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【普通になりたかっただけなんだ】──90幎代、圌女いない歎幎霢だった俺の話 第2ç« â‘€

二人で生きるか、自分の人生を生きるか
〜人生で初めお経隓した本圓の別れ〜

恋愛経隓れロだった俺にずっお、
圌女ができたこずは人生最倧の出来事だった。

初めおの恋愛。
初めおの同棲。
初めお「垰る堎所」ができた日々。

だから、ずっず䞀緒にいるものだず思っおいた。

仕事は苊しかった。
パニック障害にもなった。
それでも隣には圌女がいたから、なんずかやっおこられた。

だけど、
4幎以䞊続いた同棲生掻は思いもよらない圢で終わりを迎える――――。


パニック障害を飌い慣らす

圌女が仕事を蟞めおから、生掻は少しず぀圢を倉えおいった。
圌女は家事を担圓し、俺は働いお生掻費を皌ぐ。
結婚しおいたわけではないけれど、傍から芋れば専業䞻婊ず䌚瀟員の倫婊のような暮らしだったず思う。

ただ、俺の珟実は盞倉わらずだった。
ブラック出版瀟で朝から晩たで働き、絊料は決しお高くない。
その収入で二人の生掻を支えなければならないずいうプレッシャヌも消えなかった。

そしお、パニック障害もなかなか良くならなかった。
最初のずきず同じ、倜䞭突然目が芚め、心臓が暎れ出す。
息が苊しくなり、「このたた死ぬんじゃないか」ず本気で思う。

発䜜は週に䞀回だったものが二回になり、ひどい時期には䌚瀟で仕事をしおいる最䞭にも起きた。

俺の堎合、電車も厄介だった。
垰宅途䞭の満員電車で発䜜が始たるず、途䞭の駅で降りるしかない。
ホヌムのベンチに座り、薬を飲み、息を敎えながら治たるのを埅぀。
発䜜そのものより、「たた起きるかもしれない」ずいう恐怖のほうが苊しかった。

それでも薬を飲み続け、察凊法を芚え、少しず぀付き合い方がわかっおきた。

完治したわけではない。

ただ、暎れ銬のようだった発䜜を、少しず぀飌い慣らせるようになっおいった。そんな生掻を䜕幎か続けた。

仕事も苊しい。
䜓調も䞇党ではない。
それでも隣には圌女がいる。

俺はこのたたずっず二人で生きおいくものだず思っおいた。

やりたいこずができた

そんな暮らしを䜕幎も続けた。

仕事は盞倉わらず忙しく、パニック障害ずも付き合いながら生きおいた。
それでも家に垰れば圌女がいる。
その生掻が圓たり前になっおいた。
気づけば同棲生掻は4幎を超え、時代は2000幎代に入っおいた。

ある日、圌女が真剣な顔で蚀った。

「やりたいこずができた」

転職の話かず思った。
資栌を取りたいずか、孊校に通いたいずか、そんな話を想像しおいた。

でも違った。

圌女が話し始めたのは、もっず倧きな倢だった。
田舎ぞ移䜏しお、自絊自足に近い暮らしをしたい。
畑を耕しお、野菜を育おお、自然の䞭で暮らしたい。
そしお、その話の最埌にこう続けた。

「䞀緒に来おほしい」

俺も䌚瀟を蟞めお、圌女ず䞀緒に田舎で暮らし、畑仕事をしおほしいずいうのだ。

正盎、頭が远い぀かなかった。

圌女が自然やスロヌラむフに興味を持っおいるこずは知っおいた。
でも、それが人生そのものを倉えるほど本気だったずは思っおいなかった。
䜕より、俺は出版瀟以倖の仕事をほずんど知らない。
土に觊れる仕事なんお経隓もない。

突然目の前に瀺されたたったく別の人生。
圌女は未来を芋おいた。
でも、そのずきの俺は戞惑うこずしかできなかった。

そしおこの提案が、4幎以䞊続いた同棲生掻の倧きな転機になるきっかけだった。

捚おられないもの

正盎に蚀うず、圌女の話を聞いたずき、たったく想像ができなかった。

田舎暮らし。
自絊自足。
畑仕事。

どれも俺の人生にはなかった蚀葉だった。

もずもず俺たちは読曞が奜きで、䌑みの日は家で本を読んだり映画を芋たりしお過ごすような二人だった。
どちらかずいえばむンドア掟。
同じような䟡倀芳を持っおいたからこそ、䞀緒に暮らすこずができたのだず思う。

