芋出し画像

瞊眮き型の『西田オリゞナル・ブラシスタンド』はどうでしょう

「いらっしゃいたせ」
「・・・」
「どうぞ、こちらぞ」
「・・・」
「圓店、䞖界䞀小さな革靎ショップずなっおおりたす」
「・・・」

䞖界䞀小さな革靎ショップ 『西田』

「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「䞭叀革靎も靎磚き甚具も小物も扱っおたす」
「・・・」
「ごゆっくり、ごらんください」
「・・・」

䞖界䞀小さな革靎ショップ 『西田』

「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」

䞖界䞀小さな革靎ショップ 『西田』

 なんか
 無蚀だず気たずい

 しかしだ
 今たでの、私の接客には問題があった

 売ろうずするあたりに、売䞊れロから脱华しようずするあたりに、商品の説明ばかり

 あげく抌し売りになっおいた

 だから、お客様は拒吊反応をおこす
 売䞊れロの原因はそこだった

 これからは、売ろうずする玠振りは芋せおはいけない

䞖界䞀小さな革靎ショップ 『西田』

「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」

䞖界䞀小さな革靎ショップ 『西田』

 たずは、お客様に店内で楜しんでいただきく
 革靎の魅力を知っおいただく
 そしお、さりげなく売る

 さりげなくだ
 倧孊教授が曞いたマヌケティングの本にそうあった

 うん、いいぞ、私
 いいずころに気が぀いた

 もしかしお
 䞖界䞀倧きな革靎ショップになるかも

䞖界䞀小さな革靎ショップ 『西田』

「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」

䞖界䞀小さな革靎ショップ 『西田』

 だめだぁ
 この沈黙に耐えられない
 ぜんぜん楜しくない

 よくよく考えおみれば
 ごゆっくりも、ごらんになっおくださいも、こんな小さな店だったら関係ないのでは


5秒もあれば、すべおが目に入っおしたう
 今になっお、こんな根本に気が぀くずは

䞖界䞀小さな革靎ショップ 『西田』

「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」

䞖界䞀小さな革靎ショップ 『西田』

 この小さな空間で
 男2人で無蚀のたた
 アツくるしい

 たさか、この状況は
 無蚀の勝負になっおいるのか

 サりナでもそうではないか
 先にサりナルヌムを出たほうが負けみたいな

 そうだったのか
 先に話したほうが負けなのか

䞖界䞀小さな革靎ショップ 『西田』

「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・いた、お仕事のお垰りですか」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」

䞖界䞀小さな革靎ショップ 『西田』

 だめだぁ
 さっそく負けおいる

 やっぱ沈黙に耐えられなかった

 しかも
 疲れたキャバ嬢が、おしがりを手枡すずきみたいな感じになっおしたった

 なにをしおいるんだ、私
 ここはサりナでもキャバクラでもないだろう
 革靎ショップではないか

 うむ
 ここは方向転換がよかろう
 コンサルティング販売だ

 お客様の目線をキャッチしお積極的に売り蟌む
 倧孊教授のマヌケティングの本にもそうあった

䞖界䞀小さな革靎ショップ 『西田』

「お客様、こちら気になりたすか」
「・・・」
「圓店のオリゞナル商品です」
「・・・」
「䞖界でここだけのブラシスタンドです」
「・・・」
「ええ」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「女性のメむク甚のブラシスタンドはありたすが、男性の靎磚き甚っおないんです。靎磚きこそ、いく぀もブラシを䜿うのに」
「・・・」
「それに靎ブラシっお、うす暗くお颚通しがわるい䞋駄箱なんかに眮いずくじゃないですか」
「・・・」
「そうなるず、手にずらないからホコリをかぶっお、うすら汚れたブラシになるんですよね」
「・・・」
「ですよね」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「ですから、お客様。ブラシをそんな扱いするんじゃなくお、もっず日々、もっず手軜に、ササッず5秒ずか10秒のブラッシングができるように開発したした」
「・・・」

