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薔薇の牧堎に舞う者は (2020/01) 新春03 『神々は公平にしお』【1】

 

    â€œ  狌たちも満腹。矊たちも無傷。”


(1999/02月) りラゞノォストヌク

 校舎を芋䞊げた。
 11幎制䞀貫教育の孊校。
 卒業たでここに居る぀もりだったのだが・・・

 䞀ヶ月前、
「4月から別の孊校にかわるから。」
 急に蚀われた。
 急ず蚀えばあたりに急
 䜕の前觊れもなかった。い぀ものように。


(2024/08/15) クルスク州モスコスラノィダ

「第29匷襲旅団ヘラクレス郚隊にようこそ
よく来たな」
「遅くなりたした。」ミハむロ・コワレンコ郚隊長ず敬瀌を亀わす。
「ドニプロ河のこずは聞いおいる。
 МПОсейを仕留めたのだな」
「はい、䜕ずか。味方の損害が倧きく䜜戊に支障をきたしおおりたしたので。
 でも時間がかかりすぎたした。」
「だが貎官のお陰で障害は取り陀かれたっお蚳だ
 それず、スタノロポリあそこの宇宙情報通信センタヌを朰す䜜戊も貎官の具申によるものだず聞いおいる。本圓か」
「本圓です。自爆型ドロヌンで砎壊したした。」
「前線から450km奥地の基地を叩くずは」
「どうしおも必芁だず考えたした。䜕しろ、敵の誘導滑空爆匟で殺られすぎでしたから。
 スタノロポリ宇宙情報通信ЊеМтрを砎壊すれば、敵の衛星による兵噚システムにダメヌゞを䞎えられたす。偵察衛星の情報をリアルタむムに受け取れず、衛星の軌道や高床の倉曎指瀺も困難になる筈です。
「埅望のF-16の投入を控えおいたす。虎の子戊闘機の配備基地を芋えにくくするだけでも遂行する䟡倀あり、ず意芋具申臎したした。」
「8/4に『F-16の運甚を開始する』旚の公匏宣蚀が倧統領から発せられたからな。今埌の展開に必ず効いおくるよくやった
 今日からはこちらで掻躍しおもらうぞ」
「承知したした。
 遂に“攻め”に転じたのですね。」
「そうだ。昚幎はしくじったが今床はやらなきゃな」
「郚隊長は元々『囜境を越えお螏み蟌むべきだ』ず唱えおこられたのですね」
「そうだ。
『敵はその領土内で打ち負かすべし』
 敵が自囜内で匱くなれば前線に䟛絊されるものが少なくなる。その分、チェルカスラノィダ人が殺されるのが枛る道理だ。」
「郚隊長は、キヌりの垂䌚議員であられたずお聞きしたした。」
「今でも垂䌚議員さ。珟職だ。
 キヌり垂議䌚でも機䌚あるごずに
『敵領内の飛行堎・歊噚匟薬の物流拠点・敵の蚓緎斜蚭を攻撃すべし』ず蚀い続けおいたんだ。
 だが、䞊局郚が“ダメ”ず蚀っおきやがった。政治的刀断、ずいう奎でな。МПскваを怒らせおレッドラむンを越えさせないように・・・」
「ですが、いよいよ倧統領も決断したのではないですか
『幎内に停戊に向けた準備に入る』ず蚀っおおられたしたから。」
「圓たり前だ誰だっお捚お駒になんかなりたくはないからな」
「栞保有囜領内に䟵攻した初めおの軍に我々はなりたしたね」
「そうずも
『栞を䜿うぞ』ず恫喝しおきた囜に我々は攻め入った」
「栞抑止力理論の芋盎しに繋がる・・・」
「そうだ。栞保有囜の䟵攻に怯えおいる囜の戊略に圱響を䞎えるだろう。歎史的な䜜戊だ
「今や、こちらのドロヌンの航続距離は、1800km越えりラル山脈たでをもカバヌしおいる。
 МПскваにずっおは守るのが倧倉だ
 広さが仇になる。䞀方こちらは、カバヌ範囲内のどこでも攻撃出来る。
 そこで貎官の出番だ。」
「やりたしょう
 それにしおも、今幎の2月6日に、
『ドロヌン軍を創蚭する』ず宣蚀した倧統領の決断は英断でした。」
「確かに。ちょうどその頃発衚された
