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🧊 D面白クロスの最大手は8手じゃなくて7手 ~19万通りのパターン分析によるクロス解析~

3x3ルービックキューブのクロスは、最大でも8手で揃えられることが知られています。Lars Vandenbergh氏によるCross Study(https://www.cubezone.be/crossstudy.html)はその代表的な調査ですが、ここでの8手上限は U/D/F/B/L/R およびそれらの逆回転、180度回転で構成される外層ムーブだけを使うFTM(Face Turn Metric)での結果です。つまり、ワイド系ムーブ(2層回し)や M/E/S のスライス系ムーブは含まれていません。

この記事では、白クロス4エッジを対象に、外層ムーブだけの場合と、スライス系・ワイド系ムーブを許可した場合で、必要手数がどのように変化するかを調査します。特に、実際の白クロスで重要になる Dセンター=白, Uセンター=黄 の条件を開始状態と最終状態の両方に課したうえで、スライス系ムーブやワイド系ムーブがどの程度有効かを確認します。


🔬 調査手法

白クロスの4本は、白緑・白赤・白青・白橙の4エッジだけを追跡します。各エッジは12箇所のエッジ位置のいずれかに入り、白ステッカーの向きはその位置を構成する2面のどちらかになります。したがって抽象状態数は 12P4 * 2^4 = 190080 です。

探索は完成クロス状態からのBFS(幅優先探索)で行いました。D面白クロス完成状態から許可手をすべて1手ずつ適用し、到達した状態を距離1として記録します。さらに距離1の全状態から同じ処理を繰り返し、190,080状態すべてに到達するまで探索します。これにより、完成状態から各状態までの最短距離、すなわち各状態から完成状態へ戻す最短手数を求めます。

制約条件として、開始状態と最終状態の両方で Dセンター=白, Uセンター=黄 を要求します。L/F/R/Bセンターの色は評価しません。解法途中でD/Uセンターが一時的に崩れる手順は許可します。また、キューブ全体の持ち替えや x/y/z 回転で同一視する正規化は行わず、固定座標上の状態として数えます。

🧭 状態表記の読み方

白クロス4エッジの記号の意味は以下のとおりです。

WG:白緑エッジ
WR:白赤エッジ
WB:白青エッジ
WO:白橙エッジ

位置記号は固定座標の2面で表します。U/D/F/B/L/R はそれぞれ上/下/前/後/左/右の固定面です。たとえば DB は下面Dと後面Bの間のエッジ位置、FL は前面Fと左面Lの間のエッジ位置、UB は上面Uと後面Bの間のエッジ位置です。

各エッジは 『位置:白ステッカーの向き』 で書きます。たとえば WG=DB:B は、白緑エッジが下面Dと後面Bの間の DB 位置にあり、白ステッカーが後面Bを向いている、という意味です。BL:L なら、後面Bと左面Lの間の位置にあり、白ステッカーが左面Lを向いていることを意味します。

🔄 比較する回転ルール

本記事では、使用できる回転を次の4種類に分けて比較します。いずれも U, U', U2 のような90度回転・逆回転・180度回転をそれぞれ1手として数えます。

  • 外層のみ
    外層ムーブ U/D/F/B/L/R

  • 外層+スライス
    外層ムーブ + スライス系ムーブ M/E/S

  • 外層+ワイド
    外層ムーブ + ワイド系ムーブ Uw/Dw/Fw/Bw/Lw/Rw

  • 外層+スライス+ワイド
    外層ムーブ + スライス系ムーブ + ワイド系ムーブ

すべてのルールで、逆回転および180度回転も使用するものとします。

📊 手数分布サマリー

回転ルール状態数最大手数平均手数中央値

  • 外層のみ
    状態数 190080 最大手数 8 平均手数 5.812 中央値 6.0

  • 外層+スライス
    状態数 190080 最大手数 7 平均手数 5.538 中央値 6.0

  • 外層+ワイド
    状態数 190080 最大手数 8 平均手数 5.448 中央値 6.0

  • 外層+スライス+ワイド
    状態数 190080 最大手数 7 平均手数 5.154 中央値 5.0

💡 2手以上短縮される状態数

ここでは「外層のみ」と比べて、スライスやワイドを使用できるルールがどれだけ最短手数を短くするかを見ます。1手短縮は比較的広く起こるため、ここでは練習上はっきり差が出やすい 2手以上短縮 を主な指標にします。

追加する回転2手以上短縮される状態数割合

  • ワイド
    2手以上短縮される状態 0 (0.00%)

  • スライス
    2手以上短縮される状態 2675 (1.41%)

  • スライス+ワイド
    2手以上短縮される状態 14273 (7.51%)

📉 短縮手数の分布

ワイド系ムーブ追加は全状態で0手または1手の短縮に留まり、2手以上の短縮はありませんでした。一方でスライス系ムーブ追加は2手以上短縮する状態が2675状態あり、スライス系+ワイド系ムーブ追加では14273状態まで増えます。ワイド系ムーブ単独よりも、M/E/S を含むスライス系ムーブのほうが明確な改善を作りやすいと言えるでしょう。

↔️ ワイド系ムーブ追加

短縮手順 0 状態数 120920 (63.62%)
短縮手順 1 状態数 69160 (36.38%)

⚙️ スライス系ムーブ追加

短縮手数 0 状態数 140752 (74.05%)
短縮手数 1 状態数 46653 (24.54%)
短縮手数 2 状態数 2650 (1.39%)
短縮手数 3 状態数 25 (0.01%)

✨ スライス系・ワイド系ムーブ追加

短縮手数 0 状態数 79507 (41.83%)
短縮手数 1 状態数 96300 (50.66%)
短縮手数 2 状態数 14022 (7.38%)
短縮手数 3 上体数 251 (0.13%)

🏆 スライス系ムーブが効果的なケースの代表例

数値上の短縮幅だけでなく、どのような配置でスライス系ムーブを積極的に使う価値があるのかを確認するため、代表的なパターンを挙げます。3手短縮の強い例に加えて、1手・2手短縮でも手順中にエッジがまとまって動く例を含めています。状態欄は、上の「状態表記の読み方」と同じ形式です。

🎯 おわりに

Lars Vandenbergh氏のCross Studyが示した外層ムーブだけでの8手上限は、クロス研究の大きな土台です。本調査はその土台に感謝しつつ、スライス系ムーブやワイド系ムーブを導入したときに何が変わるのかを、D/Uセンター固定という実用寄りの条件で見直したものです。

結果として、ワイド系ムーブ単独の効果は限定的で、スライス系ムーブを使える場面には確かに興味深い手数短縮効果があることが分かりました。

本研究では、各ムーブの回しやすさというのは一切考慮されていません。白クロスの理論が、ただの最短手数表ではなく、実際の指の動きや回しやすさなど実際のタイムに直結する新たな最適手順の発見につながっていくことを願いつつ、今後のさらなる研究が楽しみですね!

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