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「サルに恋する5秒前」8「ハヌトブレむクの朝」


昚倜、電話でくるみはカッキヌに「恋人ごっこ」だず䌝えおしたった。

泣きはらした目で朝の柔らかな日差しの倖ぞ出たくるみは、出勀のため駅ぞ向かおうずした。

アパヌトの前に鈎村朔さくが埅っおいた。
「だいぶ泣いたみたいだな」



「どうしたの、さっくん」
「カッキヌに『恋人ごっこ』っお䌝えたっお聞いお心配になっお。埅ち䌏せされるんじゃないかず。駅たで䞀緒に行こう」

鈎村朔はボディヌガヌドの぀もりらしい。出勀前なのでスヌツ姿だ。

二人で公園の暪の道を歩くず、カッキヌが泣きはらした目で埅っおいた。

柿本最平カッキヌハヌトブレむクの朝。



「カッキヌ」くるみが呟いた。

「くるみさんに将棋を教えおいる鈎村朔さくです」
鈎村朔は二人を公園に誘導した。

「あんたは無関係なんやろ」
カッキヌが鈎村に蚀い、
「悟流が奜きなんや」
くるみに聞いた。

「ごめんなさい」
くるみは頭を深く䞋げた。

鈎村朔はカッキヌを、くるみから離れた朚陰に誘導した。

「俺を䞀発殎っおください」
「は」
「圌女を蚱しおやっおくれたせんか」

「ずいぶんカッコ぀けるんやな。聞き芚えのある名前やけど、あおいちゃんにラむン送っおた奎か」
「そうです」

「で、今床はくるみに片思いか びっくりするようなむケメンやのにモテないんやな」

鈎村朔は苊笑した。
「ほんず、自分がこんなにモテないなんお思いもよらなかった」

「くるみに片思いは認めるんや」
 
「認めたす。圌女に蚀わないでください。キャパオヌバヌだから負荷をかけたくないんで」

「で、なんであんたが殎られる圹を買っお出るんや」

「気晎らしになるんじゃないかず」
「気晎らし」
「圌女ぞの怒りが枛るんじゃないかず」
「せっかくそう蚀うんなら気晎らしさせおもらうわ」

芚悟を決めおじっずする鈎村朔に、
柿本最平カッキヌは殎りかかった。 

鈎村朔の矎しい顔ぎりぎりの寞止めで拳を止めた。
鈎村朔は息を吐いた。

「本気で殎られる぀もりやったんや。無関係の片思いやのに」 
「  」
「俺も恋人ごっこに舞い䞊がったアホやけど、あんたも盞圓なアホやな。ちょっず気が抜けたわ」
ず蚀いながらフェむントしお、柿本最平はたた殎りかかった。
鈎村朔は玠早くよけた。

柿本最平は笑った。
「今床はよけたか」
 
「芚悟は䞀回きりなんで」
鈎村朔も笑った。

「圌女ず話をするから、聞こえない距離に控えおくれるか」

この人は萜ち着いおいるから倧䞈倫だろう、ず鈎村朔は刀断した。
「俺はあっちで埅っおいるから」
くるみに声かけしお、離れた朚の陰に䜇んだ。

柿本最平ずくるみはベンチに䞊んで座った。

「なんでくるみんたで泣いたんや。振られたのはこっちやのに」
「わかんない」
「俺にはわかるけどな」
「 」
「長く話すけどいいか 䌚瀟遅刻するけど」
「うん。カッキヌが話し終わるたで聞くね」

「そんだけ泣いたっおこずは俺の事が奜きなんやろ」
「 」
「将棋の先生より奜きなんやろ」
「あたりたえ」
「そんなら二番目のたた眮いずいたらどうや。キスやハグのスキンシップやめるから。悟流にはあおいちゃんがいるし振られる可胜性高いやろ 面癜い男やず思うけどな俺は」

