見出し画像

第43回20-30歳代限定読書会『斜陽』▶karen

20-30歳代限定読書会のファシリテーターをしているkarenと言います。この前の読書会の様子をご紹介します。

第43回20-30歳代限定読書会 太宰治『斜陽』
参加者15名(女性6名、男性9名)

◆課題本『斜陽』太宰治
 戦後の混乱の中に没落してゆく貴族である「お母さま」「かず子」「直治」それぞれの生き様を、かず子の視点から日記のような語り口で描いた太宰治の名作です。十年ぶりに読む人もいれば、太宰作品を初めて読むという方もいらっしゃいました。

◆今回の流れ
1、自己紹介 + 課題本の中で気になったところ
2、グループに分かれての話し合い
テーマ
①お母さまはどんな存在だと思いますか?
②直治はなぜ自殺という選択をしたと思いますか?
③かず子が選んだ生き方をどう思いますか?

◇読んで気になったところ
「直治に感情移入した」「『スウプ』などの言葉づかいが新鮮」「かず子はロマンチストだ」「前に読んだ時と人物の印象が変わった」「わりと女性は高貴、男は卑俗に描かれている」「ギロチン、ギロチン、シュルシュルシュってどういう意味?」など、感想共有だけでも盛り上がりました。

◇「お母さま」とは
 『斜陽』はお母さまがいかに貴族らしいかを語るところから始まります。お母さまは三人の中でも唯一、貴族のままでいられた人だという意見が多かったです。また一歩引いた視点からは、「貴族の象徴、直治にとっての貴族のお手本、旧時代の象徴」といった見方も出されました。一人の登場人物以上の意味を与えられているように思えました。

◇自殺を選択した「直治」
 遺書を「僕は、貴族です。」と締めくくった直治は、お母さまとは反対に貴族である自分を恥じ、かつ貴族を捨てることもできなかったのではないか。遺書で繰り返される「姉さん」の呼びかけから、「姉を失ったら本当に一人になってしまうから死を選んだ。人を求め続けた直治のさみしがり屋な性格がそうさせた。」との指摘もあり、はっとしました。直治の遺書全体から感じられる切なさの理由がわかった気がしました。

◇「かず子」の恋と革命
 テーマ③に関連して、「かず子の恋は本当に恋なのか」という問いを挙げました。恋ではなく〈衝動〉〈生きがい〉〈勘違い〉ではないかという指摘がある一方で、恋かどうかよりも“自分が恋だと決めたもの”である点がかず子の生き方になっているという鋭い意見も出ました。かず子は周りの人間を道具にして自分の人生を突き進んでいる、生きることへの執着がすごいといった見方もありました。私の中でぼやけていたかず子の輪郭がどんどんはっきりしていく時間でした。

◇おわり
 久しぶりに『斜陽』を読み、後半に差し掛かる頃には、かず子のぶっ飛び具合に引いていました。でも、読書会でみなさんの疑問や解釈を聞きながら話し合ううちに、かず子という人物が鮮やかに浮かび上がってくるような感じがしました。楽しかったです。ありがとうございました。


いいなと思ったら応援しよう!