【北米エンタメニュース番外編】海外の「日本文化」の拠点急増中
先日、KADOKAWAが北米でリテール事業を手掛ける新会社を設立すると発表しました。実はいま、海外で漫画を中心に日本文化の発信拠点が増えています。インターネット上でのPRや交流が活発になっても、その発火点となるのはリアルの場だったりする。リアル拠点の増設は日本エンタメの拡大の後押しになりそう。
KADOKAWAの北米リテール強化
この記事では「KADOKAWAは米国の漫画小売事業に積極関与」と指摘しています。
KADOKAWAが設立するのは「KADOKAWA Retail Ventures」。KADOKAWAはすでに北米に「MANGA SPOT」の名前で自社の書籍やグッズを販売する拠点を設けています。現在NYCなど10店舗に拡大しています。
狙いは消費者との直接の接点を持つことです。現在日本の漫画の紙の単行本は紀伊國屋書店の海外支店や海外の書籍チェーン、コミック専門店を通じて販売されています。一部はフィギュアなどグッズも取り扱っています。しかし日本の漫画やライトノベルは長編が多く、書店にはおけるタイトル数にも限りがある。再販制や返品制がない海外市場では、書店は確実に売れるタイトルや、自社の書店の雰囲気にあうベストセラー作品を置きたい。すると、新作や続巻を売り込みたい出版社とは狙いがずれることもあります。
自社の小売店舗を持てば、アニメの放送や新刊発売にあわせてキャンペーンを手掛けることも可能になります。MANGA SPOTを漫画ファンの集まる場所にする狙いがあるのではないでしょうか。米国で苦戦が伝わるショッピングモールへの出店も計画しているとのこと。KADOKAWAは国内ではリテール拠点があるわけではないので、市場の一段の拡大が見込める海外ならではといえるのかも。北米で成功すれば、南米やほかの地域への拡大もあるかもしれません。
ブックオフや紀伊國屋書店も店舗増
リテール拠点の強化はKADOKAWAには限りません。例えば中古品販売のブックオフグループもじりじりと海外店舗を増やしています。
ブックオフグループの店舗は、海外では日本の漫画やアニメグッズが手に入る場所として人気。さらに日本で買い取って売れなかった商品を海外に販売する「ジャラン・ジャラン・ジャパン」というビジネスもあります。「ジャラン・ジャラン・ジャパン」はマレーシアにすでに10店舗以上出店し、カザフスタンにも進出しています。
さらにビジネスを拡大しているのが紀伊國屋書店です。紀伊國屋書店の海外事業はグループ全体の事業の支えにもなっています。
この度ロサンゼルス店を新装開店。店舗面積は従来の2倍に広がりました。現在の仮店舗も「紀伊國屋書店ロサンゼルスTHE BLOC店」として継続させます。新店舗では、英訳の漫画売り場の拡充、日本の文芸書の英訳版の販売に力を入れます。インドネシアやマレーシアでも店舗を増やしています。
https://asianews.network/the-need-to-read-why-jakartans-are-going-back-to-bookstores/
インドネシアでも紀伊國屋書店は人気です。
スクエニも米LAにカフェ
リアルの拠点という点ではゲーム会社のスクエア・エニックスも公式カフェを米ロサンゼルスにオープンします。こちらはファイナルファンタジーとかのグッズ中心とみられますが、是非漫画もおいてほしい。なんといっても「鋼の錬金術師」を持っているので。この動きを見ると、バンダイナムコホールディングスとかも拠点を設けてもおかしくないですね。
「ジャパン・ハウス」という伝統
日本文化の発信という点では、「ジャパン・ハウス」が長い伝統を持っています。たまに漫画の講演会や展覧会も行います。もう少し伝統的な日本文化が中心ですが、コンテンツ輸出後押しの動きからは活用されるかも。ロンドン、ロサンゼルス、サンパウロの3か所なのですがもっと増えてもいい。
アニメイトという巨大ネットワーク
北米以外に目を向けるとアジア中心に店舗が多いのはアニメイトです。2025年の関西EXPOにも出店しました。台湾やバンコク、韓国や中国に拠点を持ちます。日本にアニメイトにも海外からの観光客が多い。
2025年にはロンドンやパリにPOPUP店舗も出しました。
任天堂も北米で店舗拡大
任天堂も北米の直営店を増やしています。従来ニューヨークの1店舗だけだったのが25年にサンフランシスコに2店舗目を開業しました。
24年にはバンコクにも直営店をオープンしています。
講談社、「KodanshaHouse」を拡充
消費者との接点づくりという点で今積極的なのは講談社です。講談社は北米で「Kodansha House」という企画を近年手掛けています。漫画やグッズ販売に加え、漫画家のワークショップが楽しめるイベント。2025年まではNYC開催でしたが、2026年はAnimeExpoと組んで、ロサンゼルスに進出です。期待する人に直接コンタクトがとれるメールアドレスを集めているのもうまい。(将来のマーケティング対象になります)
もちろん現地の店舗とのネットワークは重要です。北米でいえばコミック販売専門店、ゲームやアニメ関連グッズを手掛ける店舗。Walmartなど巨大チェーンも漫画やアニメグッズの取り扱いを増やしています。
ただ各小売店は独自の戦略で動くことも少なくありません。とすると、消費者との接点を作りにローカルチェーンに出ていく部分と、逆に消費者を引き付ける拠点づくりと両面が求められそうです。