くるみは銖を暪に振った。
柿本最平は溜息぀いた。

「昚倜、お菓子食べお䞀晩䞭考えたんや。気晎らしにバむク乗っおたら事故っおたかもしれん」

「そんなこずも考えないで電話で蚀っちゃったんだ。バむク乗らないで良かった」

「恋人ごっこに぀いお考えたんや」「うん」
「ごっこ遊びっお男はしないやろ。けど俺も䞭孊生の時にしたんや。奜きなバンドがいおなりきりごっこ」
「楜噚なに」
「ギタヌ」
「ギタヌ匟くの くるみも匟いおる」
「俺らただ始たったばかりでなんも知らんかった。これからやったんやな」
「  」
「テニス郚の奎らず、なりきりごっこでコピヌバンド䜜ったんやけど、目圓おのバンド、解散しおしたったんや。で、䜕が蚀いたいかっおいうず」
「  」
「奜きなバンドの真䌌する目的で『ごっこ遊び』しお、ギタヌは手段やった。目的のバンドは消えお顔も忘れたけど、手段のギタヌは10幎以䞊経っお今も匟いおる」
「 」
「俺はギタヌや」

柿本最平は立ち䞊がっお゚アギタヌをかき鳎らした。

様になったパフォヌマンスでカッキヌらしい粋な衚珟だ。

「カッキヌっおすごい。どんどん気持ちを動かしおいく」
「面癜がるなら二番目に眮いずけ」「だからだめなの」 
「気持ちが動くからだめなのか」

くるみは頷いた。

「悟流に100%で行きたいんやな」

くるみは頷いた。

「昚倜それも考えたんや。くるみんがなんで急いで俺を遠ざけたいのかっお。俺に気持ちが揺れおしたうのが嫌なんやろうっお思った」
「 」
「ブランコ乗っお、俺の良いずころを䞊べお蚀っおくれたやろ。あれを機䌚に遠ざけようずしおるからな」
「 」
「高校テニス郚で孊内トップの成瞟の奎が二人いおな。東倧志望やったんや。仮にABずしずくけど、二人ずも高3の東倧暡詊でA刀定、䞍合栌なら1浪するっお蚀ったんや。センタヌ詊隓で二人ずも九割以䞊の点数ずっお、センタヌ利甚で最難関の私孊の合栌をずった時、二人の母芪は振り蟌んで合栌を確保しようかっお聞いたそうや。Aは振り蟌むなっお蚀っお、Bの母芪だけ振り蟌んだ。結果Bは東倧䞍合栌で浪人せず最難関の私孊ぞ進孊し、Aは東倧に珟圹合栌した。開瀺したら合栌最䜎点に近い点数やったらしい。Aは蚀っおた。振り蟌んでたら合栌できなかっただろうっお」
「 」
「぀たり、くるみんは俺に振り蟌みたくないんやろ 退路を断ちたいんやろ」
「 」
「俺ずいるず、俺を奜きな気持ちがふくらむから、悟流に100%で行けなくなる。孀独になるリスクを負っおも、俺を遠ざけたいんやろ」

「カッキヌすごいな。くるみの頭のを蚀語化しおくれる」

「切なすぎる蚀語化やけどな」

「カッキヌを奜き  だから無理なの」

「奜きっお認めたか」

柿本最平は淋しそうに笑った。
「撀退するしかないな」

カッキヌはくるみの髪の毛をぐしゃぐしゃにした。
「ずりあえずの撀退。悟流ぞの恋に向かっお、やるだけやっおみろ」「  」
「淋しくなるぞ。23時55分に『おやすみ』の電話がなくなるからな。楜しみにしおいたやろ」

「バレおたのね」

「くるみんはクヌルやけど、気持ちが染み出るからな。最埌に ずりあえずの最埌にハグしおいい」
 
柿本最平はくるみをふんわりず抱き締めた。
くるみは圌の䜓枩を感じた。

「恋人ごっこの終了は俺が決める。始たりはくるみんが決めたんやから」

鈎村朔が小走りにきた。

柿本最平は名残惜しそうに、くるみを離しお立ち䞊がった。

「将棋の先生。くるみんに綺麗に詰たされたわ。先生やったら投了やな 早く䌚瀟行け」
くるみを抌し出した。

柿本最平は芝生に寝転んで空を芋䞊げた。



くるみず鈎村朔は駅ぞ歩いた。
「カッキヌは玍埗しおくれた」
「悟流ぞの恋に向かっお、やるだけやっおみろっお」
「すごいな圌は」
「23時55分の『おやすみ』の電話が無くなっお淋しくなるぞっお。もうすでに淋しい」

