クラッチ
世の中にはいろんな種類のクラッチが存在しています。
乾式単板、湿式多板、乾式多板、遠心クラッチ、多分これだけではないはずですが・・・
最近だとEクラッチなどもあるようですが、恐縮ながら、この記事では、
オートバイで従来から最も一般的な湿式多板のクラッチについてだけお話しようと思います。
この記事では『エンジン』というカテゴリーに入れておきますが、正確に言うとクラッチはエンジンの一部ではありません。
正しくは動力伝達装置です。
実際、自動車ではエンジンとクラッチは別体であり、オートバイでも一部のメーカーでは別体だたったりすることがあります。
国内メーカーの一般的なオートバイでは殆どの場合、エンジンと一体のケースの中に収納されているので、一般的な言い方としてであれば 『エンジンの中のクラッチ』 という言い方は間違いではありません。
ですが、厳密には内燃機関としてのエンジンではなく、動力伝達装置ということになります。
動力を伝達する装置ですので、エンジンが混合気を爆発させて得るエネルギーを回転力に変換するまでがエンジンの仕事です。
その回転力を正しく駆動輪に伝えて初めてオートバイは走ります。
この、エンジンが回転する力(クランクシャフトの回転)をクラッチがトランスミッションに伝えたり切り離したりする役目を担っています。
【クラッチには摩擦が必要】
お察しの通り、クラッチはプレートとプレートが重なり合い、お互いに摩擦することで動力を伝えます。
ですので、クラッチプレートやフリクションプレートが擦り減ってしまうと摩擦が減ってしまい、遂にはクラッチとしての機能が果たせなくなります。
また、オートバイのエンジンに適合しないエンジンオイルを使ったりすると、クラッチプレートとフリクションプレートが潤滑されてしまい、プレートの間の摩擦がなくなってしまうために、『クラッチが滑る』という症状が出ることもあります。
そのような場合には、クラッチレバーを握っていないのに、アクセルを開けてもエンジンの回転数だけが上がってバイクは加速してくれない・・・
などという状況に陥ります。
オートバイに使用するエンジンオイルに4輪用のエンジンオイルを使わない方が良いというのはこのクラッチを滑らせないための工夫をしたオイルであることが必要だからです。
【クラッチの仕組み】
クラッチは少々複雑な仕組み、構造になっているので、詳細な解説は省きますが、概ね以下のようなものであることだけ触れておきます。
クラッチを構成しているパーツは以下の図などを参照してください。
クランクシャフトにはプライマリードライブギヤ(回転をクラッチに伝えるための歯車)が取り付けられていて、エンジンがかかるとこのギヤもクランクシャフトと一緒に回転します。
クラッチのアウターケースの背後にはこの回転を受け止めるドリブンギヤが付いていて、アウターケースが回転します。このギヤの大きさの差が一次減速比として最初の減速をしています。
アウターケースはフリクションプレートと一緒に回転する構造になっていますが、クラッチセンターはアウターケースとは一緒に回転する仕組みにはなっていません。
クラッチプレートはクラッチセンターと噛み合う構造になっているので、すべてのクラッチプレートとフリクションプレートとが摩擦するとクラッチセンターが回転します。
クラッチプレートとフリクションプレートはスプリングがリフティングプレートを押す力によって互いに摩擦することで、アウターケースとクラッチセンターの両方が回転します。しかし、クラッチレバーを握るとリフティングプレートが開放され、クラッチプレートとフリクションプレートの間に隙間ができるため、クラッチが切れた状態になります。
クラッチがつながった状態になると、クラッチセンターの中心部がトランスミッションのメインシャフトと連結しているため、トランスミッションが回転することになります。
【構成しているパーツ(メーカーによって呼称が違う場合があります)】
1. アウターケース
4. クラッチセンター
7. フリクションプレート
8. 9. クラッチプレート
15. スプリング
12. リフティング、リフティングプレート
17. リフティングロッド(CB1300の場合)

カムを配置することでリフティングプレートを動かす仕組みに
なっていることもあります
