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#650 質問だけで部下は育つ 〜営業指導で学ぶ部下を伸ばす質問術〜

はじめに

以前、noteに「上司のための『質問力』活用〜『営業指導』基礎〜」というシリーズを全10回にわたって投稿しました。銀行支店長になった「佐藤」が、部下育成に悩んで旧友「高橋」に相談する、という対話形式で、営業プロセス全体を「質問」という切り口で解説したものです。

10回に分けて書いたこと、会話形式のため長いこと、から当時は「全体像が見えにくい」という反省もありました。今回、あらためて1本にまとめ直し、ポイントのみに凝縮、実務でそのまま使える形に再構成しました。

さらにすぐに使えるよう、以下特典を付けました。
☑️ 場面別・質問テンプレート集
☑️ 実践チェックリスト
☑️ まとめ1枚シート

対象読者は、部下(特に営業職)を指導する立場にあるすべての上司・管理職です。「教える」のではなく「質問で気づかせる」指導法に関心がある方に、特に役立つはずです。

本書では営業を例に説明しますが、「人が考え、意思決定するプロセス」を扱っています。したがって営業以外の面談、1on1、コーチング、育成にも応用できます



第1章 なぜ「質問力」で営業指導するのか

支店長になった佐藤の悩みは、「部下がなかなか思うように育たない」というものでした。個人に販売目標を課さない組織改革を経験した高橋は、こう問いかけます。

「個人目標がなくて、上司は部下の何を見て評価するんだ?」

答えは、活動量やKPIといった「見える化された行動」です。しかしそれをきちんとフィードバックし評価するのは、実は非常に手間がかかる仕事です。高橋の会社でも、15の営業部のうち個人目標なしでうまくいったのはたった1つ。その営業部長だけが、毎日丁寧に部下の活動を把握し、一人ひとりの努力を見続けていました。

ここから導かれる指導の基本姿勢は、シンプルです。

  • 部下を「教育する」対象ではなく、「気づいてもらう」相手として扱う

  • 上司自身が答えを持っていても、まず「質問」で本人に考えさせる

  • 定義や言葉の揺れを放置しない(「アプローチ」「ヒアリング」の意味が上司と部下でズレていないか)


第2章 部下の営業活動を「見える化」する

高橋が佐藤に出した最初の宿題は2つでした。

  1. 自分のチームの標準的な営業プロセスを言語化すること

  2. 自分自身の時間の使い方(事務作業・営業・会議など)をざっくり把握すること

佐藤はスケジューラーから面談記録を拾い集め、部下1人分の営業プロセスごとの件数を数えてみました。ところが、そこで奇妙な数字のズレが発覚します。「アプローチ」の件数が週10件、月では118件相当になり、1日5.9回も面談している計算に。数字を照らし合わせると、それぞれのステップの「定義」が上司と部下でまるで違うことが判明したのです。

「同じ『アプローチ』という言葉で会話していても、その定義がお互いでまるで違う」

実践のポイント

  • 部下の活動を数字で把握する前に、まず「言葉の定義」を上司と部下で揃える

  • ありふれた言葉ほど、厳密に定義しないと会話がすれ違う

  • 自分の時間の使い方も定期的に「見える化」し、理想の配分と比較する習慣を持つ

佐藤自身も時間の使い方を可視化してみると、「部下指導」に割いている時間が想定より少なく、事務作業が半分近くを占めていることに気づきます。ある調査では、管理職の理想は「部下マネジメントに30%以上」ですが、実態は平均15%程度というデータもあります。感覚と実態のギャップに気づくこと自体が、改善の第一歩です。


第3章 営業プロセスの全体像 〜「購買意思決定プロセス」との対応〜

高橋が次に持ち出したのが、マーケティングの基本である「購買意思決定プロセス」です(いわゆる「コトラーの」と紹介されることが多いですが、コトラー自身も他の研究者の考案として紹介しているものです)。

  1. 問題認識:問題やニーズを認識する

  2. 情報探索:問題解決のために情報収集する

  3. 代替品の評価:複数の選択肢を評価する

  4. 購買決定:購買のために最終決定する

  5. 購買後の行動:購買決定そのものを評価する

重要なのは、この主語が「お客様」であるという点です。営業側がニーズを認識しても意味がなく、お客様自身がご自身の問題やニーズに気づくことがスタートになります。

「人はその商品を理解したから購入するのではない。その商品が(自分や自分の家族にとって)必要だと(その人自身が)理解したから購入するのだ。」

ここで鍵になるのが「質問力」です。ニーズには「顕在ニーズ」(壊れた冷蔵庫を買い替える、のようにすでに自覚している)と「潜在ニーズ」(生命保険のように、必要だが普段は意識していない)の2種類があり、後者を自覚してもらうために「質問」が使われます。

これを踏まえ、営業プロセスの全体像は次のように整理できます。

ここまでが全体の「地図」です。次章からは、各ステップで実際に何を質問し、どう進めるかを見ていきます。

実は、この6ステップの中で一番つまずきやすいのは②③の「ヒアリング」です。理由は、多くの営業が「将来のこと」からいきなり聞いてしまうから。ここから先では、お客様が思わず本音を話したくなる「質問の順番」を、実際のフレーズ付きで解説します。

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