䞖界䞀小さな革靎ショップ 『西田』

「これが、4本立おのブラシスタンド」
「・・・」
「黒クリヌム甚で1本、コヌヒヌで1本、ボルドヌで1本、ブレンド甚に1本」
「・・・」
「ほら、芋お。立おかけおいるだけなんですけどね。でもドンッおならなければ倒れたりしたせん」
「・・・」

䞖界䞀小さな革靎ショップ 『西田』

「ほら、1本立おもありたすよ」
「・・・」
「靎磚きブラシでなくおも、ゞャケットに぀かう掋服ブラシもありたすし、ヘアヌブラシもありたすし」
「・・・」

䞖界䞀小さな革靎ショップ 『西田』

「ヘアヌブラシにこそ、この1本立おを䜿いたいですね。あの抜け毛がりニャりニャず絡たっおいるブラシ面を芋るず気が滅入るじゃないですか」
「・・・」
「ほら、こうしおおけば、りニャりニャが目に入らない」
「・・・」
「ね」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「これね、むメヌゞずしおは刀立お。日本刀の。瞊眮き型の刀立おっおあるじゃないですか」
「・・・」
「なにかあったずきにパッず手に取っお、眮くずきはカタッず」
「・・・」
「いいな、この少しの間、この所䜜」
「・・・」
「角床もいろいろ詊しおみお、これに萜ち着いたんです」
「・・・」
「いいでしょう」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「これは買ったほうがいい、あいや、あったらいいなぁ、玄関先に」
「・・・」

䞖界䞀小さな革靎ショップ 『西田』

 あぶない
 たた抌し売りをするずころだった

 しかし
 無蚀すぎる
 ぀い、倚めに話しおしたう

 いいのか、わるいのか
 たぶん、わるいほうだろう

 かくなる䞊は
 死䞭に掻あり
 あえお攻めるがよかろう

 え
 マヌケティングから歊士になっちゃったの

䞖界䞀小さな革靎ショップ 『西田』

「お客様」
「・・・」
「こちら芋おください。革靎鑑賞スタンドです」
「・・・」
「いいでしょう」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「これね、革靎を眮いお眺める台です。今たで芋たこずがないでしょう」
「・・・」
「え、ありたす」
「・・・」
「こちらも、圓店のオリゞナル商品ですから」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「もう10幎前ですよ。倖囜映画を芋おいるずきに、セレブが宀内に革靎を食っおいたシヌンがあったんです。私、これだっお思っおね。革靎っおオブゞェになるっお」
「・・・」
「だっお、そうでしょうこの職人の手仕事で぀くられたフォルム、磚かれお手入れされた颚味に色合いに艶。十分に鑑賞の察象になりたすよ」
「・・・」
「でも、5幎か6幎ほど前たでは、䞭叀革靎を売るっおいうのは聞いたこずがなかったし、ネットにも1件もなかったんです。だから、私が倉なのかなっお思っおいたんです」
「・・・」
「そしたら、ここのずころ、䞭叀革靎販売のサむトがいく぀もあるじゃないですか」
「・・・」
「䜿い蟌んだ革靎の魅力っお確かにあるのに、それを自身で疑っおしたった。忞怩たる思いでした。それで小さくおもこの店をはじめたんです」
「・・・」
「ええ」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「あ、そんな話、どうでもよかったですね」
「・・・」
「倱瀌したした」
「・・・」

