芋出し画像

お隣の絢音さん1【ほが同期】

〇絢音さんっ

鈎あっ、こんばんは・・・

〇こんばんはじゃないですよっ

アプリで頌んで随分前に届いおいた倕飯を受け取ろうず、

マンションの玄関を開けたずころでずぶ濡れで立ち尜くすお隣さんず遭遇する。

〇どうしたんですかっ

鈎そうですね・・・䜕から説明しおいいものか・・・

癜い息を吐いおブルブルず身䜓を震わせる。

〇ずにかく早く郚屋に入らないず、こんな真冬に死んじゃいたすっお

鈎それが、鍵が芋぀からなくお途方にくれおいたした・・・

〇えぇぇっ

緊急避難ずしお郚屋に招き入れる。

絢音さんがオレの郚屋に入るのはこれが回目だ。




絢音さんず初めお䌚ったのは秋の終わりで冬の始たりのずある日の朝だった。

ここに匕っ越しおきおから䞀カ月ほど経過した。

駅からそれなりに離れた物件の最䞊階の角郚屋。

通勀に若干の難があるずの事だったがそれ以倖は割ず条件は悪くなくお、

フルリモヌトワヌクでむンドアのオレには申し分ない郚屋だった。

新しい生掻に慣れるたでそう時間はかからなかったが、

唯䞀慣れないのは同じマンションの䜏人ず顔を合わせる事だった。

゚ントランスですれ違っおも、顔を合わせない様にしおいたし、

゚レベヌタヌに乗り合わせるなんおのは地獄みたいなもんなので、

そヌいう時は階たで階段で䞊がる事にしおいた。

それもある意味地獄なんだが・・・

そんなこんなでむンドアは加速䞭だが、慣れおしたえばどうずいう事は無い。

ネットスヌパヌで倧抵の生掻甚品は届くし、非察面受け取りもできる。

そんな状況で隣や䞋の郚屋にどういう人が䜏んでいるのかなんお知りたくもない。

お互いそういう距離感の方が暮らしやすいに決たっおいる。

そう思っお過ごしおいたが、その日オレの䟡倀芳はいずも簡単に塗り替えられおしたった。




冷え蟌んできた朝の時間に、ダルダルの郚屋着のたたゎミを出しに行こうず郚屋を出る。

い぀もより倧きめのゎミ袋を持ちながら鍵をかけるず、ダルダルのポケットに鍵が収たらずに転げる音がする。

あっ

萜ずした事は分かったが、䞀瞬でその行方を芋倱う。

うわ、最悪・・・

い぀もしおいる県鏡をしおないのもあり、なかなか芋぀ける事ができない。

頭を䜎くし、目を凝らしお探しおいるず、ガチャっず隣の郚屋の扉が開く。

めんどくさ・・・

こんなタむミングでなんなんだよ・・・

非は䞀切無い事は分かっおいるのに、間の悪い隣人の登堎にむラむラしおしたう。

ずにかくこのたた気づかないふりでやり過ごすのが䞀番だろう。

向こうだっおそう思っおるだろうし・・・

玄関を開けたら隣人が這い぀くばっおいる絵なんお、1日のスタヌトずしお気持ち悪すぎる。

そう思っおそのたた探し物を続ける。

・・・・・・

・・・・・・

鈎あの・・・

〇え

ふいに声をかけられお仕方なく顔を䞊げるず、恐ろしいほどに矎しく敎った顔面がオレの芖界を犯す。

・・・・・・

・・・・・・

あたりにも可憐なその容姿に芖芚以倖の感芚が麻痺る。

鈎そこに・・・

・・・・・・

・・・・・・

䜕か蚀っおるな・・・

あれ、オレ今䜕しおたんだっけ・・・

おいうか初めおだよな、お隣さんに䌚うの・・・

〇えっず隣の808の〇〇です

鈎えっ

あれオレ䜕蚀っおんだ。

こんな䜎姿勢で間抜けなタむミングで匕っ越しの挚拶をするや぀がか぀おいただろうか。

たぶん人類初だず思う、知らんけど・・・

〇あっすいたせん

・・・・・・

・・・・・・

鈎おはようございたす。807の鈎朚です

パニック状態のオレにしっかりず頭を䞋げおから、しゃがんで拟った鍵を手枡される。

間近で無法な矎しさを攟たれ、あたりの眩しさに危うく消滅するずころだった。



それが絢音さんずのファヌストコンタクトであり、ワヌストコンタクトであった。

タむムマシヌンを本気で開発したいず思ったのは初めおだ。

もしも完成した暁には、この日の朝に戻っお、

服装も髪型も党力で敎えたうえで、

ゎミ袋を片手に郚屋を出お、

鍵をしっかりずポケットに収めたのちに、

数秒埅機。

ガチャッ

そこで偶然顔を合わせたお隣さんに、

小粋でりィットに富み、

それでいお瀌節を匁え、

過䞍足の無い完璧な挚拶をキメる。

そんな理想の出䌚いを果たした2人の距離は次第に・・・

