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【歴史的円安】 コントロール不能な時代で、自分と家族を守る [第72回]

前回の第71回では、手持ちの「武器」を使って新たな価値を生み出し、キャリアの未来を開いていく挑戦についてお話ししました。

自らの武器を最大限に活かしていく上で欠かせないのが、市場の騒乱や時代の変化といった「自分にはコントロールできない外部要因」に足元をすくわれないことです。今回は、コントロール不能な時代の中で自分と家族を守り抜くための視点についてお話ししたいと思います。

40年ぶりの歴史的な円安の影響もあり、私たちの身の回りでは物価の上昇が続いています。

こうした環境下において、日々の給料をただ銀行口座に貯金しているだけでは、実質的な資産価値が目減りし、生活の基盤が立ち行かなくなることは目に見えています。

だからこそ、現代を生きる私たちにとって資産運用はもはや必須であり、その入り口として新NISAを活用した全世界株式(オルカン)やS&P500への投資をできるだけ少額から開始することが選択肢となります。しかし、これほど必要性が叫ばれているにもかかわらず、実際の新NISAの利用率は成人の約4人に1人(約25%)にとどまっているのが現実です。


現在の感覚で言えば、S&P500などの株式投資で年7〜8%程度のリターンを目指すには、価格変動や元本割れという相応のリスクを覚悟の上で行うのが当たり前となっています。

しかしバブルの時代を振り返ると、銀行の定期預金や郵便貯金の金利は年6%から8%近くもありました。言ってみれば、「元本保証のままS&P500並みのリターンを得ていた」ようなものです。今の時代に「元本保証で年8%」などと言われたら、真っ先に詐欺を疑うレベルの異常な高条件です。
それほど当当時の日本は、リスクを取らずとも預金だけでインフレに対抗し、資産を増やすことができた特殊な時代でした。

しかし、その後の長い低金利時代を経て、そうしたシステムは完全に過去のものとなりました。

1. 市場を揺さぶる「要人の一言」と政治の思惑

そうした中で、政府・日銀による為替介入が行われ、1ドル163円を超える水準から、一気に157円台へと急激な円高へ振れる局面がありました。

さらに、アメリカ財務長官の所持していたメモの写真が報じられ、そこに「円を買う」という旨が書かれていたことが話題となりました。これは、「アメリカが現在の円安・ドル高を是正したいと考えている」という強いメッセージと言えます。

結果的に、日本とアメリカが協力した国際的な介入が行われ、一時は155円台にまで円高が進みました。

トランプ氏の言動も同様ですが、こうした影響力がとてつもなく大きい要人のたった一つの行動や発言によって、世界中の莫大な資金が一瞬で動き、為替や株価が激しく乱高下する様子には驚きを禁じ得ません。

国家レベルの思惑や突発的な為替介入、世界を動かす人物の発言。こうした様々な外部要因によって、私たちが運用している資産の円換算額は大きく揺さぶられます。画面上の数字が一夜にして激しく変動すれば、誰しも不安になり、心が穏やかではいられなくなるものです。
私も、その1人です。


しかし、これは経済の世界に限った話ではありません。私たちが日常の仕事や生活を送る中でも、日々経験していることです。

職場において、上司など強い影響力を持つたった一人の言動や気まぐれによって、私たちの仕事の進め方や生活、キャリアの方向性が大きく変わってしまうことは、決して珍しいことではありません。

また、noteのフォロワー数などが気になってしまうことも、広い意味で、外部環境に流されていると言えると思います。


2. 「コントロールできるもの」に集中する

だからこそ、私たちが持っておくべき極めて重要な視点は、「自分にコントロールできるもの」と「コントロールできないもの」を明確に切り分けることです。

アメリカの大統領や財務長官の発言、為替介入のタイミング、世界的な暴落、他国の金利政策、そして職場の重層的な人間関係や上司の言葉——これらはすべて、どれほど悩み不安がったところで、私たちが個人の力で100%コントロールすることはできない「外部要因」です。
自分ではどうにもできない巨大な波や他人の動向に心を奪われ、一喜一憂するのは、精神的なエネルギーの無駄遣いでしかありません。

一方で、私たち自身が100%コントロールできる領域も確実に存在します。

  • 生活に必要な資金を確実に手元に残すこと

  • 必ず「余剰資金」の範囲内で運用を行うこと

  • 特定の国や資産に偏らせず、適切に「リスク分散」すること

  • あらかじめ定めた計画を変更せず、愚直に積立を維持すること

  • 自分自身の「人生の目的」を見失わないこと

自分にはコントロールできない巨大な波や他人の振り回しに怯えるのではなく、自分が確実にコントロールできる足元の行動を固めること。
これこそが、不確実な時代において自分の資産と心を守る最も現実的な防護壁となります。

3. 「まだ見ぬ暴落」への恐怖と、人生の目的の堅持

私自身、本格的に投資を始めたのはコロナショック以降のことであり、キャリアとしては6年ほどになります。この期間は恵まれたことに、世界的な株高と歴史的な円安が重なったため、順調に資産を増やすことができました。

しかし、だからこそ私は常に「まだ見ぬ暴落」に対する潜在的な恐怖を抱えています。相場全体の大きな下落局面を一度も乗り越えたことがないからこそ、自分の耐性がどれほどあるのか、本当の意味では分かっていません。

だからこそ、コントロールできる領域である「余剰資金の維持」と「リスク分散」を徹底的に守り抜くことが不可欠なのです。

そして何より、市場の変動や暴落の恐怖、人間関係のノイズに飲み込まれ、自分自身の「人生の目的」を見失わないことが重要です。


私の場合は、大学病院で医師として働きながら、子供の学費と夫婦の老後資金を確実に確保できるよう資産形成を行い、家族全体の幸せと自分自身のキャリアを充実させることが、今の人生における明確な目的です。


そして、そのために仕事で価値を生み出しことで自分だけの武器を揃える努力をして、もしそれで資産が増えればできるだけ家族に還元するよう努力しています。

資産形成は、あくまでその大切な目的を果たすための手段に過ぎません。外部の環境がどんなに騒がしくなろうとも、自分がコントロールできる領域に集中し、何のために資産を築いているのかという原点を見失わないこと。その軸さえしっかりと定まっていれば、いつ訪れるか分からない相場の波に対しても、足元をすくわれることなく構え続けることができます。

最後に

私たちが資産形成を行う目的は、日々の為替相場や要人の言動に振り回されることではありません。10年、20年という長い時間を味方につけ、自分と家族の生活を守り、自らのキャリアを全うするための基盤を作ることです。

コントロールできない世界的なニュースや他人の思惑に惑わされることなく、自分がコントロールできる領域に集中し、あらかじめ決めた自分のペースを守り抜くこと。

それこそが、激動の時代において自分の資産と人生を守る最も強い防具となります。


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