【普通になりたかっただけなんだ!】──90年代、彼女いない歴=年齢だった俺の話 第3章①
30歳を過ぎて始まった恋愛修行
~合コンで負け続けた男~
第2章で、人生で初めての恋愛と別れを経験した。
恋愛経験ゼロだった俺は、ようやく「恋愛」というものを少しだけ知った。
でも、人生はそこで落ち着いてはくれなかった。
パニック障害を抱えながら働き続け、何度も合コンで振られ、それでも少しずつ恋愛を覚えていく。
そして結婚。
「これでようやく普通の人生を歩ける」
そう思った矢先、会社の業績は悪化し、職場は崩れ始める。
結婚しても、仕事が安定するわけじゃない。
幸せを手に入れたと思ったら、今度は生活そのものが揺らぎ始めた。
これは、30代の俺が「家庭」と「仕事」の狭間でもがき続けた10年間の記録である。
一人暮らしとパニック障害
同棲していた彼女と別れたあと、俺は引っ越して再び一人暮らしを始めた。
数年ぶりの一人暮らしだった。
部屋に帰っても誰もいない。
食事も一人。
休日も一人。
当たり前のことなのに、最初は妙に静かだった。
彼女と別れたこと自体もつらかったが、それ以上に生活が一変したことがこたえた。
仕事の状況も相変わらずだった。
出版社の仕事は忙しく、毎日帰りは遅い。
休日出勤も珍しくない。
以前から抱えていたパニック障害も悪化していた。
朝、出勤前から胸が苦しくなることがある。
電車の中で突然息苦しくなり、途中下車することもあった。
仕事中に発作が起きることも増えた。
このまま普通に働き続けられるのだろうか。
そんな不安を抱えながら毎日を過ごしていた。
ただ、人間というのは不思議なものである。
どれだけつらい状況でも、それが何カ月も続くと少しずつ慣れてくる。
もちろん完治したわけではない。
それでも発作の頻度は徐々に減っていった。
気がつけば、なんとか仕事に通い、
なんとか生活できる状態には戻っていた。
後輩が勝手に始めた恋愛支援
そんなある日だった。
「先輩、今彼女いないんですよね?」
会社の後輩が言ってきた。
「今度合コンやりましょうよ」
うれしかったし期待もした。
でも正直、不安も大きかった。
当時の俺は三十代前半。
恋愛経験はあるとはいえ、付き合った女性は一人だけ。
いわゆる合コンでうまくいった経験はなかった。
そんな俺の不安をよそに後輩はやる気満々だった。
そして合コンはすぐに実現した。
とにかく負け続けた
一度だけではなく何度も開いてくれたのに。
今思えばありがたい話である。
こうして俺の「恋愛修行」が始まった。
で、結果から言う。
全然うまくいかなかった。
飲み会で話はできる。
そこそこ盛り上がったと思う。
連絡先は交換をしたこともある。
だが続かない。
こちらからメールを送っても返事が来ない。
返事が来てもそこで終わる。
食事に誘う前に終わる。
デートまでたどり着けない。
たどり着いても次がない。
そんなことの繰り返しだった。
二十代の頃なら、その時点で諦めていたと思う。
「やっぱり俺なんか無理だ」
そう結論づけて終わりだった。
でも三十代になった俺は少し違っていた。
失敗しても、また次があることを知っていた。
それは彼女と付き合った経験があったからだと思う。
恋愛経験ゼロだった頃は、一回の失敗が致命傷だった。
好きな人に断られたら終わり。
そのまま数年引きずることもあった。
しかし一度でも恋愛を経験すると見える景色が変わる。
失敗しても人生は終わらない。
また誰かと出会えるかもしれない。
そんな当たり前のことを、ようやく理解し始めていた。
初めて知った恋愛の駆け引き
今の若い人たちには不思議かもしれないが、当時の俺は三十歳を過ぎるまで恋愛の駆け引きというものをほとんど知らなかった。
メールはどのくらいの頻度で送ればいいのか。
誘うタイミングはいつなのか。
相手が自分に興味を持っているのか。
どこまで踏み込んでいいのか。
そんなことを一つひとつ手探りで覚えていった。
遅すぎる恋愛の勉強だった。
もちろん失敗もした。
今思い出しても恥ずかしいことは山ほどある。
一人で空回りしたこともある。
勝手に盛り上がって勝手に振られたこともある。
だが二十代の頃の俺と違ったのは、失敗しても続けたことだった。
とりあえず次へ行く。
また会う。
また話す。
また振られる。
その繰り返しだった。
それでも少しずつ、女性と自然に話せるようになっていった。
そして次の恋愛へ
そんな合コンの日々が続く中で、一人の女性と出会った。
最初から特別な出会いだったわけではない。
運命を感じたわけでもない。
むしろ今までと同じような出会いの一つだった。
ただ、それまでとは少しだけ違った。
会話が続いた。
また会う約束ができた。
そしてもう一度会った。
気がつけば、二人で過ごす時間が増えていた。
彼女いない歴=年齢だった頃の俺なら、そこまでたどり着くことすらできなかったと思う。
失敗を繰り返したからこそ、ようやく見えた景色だったのかもしれない。
こうして俺は、人生で二度目の恋愛を始めることになる。
そしてこの出会いが、後に結婚へとつながっていくことになるのだった。
第3章②へ続く
https://note.com/lofty_pothos1440/m/m0364e828a368
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