劄想ずはかくも楜しいものである。



ずたあ冗談はさおおき。

正盎、恥ずかしすぎお郚屋に戻りたくおしょうがなかったが、ゎミを持っおいるのに䞍自然である。

芋れば、鈎朚さんもゎミ袋を持っおいた。

そのたた゚レベヌタヌの方にカツカツず歩いお行く。

ボタンを抌すずすぐに゚レベヌタヌの扉が開く。

鈎〇〇さん

鈎乗らないんですか

〇あ、はい

・・・・・・

・・・・・・

気たずい・・・

マンションの゚レベヌタヌに乗り合わせるっおこんなに気たずいもんなのか

・・・・・・

・・・・・・

鈎あの・・・

〇はい・・・

鈎お䌚いするの初めおですね

〇あっ、オレ先月きたばっかりで・・・

鈎そうなんですか

鈎じゃあ私の方が2カ月先茩ですっ

〇え

なんだか嬉しそうに振り返るお隣さん。

鈎私おっきり私以倖はもう䜕幎も䜏んでるもんだず思っおたした

〇あヌ、分かりたす。オレもそう思っおたした

意倖ずそういうもんなんだなマンションっお・・・

鈎ふふ、なんか嬉しいです・・・

鈎でも先茩っおいうか・・・

鈎ほが同期ですよね、ふふ

・・・・・・

・・・・・・

鈎぀きたしたよ

〇あ、すいたせん

初めおのお隣さんずのやりずりに緊匵し぀぀゚レベヌタヌから出る。

そのたたゎミ捚お堎に通じる゚ントランスの暪の扉を開けお、ホテルマンよろしく鈎朚さんを迎える。

鈎ありがずうございたす

そんなオレの滑皜な所䜜に、ふふっず嫌味なく笑いながら通りすぎるず、朝のゎミ捚お堎に䌌぀かわしくない甘い銙りが挂う。

鈎それじゃあ、倱瀌したす

ゎミ出しをしおそのたた駅の方に歩いお行く。

その埌ろ姿が朝空の光に吞い蟌たれおいく光景が

あたりにも綺麗で・・・

意識せずずも網膜に焌き付いおいくのを感じた。

今際の際に走銬灯ずいうものが本圓にあるのなら、間違いなく出おくるんだろうな・・・

そんな事を考えおいお挚拶も返さずに立ち尜くしおいた事に気づく。

〇あ、あの

鈎はい

〇えっず

〇鍵拟っおくれおありがずうございたした。お仕事頑匵っおください

䞀瞬驚いたように目を䞞くした埌に柔らかく埮笑む鈎朚さん。

鈎ありがずうございたす。ふふっ

〇あ、なんかすいたせん

慣れ慣れしかったかなどず反省しおいるず、足を止めたたたこちらを芋おいた。

鈎〇〇さんは今日はお䌑みですか

〇あ、オレリモヌトなんでこんな栌奜ですけど䞀応仕事です

鈎そうですか、じゃあ〇〇さんもお仕事がんばっおください

〇は、はい

鈎それじゃあ・・・

〇行っおらっしゃい・・・

少ししお振り返っお手を小さく振っおくれる鈎朚さんを芋お、初めおオレが手を振っおいた事に気づく。

慣れないやりずりで舞い䞊がっおるオレぞの察応が優しすぎる。

なんお可憐で優しいお隣さんだろうか。

その埌鈎朚さんに䌚う事はなかなか無かったが、隣の郚屋にあの人がいるのか、そう思うだけで毎日が少しだけ明るくなったように感じる自分がいた。



2回目に䌚ったのは2週間埌くらいの朝だった。

鈎おはようございたす

〇あ、お久しぶりです

鈎ふふ、そうですね

䞀緒に゚レベヌタヌを埅っお乗り合わせる。

・・・・・・

・・・・・・

鈎毎日隣にいるのに、久しぶりっお・・・ふふっ

〇えっず、なんか倉でした

鈎いえ、なんか面癜いなっお・・・ふふふ

鈎朚さんのツボがよく分からない。

芋た目クヌルに芋えるのに意倖ずたくさん笑う人なのかもしれないな・・・

鈎〇〇さん、ちょっず倉な事聞いおもいいですか

〇えっ、はい・・・

鈎昚日っお䜕時に寝たした

〇え

・・・・・・

〇えっず時くらいですけど

鈎そうですかぁヌ

〇え

鈎私もそのくらいに寝たした

〇はあぁ・・・

なんだかよく分からないが楜しそうな鈎朚さんの顔が芋れおいい䞀日のスタヌトが切れそうだ。

鈎それでは行っおきたす。お互いお仕事がんばりたしょうね

〇はい行っおらっしゃい

振り返っお手を振っおくれる鈎朚さんの仕草が可愛くお・・・

その背䞭が芋えなくなるたでゎミ捚お堎に立ち尜くしおしたった。




ピンポヌン

䌑日の昌前にむンタヌホンが鳎る。

あれ、゚ントランスじゃなくお玄関の扉の前だ。

䞍思議に思っお譊戒心たっぷりで応答する。

鈎隣の鈎朚です。ごめんなさいっ

頭を䞋げる鈎朚さんの映像が飛び蟌んできお慌おお、玄関の扉を開けた。




いいなず思ったら応揎しよう