【創作小説紹介】長編小説「棘探し」
現在カクヨムで公開しているオリジナル長編小説、「棘探し」について紹介しようと思います。
【あらすじ】
現代の吸血鬼と呼ばれる「血食症」患者・女子大生の樋野宮那都希と、三年前からルームシェアをしている女子高生、秦野侑李。那都希は七年前、侑李の父が働いていた病院で起きた失血事件の容疑者の一人であり、その直後失踪した父の、片恋相手でもあった。
父の失踪理由を知るために、那都希とルームシェアを続ける侑李。
「ねぇ侑李、噛んでいい?」
「不衛生だから嫌」
――この関係を、どう呼べば良いのか分からない。
信頼と疑念、好意と軽蔑、人が人に対して当たり前に持っている感情の凶器に怖じ気づく、少女たちの青春の話。
※血食症という架空の病気が出てきます。
※軽度の暴力描写があります。
青春ロマンシス、と銘打ってる通り、女の子同士の、ちょっと濃いめの友情なんだか愛なんだか、みたいな微妙な関係を描いています。はっきりとした描写はないので、そういうのがお好きでしたらご一読いただければ幸いです。
「人を好きになる根拠」って何だろう、と考えたことがあります。
誰だって、他人の気持ちを100%分かることはないし、分かっているつもりの範囲のことすら、「事実」ではなく、「想像」でしかないんですよね。
何も確かなものはないし、将来にわたって相手や自分の気持ちが同じだとも限らないのに、私たちは誰かを「好ましい」と思って、信じて、付き合っている。
そういう、自分自身の「心の根拠」を、ずっと探して、疑って、ひとつひとつ確かめていく、ちょっと疑り深すぎる気もする女の子の、青春劇です。
執筆経緯
さて、「棘探し」はロマンシス小説です。正直、普段はほとんど書かないジャンルです(女子同士の友情、ならそれなりにあるけれど)。
というのに、投稿作の中で二番目に書いた長編がなぜこれなのかというと、ガールズラブをテーマにした公募に応募するのに書いたから、です。
何年か前に、お題で書いた掌編が、掌編というには設定が濃くて、しかも「多分これ長編化させたら百合ものになるだろうな」という設定でした。それで、長い期間、長編ネタとしてストックしていたのですが、この公募を見たときにそれを思い出しました。
これを機に、きちんと形にしてみようかなと思って、設定を練り直したのがきっかけです。
コンセプト
お題をもらった時、この作品のコンセプトは、「私が書きたいと思う吸血鬼もの」でした。
吸血鬼ものは世に数多ありますが、中でも耽美要素の強いものは、普段の自分の作風とは離れていて、それを特に意識しました。「耽美系吸血鬼ものなら私はこういうのが好き」を、自らを探っていくように設定を作った結果が、この「棘探し」の原型となりました。
設定を練り直し、長編ストーリーの方向性を決めるときも、この「耽美系吸血鬼もの」のコンセプトはそのまま受け継ぎました。
ただ、吸血鬼そのものを扱うには、私の性格上、実際の伝承やらその歴史やらをきちんと調べてから書きたかったので、時間的制約もあって、今回は架空の病気を作ることにしました。それが、「血食症」です。
話が脱線しますが、わりと設定中毒者なので、血食症の設定を作るのは楽しかったです。ただ、いかんせん文系でして、生物学的な面での設定の穴はあると思います。
一応、細胞自体が違う、と書いたので、本編に書いたことの他にも色んな事情があるのだと、思っていただきたいところです(汗)。
その他、侑李、那都希、侑李の父あたりの関係性も、「耽美系吸血鬼もの」というコンセプトに沿って設定しました。
吸血鬼ジャンルの持つ「耽美」って、要素の一つに「タブー」があると思っています。そのため、「犯罪」要素や「禁忌の恋」要素を設定に持ってきました。
この辺は原型にもあって、だからこそこれは掌編じゃないな、となってしまったのですが。
終わりに
吸血鬼もの、というと変化球な設定ですが、私なりに「耽美系吸血鬼もの」の醍醐味を踏襲しながら、自分の「好き」に忠実に書いたつもりです。
ジャンルとしては不慣れなテーマでしたが、私の好きな関係性を、好きなように書いたらこうなったので、もし誰かに「自分も好きかも」と思っていただけたら、それ以上の幸福はありません。
なお、ネタバレになりますが、
私はあんまりダークなものを書くタイプではありません。
「棘探し」も、ほの暗さと明るさが4:6で同居している、どちらかというと屈折してるなぁ、という程度です。
設定を読んで、暗いものを求めている方には申し訳ありません。6割は普通に明るい青春劇ですので、むしろそういうのが好き、というかたがいらっしゃれば、幸いです。
※同人誌化
なお、「棘探し」は、同人誌として文庫本にもしています。
『棘探し』(著:菊池浅枝/発行サークル:花に青藍)
全186ページ、定価は500円です。
愛用していたガラケーで撮った写真を表紙に、人生で初めて個人同人誌を作りました。
一か所だけ、紙媒体のみ加筆したところもありますが、ほぼカクヨムにアップしたものと同じ内容ですので、紙で読みたい! という方用です。
イベントなどで販売していますので、もしイベントで見かけることがあれば、お立ち寄りいただければ幸いです。
いいなと思ったら応援しよう!
応援いただければ幸いです。 いただいたチップはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます。