見出し画像

妹を泣かせたミートパイ

約14年前に私と妹で台湾(台北)旅行へ行った時の事。
私たちは食べる事に重きを置いた旅程を組んでいて、当然の如く夜は夜市へ繰り出していた。
どこだったか夜市の名前は忘れてしまったけど、恐らく日中は車が通っているであろう道路の真ん中に屋台がずらっと並んでいた。

当時私は中国語を勉強するのにハマっていて、この旅行中も簡単な注文等は私が担当していた。
一方で妹も市民講座で、旅行で使える中国語を習いに行っていたから、「我喜歡壽司(私は寿司が好きです)」は自信をもって言えていた。

話は戻って、私たちは目をキラキラと輝かせながら夜市を散策。
私はというと、食べる事以外に台湾ガールルック(台湾でよく見かける短パンで歩く女の子に憧れていた)を目指していたので夜市とは別に店舗を構えている服屋さんもチラ見しながら歩いていた。
すると後ろを歩いていたはずの妹がいない。来た道を少し戻って妹を見つけると、妹が片手に白い袋に入った何かの食べ物を持っている。

ミートパイを買ったんだそうだ。
私は一緒に居合わせていなかったから、妹の買う姿を見られなかったが、私が居なくても食べてみたい程魅力的に映ったんだと思う。
きっと頑張って身振り手振りで買ったんだと思う。自分で買えて凄いな!と思った。

そのパイは台湾定番の胡椒餅ではなく、丸いパイ生地の中に具が入っていて片手で気軽に食べられる物だった。
コンビニにあるホットスナックのショーケースみたいな棚に置かれたいくつものミートパイはオレンジの灯りに照らされていた。
妹が選んだ味はブラックペッパー。これが食べたかったんだそう。

私は妹が自分で買ったという姿に感動しつつ再び屋台や服屋さんを交互に見ながら歩きだした。
妹も私の後を辿りながらミートパイを食べている。
少し経って私は気になった服屋さんに入ろうかと入口付近まで近づいた時、ミートパイを食べている妹が大粒の涙を流していた。

具に練りこまれているか、上から振りかけてあるのか、そのブラックペッパーが口の中でヒットしたようだ。
パウダーではなく丸い粒状、さらには辛味に強い耐性を持ち合わせていなかった妹は口の中で弾け大暴れするペッパーに驚き、あまりの辛さに大泣きしてしまった。
それでも食べる事をやめない。美味しい、辛い、びっくり、またヒット。これを繰り返す。

ちょうどこのタイミングで突然空模様も怪しくなり大雨が降りだした。
ザーザー降りの中、雨を避けて軒下で大泣きしながらミートパイを食べる妹。
その光景がとても可笑しく思えてきて、妹を心配するよりもハハハと笑って私は服屋さんに入っていった。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集