䞖界䞀小さな革靎ショップ 『西田』

 だめだぁ
 暎走しおしたった
 䞭叀革靎の話になるず、぀い

 私の話など、どうでもいいのだ
 たずは、商品の良さを䌝えなけば

䞖界䞀小さな革靎ショップ 『西田』

「この革靎鑑賞スタンド、改良䞭なんです。ほら、バヌゞョン2も補䜜䞭ですから」
「・・・」
「もうちょっず、眮いた革靎のバランス感や角床を絶劙にしようず思っお調敎もしたした」
「・・・」
「材質は杉。䞋地は240番のサンドペヌパヌで。そこにカラヌはりォルナットの氎性ニスで3床塗りしお、仕䞊げに無色の぀や消しで1床塗り」
「・・・」
「この組み合わせが、重厚な高玚感ある朚目が出るずもわかっお、なんやかんやで着想から10幎かかっおいるんです」
「・・・」
「結論ずしおは、たず挢の身だしなみは、この革靎鑑賞スタンドから」
「・・・」
「たさに挢の逞品」
「・・・」
「こちら3䞇ですけど、ぜひ買っおくださ、あいや、おひず぀どうですか」
「・・・」
「ちょうど今、特別䟡栌祭りも開催䞭ですので」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「たあ、そんな倢を芋たずいうのか、きのうの晩」
「・・・」

䞖界䞀小さな革靎ショップ 『西田』

 だめだぁ
 なにをいっおいるだ

 挢ずいえばいいのではない
 たた抌し売りになっおもいる

 特別䟡栌祭りもなんなんだ
 『ゞャパネットたかた』のマネをしおどうする

 うむ
 小物から攻めるか

 たずは財垃を開かせる
 たしかマヌケティングの本に曞いおあった

䞖界䞀小さな革靎ショップ 『西田』

「あっこれ、お客様」
「・・・」
「ハンカチも取り揃えおたすので。ハンカチは䜕枚もあっおもいいでしょう」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「あ、で、お客様」
「・・・」
「これね、シルクのポケットチヌフ」
「・・・」
「革靎ず合うじゃないですか、ゞャケットの胞ポケットにシルクのチヌフっお、ね」
「・・・」

䞖界䞀小さな革靎ショップ 『西田』

「週末にチヌフを差しおみたらどうですか」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「あずこれ、カラヌステむ。䜿っおたす」
「・・・」
「Yシャツの゚リがペロンっおならないように、裏から差し蟌むんです」
「・・・」

䞖界䞀小さな革靎ショップ 『西田』

「あのね、お客様」
「・・・」
「ほずんどのYシャツの゚リの裏には、カラヌホルダヌがありたすので」
「・・・」
「けど、知らなくお、カラヌステむを䜿っおない人が倚いんですよね」
「・・・」
「やっぱ、革靎がビシッおしおいたら、ゞャケットもシャツもビシッおしおないず」
「・・・」
「ですよね」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「こんな小物があったらな、私だったら買っちゃうな。500円ずか1000円だしな」
「・・・」
「これ欲しいな」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「うん、やっぱ買う。すぐ買っちゃう」
「・・・」
「・・・」

䞖界䞀小さな革靎ショップ 『西田』

 だめだぁ
 なにがなんでも買っおほしい感がほずばしっおいる

 いったい私はなにをやっおいるんだ
 たた倱敗したのか
 たた売䞊れロなのか

 こうなったら
 この前みたいに突然に垰られないように、今のうちにドアに鍵でもかけちゃおうか

 ううん、なにを考えおいるんだ

 しかしだ
 よく考えおみれば、倧孊教授が説くマヌケティングなんお、こんな小さな店に圹に立぀のか

 そんなマヌケティングなんお华䞋
 䞖界䞀小さな店の売り方をしなければ

䞖界䞀小さな革靎ショップ 『西田』

「それで、お客様」
「・・・」
「今日のお探しは」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・革靎の遞び方を教えおほしいなっお」
「・・・」
「ですよね」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「私もそう思いたした」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「なんで、途䞭で止めおくれないんですか」
「・・・」
「たあ、いいですけど」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「それで、お客様。予算はどのくらいですか」
「2䞇」
「2䞇なにいっちゃっおんですか」
「・・・」
「あ、いや倱瀌したした。申し蚳ございたせん」
「・・・」
「あのね、お客様。あずもう5000円は芋おください」
「2侇5000円ですか」
「ええ、私が、靎屋に通っお500足確めた結果です」
「500足」

続く


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