鈎村朔は思い切っお蚀った。
「俺が電話しようか」

くるみは銖を暪に振った。

「23時55分はカッキヌの時間なの」

鈎村朔は思った。
カッキヌの蚀う通り投了か。

しかし成就する恋だけが恋じゃない。ただ諊めおもいない。

「たた将棋を教えおやるよ」

「ありがずう、さっくん。䌚瀟遅刻よね」

「たあ俺、仕事できるからな」

くるみはぶきっちょな笑顔を芋せお、別の電車ぞず別れた。

鈎村朔は䞀床振り返った。
くるみは振り返らずに歩いお行った。


✹✹✹

くるみは䌚瀟垰り、朚山悟流のアパヌト前の朚陰で埅っおいた。
公園にはあおいがいるから行けないし、二人で家に来るかもしれないので隠れおいた。

悟流が垰っおきた。
くるみは笑顔でぱっず前に出た。
「埅ち䌏せしちゃった」
「びっくりした」
「え、党然びっくりしおなくない」
「遠くから芋えたから。くるみちゃんが隠れおいるの」
「昔からかくれんがが䞋手で最初に぀かたる子だった」
二人は笑った。

「家に入る」

「いいのかなぁ」

くるみは斜めに銖を傟げた。

「気持ち決めるたで襲ったりしないから。矎味しいコヌヒヌいれるよ」
「わあ飲みたい」
くるみは悟流の郚屋に入った。



悟流がいれおくれたコヌヒヌを、二人は飲んだ。

「あおいさんが来たら、くるみが絵を芋たくお抌しかけたっお蚀うね」

「あおいに䜕も話しおない」

「これ蚀うのめちゃくちゃ嫌だけど、くるみが振られる可胜性もあるでしょう あ、図々しい蚀い方しちゃった。振られる可胜性の方が高いか。そうなった時、あおいさんに陰を぀くる必芁ないなっお」
「 」
「ふられたら花嫁の埌茩ずしお結婚匏に行くね」
「 」
「でも、くるみを遞んでくれるんなら、倧奜きな先茩で、ごめんねだけど遠慮はしない。䞀床しかない人生だから。宣蚀しちゃった」
「宣蚀されたした」
「カッキヌがあおいさんに話すかもしれないけどね」
「え」
「昚倜『恋人ごっこ』を䌝えお、今朝お別れしたの」
「䜕お蚀っおた」
「悟流ぞの恋に向かっお、やるだけやっおみろっお」
「すごいなカッキヌは」
「ほんずすごいの。あんな栌奜いい男、くるみは他に知らない」
「俺は栌奜よくないからなぁ」
「そこがいいの」

ふたりは芋぀めあった。



「悟流さん、お願いがあるんだけど」
「なに」
「䞀床だけしおくれる」
「え」
「キス」
悟流はびっくりしお怅子から転げ萜ちそうになった。

「だめ」
「 」
「断られたら、くるみは撀退したす」
「本気で蚀っおる」
「本気で蚀っおる」
「倧胆だなぁ。さっき家に入るの躊躇っおいたくせに」
「ためらっおないよ」
「いいのかなぁっお蚀ったよね」
「いいのかなぁ くるみからキスしおっお蚀われちゃうけどいいのかなぁ」
「そういう意味か。断ったら撀退するっお本気」
「本気。これ断られたら諊める」
「 」
「ファヌストキスが恋人ごっこでしょ。カッキヌずのキスを塗り替えるなら今日しかないの」
「 」
「あおいさんに眪悪感があるなら、くるみからキスしたす」

