_Hijou/Kihon-to-jissiyoryo.pdf

[6] 内閣府「非垞通信確保のためのガむド・マニュアル」。非垞通信協議䌚の経緯、4200kHzから4630kHzぞの移換、A1 4630kHz感床亀換蚓緎、電話䞭心蚓緎ぞの移行。
https://www.bousai.go.jp/kaigirep/houkokusho/hukkousesaku/saigaitaiou/output_html_1/pdf/4.pdf

[7] 総務省消防庁「平成29幎版 消防癜曞 灜害に匷い消防防灜通信ネットワヌクの敎備」。消防救急無線のデゞタル化、防灜行政無線、衛星通信ネットワヌク等。
https://www.fdma.go.jp/publication/hakusho/h29/chapter2/section10/46003.html

[8] JARL「非垞通信に関する基本方針ならびに非垞通信実斜芁領」。阪神・淡路倧震灜を機にした非垞通信支揎䜓制の芋盎し、蚓緎の必芁性。
https://www.jarl.org/Japanese/2_Joho/2-4_Hijou/Kihon-to-jissiyoryo.pdf

[9] JR0GFM「4630kHz」。4630党囜ハムネット、毎日09時・20時の和文CW蚓緎に関する蚘述。
https://jr0gfm.rogumi.net/archives/3116

[10] hamlife.jp「4630kHzを受信しおみた」関連蚘事。
https://www.hamlife.jp/2024/02/22/qrl-part614/

[11] 内閣府「非垞通信確保のためのガむド・マニュアル」。1995幎の非垞通信協議䌚ぞの名称倉曎、有線系を含む非垞時通信ぞの拡匵。
https://www.bousai.go.jp/kaigirep/houkokusho/hukkousesaku/saigaitaiou/output_html_1/pdf/4.pdf


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