『火ず鋌鉄のアルゎリズム』ずいう論文は読んだか」
「モスコスラノィダ戊略技術分析ЊеМтр発行の論文ですね」
「そうだ。その序文を読んだか」
「はい読みたした。執筆者はモスコスラノィダ軍元参謀総長の、ナヌリヌ・バル゚フスキヌ。
圌曰く、
『今回の䞡スラノィダ戊争では、ドロヌンを媒介ずしお戊堎の霧が晎れお戊力の集䞭が困難になり、戊車の地䜍が䞋がる䞀方で砲兵の地䜍が向䞊した。・・・各皮ドロヌンが次なる䞻に・・・』
『ラむフル・手抎匟を扱えるのが歩兵の基本であるのず同様、マむクロドロヌン、FPVドロヌンを䜿いこなせるこずが今埌の歩兵の基本スキルになる。』
 埓来、地䞊の県では地圢に遮られ監芖範囲が狭く、そのせいで俊足の機甲郚隊ならば奇襲をかけるこずが可胜でした。
「ですが、珟圚、12〜16人で構成されおいる我がチェルカスラノィダ軍郚隊はほが同数のドロヌンを保有しおいたす。これだず継続しお監芖可胜な範囲が、4〜5km先たで広がる。よっお戊車・装甲車を飛ばしお来おも、防埡偎に察凊出来る時間が䜜れおしたいたす。
①機甲郚隊が目的地に到着する前にドロヌンで座暙を受けた砲兵が阻止攻撃を実行。
②生存郚隊がやっずの思いでたどり着いたずしおも防埡偎はドロヌンで状況を立䜓的に捉えながらFPVKAMIKAZEを突っ蟌たせる。」
「これたでも“空からの県”の拡充に぀いおは散々䞊局郚に意芋具申しおきた。が、その郜床『华䞋』だった。機材が高䟡だず蚀われおな。それがドロヌンの導入で赀倖線領域を含む、非垞に広い範囲の状況認識が末端の兵にも可胜になった。
 その情報→前線の兵が入手→FPVドロヌンを䜿えば個人レベルでの粟密攻撃敵埌方数10km以䞊深くたでの遠隔攻撃が可胜それも䜿い捚お出来るCostで、だ
「今や前線だけでなく、埌方の郜垂、斜蚭を叩く航空攻撃にめドロヌンは䜿われおいる。」
「仰る通りです。が、珟状ではただただ限界がありたす。」
「䟋えば」
「ドロヌンは小目暙盞手なら砲兵のサむクルから抜け出しお、偵察者が敵を発芋→即攻撃『砲撃のマむクロ化』を実珟したしたが、
 ドロヌン⇄オペレヌタヌ
は䞀察䞀です。即ち、オペレヌタヌの数以䞊にドロヌンを操䜜するこずはできたせん。」
「どうすればいい」
「AIの出番でしょう。
 目暙の捕捉→識別→攻撃
を自動的䞔぀瞬時に遂行せねばなりたせん。それも単䜓でではなく、矀䜓同士をリンクさせお。
①3月、リャザン・ロスネフチ石油粟補所に察する攻撃
②4月、タタヌルスタン・ニゞネカムスク石油粟補所ぞの攻撃
①②のケヌスでは、孊習によっお地圢・暙的を識別出来る原始的なAI搭茉のドロヌンが䜿われおいたしたが、さらなる進化が必芁です。」
「どんな」
「䟋えば電子劚害を受けおコントロヌラヌずのコンタクトが切れた堎合でも、自埋的に任務遂行が可胜になるような進化です。
①②は事実䞊、戊略巡航ミサむルずしおの䜿い方ですが、ずりわけ陞䞊ドロヌン(UGV)においおは曎に重芁です。」
「䜕故だ」
「航法のための枬䜍衛星からの電波は、建物・障害物等で盎ぐに切れたす。それに離れおいるずは蚀え、オペレヌタヌの掻動も安党ずは蚀えたせん。
 “アチラ”のように“兵の呜が䜕よりも安い”囜の軍ならいざ知らず、チェルカスラノィダのような兵力に自ずず限界がある囜の垞備軍では決定的でしょう。
 それず「制宇宙暩」の問題がありたす。」
「䜕だっお」
「ドロヌンを掻甚する倧前提は䜕か
 制宇宙暩の確保です。
 今回の戊争においおチェルカスラノィダは制宇宙暩に぀いお心配する必芁のない状況でやっおこられたした。
 開戊早々に、むヌロン・マスク氏に亀枉しお、『スタヌリンク』の協力・支揎を取り付けるこずに成功したのが倧きかったですね。けれども、最近のマスク氏の蚀動を芋おいるずい぀たでも今の珟状が続くずは思わない方が良い、ず思われたす。
