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成郜の䞭叀垂堎ビルを探怜する



囜家五塊石旧貚垂堎

成郜旅行の二日目。昭芚寺ず動物園に立ち寄ったあず、こんどは箱型の䞉茪車を぀かたえお、同じく垂街北郚の倧型リサむクルショップをおずずれた。移動距離は玄5キロ、運賃は20元玄440円。

日ごろ愛甚する䞭華系地図アプリで発芋した、いささか謎なスポットだ。その名を「囜家五塊石旧貚垂堎」ずいう五塊石ずは地䞋鉄駅にもなっおいる、この蟺りの地名。

倧通りに面しお叀めかしい電噚屋や金属加工店が建ち䞊ぶ䞀垯に、めざす垂堎は無骚に鎮座しおいた。䞉階建おの䜎局建築でありながら、間口が五十メヌトル匷、奥行き癟メヌトルほどず、かなり倧芏暡な造りだ。呚蟺の道路もビッグサむズで、高局建築ははるか圌方に望めるだけ。地元・東京では芋たこずのない、ただただ広く、ずっしり重たそうな曇り空だ。

なお事前に、SNS䞊の口コミを倚数確認しおやっお来たのだが、遠目から買い物客らしい人矀れは芋えない。日曜日の昌間だずいうのにどういうこずか。䞭叀品を扱っおいるずはいえ、リアル店舗はもはや廃れた存圚なのか。

䞊䞭叀垂堎の党容、巊䞋同入口。右䞋付近の家電垂堎写真筆者

しかし、いよいよ建物䞭倮たでたどり着き、扇颚機がお雛様のように陳列されおいる階段から䞀階ずおがしきフロアに躍り出るず、ようすが倉わった。そこはあらゆる電化補品をあ぀かう䞭叀ショップの集合䜓で、ごく少数だが客の姿も散芋された。わずか数坪のデゞカメ店や腕時蚈店もあれば、䞭囜の公園でよく芋かける、持ち運び匏カラオケ機噚を取り扱う店もある。

さらに䞊階ぞ行くず、冷蔵商品の陳列棚や音響機噚、゚アカヌテンなど、たさに䜕でもアリのよろず屋モヌルだ。乗甚車やバむクこそ買えないが、カラオケ店でもアむスクリヌム屋台でも、ここを物色しおいればどんな商売でも開業できそうだ。ただ、業務甚品売り堎では、䞀階のデゞカメ屋のように店先をひやかす客はほずんどおらず、店䞻たちはたいおい゜ファで寝そべっおいる。そう、垂堎党䜓がたどろんでいるような状況だ。

巊䞋たいおいの店は゜ファ完備。店䞻の昌寝・食事・育児甚だ写真筆者。

ざっず建物をひず回りしお、驚いたこずが二぀ある。

䞀぀は、地䞋階が最高にディヌプな修理工堎の様盞を呈しおいたこずだ。䞭倮郚の吹き抜けから芋䞋ろすず、そこには発電機ず芋られる機械やら電動工具やら、ケヌブルやら金属材料やらがうず高く積たれおいた。

テナントの䞀郚はショップ機胜を有しおいるように芋おずれたが、そのほか倧半のスペヌスでは、電化補品の修理やメンテナンスがおこなわれたり、あるいはゞャンク品から転売可胜な郚品が取り出されたりずしおいるようだ。決しお隒々しくも物々しくもないが、数名の男女が黙々ず「䜜業」に没頭しおいるようすは、気だるさに包たれた䞊階ずは察照的に、実盎な劎働空間ずいった趣があった。

その方面に詳しくないので写真を数枚撮っお離れたが、人によっおは興味ぶかい「瀟䌚科芋孊」になるかもしれない。

写真筆者

もう䞀぀は、党フロア商業甚途かず思いきや、最䞊階屋䞊のみ居䜏スペヌスずなっおいるこずだった。

階段を䞊がるず、たごうこずなきマンションの廊䞋に出た。テナントの賃借人が䜏たいしおいるのか、それずも修理工の寮などに䜿われおいるのか。そのぞんの事情は぀かめないが、宀倖には少しばかり掗濯物が干されおおり、ちゃんず居䜏実態があるこずが知れた。

写真筆者

ずいっお、今日はなにも他人の䜏みかを探怜をしにきたわけじゃない。じ぀は、この䞭叀品垂堎内に、叀曞店が数軒営業しおいるずいう口コミがあったのだ。地元の東京郜内はもちろん、囜内倖の旅先でも叀本屋を芗くのが奜きなわたしは、今日はおもに、それを目圓おに圓垂堎ぞ来蚪したのである。

目あおの店はなかなか芋぀からず、各階を回遊魚のように埘埊させられたが、入堎から30分埌の正午ごろ、ようやくたどり着いた。薄暗い通内の、ずくに明かりのずがしい䞀階の北東角。そこにわずか䞉、四軒ばかり、叀曞・骚董を商うコヌナヌがあった。わたしはやれやれず胞をなで䞋ろし、30分ほど珍品を探したわった。

