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人を騙す方法 - 詐欺現場、実況中継

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ルノアールで情報商材の詐欺勧誘が行われていた。

よくある話だ。ルノアールにはあやしいビジネスの勧誘者か喫煙を求めるやさぐれたサラリーマンしかいない。

しかし、最初から最後まで彼らの話に耳を傾けていて、舌を巻いてしまった。相手の認知を歪ませて騙す方法が、非常に体系化されていたからだ。美しさすら感じてしまった。

ひたすら耳をそば立てていたせいで僕の仕事は進まず吸い殻が溜まる一方だったが、この知見を共有したい。

先に結論を言おう。
彼らはあらゆる手段で認知の歪みを引き起こそうとする。

具体的には、「情報商材を売る」という行為を別のものに置き換えるのだ。

これは営業ではない、という羊の皮を被って相手を喰らおうとする狼たちの所業。その手練手管を見ていこう。


人物紹介

ルノアールで煙を吐き出しながら仕事をしていると、横から「ガガガッ」と音がする。それはスーツ姿の男性がテーブルを動かしている音だった。この後に打ち合わせ相手でも来るんだろう。

ほどなくして、気弱そうなメガネをかけた私服姿の男性がやってくる。初対面のようだが、前からやり取りはあるのか比較的ゆるい雰囲気。そしてスーツ男の横に並ぶように座る。対面ではない。ふたりして偉い人でも待っているのだろうか。

そして、「どうもどうも、お待たせしちゃって」と強者のオーラを放つ男が現れた。この瞬間確信した。

「あ、これあやしいビジネスの勧誘だ」。

ルノアールの風物詩。昨日と変わらない今日。日常。
何度も見てきた光景だ。

とはいえ、隣でガッツリ聞ける機会はそうない。集中の矛先をパソコンの画面から両耳に切り替えた。

今後のために、3人に仮称をつけておこう。

メガネくん
気弱そうな男の子。20代前半?あやしいビジネスを売りつけられようとしている。

スーツ男
せっせとテーブルをセッティングしていた男。メガネくんとは instagram で知り合っていた。実際は ↓ のボスの一味。

ボス
小金持ち感を体の端々から出してるオラオラしたやつ。


先に状況も整理しておこう。

メガネくんは大手の製造業で働いている。しかし、給料に不満があり副業や個人事業に興味があった。

そんなことを instagram に書いていたのをスーツ男が見つけ、「俺の知り合いの人、めちゃくちゃ儲けててすごい人だから話を聞いてみる?」と声をかけ、今日の集まりに至った。


よくある話、だと思うだろう。
ただ、これこそがまず最初の認知の歪みを引き起こしていた。

ボスがやってきて、メガネくんはお土産を渡した。違和感だ。この状況で商品を売ろうとしているのはボスの側だ。

通常のビジネスで「飯田さん、ぜひ弊社の提案を聞いてください」と言われて時間を作った際に、僕がお土産を用意することはない。むしろ逆だ。

しかし、ボスが直接営業するのではなく、スーツ男が間に入り「すごい人の話を聞かせてもらえるよ…!」と主張することで、ボスの立場の方を上にしているのだ。

さらに、「お忙しいところ、ありがとうございます」とメガネくんは負い目すら感じている。


お前も仲間にならないか、メガネくん


スーツ男とボスが最終的に売ろうとしている商品は「コミュニティの参加権」だ。曰く、ビジネスでの成功を目指す者たちが切磋琢磨する場であり、教材もあり、ありがたい成功者の教えを聞くこともできる。

僕たちは一緒に頑張れる仲間を探している、とボスは語る。

お分かりだろうか。この時点で話をすり替えている。

実際はこの参加券を売りたいのだが、そうではなく「仲間を探している」と言い換えている。もしメガネくんがこれを買ったら、それは「商品の購入」ではなく「仲間になる」ことを意味している。

コミュニティの素晴らしさについて延々と語ったあと、セミナーの話を始めた。コミュニティは基本的にオンラインだが、毎月リアルの場で集まるセミナーも開催しているらしい。

ボス「曜日は土日が多いんだ。出れる?」
メガネくん「はい、大丈夫です」

商品の値段すら言っていないのに、買ったあとの話をしている。買うことはまるで既定路線かのように決まっており、断る理由も潰されていく。メガネくんの外堀がゆっくり埋められていく。

ボス曰く、こうしたビジネス教材の相場は10万円らしい。そして、たいていの教材というのは買ったら終わり、それまでだ。

しかし、ボスたちのコミュニティは違う!
だって教材ではなくコミュニティだから、未来永劫使えるのだ。一生、死ぬまで。

ボス「それっていくらぐらいだと思う?」

ずるい。僕が単発の教材を売る側だったら「ここに書いてあることは、今後のビジネスでもずっと役に立つ。仮に30年働くと仮定しても、1年で約3,000円の負担しかないことになるよ?」と言うだろう。こんなものはただのレトリックに過ぎない。

そもそも、お前んとこのコミュニティが未来永劫続く根拠を出せや。

メガネくんも「えー…いくらぐらいだろう……」とふにゃふにゃ返しているところに、ボスはズバリ金額を述べた。


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