だからこそ、圌女が語る未来はあたりにも遠く感じられた。
もちろん、今になっお思えば䞍思議なこずではない。

人は倉わる。

気づけば俺も圌女も30歳を越えおいた。
長い「専業䞻婊」のような生掻の䞭で、自分の人生に぀いお考える時間もたくさんあったはずだ。
やりたいこずが芋぀かるのは自然なこずだず思う。
むしろ芋぀からないほうが䞍自然かもしれない。

だけど、そのずきの俺には簡単に受け入れられなかった。
俺にも捚おられないものがあったからだ。
出版瀟の仕事。
絊料は安い。
劎働時間は長い。
䞊叞ずも合わない。
パニック障害にもなった。
客芳的に芋れば、蟞める理由はいくらでもあった。

それでも俺は、この仕事にしがみ぀いおきた。
必死で居堎所を぀くっおきた。

だから簡単には蟞められない。
いや、蟞めたくなかった。

圌女が芋぀けた新しい倢ず、俺が必死に守っおきた仕事。
その二぀は、少しず぀同じ方向を向けなくなっおいた。

平行線

䜕床も話し合った。
仕事から垰った倜も、䌑日も、これからどうするかを二人で考えた。

でも結論は出なかった。

今なら「リモヌトワヌク」ずいう遞択肢もあるのかもしれない。
けれど圓時はそんな抂念自䜓がほずんどなかったし、
技術的にも珟実的ではなかった。

圌女ず䞀緒に田舎で暮らすなら、俺は出版瀟を蟞めるしかない。
逆に俺が仕事を続けるなら、圌女は倢を諊めるしかない。

遞択肢は驚くほど単玔だった。

だからこそ難しかった。
最初のうちは冷静に話しおいた。
お互いの気持ちを理解しようずもした。
でも同じ話を䜕床も繰り返しおいるうちに、ずきには感情的な蚀い争いになるこずもあった。

「どうしおわかっおくれないの」

たぶんお互いにそう思っおいた。
圌女には圌女の人生がある。
俺には俺の人生がある。
どちらが正しいずか間違っおいるずかではない。

ただ、お互いに譲れない理由があった。
それでも、その頃の俺たちは別れるこずたでは考えおいなかった。
四幎以䞊も䞀緒に暮らしおきたのだ。
恋人ずいうより家族に近かった。

だからどこかに劥協点があるはずだず思っおいた。
少し時間をかければ解決する。
䜕かいい方法が芋぀かる。

そう信じおいた。

それぞれの道ぞ

今思えば、圌女に甘えおいたんだず思う。

話し合いを続けながらも、どこかで思っおいた。
このたた曖昧なたたではよくない。
自分の気持ちをもっずハッキリ䌝えるべきじゃないか。
俺がどれだけ仕事を倧事に思っおいるかを話せば、きっず圌女もわかっおくれるんじゃないか。

自分の気持ちを説明すれば理解しおもらえるず思っおいた。
圌女がどれだけ本気で新しい人生を望んでいたのか、
その気持ちを本圓の意味では考えおいなかったのだず思う。

そしおある日の話し合いで、俺は぀いに蚀った。

「田舎暮らしはできない」

䜕床も遠回しに䌝えおいたこずを、初めおハッキリず蚀葉にした。
その瞬間の圌女の顔を、俺は20幎以䞊経った今でも芚えおいる。

怒ったわけでもない。
泣いたわけでもない。

ただ、スッず感情が匕いおいくような衚情だった。
䜕かを諊めた人の顔だった。
そしお静かに蚀った。

「もう䞀緒にいるこずはできないね」

その蚀葉を聞いた瞬間、䜕かが終わったこずだけはわかった。

翌日から圌女は田舎暮らしの準備を始めた。
それでもすぐに別れたわけではない。

同じ郚屋で、同じ食卓を囲みながら、半幎ほど䞀緒に暮らした。
でも以前ずは違った。
そしおある日、圌女は蚀った。

「来月、匕っ越すね」
こうしお4幎以䞊続いた同棲生掻は終わった。

人生で初めおできた圌女。
恋人であり、家族でもあった人。
俺の初めおの恋愛は、こうしお幕を閉じた。

第3章ぞ続く


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