『Dr.スランプ』、『ナむルの嚘』、『聖闘士星矢』、『シティハンタヌ』ずいったマンガ䜜品や、䞭囜版が䞀千䞇冊売れたずされる『窓ぎわのトットちゃん窗蟺的小豆豆』などなど、目に留たった本を手圓たりしだいに持る。さらに、叀い電話機や鄧小平の胞像、壁掛け䞭囜画カレンダヌ、叀雑誌、豆本、民歌フォヌク゜ングのCDにも惹かれたが、けっきょく四川料理のレシピ玹介本を賌入しお退出した。旅行関連の叀本ガむドブックや芳光地図などがあれば入手したかったが、そちらの方面は残念ながら圚庫がなかった。

写真筆者

垂堎内では、芳光客だろうか、䞀県レフを構えた若者も数グルヌプ芋かけた。店頭の本を手に取るようすはない。おそらく、キラキラ系統の「映え」ずは無瞁のこうした叀曞店・骚董店のたたずたいが、圌らにずっおは䜕呚か回っお新鮮でナニヌクな被写䜓に感じられるのだろう。

むろん、圓のわたしもそんなノリで圓地の写真を撮りたくっおいるわけだが、倖地人ずはいえ、䞀応こちらには本奜きの䞀面がある。圌らが撮圱目的䞀本でこんな地味な堎所をおずずれおいるのなら、それはそれで興味ぶかい行動だ。

以前ならば、たずえば建築や乗り物や道具など、街䞭の叀くお枋いモノに向けおカメラを構えるなど、ちょっず倉わった人のふるたいに映ったはずだ。䜕を隠そう、わたし自身、呚囲の怪蚝そうな芖線を感じるず、少し食いぎみに倖囜人旅行者だず明かし、毎床笑顔を添えお呚囲の譊戒を解こうず詊みたものだ。それでも、旅人の気たぐれが共感されるこずは皀だった。

そういう意味では、今は省倖・海倖旅行やスマホ撮圱が䞀般的になり、こちらが悪目立ちするこずが栌段に枛ったなず実感する。各郜垂や名勝旧跡のSNS映えスポットでは、むしろ物奜きなわたしが匕くぐらい、苛烈な撮圱ラッシュに出くわすこずがある。芳光客が倧挙しおスマホをかざすだけでなく、そこに撮圱業者が埅ちかたえ、本栌的な照明や加工をサポヌトしおいたりもする。

そうなるず今床は、より個性的な自分をアピヌルしようず、目新しくゞワッず来る撮圱察象をもずめる物奜きが出おくるずいうのも圓然の成りゆき。その結果、䞭囜内倖の物奜きどうしが、こんな町倖れの䞭叀垂堎・叀曞店で鉢合わせするずいうわけだ。

写真筆者

北京の銭湯ヌヌ14歳の倏

思えば、1992幎平成四の倏に初めお䞭囜を旅した時は、芋るモノすべおが日本ずは異質に感じられ、さながら別の星に降り立ったような錯芚をおがえたものだ。

街䞭では皆、すさたじい倧声で熱気ムンムンの䌚話を繰りひろげ、買い物をすれば商品や釣銭が投げお寄越される。公衆トむレの個宀には、噂どおり扉がなかった。仮に扉があっおも鍵を掛けない人が倚数で、「それもどうなのか」ず釈然ずしない思いでいるず、さらに䞀筋の長い溝にめいめい跚がっお甚を足すずいう驚愕レむアりトの䟿所にも遭遇芁は目の前に芋知らぬおじさんの尻があるずいう構図だ。こうなるずもうお手䞊げだ。だんだんず、自分の出身囜の尺床で考えるこずが億劫になっおいった。

食べ物はずいえば、今では考えられないほど銙蟛料のパンチがき぀く、個人差はあろうがわたしの堎合は飲食店に入っただけでその匂いに食欲が倱せおしたうこずも経隓した。そもそも空枯から垂堎やデパヌトたで、どこを蚪れおも建物の照明は暗いし、街ナカでも政治的スロヌガンばかりが目立っお商業的メッセヌゞはずがしい。東京生たれ東京育ちの䞭孊生には、銖郜・北京の䞭心郚でさえ、ひどく地味で寂れたようすに芋えた。

いっぜうでわたしは圓時、通蚳・文筆家ずしお掻躍された長柀信子さんの文章に觊発され、自身の䞭囜デビュヌ旅においお、䞀軒の老舗銭湯を利甚する機䌚に恵たれた長柀氏執筆のガむドブックに同店䜓隓コラムが掲茉されおいたのだ。

圓時のわたしの䜜文が残っおいる。

たずは脱衣所兌䌑憩宀の光景だ。「癜いタオルを茉せたベッドがずらっず䞊んでいお、裞の男たちがその䞊に寝転がっおいる。僕もその䞀぀に案内された。隣のベッドでは、䞉十くらいの男がタオル䞀぀ひっかけずに悠然ずお茶を飲んでいる」ず。

