カリスマの首が横切った
この世にはふたつの世界がある。
「よくあること」と「滅多にないこと」
それは偶然ではなく
よりどりみどりの因果の底で
未練に頬擦りする禿頭の老人であった。
松葉づえに頼らずあるくと
よろけ、下半身から金属音が響く
松葉づえに頼ってあるくと倒れ
下半身が、異常に冷える
しかし歩きながら大地を憎むことはない
老人の周りで溌溂と婆婆が飛び廻っていた
冬の蠅なのだろうか?
蠅は老人のように、よぼよぼと歩いていたジョージアの缶コーヒーを飲みながら
青空を見あげていた老人の側を
カリスマの首が横切った
老人の周りを飛び廻っていた婆婆たちも
カリスマの後に続いて
「劣等感は関係ありません」と叫んでいた
文学と無縁な老人には
この出来事を言語化することは出来ない
暫くしたら婆婆たちが首だけで戻ってきた
カリスマも一緒だ
これは、オスカーか!
それとも、ワンルー厶で機械と戯れる異相空間か!でもなく、絶世の美女の前では性行為が不能になる男の粉が快楽を征服した際に訪れる娶りか?
老人、偽り、首が横に滑る
アルコールはやめ、ドラッグもやめ
ニュージャージーを目指す
なぜかは、【脳の果樹園】が集まっているから、回路の焼き増しをするのだ。
頭は正常なのに、機械から脳へ感覚を返す(感覚フィードバック)がズレていた。
婆婆たちは、頭だけで充分なのか?
カリスマは?
「ここか!!」
滅多にないことなのだが
老人は、数年ぶりに射精していた
カリスマのお陰で
婆婆たちが老人の陰部に群がっていた
「触れられた感覚」や「熱さ・痛さ」などを機械のセンサーから脳へ直接刺激として書き戻すことで、脳のしかるべき部位へ今まで経験したことない感覚や快楽を認識させられた。
カリスマは、婆婆に何を教えたのか?
老人にカリスマが口を開いた
「滅多にないことですよ」
老人もカリスマに続いた
空からレモンがひとつだけ落ちてきた
ちょうど、老人が頭で受け止め
そのまま口に運んだ
レモンの味は甘かった
それはレモンの甘さではなく
レモンの周りの世界の甘さだった
カリスマと婆婆たちは
その事実を大いに喜んだが
老人は、ぼろきれのヴィーナスに
ナフェア・エ・デ・ファアイポイポと
聞かれても良かったのではと、呟いた
