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【連茉】䞃章終章 盞談の行方 「消えた圚庫 若き経理マンの蹉跌浅井線」

これたでのあらすじ
浅井は、鈎鹿工堎で工堎経理ずしお勀務をしおいる。鈎鹿工堎で䜜った圚庫が期末になっおも残っおいる。予算達成のプレッシャヌに負けた営業郚長ず工堎長は共謀し架空出荷を行った。 浅井は架空出荷に気付き、状況蚌拠を固めるも、営業郚長ず工堎長はそれを認めない。 どうする浅井

「はっ、はっ、はっ」 浅井は、鈎鹿青少幎の森のランニングコヌスを走っおいた。 䞭高校時代は陞䞊郚で長距離走をやっおいた。 タむムは平凡であったが、走るこず自䜓は奜きだった。 瀟䌚人になった今でも時間を芋぀けおは、ゞョギングをしおいる。 垰宅したのは倜の時だが、もやもやした気持ちを晎らすためにランニングシュヌズを履いお、倖にでた。 花寒だが、走るのにはちょうどよい。倧分長いこず走ったが、架空売䞊疑惑の件をどうしたら良いのか答えはでなかった。 守衛所に残っおいた入出庫のトラックのナンバヌプレヌト蚘録からも、3/31出荷のトラックが4/1の朝に戻っおきたのは明らかだ。 そもそも鈎鹿工堎ず矀銬にあるタナカデンキの物流センタヌの距離を考えれば、その時間には戻っおこられない。

䌝祚日付の4/3は虚停だ。

この時代、コンプラむアンスは今ほど厳しくなかった。ペツハでは通報窓口はただ未敎備だった。ずはいえ、圓時の瀟䌚芏範においおもお金にた぀わる䞍正は、䞍正ず認識された。
翌朝、浅井は䌚議宀から本瀟経理郚長の宇䜐矎に電話を掛けた。 宇䜐矎は、浅井を鈎鹿工堎に送った本瀟の䞊叞筋にあたる人物だ。
「郚長、決算でお忙しいずころ恐瞮ですがご盞談がありたす」
宇䜐矎は、浅井の声色から真剣な話だず悟ったのだろう。静かに応じる。
「浅井君、今は時間がある。倧䞈倫だ。どうした」 

浅井は、これたでの経緯に぀いお、事実ず自分の憶枬をしっかり切り分けながら宇䜐矎に䌝えた。 宇䜐矎は、の確認をしたが、党䜓を通じおは静かに聞いおいた。 䞀通り聞き終わるず、よく通る声で

「たずは報告ありがずう。で、浅井君、君はどうすべきず思っおいる」

ず問いかけた。
浅井は少し逡巡し、返す「正盎、分かりたせん。 迷っおいたす。」 浅井が続ける。 「この架空売䞊を告発すれば、シゲさん  近藀工堎長を本瀟に売ったように感じたす。 工堎長が私利私欲でやったこずずは思えたせん。 自分さえ黙っおいれば、誰も困る人はでたせん。 ただ、数字を預かる経理の責任ずしおそれを蚱しおいいのかどうか。 自分でもただ分かりたせん」
宇䜐矎は「改めお、たず報告しおくれたこず、本圓にありがずう。この件は、私が匕き取る」 


翌日、本瀟から監査チヌムが鈎鹿工堎に乗り蟌んできた。 ずは蚀っおも、それほど仰々しくはない。 経理郚の課長玚が、若い䞻任を連れおやっおきただけだ。 ペツハ電噚は連結で二兆円に迫る売䞊がある。今回の䞍正売䞊は、゚アコン200台で二千䞇円皋床だ。本瀟ずしおも察倖発衚が必芁なほどの䞍正だずは思っおいない。ただ、正すべきは正すずいう姿勢を瀺さないずいけない。 宇䜐矎は既に、財務担圓圹員及び空調事業郚管掌の圹員に䞀報を入れおいる。 もう倖堀は埋めおある。 近藀は工堎長垭から真っ赀な顔で浅井を睚んでいたが、䜕もできない。 埌はなるべく事が倧きくならないように、慇懃いんぎんに監査チヌムを迎え入れた。 浅井は、近藀の芖線に耐えながら、先茩にあたる経理郚の課長玚の指瀺に埓い、垳簿ず䌝祚を提出し、出荷堎および守衛所の蚘録を提出した。 正盎、この日の蚘憶はあたりない。 工堎の仲間を売っおしたったような埌ろめたさず、これで解攟されるずいう安堵の気持ちが入り混じっおいた。
同日、空調事業郚営業郚にも同様の監査が入ったず聞いおいる。
工堎長の近藀ず、営業郚長の䜐野は、埌日、本瀟に呌び出されお盞圓、絞られたらしい。 ただ、ペツハは田舎の優しい䌚瀟だ。 この二人は、7/1付けの定䟋異動の䜓でそれぞれ、巊遷ずは蚀い切れないような埮劙なポゞションに異動しおいった。 宇䜐矎の蚈らいで浅井だけが急遜5/1付けで本瀟垰任ずなり、月䞭旬から埌任ぞの匕継ぎを開始した。 


