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違和の記録|隣にいるもの

夏休みだった。

 友人の家に何人かで泊まりに来ていた。

 ゲームをしたり、コンビニに行ったりしているうちに夜になった。

 布団が足りなかったので、適当に並べて雑魚寝になった。

 誰がどこで寝るかも、特に決めていなかった。

 電気を消してからもしばらく話していた。

 気付いたら寝ていたらしい。

 夜中に目が覚めた。

 理由はよく分からない。

 部屋は暗かった。

 エアコンの音だけが聞こえている。

 隣には友人が寝ていた。

 寝息も聞こえる。

 それを確認して、また寝ようとした。

 その時だった。

 寝息が少しだけおかしかった。

 もう一度聞く。

 規則的だった。

 でも、

 何となく数が合わない気がした。

 隣には一人しか寝ていないはずだった。

 それなのに、

 二人分あるように聞こえる。

 目を閉じたまま耳を澄ませる。

 確かに聞こえる。

 少しずれた呼吸。

 近い場所からだった。

 隣の友人の方を見る。

 暗くてよく見えない。

 とりあえず手を伸ばしてみる。

 肩に触れた。

 そこにいる。

 やっぱり一人だ。

 そう思った。

 その瞬間、

 反対側で息がした。

 すぐ近くだった。

 思わず体が固まる。

 そっちには誰も寝ていない。

 壁しかないはずだった。

 少しだけ手を伸ばす。

 何かに触れた気がして、

 すぐに引っ込めた。

 しばらく動けなかった。

 そのまま朝まで起きていた気がする。

 翌朝、

 何となくその話をした。

「昨日さ」

「ん?」

「誰か途中で移動した?」

 みんな首を横に振った。

「してない」

「ずっと寝てた」

 それだけだった。

 特に話は広がらなかった。

 そのまま朝飯になった。

 帰る準備をしている時、

 昨日寝ていた場所を見た。

 壁までの距離が思ったより狭かった。

 気のせいかもしれない。

 ただ、

 夜中に手を伸ばした場所だけは、

 誰かがいたような気がした。

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