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「努力できない子」だと思っていた。でも、入口で止まっていただけだった

「なんで続かないの」

その言葉を、何回言ったかわかりません。

習いごと。ドリル。通信教育。

始めるときはあんなにやる気があるのに、三日目には机に向かわなくなる。
好きで始めたはずのことまで、気づけば触らなくなっている。

ADHD(不注意優勢型)の長男が診断を受けたのは、小学3年生のとき。
いまは高専の2年生で、寮に入っています。

長いあいだ私は、この子を「努力ができない子」だと思っていました。

好きなことでさえ、続かなかった

不思議だったのは、嫌いなことだけじゃなく、好きなことまで続かないことでした。

英検に受かったあと、自分から「3級のテキストがほしい」と言い出したことがあります。
買いそろえて、机に積んで——それきりでした。

いっぽうで、ゲームや動画は何時間でも続きます。

当時の私はそれを見て、「結局、楽なことしかやらないんやな」と思っていました。

この見方が根っこから間違っていたと気づくのは、ずっとあとになってからです。

それでも、いま毎日学校へ行っている

その長男が、中2の3月に突然「高専に行く」と言い出しました。
1つ上の友達に、寮の写真と食堂のメニューを見せてもらったのがきっかけです。

推薦入試は落ちました。
そのあとの一般入試で、偏差値50以下から偏差値61の高専に合格しています。

入寮してからは、私の予想を外し続けています。

自分で起きる。自分で朝ごはんを食べる。遅刻をしない。

——あの、朝いつまでも布団から出てこなかった子がです。

1年の後期には赤点を2つ取って、進級が危ういところまで行きました。
それでも進級して、2年になった今も毎日学校へ通っています。

三日坊主だったこの子が、2年以上続けていることがある。

その事実に、私はしばらく気づいていませんでした。

家に帰ると、何もできなくなる

帰省してきた長男を見ていると、その理由が少しわかる気がします。

家にいるとき、この子はとにかく動きません。
勉強もしない。趣味らしい趣味もない。
ソファでスマホを見て、ぼんやりしている時間がとても長い。

以前の私なら「せっかくの休みなのに」とイライラしていたと思います。

でも今は、学校で使い切ってきたんやろな、と思うようになりました。

授業を受ける。課題を出す。時間を守る。人と話す。

ほかの子が当たり前にこなしているこの一式が、この子にとってはたぶん、かなりの力を使う作業です。

家に着くころには、もう残っていない。

報告書に、本人の言葉が残っていた

長男は中学1年のときに、WISC(知能検査)を受けています。

結果の数字は、低くはありませんでしたが、すごく高いわけでもない・・・

大事だったのは、凸凹の形のほうでした。

4つの指標のうち、「ワーキングメモリー」だけが、ほかの3つに比べてはっきり低かった。

聞いたことや今やっていることを、頭の中で一時的に持っておく力です。
ここが弱いと、口で言われた指示を途中で忘れる。段取りを組み立てるのが苦手になる。

そして、報告書に残っていた長男自身の言葉に、私はいちばんこたえました。

「がんばらなきゃと思っても、気持ちが落ちて向かえない」

「2学期末、努力してテストの点数は上がった。提出物は『がんばらな』と取り掛かろうとしたけど、まとめに何を書いていいか分からなくて出せなかった」

——やる気がなかったんじゃなかった。

やろうとして、入口で止まっていた。

私が何年も「なんで続かないの」と言っていたあいだ、この子はずっと、始めようとしていたんです。

口で言った指示がこの子には残らないと気づいたのは、ずっとあとでした。目から入る子と耳から入る子の違いは、ブログに書いています。


「努力できない」のではなかった

今の私は、こう思っています。

努力ができない子なのではなく、努力を続けることに人より何倍も力がいる子がいる。

同じ「1日学校に行って帰ってくる」でも、使うエネルギーの量が違う。
だとしたら、家でごろごろしている時間は、サボりではなく回復の時間です。

そう思えるようになってから、長男にかける言葉が変わりました。

「なんで続かないの」は、言わなくなりました。
かわりに、帰ってきた顔を見て思うのは、これです。

今日も学校に行けたんやな。

高専2年の前期の成績は、まだ聞いていません。聞かないと決めています。
手を引くのが正解かどうかも、まだわかりません。

わかっているのは、続かなかったこの子が、いま2年以上続けているという事実だけです。

もしお子さんが「何をやっても続かない子」に見えているなら、
続かないことそのものより、どこで止まっているかを見てみると、何か気づくことがあるかもしれません。

うちはまだ手探りです。
それでも、あのころよりは少しだけ、この子のことがわかるようになりました。

ワーキングメモリーや実行機能のこと、WISCの結果をどう読んだかは、ブログのほうに詳しくまとめています。

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