「ドロヌンを充実させるのは歀方だけじゃない。敵も同じようにやっおきたす。そうなった時に敵を
圧倒するには宇宙を制しなければなりたせん。
 今埌は、宇宙技術の研究・宇宙産業の育成が急務ず思われたす。」
「貎官の蚀う通りだ。
 ただ、我が囜の珟状では、たずはドロヌンに掻路を芋出すのは理にかなっおいる。
 軍参謀本郚ワディム・スハレフスキヌ倧䜐曰く
『無人機の99%は囜内生産。FPV型ず爆匟投䞋型ちのドロヌンによっお我が囜の砲兵資源の䞍足が補われおいる。』」
「スハレフスキヌ倧䜐は、ドロヌン運甚法の開発担圓でしたね。
 この戊争が終わった埌、ドロヌンの生産ず掻甚に関しおはチェルカスラノィダが䞖界をリヌドするこずになるでしょう。西偎にも売り蟌めたす。戊埌の埩興に倧きく寄䞎できたす。」
「ああ、議員に専念できるようになったら、私も
ドロヌンAI抱き合わせで䞖界をリヌドできるように尜力しよう。」
「是非、やっお頂きたいです」
「だが先ずは、このク゜ッタレな戊争を終わらせなきゃな
 そのためにも貎官には掻躍しお貰わねば
 頌むぞ」
「党力を尜くしたす
 ではこれにお倱瀌臎したす。」
 回れ右をしお歩き出そうずした途端、
「そう蚀えば・・・貎官の祖父はアフガニスタンで掻躍したんだっおな
「その孫がチェルカスラノィダでドロヌン゚ヌスずは」
「祖父の堎合は掻躍ず蚀う皋では。ただ・・・類皀なる出䌚いがあった、ずいうだけです。」
「“パンゞャシヌルの獅子”だな」
「はい。」
「どういう経緯で」
「ほんの偶然です。圌がカブヌル倧孊の孊生だった時に・・・」
「貎官のお爺さんは研究者か䜕かだったのか」
「ずんでもないただの颚来坊です。行き倒れになりそうだったのを助けられたのだそうです。
 1970幎代のアフガニスタン・カブヌルは䞖界䞭のヒッピヌを惹き぀けた堎所でした。女性達にもそれなりの自由がある囜で・・・」
「それが瞁で行動を共にするようになったのだな」
「圌マスヌドにはそれだけの感化力があったのでしょう。圌はカリスマです。」
「マスヌドず蚀えば建築家志望で、倧倉な読曞家で・・・
 パンゞャシヌルの拠点に移動する際にも、3,000冊の本を持っお行った、ずか・・・」
「有名な話ですね、それは。祖父もそれを手䌝っおパンゞャシヌルに぀いお行ったそうです。」
「マスヌドはそこで叀今東西の軍事・戊略・戊術・甚兵に関する曞物を読みあさり・・・その読曞が圌の名将の才を開花させた・・・リンカヌンず同じだな。」
「祖父も䞀緒に本を読み、語りあったそうです。
 祖父が『孫子』を初めお読んだのは、マスヌドの図曞宀だったずのこずで、私の芪はその話をよくしおくれたした。」
「『孫子』
 ナポレオンも座右の曞にしおいたずいうのは有名だが、マスヌドもそうだったのか
 興味深い話だ。い぀か状況が萜ち着いたら、たたゆっくり聞かしおくれ。」
「承知したした。
 ですが、圓面萜ち着くのは無理でしょう。他囜に䟵攻しおいるのですから。」
「確かにだがグズグズやっおいるわけにはいかん。倧統領が蚀うように、幎内には停戊にこぎ぀けられるように早く萜ち着けるように
 知っおいるか俺たちの倜間甚爆撃ドロヌンを奎らが䜕ず呌んでいるか
 “баба - яга”バヌバ・ダガヌ
だずさ」
「スラノの民話にでおくるキャラクタヌですね。
 森の䞭に䜏み、拐った子䟛達を料理しお食う䞀本脚の劖婆・魔法䜿いだった、ず蚘憶しおいたすが・・・」
「そうだ笑えるぜ俺達の囜の子䟛たちを拉臎しおいるはどっちなんだ
 さんざん怖がらせおチェルカスラノィダから駆逐しおやる
 力を貞しおくれ頌むぞ」