济宀ぞ到れば、「ベッド䞀぀分くらいの济槜が秩序よく䞊び、倖に据えられたシャワヌからは、湯が止め凊なく降り、床を叩いおいる」。ぬるめのシャワヌに打たれお、いよいよ湯船ぞ。「䞀人で占領するこずができた。熱くない。足を䌞ばし、䜓を浮かすず、ペンキの剥げかかった癜い倩井が芋えた」。

ずいっお、のんびり過ごす䜙裕もなく、垰りがけに䌑憩宀でゞャスミンティヌを䞀口すすっお、そそくさず退店。

以䞊が、以前北京の目抜き通り・王府井で営業しおいた「枅華園」ずいう銭湯の描写だ。料金は1.5元玄36円圓時だった。味をしめた私は、その埌も蘇州・玹興・長春・深圳などの旅先で「济池」や「济宀」の看板を芋぀けおは気安く立ち寄り、土地の颚情を味わっおきた。街を歩けば床肝を抜かれるシヌンの連続だが、それでも倧きな颚呂で䞀日の疲れを癒し、気のおけない仲間ず語らう地元客らの姿は、䞀等芳光地に負けず心に刺さるものがあった。

ちなみに、1999幎公開の「こころの湯」ずいう䞭囜映画が、北京で銭湯を経営する芪子ず地元の高霢客ずの心枩たる亀流を描いおおり、日本でも䞊映されお話題になった圓時はちょっずした䞭囜旅行ブヌムもあった。

䞀億総〈知䞭〉時代のコスパNo.1ツヌル

時代はくだっお2016幎。江蘇省揚州で入った「氞寧泉济宀」は、䞀颚倉わっおいた。掗い堎の扉を開けるず、薄暗くお湯気いっぱいの郚屋の䞭倮に、底深い济槜が確認できた。だが、その内偎には人圱が芋えない。客はみな济槜のぞりに胡座をかき、倧声でおしゃべりをしおいるのである。济槜は瞊暪各3メヌトル。四蟺は若者ず老人でぎっしり埋たっおいた。私は勇気を出しおそこぞ割っお入り、济槜のぞりに膝を぀き、おそるおそる湯に手を突っ蟌んだ。そしお反射的に匕き抜いた。焌けるような熱さだったのだ。

なるほど、そこは「济槜付き蒞し颚呂」ずいうナリをした瀟亀堎であった。実際、うち3、4人の男たちは、嚁勢のよい倧声で方蚀らしき蚀葉を発しながら、延々ゞャンケンのようなゲヌムに興じおいた。わたしは倩井の明かり窓を芋䞊げながら、そこでがんやり玄15分を過ごした。

蒞し颚呂を堪胜しお䌑憩宀に戻るず、こんどは個々にあおがわれたベッドで心ゆくたで寝そべる。遠慮しおも始たらない。おすそ分けずばかり隣客が投げお寄越したリンゎをかじっおみたり、あるいは互いの鞄やカメラなど気になる持ち物を指さし、暇぀ぶしに倀を圓おおみたりする。颚流ずも優雅ずもいえないが、そんな考えようによっおは莅沢な癒やし時間を過ごした。料金は10元玄150円圓時だった。

時代が移り倉わっおも、我々にずっお䞭囜が「芏栌倖の他者」である事情はずっず同じだ。䞀人䞀人が奜き嫌いにずらわれず、報道にあらわれない隣囜のすがたを平垞心で芳察するこずこそ䞭囜を知る知䞭の糞口であり、䞀぀の理想ずもいえるかもしれない。ずはいえ、わたしが提唱したい「倧人の瀟䌚科芋孊」は、思い぀くかぎり最もカンタンな暇぀ぶしだ。

それは、グヌグルマップに盞圓する䞭囜地図アプリで、珟地の飲食店や商店の写真や口コミを眺めるこず。そう、評論家やむンフル゚ンサヌの助蚀に頌らずに、海の向こうの「時にか匱く、時にわがたたな消費者」の息づかいに耳をすたせればいい。それこそ安心安党な自宅の゜ファに寝そべったたた旅気分を堪胜できるし、最新のトレンドや消費者心理にも盎に觊れられるではないか。しかも、日䞭䞡囜の銭湯代以䞋のコストで。

今や芋わたせば、留孊に芳光にず䞖界䞭ぞ矜ばたく䞭囜人がいる。映画やアニメや面癜動画によっお、日本事情を深く知る䞭囜人がいる。「わが囜にも内なる奜奇心を膚らたせ、仕事以倖で等身倧の䞭囜を䜓感するムヌブメントが湧き起こっおほしいな」ず。䞭囜の町を瀟䌚科芋孊気分でさたよっおいる時、わたしの心にはい぀も、そんなささやかな期埅がよぎる。

いいなず思ったら応揎しよう