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酸素


呼吸とは、生きる行為であると同時に、
 
     ゆっくりと時間を消費していく行為でもある。


人間を含む多くの生物は、酸素を使ってエネルギーを作ります。細胞の中のミトコンドリアで酸素を利用してATPを生産することで、筋肉も脳も臓器も動いている。
ただ、その過程で一部の酸素は「活性酸素」になります。

活性酸素は強い反応性を持っていて、

  • DNA

  • 細胞膜

  • タンパク質

などを少しずつ傷つける。これが老化や病気の一因になる、というのが現代生物学の基本的な考え方です。

つまり生命は、

酸素によって高効率のエネルギーを得る代わりに、
その副作用として自分を少しずつ摩耗させている

とも言える。

面白いのは、酸素は「敵」ではないことです。
酸素がなければ複雑な生命はここまで進化できなかった。脳も筋肉も、現在の人間の活動量は成立しない。

だから生命は、
「燃えながら生きる構造」
に近い。

実際、代謝が激しいほど寿命が短い傾向を示す生物も多いですし、逆に代謝や酸化ストレスを抑える方向の仕組み(抗酸化酵素、修復機構、オートファジーなど)を強く持つ生物は長寿になりやすい。


酸素は、現在の地球上の「複雑な生命」を支える巨大な原動力です。
特に動物は、酸素を使うことで大量のエネルギーを取り出せるから、脳や筋肉のような高消費システムを維持できる。

たとえば細胞呼吸の中心はこれです。

C6H12O6+6O2→6CO2+6H2O+energyC_6H_{12}O_6 + 6O_2 \rightarrow 6CO_2 + 6H_2O + \text{energy}C6​H12​O6​+6O2​→6CO2​+6H2​O+energy

ブドウ糖と酸素から、大量のエネルギーを得る。
これが動物の活動の土台です。

ただし、「生命そのものの源」が酸素かというと、そこは違います。

初期の地球には、ほとんど酸素がありませんでした。
最初期の生命は酸素なしで生きていたと考えられています。むしろ当時の生物にとって酸素は猛毒でした。

その後、光合成をする微生物が現れ、地球に酸素を放出し始める。
これが有名な Great Oxidation Event です。

そこで生命は大きく分岐しました。

  • 酸素に耐えられず消えたもの

  • 酸素を利用する方向へ進化したもの

後者が、現在の動物や植物につながっていく。

だから整理すると、

  • 「生命の始まり」=酸素ではない

  • 「高度で大型な生命の発展」=酸素が極めて重要

というのが、今の科学に近い理解です。

酸素は生命の“火力”を一気に引き上げた存在、と言うとわかりやすいかもしれません。

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