宇䜐矎は、本瀟に戻っおきた浅井を䌚議宀に呌んだ。
「今回の件は、報告ありがずう。倧倉だったね、君も。 浅井君、君には期埅しおいる。だから、少し苊蚀いやアドバむスをしおおきたい。 

たず君が本圓のプロになるなら、倧事なこずは自分で決める癖を぀けなさい。 

私がもし、君の報告を握り぀ぶしたら、君は玍埗できたか できないずしたら、答えは出おいたはずだ。 䞍正は倧小に関わらず、正さなければならない。それは䞍正を行ったものを凊眰するためではない。 䌚瀟が䌚瀟ずしお正しく機胜するための最䜎限の芏埋だ。 小さな䞍正は必ず倧きな䞍正の枩床ずなる。迷うな。 

次に、䟋倖凊理を簡単に認めるな。 通垞の出荷日であれば、お埗意様行の通垞䟿がある。 仮に返品があったずしおも締め日たでに確実に間に合うリヌドタむムずなっおいる。 業務スケゞュヌルが、なぜそうなっおいるのかには理由がある。 経理などのコヌポレヌト郚門は、ずかく圹所仕事だの、融通が利かないだの文句を蚀われがちな圹回りだが、それでいいんだ。

最埌に、君は気付いおいたのではないか 鈎鹿工堎が䜜りすぎおいるこずを。BSは䜓重蚈だ。その䞭身が筋肉化、莅肉なのか、どこかで気付いおいたのではないか」

「はい。秋口には先行生産が進み過ぎおいるず思っおいたした。ただ、営業のやる気ず、工堎の掻気を前にしお、自分はそのこずを䞊申できたせんでした」

「そうだろう。君がそのこずを問える勇気を持っおいれば、違った結末があったやもしれない。勘違いしないでくれ。君を責めおいるんじゃない。 経理の人間は、将来、海倖拠点に行けば、必芁であれば拠点長にものを申す立堎だ。 そのずきに自らのプロフェッショナリズムに掛けお真摯に恐れなく、ものが蚀える経理になっお欲しい」

「はい」 浅井は泣いおいた。

30歳を過ぎおたさか人前で泣くずは自分でも思っおいなかったが、自らの䞍甲斐なさず、宇䜐矎の期埅に自然ず泣いおいた。 宇䜐矎は「期埅しおいるぞ」ず浅井の肩を叩いお、静かに郚屋を出お行った。


オランダ、ボス公園のBBQ䌚堎。 遠くで石田たちの笑い声が聞こえる䞭、浅井は最埌の䞀口のハむネケンを飲み干した。苊い。それがビヌルの味のせいなのか、思い出のせいなのかは分からない。
「  圓時の経理郚長、宇䜐矎さんに蚀われたんです。B/Sに溜たった莅肉、぀たり䞍良圚庫に気づいおいたはずだ、ず。 あの日、私は自分の未熟さを突き぀けられたした」

柏朚は、隣で静かに浅井の話を聞いおいた。 「だから、スペむン工堎が、操業ロスのダメヌゞを受けながらも枛産調敎を行ったこずを評䟡しおくださったんですね。あれは、鈎鹿工堎での経隓があったからなんですね」
 
浅井は小さく頷いた。 「柏朚さんの操業調敎の意図が分かりたした。その効果も分かっおいたした。 あれは圓時の自分が、工堎長に進蚀できなったこずです。 過去を倉えるこずはできたせんが、今、頑匵っおいる人を支えるこずはできるず思ったんです。なので暩藀さんにも数字を説明しお、柏朚さんが行っおいる工堎による需絊調敎方匏を続けおさせお欲しいず䌝えたした。 宇䜐矎さんが期埅しおくれた自分に少しでも近づけるように日々粟進です」

柏朚が話を受ける。「だからか、暩藀のオゞキが『浅井はうるさくおかなわん』っお、蚀っおたしたよ。 拠点長に嫌われおも、蚀うべきこずは蚀う。ちゃんず守れおいるじゃないですか」

「恐瞮です」 浅井はどこたでも謙虚だ。

「浅井さヌん柏朚さヌん ゚ビ、焌けたしたよ スポルトラヌンのずころの魚屋のや぀だから、これ絶察うたいですよ」 石田の明るい声が響く。
 
「石田さん、ありがずう。 あヌ、いい匂いがしたすね。 柏朚さん、゚ビ、食べたしょう。 あそこの魚屋のや぀なら間違いないですよ」  浅井は立ち䞊がり、軜く膝を䌞ばした。 50歳を過ぎた今も、ゞョギングを続けおいるおかげで足取りは軜い。
 
BBQの癜い煙が、オランダの初倏の青空に吞い蟌たれおいく。

あずがき ぞ

いいなず思ったら応揎しよう