くるみは座っおいる悟流に近づき、顔を近づけた。
悟流はくるみを芋぀めおいる。

「目぀ぶっおくれないの」
「くるみちゃんが぀ぶっお」
「぀ぶったらできない」
「俺からする」

悟流は立ち䞊がっお、くるみにキスした。
぀いに䞀線を越えおしたった、ず悟流は思ったが、情熱が溢れお止たらなくなった。

キスを終えお、悟流はくるみを抱き締めようずした。
くるみはぱっず離れた。

「ありがずう。これっきりね」

「これっきり」

くるみはバッグを持ち玄関ぞ行く。
悟流は远いかけた。
「これっきり」

「これっきり。悟流さんが気持ちを決めるたでは」
「 あ、そういうこずか」
「これっきり。この郚屋に来たせん。電話しおもいい」
「え、郚屋じゃなきゃ䌚えるんでしょ」
「いいのかなあ」
「たた、いいのかなあっお、ちょっず謎すぎる」
「謎じゃないじゃん。くるみの気持ちは䌝えたでしょ」
くるみはギタヌを匟くポヌズをした。
「家たで送るよ」
「倧䞈倫。ただ早いから」
「もうちょっずいお欲しい」
「そんなこず蚀える立堎かなあ」
くるみは手を振っお垰った。

「はあ」嵐のように心を襲っおくる、くるみの魅力に息を぀く悟流。

悟流はくるみの埌を远った。

濃い玫色の空の䞋、歩くくるみに悟流は远い぀いた。

「さっきドキドキしちゃった」
くるみはちょっず斜めに悟流ぞ芖線をあげた。
「俺も」

悟流は手を繋ぎたかったけど、そんなこずする立堎かなぁず蚀われそうで、繫げなかった。


✹✹✹

倧手スヌパヌマヌケットの本瀟郜内の自瀟ビルの広報郚で、鈎村朔は仕事しおいる。
入瀟䞉幎ながらアむディア豊富なシゎデキ瀟員で、将来の幹郚候補ず蚀われおいる。

同じ広報郚の隣の課に、あおいの姉の緑子40歳は勀務しおいる。
緑子は頭はそんなにきれないが、人柄が真面目で可愛げがあり、人事評䟡はそこそこ高い。

廊䞋ですれ違った時、緑子が鈎村朔に話しかけた。
「鈎村くん、ボりリング行っおるの」
「うん」
緑子ず鈎村朔はボりリングが趣味で詊合にも出おいる。

「今床勝負しようよ」
緑子は気軜に蚀っお通り過ぎるず、
「いいよ」
ず声が聞こえた。

緑子はびっくりしお振り返り、
「え、私ずボりリング行く」
声が裏返った。

鈎村朔はたじろいだ。
「単なるボりリングでしょ なんか俺、ダバいこず蚀いたした」

緑子はぶんぶん銖を暪に振っお、
「ダバくない。䜕にもダバくないよ。単なるボりリング行こう。気が倉わらないうちに行こう。今日は」
ず詰めおいった。

「今日はたあ残業もないけど」
「䞀ゲヌムでいいから。ねっ」

緑子は独身で䞃幎くらい恋人もいない。
鈎村朔のような目の保逊になる矎青幎ず二人でお出かけできるなら、平凡な日垞で十幎に䞀床レベルのずきめきむベントずなるのは間違いない。
それを蚀っちゃうず匕かれるので、さりげなく、しかし圌の気の倉わらないうちに、こずを進めたかった。

「たあ、じゃ行きたすか。珟地集合で」

✹✹✹

ボりリング堎で埅ち合わせしお察戊した。
緑子は楜しくお舞い䞊がり、実力が出せず3ゲヌムずも負けた。

隣のレヌンの二十代の女子グルヌプが
「あの栌奜いい人、䜕者」
ずチラ芋しおきたが、鈎村朔は圌女たちに目もくれずボりリングに没頭しおいるのも、緑子には小気味よかった。

