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売れる店員ほど、お客様の話を途中で理解したつもりにならない。

接客を長くやっていると、

お客様が少し話しただけで、

「あ、このパターンかな」

と思うことがあります。

これは、ある意味では経験です。

でも、この「分かった」が意外と危ない。



たとえば、

「自転車を探しているんですけど……」

と言われたとします。

毎日自転車を販売している店員なら、

通勤かな。
通学かな。
買い物用かな。

ある程度、予想できます。

だからつい、

「通勤用ですか?」

「こちらが人気ですよ。」

と、話を先に進めたくなります。

でも、お客様の話をもう少し聞いてみると、

「孫が遊びに来た時に乗れるものが欲しくて。」

なんてこともあります。

最初の数秒だけでは、分からないんですよね。



接客に慣れてくると、

お客様の服装や年齢、見ている商品、最初の一言から、

「たぶんこうだろう」

という予測ができるようになります。

それ自体は悪いことではありません。

むしろ、経験を積んだからこそできることです。

でも、

予測することと、決めつけることは違う。

ここは、かなり大事だと思っています。



僕自身も、

「あ、この商品を探しているんだろうな。」

と思って声をかけたら、全然違ったことがあります。

逆に、

「この人はたぶん買わないだろうな。」

と思っていたお客様が、じっくり話を聞いた結果、大きな買い物をしてくださったこともあります。

9年接客していても、

お客様の頭の中までは分かりません。



だから最近は、

分かったと思った時ほど、

もう一つだけ聞くようにしています。

「どんな時に使いますか?」

「今は何を使っていますか?」

「何か困っていることはありますか?」

そんな一言です。

すると、

最初には出てこなかった話が出てくることがあります。

そして、その話の中に、

本当に探しているもののヒントがあったりします。



接客がうまい人を見ると、

たくさんの商品知識を持っていて、

何を聞かれてもすぐ答えられる人を想像するかもしれません。

もちろん、それも大切です。

でも僕は、

すぐに答えを出さないことも、接客の技術だと思っています。

お客様が全部話し終える前に、

「分かりました。」

と言わない。

経験があるからこそ予測する。

でも、経験があるからこそ、

その予測を疑ってみる。



お客様のことを理解するというのは、

早く正解を当てることではなくて、

最後まで話を聞くことなのかもしれません。

9年接客していても、

目の前のお客様が何を考えているのかは、まだ分からない。

だから今日も、

「分かったつもり」にならないように、

もう少しだけ話を聞いてみようと思います。

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