 
 簡単にはいかないのでは・・・
 ミハむロ・コワレンコの前を蟞去し、歩きながら思う。
 今回の䜜戊は奇襲だ。成功はした。
 だが、この埌どうする
 西偎䞖界に向けおの情報戊は歀方が䞻導暩を握っおいる。
 “歀方は被害者。あちらは加害者。”
 だが、それが䜕だ
 モスコスラノィダが攻め䞋手なのは昔からだ。
 1812幎以前のナポレオン戊争・クリミア戊争・日本−スラノ戊争・察フィンランド戊争・アフガニスタン䟵攻etc.
 積極的に攻める時は真にドン臭いぶざたに過ぎる。
 だが、盞手に攻め蟌たれ、“守り”に入るず、俄然本領を発揮する。
 嘗お、ゲルマン−スラノ戊争においお、ゲルマニダは奇襲攻撃“バルバロッサ䜜戊”を発動。䞀時は
モスクワたであず䞀歩のずころたで迫った。だが、モスコスラノィダの堅守に阻たれ、結局は抌し返されたではないか
 無論、人は蚀うだろう。
「バルバロッサ䜜戊の際は、䞖界の兵噚工堎USAが無償で歊噚その他を揎助しおいた。
 今のチェルカスラノィダず同じだ。
 だから今回は、モスコスラノィダがゲルマニダず同じ運呜を蟿るのだ。」
 そのUSAは・・・
 今や䞖界の兵噚工堎ではない。グロヌバリズムの結果だ。
 䞖界の人口の比范で蚀えば、グロヌバルサりスを含む䞖界の倚数掟はモスコスラノィダ莔屓なのだ。
 「停戊」ず人は蚀う。
 だが、その「停戊」ずは、䞡スラノィダ間のみの問題ではない。
 今この瞬間にも、無蟜の民が殺されおいる真南スカむリダ〜ガレヌ地区戊争ずの兌ね合いをも考えねばならない。
 グロヌバルサりスを含む䞖界䞭を玍埗させられる“理屈”が必芁なのだ。

 そんなこずを考えながら、タブレット・ヘッドセットを取り䞊げた。

 




いいなず思ったら応揎しよう