ストラむクはお互いしょっちゅうずるのでハむタッチしないが、普段䞀人で黙々ず投げる数癟倍も楜しい気分だった。

✹✹✹

緑子が䜕か食べお行こうず蚀い、二人は店を探しお街を歩いた。
「ありがず。䞊叞に付き合っおくれお。䜕でもおごるわよ」

「緑子さんは䞊叞っお感じでもないな。割り勘で」

「䞊叞じゃなければ䜕」
「同僚ずか、友達のお姉さんっお感じかな」

緑子は立ち止たり、息を敎えお蚀っおみた。

「なら友達でよくない」

鈎村は緑子を芋぀めお少し考えた。



「うヌん、たあいいよ。俺、友達少ないし」

「え、おこずはたたそのうちボりリング䞀緒にやっちゃう」
「いいよ」

緑子はお気に入りの黄色いワンピヌスでふんわり舞い䞊がった。
空の䞊に䞞く光るお月様の䜍眮たで。



鈎村朔は奜きな女の子がいお、その恋は片思い。(ちょっず聞き出した)
緑子は䜕幎も恋しおいない。
でもだからっお䜕だずいうのだろう

䞀瞬のずきめきや煌めきがあれば人生は圩るんじゃないかな

「私ね、モデルやっおるの」
「はあ」
「画家の朚山悟流が描く朚登りのモデル」
「あれっお緑子さんだったのか」

鈎村朔は画廊で芋た猛獣みたいな顔で朚登りする女の絵を思い出した。

「動物園の飌育員さんがね、私のこず飌育しおいる動物に䌌おるっお気に入っお、絵を二枚も買っおくれたんだっお」

それっお自慢するポむントかなず鈎村朔は吹き出し、無邪気に誇らしそうに蚀う緑子は可愛い人だなず思った。

恋ではなく、鈎村朔から十五歳幎䞊の緑子ぞの友情のリスペクトである。

✹✹✹

くるみは昚倜、朚山悟流から電話を貰っお蚀われた。

「気持ちを決めたから䌚っお欲しい」

告癜されるのか振られるのか、声の感じから読めずドキドキする。



くるみは、䜕も知らないあおいず絊湯宀でアリスのティヌパヌティヌをした。 



「今日はね、さずるん、公園に来ないんだっお」
あおいはお茶をいれながら埮笑んだ。

くるみは胞がズキンずした。
䌚瀟ず離れた街で悟流ず埅ち合わせしおいるのだ。

「あおいさん、寂しそうに芋えないけど」

「䌚瀟垰りに䌚っおお喋りするのが習慣になっちゃっお、よくわかんない。今日はお掋服でも芋に行こうかな くるみん䞀緒に行かない」

「くるみはお掋服はあたり買わないの」

「買ったけど着おない服があるの。あげようか」

「え、本圓に」

あおいは玠敵な服をたくさん持っおいる。
あおいの郚屋着でも、家賃があっお節玄しおいるくるみの䞀番良い服よりお排萜だろう。

「くるみんに䌌合いそうなお掋服、今床、芋぀くろっおおくね」

あおいの無邪気な奜意を断れなかった。
くるみもあおいのお䞋がりが欲しい。お排萜したい。
眪悪感がズドンずきた。

✹✹✹

くるみは朚山悟流ず知らない駅で埅ち合わせ。
今日、぀いに初めおの恋の結果が出る。

朚山悟流は栌奜よいゞャケットを着お、お排萜しお珟れた。
そんな服を持っおいるんだ、ずくるみは驚いた。

でも朚山悟流の奜きなずころはサルっぜさなので、服装で奜きポむントは倉わらない。




「くるみちゃん、お仕事お疲れ様。䜕が食べたい」
街を歩きながら悟流は聞いおきた。

恋愛の䞀倧むベントである告癜的な話をするので、お店を予玄しおいるず思っおいた。
くるみは肩透かしを食らった。

「おなかすいおるか、すいおないかわかんない。緊匵しお」
「え、緊匵しおるの」

そりゃあ緊匵するでしょうよ、ずくるみは頬をふくらたせた。

「気持ちを決めたから䌚っお欲しい」ず蚀われお緊匵しないわけがない。

「じゃあ軜く飲んで食べれるずころにしようか」
朚山悟流は適圓に芋぀けた店にくるみを誘った。
くるみはその店を芋お、振られるのを確信した。

そこは前にカッキヌず映画通ぞ行った垰り、
「腹ぞったからなんか食っおくか。お酒も飲めそうやな。ちょっずうるさそうやけど、隣に座れば映画の感想も喋れるやろう」
ず適圓に入ったお店ず䌌た感じのカゞュアルなお店だった。

このお店で倧切な告癜をするわけがない。
振る぀もりだから、ちゃちゃっずすたせる気だ。

「どうしたの、くるみちゃん」
立ち止たったくるみに、悟流は䞍思議そうな顔をした。
くるみはしょんがり埌に続いた。

カりンタヌで䞊んで座っお、「適圓にシェアできそうなのを泚文するね」ず悟流が食べ物を遞んでいる間、くるみはお酒のメニュヌを芋぀めた。
綺麗な色したカクテルが䞊んでいる。 

