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言質はとっていた――○十年越しの約束

中学の頃からだったと思う。授業中に落書きをするようになったのは。
イラストも描いていたが、なにより多かったのは文字だった。
文字、文章。
思いつくままに書く。書き続ける。そして授業が終わったら、友人たちに読ませるのだ。
友人たちは快く(と思いたい)読んでくれ、あそこがいいだの、ここはどうだの口々に告げてくれる。
私はいたく満足していた。

さて、落書きは文章だけでなく、私の周りには絵を描いている人もいた。
そちらは私が感想を言う側になる。
友人の描くイラストを見ては、これがいいだの、あそこがどうだの、気ままに告げていた。

高校の時である。
そんな彼女が言ったのだ。
「いつか、あなたが小説を出すとき、私がイラスト描くよ」
何気ない発言だろうに――私はしつこく覚えていたのだ。
○十年も!

「ねえ、あの時言ったこと覚えてる? 表紙描いてくれない?」
言質はとっていたといわんばかりに、私は彼女に告げた。
「えーっと、いや、それは・・・」
彼女は、快く(と思いたい)応じてくれた。

今の時代は便利なもので、現物を見せ合うことなく、オンラインでやりとりができる。
「ここは茶色?」
「うん、茶色がいい」
設定を見せ、イラストを見て、あーじゃこーじゃ言い合うのは、高校の時のようで楽しかった。

そうして描いてくれたのは、西ゆうりさん。
彼女には表紙だけでなく、人物紹介イラストまでお願いした。

○十年越しの言質が果たされたのである。


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