インジェクター無効噴射時間とは? 設定すると何が良いの?
概要
インジェクターの無効噴射時間(Injector Dead Time )とは、 インジェクターに電気信号を送ってから実際に燃料が噴射され始めるまでの遅れ時間のことを指します。
無効時間発生の仕組み
インジェクターは電磁弁です。インジェクターに燃圧が掛かっている状態で電磁弁が開くことで燃料が噴射されます。
ECUがパルス電気信号発生させる
↓
トランジスタが電流を流す
↓
コイルに電流が流れる
↓
コイルが磁力を発生する
↓
電磁弁が動く
↓
燃料が噴射される
コイルが磁力を発生してバルブが動き、燃料が流れ始めるまでに時間差があります。
この時間差が無効噴射時間(Dead time) です。
無効噴射時間概要図
ECU PULSEの立ち上がりに対してのFuel flow発生までの遅れが無効噴射時間(紫色線)です。

無効噴射時間 実測結果例
4ストロークエンジン
クランク回転数:6000RPM(100Hz)
カム回転数:3000RPM(50Hz)
235cc/min のインジェクター流量を計測した結果を以下に示します。

青色の線が実測値、オレンジ色の線がパルス幅 5ms、10ms、16msの噴射量から線形予測した結果になります。
0msよりも若干見右にオフセットした点からインジェクター流量が発生しているのが分かると思います。
4ms以下 Duty20%以下の拡大画面
ここでLINKECU等の最近のECUにおける、
インジェクター噴射量に関する用語を説明します。

Dead time(for traditional ECU)
パルスを入力してから燃料が噴射されるまでの時間
旧TYPEのECUではこの値を使っていました(紫色)約0.85[ms]
Dead time(for Latest ECU) LINKECU等
インジェクターの線形曲線から予測した無効噴射時間
VE計算をする場合は無効噴射時間とFuel fowからEffictive Pulse widthとInjector flow からインジェクター流量から燃料噴射量を計算します。
画像では約0.54msです。
Actual Pulse Width (実PULSE幅)
概要で示したECUから出力される実際のPULSE発生時間です。
上記では3msとして仮定します。
Effictive Pulse width(有効PULSE幅)
Effictive Pulse width = Actual Pulse width - Dead time
上記では3.00 [ms] - 0.54[ ms ] = 2.46 [ms] となります。
Short Pulse width time adder
インジェクターの噴射し始めに噴射量が線形にならない領域が発生します。
線形予測値との違いを補正して、噴射量の計算が線形になる様に調整するための変数です。
流量0付近で 0.85 - 0.54 =0.31msを 無効噴射時間に足してEffictive Pulse widthとします。
この処理を行うとECU上でインジェクタを線形として扱い、VEの計算が正しく行うことができます。
無効噴射時間設定しないとどうなるの?
無効噴射時間を設定しないと、燃料噴射されない無効領域を使ってしまい、燃料が極端に薄い状態が発生することがあります。
逆に大きすぎるとECUが制御できる流量がはじめから多すぎることになります。
よくある例としては、負圧領域で極端に噴射量時間を増やしてVE燃料噴射量MAPが歪むような状態にしないとと空燃比が合わない場合、無効噴射時間が合っていない、あるいはAdder 領域を使っている可能性が高いです。
無効噴射時間を設定すると?
燃料計算が正しく行われる
無効噴射時間を正しく設定すると、VE燃料噴射量計算が線形で行われるため、燃料噴射量MAPが負圧領域でスムーズになる。
アクセル開度低めの応答性がスムーズになる。加減速補正が少なくて良い。
等のメリットがあります。
バーチャル燃料タンクの機能が使える
最近のECUでは仮想燃料タンクなどの機能があり、ECU内部で燃料噴射量を計算してどれだけガソリンを吹いたか積算し、使用している燃料を表示することが可能です。 無効噴射時間やAdderを正しく設定すると、Fuel flowが正しく計算されるため、実際のガソリン使用料をDash Display等に表示できるようになります。
実際に吹いている燃料の量と車速から平均燃費等も計算が可能となります。
インジェクターDuty100%で使うと?
インジェクターDutyが85%を超えるAdderと同様にインジェクター流量の線形性が崩れる傾向があります。
VE計算が正しく行われないため、可能な限り85%以下で使用するようにしましょう。
以下の例では100%で流量が増えるTYPEとなっています。
そのためインジェクターDuty100%と50%から無効噴射時間を線形予測すると、本来の値よりも大きな数値で予測されることになります。
以下の図を確認してください。

まとめ
無効噴射時間とは何か?
インジェクター流量との関係性、無効噴射時間を設定することのメリットデメリットは理解できたでしょうか?
無効噴射時間のデータってどうやって測定するのか?
今後紹介していきますね。
かなりの種類のインジェクター無効噴射時間データ(電圧、燃圧違い)を実測して取り揃えておりますので、Note記事にて紹介していきます。
不明点があれば、質問やコメントなどよろしくお願いします。
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