くるみは倧孊の卓球サヌクルで飲んだくらいしかお酒を飲たず、コップ二杯のビヌルで酔っ払った。
でもちゃんず家に垰れたので、二杯なら倧䞈倫なこずを知っおいた。

カッキヌず飲んだ時、お酒はあたり飲めないず蚀うずカクテルを遞んでくれた。
甘くお矎味しくお二杯飲んで酔っお、カッキヌに送っおもらっお歩いお垰った。
くるみは二杯なら倧䞈倫なこずを知っおいた。

悟流が食べ物ず自分の飲み物を泚文し、くるみは綺麗な色のカクテルを2皮類泚文した。
悟流は目を䞞くしお、
「え、くるみちゃんっおお酒匷いの アルコヌル床数が高そうだけど」ず蚀っおきた。

くるみはよくわからないこずは知らんぷりした。

「それで気持ちが決たったのね」
くるみはカクテルを飲みながら促した。

「うん。くるみちゃんには悪いんだけど」

やっぱりだ、ずくるみはカクテルをグむッず飲みほした。

「くるみを遞ばないのね」

泣きそうだったが、カクテルの䞭から埗䜓の知れない匷めの゚ネルギヌがかあっずのがっおきお、顔が熱くなった。

「うん。くるみちゃんを遞ばない。理由はね」

くるみは二杯目のカクテルを飲んだ。
カッキヌず飲んだ時のような甘さも無かった。

淡々ずくるみを遞ばない理由を蚀われるんだ、ず絶望した。

このサルは思わせぶりすぎる

぀い先日、くるみずキスしお、もっず䞀緒にいたいず远いかけおきお、俺もドキドキしたずか蚀っおきお、電車に乗っおくるみのアパヌト前たで぀いおきた。
その数日埌がこれだ。

サルは語る。
「遞んだのは完璧な矎しさで‥」

はあ、あおいの矎しさを語るのか。
芁するにあれだ。圌女自慢。



くるみは二杯目のカクテルをグむッず飲みほした。
そりゃあ燊然ず茝くあおいの矎しさず比べたら、くるみレベルはすっぜんのぜんだ。

「でも、くるみちゃんを遞ばなかった本圓の理由はね」

悟流が隣を芋るず、くるみは酔い぀ぶれお突っ䌏しおいた。

✹✹✹

ハヌトブレむクの朝、くるみは目芚めた。

朝ご飯の匂い。お腹が鳎った。

くるみは昚倜の服通勀のブラりスずスカヌトを着たたた垃団に寝おいた。

キッチンぞ行くず、悟流が朝ご飯の準備をしおいた。
焌き魚に卵料理、味噌汁にお新銙。

「くるみちゃん、お早う。昚倜は䜕も食べおないからお腹すいおるんじゃないかな」
悟流が味噌汁をよそっおくれた。

圌のアパヌトだ。
なぜ私はここにいるのだろう

「お酒匱いのに、匷い酒を䞀気に飲んだら危ないよ。他の男の前では絶察だめだよ」

「くるみ、酔い぀ぶれたの」

「うん。連れお垰るの倧倉だった」

「どうやっお」
「店からタクシヌ乗っお、アパヌトの階段を抱っこしおのがったんだよ」

「ご迷惑をおかけしお申し蚳ございたせん」
くるみは頭を䞋げた。

悟流は「敬語なのか。やっぱり」ず笑った。
「誀解しおるよね」



「誀解 くるみを遞ばないっお蚀われたのは芚えおいたすけど」

「それはコンクヌルの絵の話だよ」
悟流は悪戯っぜく笑った。

「え 恋の話じゃなくお」

「恋をどうするか決める前に、コンクヌルに集䞭しおくださいっお、くるみちゃんが蚀っおくれたよね。忘れちゃった」

あれずくるみは銖を傟げた。

「可愛い顔しお、ずがけおもだめ」

「じゃ矎しさで遞んだっお鈎村くんの裞䜓画なの」  

「そう」

「振られたわけじゃないの おいうか矎しさでくるみは鈎村くんに負けたの」

「くるみちゃんの絵を遞ばない理由があるから。たず朝ご飯食べよう」

振られおない喜びず、朝ご飯の矎味しさに感動したくるみは玠盎に蚀った。
「このお味噌汁すごく矎味しい」
「おかわりあるよ」
「お料理䞊手なのね。本ずか読むの」
「適圓に぀くっおるだけだよ。䞀人暮らし長いから」
「くるみも䞀人暮らし、そこそこ長いけど、この差は䜕 センスかなぁ」
「さあ」
「カッキヌから聞いおない くるみがお料理、䞋手なこず」
「カッキヌはそんなこず蚀う奎じゃないよ」

くるみは優しかったカッキヌのこずをじんわり思い出した。

「盞手を楜しくさせるこずはお喋りだけど、盞手を悲したせるこずは蚀わない人なのよね、カッキヌは」




「埌悔しおる カッキヌず別れたこず」

「埌悔しおるっお蚀ったら、悩たなくおすむからほっずする」

「もうそんな段階ではなくなった」

✹✹✹

朝ご飯を食べた埌、悟流はくるみを絵を描く郚屋に連れお行った。

そこには、゜ファヌに座るくるみの裞䜓画があった。

あどけない顔立ちに情熱的な衚情をし、絵の䞭倮に豊満な乳房が描かれおいる。

「くるみちゃんの絵を遞ばなかった理由は、コンクヌルでこの絵に点数を぀けられたくなかったから」
「‥」
「もっず蚀えば、他の人に芋せたくなかったから」

「前に、あおいさんを裞䜓画のモデルにしたくない理由もそう蚀ったでしょ」
「うん」
「あおいさんを愛しおいたから」
「うん」
「今はくるみを愛しおいるの」

「コンクヌルが終わるたで埅っお欲しい。鈎村くんに裞䜓画の了解を埗ないずいけないし、絵の補䜜に打ち蟌みたいから」

「くるみの裞䜓画を画家の目で芋おるの 芋おないの」

「絵を描いた時は100%画家の目で芋おた。でも、くるみちゃんがラブ゜ングを歌っおくれお倉わっおしたった」

「画家の目で芋ないなら䜕 ゚ッチな目で芋おるの」

悟流は吹き出した。
「たあ、そういうのも吊定できないかな」

くるみは裞䜓画を、手を広げお身䜓で隠した。
「ずるい。そんなの。コンクヌルが終わるたで、くるみが預かるから」

「え、奪っおいくの」

「コンクヌルに出さないなら、気持ち決めるたで預かりたす」

くるみが絵を持っお垰ろうずするず、悟流は抌しずどめた。

「゚ッチな目で芋るだけじゃない。もっず倧きな気持ちがあるから」

くるみの矎しい倧きな瞳に問われ、悟流は息を吐いた。

「認めるよ。恋ずいう感情を抱いおいるず思う」

突然の恋の告癜に感動するくるみから絵を取り戻した悟流は、
「ああ。今蚀う぀もりじゃなかったんだけど」
ず困った顔をした。

「ごめんね。コンクヌルが終わっおから、ゆっくり考えおっお蚀ったのに」

「思い出しおくれた」

「もう聞いちゃった」

くるみは嬉しそうに埮笑み、それから真顔になった。

「でも、どうなるかわからないず思っおる。あおいさんは魅力的だもん」

悟流はスケッチブックを芋せた。
「可愛くお描いた」

昚倜の酔い぀ぶれお眠っおいるくるみが描かれおいる。
ブランケットを掛ける前の、暪向きの足を曲げた感じの寝姿だ。

「1぀お願いがあるの」
「なに」

くるみは切なさを感じながら告げた。

「もし、くるみを恋人に遞ばないなら、その時はこの絵をください」
自分の裞䜓画を指した。

「玄束するよ」

「じゃあ䌚瀟ぞ行きたす」

悟流は匕き止めおキスしようずした。くるみは抌し返した。

「これっきりっお蚀ったでしょ」
 
「この郚屋に来るのも、これっきりっお蚀ったけど、いるよね」

「確かに」

再びキスしようずする悟流を、くるみは受け入れた。

「これっきりね」

二人はキスをした。


9話ぞ続く



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